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【10月1日(月)】


 第二回小松左京賞授賞式&角川春樹事務所創立5周年パーティ@赤坂キャピトル東急。会場に入ったらいきなり浜田卓二郎がいて驚く。と思ったら元東京地検特捜部長の河上和雄もいる。文壇パーティとは思えません。で、最初の来賓挨拶が綿貫民輔衆議院議長。ふうん。珍しい人が見物できていいなあ。と、ここまでは冷静だったんだけど、次に登壇したおじいさんの紹介を聞いて仰天。まさか、瀬島龍三のスピーチをナマで聴けるとは。ていうか、生きてたんですね。ほとんど歴史上の人物だと思ってたのに。あわてて前に出て写真を撮影する。
 ちなみに瀬島龍三氏は、大本営陸軍参謀兼海軍参謀だった人で、伊藤忠商事の元会長。というより山崎豊子『不毛地帯』のモデル。というか、オレの中では、(映画版で主演した)仲代達矢の本物(ってなによ)。出たな妖怪、みたいな。いや、外見的にはふつうのおじいちゃんでしたけど。
 やはり写真を撮影しにすかさず前へ出てきた堀さんと、「瀬島龍三っていくつでしょうね」とかひそひそ喋ってたんだけど、あとで調べたら1911年生まれ(日記によると堀さんもあとで調べたらしい(笑))。ていうことは今年でもう90歳じゃないですか。大本営参謀だった人は体の鍛え方も違うのか。シベリアの冬に何年も耐えただけのことはあるなあ。

 そのあと、小松左京賞の選評で登壇した小松さんは、もう古希なので引退してのんびり――みたいなことを言ってたけど、90歳の人のスピーチのあとでは説得力がありません。

 受賞者の町井登志夫氏がすかさずそこにつっこんで、「小松先生にはこれからもお元気でどんどん新作を書いていただかないと」みたいな挨拶をしたのがナイス。『虚無回廊』の完結編はいつですか? と壇上から訊ねてくれたらもっとよかったのに。

 一次会終了後は、高千穂遥・竹川裕司・山田正紀・高橋良平の四氏とホテルのティーラウンジでお茶。主に高千穂・山田漫才にときどき良平さんが突っ込む感じ? 山田さんは息子さんのためにエヴァのDVD版がどうしてもほしいらしく、「山田正紀がGAINAXからエヴァのDVDをもらうためにはどうすればいいか」作戦を詳細に検討。その内容はさしさわりがありすぎて書けないのが残念です。

 お茶組が引き上げたところで溜池山王から赤坂見附に出て、小松左京賞受賞者を囲む二次会に合流。もっとも、席が遠かったので、もっぱら東直己氏とか、『義元謀殺』で第一回角川春樹小説賞の特別賞を受賞した鈴木英治氏(初対面)と奥のほうでミステリ話をしてました。あとは同時多発テロと札幌の話。
 12時まわって解散になり、堺三保とタクシー帰宅。




【10月2日(火)〜4日(木)】


 集英社文庫『金のゆりかご』(北川歩実)の解説を仕上げ、メンズ・エクストラの映画コラム(『ソードフィッシュ』)を片付ける。そのままSFの新刊未読処理に突入。

 なんかの試写見た帰り(←なんだったのかどうしても思い出せない)、はっと気がつくと映画の日だったのでうっかり『ヤマカシ』を見て大ダメージ。予告編だけでよかったよ。こんな映画が大ヒットするようではフランスも……。

 あ、いつだか忘れたけどロバート・ロドリゲス監督・製作・脚本『スパイキッズ』もホール試写で見た。これは結婚式バージョンの予告編があまりに傑作だったんで(いまやってるバージョンはあまり面白くない)、本編はダメかもと覚悟してたんだけど、無意味にラテンなノリで爆笑。音楽がダニー・エルフマンで、一部ティム・バートンのパロディあり。というか、ほとんど明るいティム・バートン。なにしろ敵の首領(アラン・カミング)は誘拐したスパイたちを改造人間に仕立て上げ、『ピーウィーズ・プレイハウス』みたいなお子さま番組に出演させているのである。すばらしい。アラン・カミングは当然その番組のホスト。視聴率一位をとれないのはなぜかと悩んでたりする(笑)。
 なぜか試写に来てた庵野監督も言ってたけど、バートンとの違いは最終的に家族礼賛映画になっちゃうこと。まるでクレヨンしんちゃんみたいだと思いました。
 パパはアントニオ・バンデラスで、そのお兄ちゃんのダニー・トレホはスパイ用品店を経営(笑)。あとはスパイ手帳出してくれれば完璧だったのに。インクが消えるペンとかそういうの。多少ギャグが滑るものの、まあ上々の出来。ただし冒頭の結婚式シーンの編集は予告編のほうが出来がよかったと思いますがそれは気のせい?




