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【11月9日(金)〜11日(日)】


 《本の雑誌》新刊ガイド用の読書。祥伝社文庫の《400円文庫》と徳間デュアル文庫の500円文庫――じゃなくて《デュアル・ノヴェラ》の新刊対決がメイン。どっちもSFは5冊ずつ。新刊が増えすぎてコメントをつけきれない対策のため今回から再導入した星印評価(満点が★★★★★。SF度にも一応配慮するが基準は適当)によると、祥伝社《400円文庫》は、

菅浩江『アイ・アム』★★★
瀬名秀明『虹の天象儀』★★★
山田正紀『日曜日には鼠を殺せ』★★
鯨統一郎『CANDY』★1/2
田中啓文『星の国のアリス』★1/2

 対する徳間《デュアル・ノヴェラ》は、

北野勇作『ザリガニマン』★★★1/2
乾くるみ『マリオネット症候群』★★★1/2
林譲治『大赤班追撃』★★★
篠田真由美『聖杯伝説』★★1/2
梶尾真治『かりそめエマノン』★★1/2

 という感じで、今回はデュアルの勝利。ちなみにこれ以外の新刊は以下の通り。

秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』その1その2(電撃文庫)★★★★
デニス・ダンヴァーズ『エンド・オブ・デイズ』上下(川副智子訳/ハヤカワ文庫SF★★★
米田淳一『エスコート・エンジェル』(ハヤカワ文庫JA六四〇円)★★1/2
笹本祐一『ほしからきたもの。@』(ハルキ文庫)★★
夏緑『イマジナル・ディスク』(ハルキ文庫)★★
今野敏『宇宙海兵隊ギガース』(講談社ノベルス八二〇円)★★




【11月12日(月)】


 渋谷シネ・アミューズで、三池崇史『DEAD OR ALIVE FINAL』の完成披露試写。三池崇史・哀川翔・竹内力・ジョシー・ホーの舞台挨拶つき。
 今回のDOAはオール香港ロケ。それがなぜか西暦2346年の横浜に――っていうか、話はほとんど三池版『ブレードランナー』。男なら一度はブレラン?




【11月13日(火)】


 日劇2館でハリポタ披露試写。感想eiga.comに書いたとおり。これだけキャラつかんでれば大ヒットは確実。この先6年間の長いつきあいになっても、まあ問題ないでしょう。エマ・トムスン(ハーマイオニー)の成長をじっくり見守りたい(笑)。
 ただし原作読んでるのが前提のつくりなので、映画を先に観るのはおすすめしません。ハリポタの客の半分でも流れてきたら《指輪》も安泰なんだけど……。




【11月14日(水)】


 ミステリチャンネル『ベストブックス』年末スペシャルの2001年度年間ベストテン用に候補作の未読消化。
 北方謙三『擬態』は企業ハードボイルド。ふつうのサラリーマンがふつうに仕事してるだけの話がどんどんハードボイルドになっていくんだけど、その過程がリアル。よく知らないけど、これは新機軸じゃないですか。主人公の年齢がオレと近いので、思わずジョギングをはじめたくなる感じ。いや、はじめないけどさ。後半、ちょっと予定調和(というか予定破滅)っぽくなってしまうのが惜しい。
 黒川博行『国境』は『厄病神』の続編。今回は「厄病神、北朝鮮へ行く」編で、これまためっぽう面白い。これも一種のキャラクター小説か。
 船戸与一『新宿・夏の死』は夏の新宿を舞台にした連作で、どれも水準が高い。ルルのママが主人公(のモデル)みたいな話が傑作。ただし、手を変え品を変えて――的なバリエーションの付け方が逆に自由度を殺いでいる気もちょっとする。




【11月15日(木)】


 集英社文芸三賞授賞パーティ@帝国ホテル。二次会は志水辰夫氏の柴田錬三郎賞受賞を祝う会へ。志水さんの人柄が偲ばれる、いい会でした。




【11月16日(金)】


 神田多町のリヴィエール(早川書房地下)で、『ベストブックス』年末スペシャルの収録。経費節減の折からゲストメンバーはぐっと削減されて、今回は茶木さんと関口さんだけ。国内編は茶木則雄が笑い、トヨザキ社長が憤慨する結果に。このミスのベストテンとは激しく違います。国内編はかなり異色だけど、海外編はこれが地上でもっとも美しいベストテンらしい。

