狂乱西葛西日記2002年5月20日～5月27日

　ずいぶん間があいちゃってすみません。抜けてる分はそのうち埋める予定。

【5月20日（月）】

　ミステリチャンネル本社会議室でベストブックス改めミステリ・ブックナビの第二回収録。二カ月に一回収録から毎月収録にもどったかわり、一般視聴者に配慮したふつうの情報番組っぽい構成に変更され、書評コーナーは大幅短縮。香山二三郎・豊崎由美・吉野仁・大森望のメンバー各人がそれぞれのイチ押し本１冊＋２冊を選び、それについて簡単にコメントするだけ。
　大森の今月イチ押しは打海文三『ハルピン・カフェ』（角川書店）。これは今年のベストワンを争う傑作。３、４年前、銀座のバーかなんかで同席したとき、「こんど近未来物をやるんですよ」と打海さんに聞いたときはいったいどんなものになるんだろうとやや不安だったんですが、なるほどこう来るかという感じ。テクノロジー的な変化にはほとんど言及せず、変貌した社会情勢だけに的を絞り、ル・カレ的なエスピオナージュの形式であらかじめ失われた革命の物語を語る警察小説。傑作。

【5月21日（火）】

　東映試写室で『模倣犯』。原作を読んでない人にはほとんど実験映画に見えるのでは。いや、豆腐屋のおじいちゃん（山崎努）メインの前半はだいたい原作をなぞってるんですが、ピース（中居正広）登場から先は……。原作読者にとっては、ある意味、驚きに満ちた映画ではある。
　試写に小池栄子が来てたので（映画にはチョイ役で出演）思わず間近でまじまじと観察しちゃったよ。実物は以外と地味ですね。しかしさいとうよしこに「小池栄子を見た！」と自慢したら「だれそれ？」。おばさんのあいだでは知名度がないらしい。そりゃそうか。

【5月22日（水）～23日（木）】

　ひたすら『Passage』。
　スカパーでＷ杯開幕直前の練習試合を毎日どんどん放送するのでかなり迷惑。まあ本番に向けての予習っていうか。これで横浜の試合に俊輔が出てればなあ。

【5月24日（金）】

　試写室で『富江　最終章』。監督は中原俊で富江役が安藤希、相手役は宮崎あおい。監督によれば「テーマはロリータでレズビアン」だそうで、まあそういう感じ。ホラー色は薄いけど、前二作よりは上だと思う。宮崎あおいはかなりいい。『カラミティ・ナイト』のファンは（ついでに作者も）見たほうがいいっす。イメージ的にはあのまんま。読者なら部分的に爆笑できるネタがあります。いや、偶然の一致だろうけど。

【5月25日（土）】

　都内某所でＷ杯チケット受けとり。自助努力はすべて失敗したんですが、持つべきものは友っていうか、各種ルートで日本開催８試合分のチケットを確保。決勝トーナメント中心。というわけで、埼玉札幌新潟神戸静岡大阪埼玉と各地を転戦することがケテーイ。宮城が入ってないあたり、デイドリーム・ビリーバーじゃない証明というか、サポーターとして大事なものがなにか欠けている気がしなくもないが、冷静に考えればよくて神戸でしょう。ていうか宮城までトンボ帰りは現実的に考えて無理だと思った。いや、オレがね。万が一１位抜けした場合は大阪の準々決勝アルゼンチン戦を観るからいいのさ。

　で、今日は本番前最後のテストマッチのスウェーデン戦なんでどうしようかと思ったけど、まあ行くと返事をしてしまったので、「木原浩貴君、香里さんの結婚を祝う会」＠ホテル浦島に参加。サポーターとして大事なものがなにか欠けている気がしなくもないが、ＳＦ歴のほうが長いんだからしょうがない。
　トキオ社長は菅ちゃんちのユキノちゃんに遊んでもらって上機嫌。しかし、えんえんとつづく夫婦対抗クイズ企画の途中で飽きてしまったので、あきらめてとっとと会場から連れ出し、ホテル浦島すぐ向かいのトリトン・スクエアへ。こっち側から見るとまるっきりオフィス・コンプレックスにしか見えないんだけど、中へ入ってびっくり。いやあ、こんなことになってるとは。恵比寿ガーデンプレイスとヴィーナス・ポートを足して二で割ったような感じですか。ウォーターフロントのパティオ風おしゃれな噴水つきフードコートがついてるんだけど、食べものやのメニューはサラリーマンのランチな雰囲気が漂ってて（串カツ定食とか銀ムツ定食とか）いい感じ。
　パーティが終わってやってきた三村美衣が合流して軽く食事をすませ、タクシーで西葛西。さいとうが社長を寝かしつけているあいだに、なんかメフィストのバックナンバーを発掘に来たらしい三村美衣とスウェーデン戦をビデオ録画観戦。タクシーのラジオが勝手に結果を発表しかけたときは焦ったが、思わず大声を出して関係ない話をして妨害したので事なきを得たのだった。あのノルウェー戦のあとだけに、まあ予想通り、フランス戦のあとのスペイン戦のような展開でしたね。小野くんは右サイドがよっぽどいやなのかと思ったが、まさか盲腸だったとは。服部の左サイド先発起用はありだと思う。でもヒデのフォワードはなしでしょう。小野のボランチも試せばよかったのに。伝家の宝刀オウンゴールの術は本番にとっておいてほしかった気が。