【10月5日(金)】


 高知から母親が来たのでトキオ社長を預け、ワーナーマイカル妙典で『ラッシュアワー2』と『スコア』をはしご。
 『燃えよドラゴン』な場面は笑える『ラッシュアワー2』ですが、脚本をもうちょっとなんとかしてくれないと。『スコア』のほうは反時代的に正しい金庫破り映画。ハッカー連れてきてパスワード破らせる場面も出てくるけど(妙にリアルでおかしい)あくまで添え物。やっぱり金庫破りはこうじゃなきゃね。しかしなぜモントリオール。

 デイヴィッド・ブリン『知性化の嵐1 変革の序章』が読んでも読んでも終わらない。これ、面白くなるの? 疲れるとビジョルドの『セタガンダ』(訳題忘れた)読むんだけど、こっちも今回はちょっとなあ。




【10月6日(土)】


 馬場に出てユタ→ねぎしと回って帰宅し、W杯欧州予選最終節。イングランド×ギリシャは(裏で同時進行していたドイツ×フィンランド戦の展開ともども)まるでマンガのような展開。ロスタイムにベッカムのフリーキックが決まったときは思わず爆笑しちゃったよ。
 しかしどう見てもあれはファウルじゃないでしょう。イングランドの1点めも、サービスでとってもらったファウルのおかげだったし、イングランド一位通過はレフリー様々。まあ、ギリシャは勝っても引き分けてもどっちでもよかったわけで、終わってみれば予定通りか。とにかくドイツが情けない。だからビアホフじゃダメなんだって。今日こんな試合をしてるようじゃ、プレーオフが思いやられるなあ。ガチガチに緊張してはずしまくるドイツ。そんなのドイツじゃないね。それとも最後の最後でゲルマン魂の爆発があるのか?
 結局そのまま朝までチャンネルをとっかえひっかえしつつサッカー観戦。




【10月7日(日)〜9日(火)】


 ひたすら〈本の雑誌〉新刊ガイド用の読書。SFファン向けの評価をベストブックス風に採点すると、

○イアン・バンクス『ゲームプレイヤー』(浅倉久志訳/角川書店)
○林譲治『暗黒太陽の目覚め』上下(ハルキ文庫)
▲草上仁『スターハンドラー』上下(ソノラマ文庫)
▲牧野修『呪禁官』(祥伝社ノンノベル)
△乙一『暗黒童話』(集英社)

 ぐらいが今回のベスト5かな。残り7冊は、

藤崎慎吾『螢女』(朝日ソノラマ)
岩本隆雄『ミドリのツキ』上中下(ソノラマ文庫)
吉川良太郎『ボーイソプラノ』(徳間書店)
川端裕人『The S.O.U.P.』(角川書店)
ロイス・マクマスター・ビジョルド『天空の遺産』(小木曽絢子訳/創元SF文庫)
デイヴィッド・ブリン『知性化の嵐1 変革の序章』上下(酒井昭伸訳/ハヤカワ文庫SF)
梅原克文『サイファイ・ムーン』(集英社)

『螢女』と『ミドリのツキ』は人によって評価が分かれそう。あるタイプのSFファンはすごく好きだと思うし、逆にすごく反発する人もいるかもなあ。
『The S.O.U.P.』はハッカー倫理を扱った小説としては非常によくできてるんだけど、逆にわかりすぎてしまって驚きがない。こういう話がSFじゃなくて書けるところがいちばんの驚きか。ラッカーが前提としている世界観というか人生哲学についてしっかり書いてある感じ。《本の雑誌》読者より《月刊アスキー》読者向けかな。あとがきに竹中番長と山形ページが出てくるのが爆笑。
『サイファイ・ムーン』はガンパレ・ファン必読(?)らしい。バイオタイド理論が基盤なのでSFではないと? オマケの短編には笑いました。あれはぜったい伏線だと思ったけど、まさかこんなオチがつくとは。

 これだけ紹介してもホラー/ファンタジー/ミステリ系のSF周辺作品がこぼれてしまい、

水樹和佳子『共鳴者』(エニックスEXノベルズ)
中井紀夫『イルカと私が歩く街』(エニックスEXノベルズ)
山川健一『ジーンリッチの復讐』(メディアファクトリー)
西澤保彦『異邦人 Fusion』(集英社)
島田荘司『ハリウッド・サーティフィケイト』
恩田陸『上と外』(幻冬舎文庫)
妹尾ゆふ子『チェンジリング 碧の聖所』(ハルキ文庫)
三津田信三『ホラー作家の棲む家』(講談社ノベルス)

 あたりには触れる余裕なし。ちょっと方法を考えないと。



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