 打ち上げは三州屋。二次会は和民。




【11月17日(土)】


 今日は楽しい京都SFフェスティバル。この十年ぐらいずっと前日から入ってたんですが、今回は昨日がベストブックス収録だったので、ひさしぶりに当日の朝出発。しかも子連れ。
 午前10時半の《のぞみ》に乗り、1時前に京都着。烏丸丸太町で妻子を三村美衣に預け、タクシーで京都教育文化センター。

 2コマ目の「SFのロボットはどこまで実現するか」から見る。これはめちゃめちゃ面白かった。星野力、浅田稔の両氏はキャラ立ちまくりで、堀さんがいちばん保守的に見えたんじゃないかというくらい。けっこう現場主義な感じの話が中心だったせいかなあ。ただしソフトウェア的な部分で突っ込んだ話があんまり出なかったのは残念。意識なんてもんは人間の場合にもあるかどうか証明できないんだから、見かけ上、チューリングテストに合格できるような仕組みを方便として用意すればそれでOK――ってのはいいとして、じゃあどういう方便でフレーム問題とかを回避できるのか。
 ロボットSFのいろんなネタを現場のロボット学者に検討してもらうみたいな方向性もありだったんじゃないかと思いました。SFのロボットと現実のロボットの間の話ね。

 森奈津子×牧野修のメイン企画、「バカとエロ」は森奈津子がいきなり大遅刻。「東京から呼ぶ女性ゲストは遅刻する」の法則。おかげで牧野修の笹川吉晴いじりが見物できて楽しかったけど。森奈津子嬢はあいかわらず。しかしR15指定にしたんだから、いつもよりもっと飛ばしてほしかった気が。飲み屋じゃないと真価が発揮できないのか。次回はやっぱり銀座の文壇バーでひとつ。

 教文1Fのレストランで夕食をすませてさわや。トキオ社長はいきなり熱を出し、日赤第二病院でクスリをもらってきたらしい。ぼちぼち免疫切れなので、これからはどんどん風邪を引く予定。
 もっとも今回は子連れなので、あらかじめ追加料金を支払って独立した個室を確保してあり、0歳児はそこに寝かせて交替で見張りをするだけ。けっこうらくちんでした。

 合宿企画は、「柴野拓美さんを囲む部屋」「アンサンブルの部屋」「「テルミン耳の冒険を耳で聴く」部屋」「出張ダサコンの部屋」「鬼畜の部屋」などをぶらぶら。

 柴野さんの部屋では、bk1で注文して買った『評伝・SFの先駆者今日泊亜蘭』を読んだばっかりなので、それに出てくる宇宙塵・福島正実関連の記述について根掘り葉掘り質問。まわりのお客さんが生まれる前の話ばっかり聞いててすみません。いや、ふだん柴野さんとお目にかかっても、なかなかこういう話を突っ込んで聞くことがないもので。
「あれ(『評伝・今日泊亜蘭』の記述)はいくらなんでも福島さんがかわいそうですよ」という柴野さんだが、細かく質問していくと、記述内容はいちいちきわめて正確で、「本当のことを書いてしまったのがかわいそう」という意味らしい。いや、だからと言って日本SFに対する福島正実の多大なる貢献が価値を減じることは全然ないんですが。と、この本に関する詳しい話は、ヒマがあったらbk1の連載コラムで書く予定。

 鬼畜部屋では、綾辻さんとかと主にホラー映画系の話をしてたんですが、ときどき炸裂する我孫子節が爆笑。




【11月18日(日)】


 明け方寝て、はっと目が覚めると9時をまわってて、宿にはスタッフ以外もうだれも残ってなかったり。ぼちぼち起き出してからふね屋で1時間待ちのモーニングセットを食べ、タクシーで京都駅。どろどろの状態で東京駅まで帰り着き、タクシーで帰宅して爆睡。