【5月26日（日）】

　社長のお目覚めとともに四人で出かけてマクドナルドで朝ごはん。いったん帰宅したあと、三村美衣とトミーバッティングセンターで軽く運動。ここは最近球速150キロのマシンが導入されて、こないだ喜国雅彦画伯が仕事場の本の整理遠征に来たときもご案内したんですが、150キロだとほんとにホップしてくるように見えるのな。20球もあるのでそのうちバットが当たるようにはなるものの、全然前に飛びません。しかし機械が投げてると思えばだんだん慣れてくるが、この速度で人間が投げるとはねえ。尊敬していきたい。

　２時ごろ三村美衣と西葛西を出て、一路、国立競技場へ。きのうはテレビで見ましたが今日はナマ観戦。イタリア代表×鹿島アントラーズの試合。どういうわけか朝日新聞販売店から「チケットあります」チラシが新聞に入ってきて、あわてて電話したところ自由席のチケット２枚が買えたという。１枚3000円。考えたらこれが唯一自力で買ったＷ杯関係のチケット(笑)。
　きのうのようなことはあるまいと思ってたのに国立は53000人の超満員。アントラーズの試合は見たことなかったんですが、いや、鹿島サポーターの応援は聞きしにまさるっていうか。イタリア側のゴール裏の上のほうだったんで、とっくり拝見させていただきました。イタリア側も超満員だしけっこうアズーリだったけど、旗も歌もないからなあ。
　大江戸線・国立競技場駅で買ったなぜかタイムサービス半額奉仕の幕の内弁当を食べつつのんびり観戦。いいなあ、こういう緊張感のない試合って。
　と思ってたらいきなり雨が降り出して、おいおいまたかよと思ったけど、コンフェデ杯オーストラリア戦の横浜のような悲惨な事態にはならず、三村美衣がすばやく買ってきた雨合羽のおかげで平和でした。
　試合のほうは、ピッポとビエリが一点ずつ決めたあと、後半はアントラーズが意地のがんばり。ひさしぶりに見る名良橋もがんばって長い距離をがんがん走ってました。本山くんもあいかわらずの人気で、見せ場もそこそこ。平瀬も一点決めたし、ハーフタイムに出てきたデルピエロのシュート練習も絶好の位置からゆっくり見物できたし、４バックになってもイタリアの守備は強かったし、なかなか楽しい試合でした。本番のイタリア戦はとれなかったからちょうどよかった。６月もこのぐらいの気温と天気ならいいなあ。いや日本戦の日はともかくとしても。

【5月27日（月）】

　第22回横溝正史ミステリ大賞授賞パーティ＠東京會舘ロイヤルルーム。なんかものすごい人口密度でしたが作家率低し。二次会はライターチームと高架下の中華料理屋。

　馳星周が来てたのでＷ杯情報を聞く。観戦予定は12試合とか。初志貫徹でイングランド×アルゼンチンは見ないらしい。Ｈ組の希望的観測は１勝２分。まあ順当な線だと思う。ロシアは強くてもあてにならないので、オレ予想はベルギーについで日本が２位抜け。してくれると神戸で見られるのだが。まあこの組はなにがあっても不思議はない。

　フランスはジダンの負傷が祟って開幕戦でセネガルにまさかの逆転負け。間隙を縫って１勝２分のデンマークが１位通過し、Ｆ組２位のナイジェリアに当たって敗退。Ｈ組を２位で抜けた日本はＣ組１位のブラジルに神戸で奇蹟のＰＫ勝ち。その余勢をかって静岡でナイジェリアを一蹴、フランスを破ったアルゼンチン相手に埼玉の準決勝で大敗を喫するも拍手喝采を浴びると。決勝のアルゼンチンvsイタリアは０－０のままＰＫ戦にもつれこみ、イタリアが雪辱――程度の番狂わせがあるのがＷ杯的には順当じゃないかと思いますがどうですか。これだとオレは日本戦を３試合観ることになるんだけど……。

　途中はともかく、決勝はアルゼンチン×イタリアでかたいね。韓国側の準々決勝予想はカメルーン×イタリアとスペイン×ポルトガル。カメルーンはイングランド戦を見たかぎりかなり強そうだった。逆にイングランドはかなり弱そうで、あの調子じゃ予選抜けも難しいのでは。ベッカム様しだいかなあ。２位抜けすると準々決勝で日本と当たります（当たりません）。

【5月28日（火）】

　６時、表参道でbk1スター・ウォーズ特集の「エピソード２　クローンの攻撃」座談会。といってもメンバーは渡辺麻紀と柳下毅一郎なのでもうでたらめな放談会。渡辺麻紀が主要キャストにインタビューしてるので、その話が出てくるのが救いですか。あとはなんかひたすら邪推委員会だった気が。頭がＷ杯に行っちゃってるせいかもしれないけど、Ep2はあんまり燃えなかったなあ。ラストのアレぐらい？　しかしそのネタもスポニチが平然とばらしてるし。しかし、見た人間同士で話しはじめるのといくらでも盛り上がるのはさすがスター・ウォーズ。前作もそうですが、映画じゃなくてお祭りなんだから。試合のレベルは問題じゃないのよ。

　ところでEp2見てつくづく思ったけど、ジェダイ・オーダーって新撰組なんじゃ。体制的には逆だけど、共和国からの分離独立を止めようとする理屈がよくわかりません。

　ってことで次回からは４年に１度のＷ杯日記になる予定。サッカーに興味がない人は７月までさようなら。仕事？　もちろん仕事も７月までさようなら。のはずだったんだけどなあ。まずいなあ。