【11月19日(月)】


 ル・テアトル銀座でヒロスエ&ジャン・レノの『WASABI』。秋葉原駅前の街景に「Shinjuku」とテロップがかぶるのが爆笑。『漂流街』みたい。違います。
 広末涼子のフランス語の発音はなかなかでしたね。それ以外にはあんまり取り柄がない。というか、なんだかB級香港映画のテイスト。フランス版『東京攻略』というか、ジャッキー・チェンの代役でジャン・レノが出た『ラッシュアワー3』というか。ただしジャン・レノにカンフーは無理なので、そのへんもう少しシナリオに工夫がほしかった。いくら観光映画としても、いきなり京都に行くのはどうよ。三越で買い物して高島屋の袋持って出てきてタクシーで帝国ホテルに帰るとか、実用性にもやや問題あり。

 終了後、なぜかこんな映画を見に来ていた柳下毅一郎、元アーティストハウスのH氏と軽く食事して帰宅。




【11月20日(火)】


 恵比寿ガーデンシネマで『ヒューマン・ネイチュア』の試写があるので、ついでに見逃していた『テルミン』を見ようとガーデンプレイスへ。開映に5分遅刻して飛び込んだところ、「開映後の入場はお断りしています」と門前払い。まことにごもっともです。とすごすご退散しかけたところ、べつの女性が、
「もう今週で上映が終わってしまいますので、途中からでもよろしければご覧下さい」とありがたいお言葉。どなたか存じませんがありがとうございました。
 というわけでようやく見た『テルミン』ですが、だいたい予想通りの内容。テルミンは健康にもいいらしく、関係者はみんな長生きしている。

 チャーリー・カウフマン脚本の『ヒューマン・ネイチュア』は、まあ悪くはないんだけど、『マルコヴィッチの穴』と比べると笑いのツボがちょっとずれてて(ベタ方向)、そんなには喜べない。フランス語訛りでしゃべるアメリカ人おねえちゃんとか、全体に頭が悪い感じ。いや、よくできてるところも多いんですが、すでにああいう研究所の設定がダメなんだよな。




【11月21日(水)】


 銀座シネパトスで『怪獣大決戦ヤンガリー』。韓国映画なんだけど韓国人はだれも出てない輸出用怪獣映画。『大怪獣ヨンガリ』('67)のリメイクってことになってるけど、内容的にはぜんぜん別物らしい。だいたいKoreaのKの字もありません。USゴジラの場合は、日本の魂をハリウッドに売り飛ばしたとかさんざん罵倒されたわけですが、『ヤンガリー』の場合は自国の伝統的ドメスティック怪獣を自分で蹂躙してるわけで、韓国怪獣おたくの人は怒らないのか? ヤンガリーは着ぐるみみたいなデザインのCGIで意外と違和感がない。ヤンガリーが破壊するどこともしれない街(作中ではthe cityとしか言ってなかったと思った。アメリカの大都市らしいんですが、看板はハングルが混じってたりしてよくわからない)はミニチュア。怪獣映画のミニチュアビル街としては最大規模では。とにかく盛大に壊してますね。でも話がダメすぎ。本編の芝居も自主映画以下。英語のセリフの演出ができなかったのかなあ。この役者はプロなんですか?




【11月22日(木)】


 ヤンガリーを見ちゃったので、やっぱり日本の怪獣映画も見とかなきゃなあと、東宝試写室で金子修介監督『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』。やたら評判がよくて、ゴジラ映画史上最高傑作とかの声もあるんですが、これはゴジラ映画じゃなくて平成ガメラ三部作の第四作でしょう。ゴジラ映画は第一作しか存在を認めないし、USゴジラは存在は認めるがゴジラ映画とは認定しない。バラゴンはともかくキングギドラもモスラも国産の伝統怪獣という設定。特撮右翼っていうか、怪獣ナショナリズム映画。自衛隊は防衛軍に正しく改組され、当然、米軍の駐留は認めない。山口貴由のマンガならギャグになるんだけど、ここには相対化の視点が全然ないので、ナショナリズム気分が垂れ流されるだけ。
 まあガメラ3からの流れでは当然の帰結って見方もあるだろうけど、いくらなんでも護国三聖獣はないと思う。しかも「やまと」ってところが情けない。いいのか、それで。




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