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【7月1日(日)〜2日(月)】


 週刊現代の『ルー=ガルー』書評原稿。週刊現代の読者はあんまり読まないんじゃないかと思いますがどうですか。

 プログラムブックの締切だとかでSF大会のゲストを確定しなきゃいけないので各所に連絡。池上永一氏に電話してえんえんしゃべってたんだけど、SFセミナーで飛ばしすぎたのを反省しているらしく消極的。まあ、池上さんにとってSF大会に出るメリットがあるかというとあんまりないので強くは押せない。「SF作家と呼ばないで」組を集める予定を変更し、小林泰三氏に電話。さらに、わざわざ広島から呼ぶのもどうかと思って声かけるのを躊躇していた津原泰水氏も、掲示板で「SF大会に行きます」宣言をしてるのを見つけて出演依頼。めでたく快諾をもらって、ジャンルクロスオーバーな企画は、瀬名秀明・高野史緒・小林泰三・津原泰水という顔ぶれでとりあえず確定。
 コバルト/デュアル文庫系の企画も、若木未生・一条理希・荻野目悠樹・北野勇作の各氏でほぼ決まり。こっちは大会スタッフ・ちはら嬢が各出演者にメールで連絡してくれてるのでらくちんです。




【7月3日(火)】


 WOWOWで『星界の戦旗2』記者発表。大森は、WOWOW海部プロデューサーに頼まれてトークコーナーの司会を担当。出演は、長岡康史、森岡浩之、川澄綾子、今井由香のいつものメンバー。星界イベントの司会は、SF大会を含めれば4回目。司会するだけでいい(あとで原稿まとめる必要がない)のは気楽だけど、時間が短くて、細かくつっこんでるヒマがないのが惜しい。
 トークに先立って、『戦旗2』第1話を控え室で見たけど、いや、これはすごい。TVシリーズでこんなことやるか? デジタルハイビジョンのワイド画面ってこともあって、ほとんど映画。というか、ふつうテレビじゃ許されないと思う。原作読んでないと冒頭は全然意味がわかりません。ま、地上世界に降りちゃうとトーンが変わるんだろうけど、画期的なアニメになりそうな気配。




【7月4日(水)〜6日(金)】


 六本木GAGAで、大槻ケンヂ原作『STACY』の試写。出来の悪い自主制作ビデオみたいな冒頭10分ぐらいと筒井康隆登場シーンはかなりつらいけど、後半の『ゾンビ』の引用(女子高生バージョン)とラストは悪くない。三人組にパワーアップして登場するドリュー違法再殺団もいかしてます。再殺専用チェーンソー「ブルース・キャンベルの右手2」(原作では「ライダーマンの右手」)に笑える人はとりあえず見てもいいと思う。『ゾンビ』の引用(女子高生バージョン)もマル。筋少ファンも必見。しかし音楽は『特撮』が担当してて、筋少の曲はかかりません。「ステーシーの美術」とか「ノゾミ・カナエ・タマエ」とかがかかれば傑作なのに。再殺を頼まれる主人公(尾美としのり)の職業がなぜか人形劇団の人形師に変更されてるんだけど(マルコヴィッチ効果?)これがなかなか効いてます。原作の大槻ケンヂ『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』(角川ホラー文庫)は傑作なので、読んでない人はこの機会にひとつ。近未来SFホラー。

《本の雑誌》新刊ガイド用のSF未読消化。今月は、

◎ニール・ゲイマン『ネバーウェア』(柳下毅一郎訳)
○パット・マーフィー『ノービットの冒険 ゆきて帰りし物語』(浅倉久志訳/ハヤカワ文庫SF800円)
▲高畑京一郎『Hyper Hybrid Organization 01-01 運命の日』(電撃文庫510円)
▲三雲岳斗『ランブルフィッシュ1 新学期乱入編』(角川スニーカー文庫476円)
タッド・ウィリアムズ『黄金の幻影都市1―電脳世界の罠―』(野田昌宏訳/ハヤカワ文庫SF660円)
平谷美樹『運河の果て』(角川春樹事務所1900円)
藤木稟『テンダーワールド』(講談社1900円)
長野まゆみ『千年王子』(河出書房新社)

 みたいなところでしょうか。『テンダーワールド』と『千年王子』はいきなり読むとかなり驚くと思う。ゲイマンはとにかくうまい。





【7月7日(土)】


 ルーディ・ラッカー『フリーウェア』の翻訳を再開するも遅々として進まず。翻訳力が落ちている気が。
 夕方から馬場に出かけてひさしぶりにユタ。添野知生、「林哲矢の日記は男らしくない」と発言。それはたこいきよしの日記が男らしいということですか? なんか違う気がするけどなあ。あとはまたしても『A.I.』とバートン版『猿の惑星』と17分版『FF』話。最後のは、映画版『Final Fantasy: The Spirits Within』の試写が7月10日にあるんだけど、それが17分バージョンなんですね(笑)。まあ公開は10月だから、ふつうなら「ふうん、まだできてないのね」と思うだけだけど、これってアメリカでは7月11日の公開なのである。いったいどういうこと?
 もうひとつの話題は、SF人妻日記の「新人ちゃん」。いまもっとも注目を集めているキャラかも。職業柄、ちはら嬢が異常な興味を示してました。

一般常識診断をやってみた。ジャンル正解率は、政治90.0% 経済90.0% 法律70.0% 歴史80.0% 国語100.0%。やっぱり法律はむずかしいと思った。政治経済でまちがえたのは、国連加盟手続きとか、日銀の役割とか。国語が簡単すぎると思うは気のせい?




【7月8日(日)〜9日(月)】


 《本の雑誌》《サイトでーた》の原稿。




【7月10日(火)】


 とくに名を秘す某誌編集部のI嬢と新橋のフルハウスで茶飲み話1時間のあと、すぐとなりの徳間ホールで映画版FFの17分バージョン試写。この手のフルCGIものって、ゲームだと「映画みたい」と言われ、映画だと「ゲームみたい」と言われる宿命なのかも。絵的には非常によくできてるのに燃えないのはなぜ。全長版を見ないとわかりませんが、感情移入システムの根本のところで致命的な問題をはらんでいるのかも。しかし、ゲームをまったくやったことがない人はものすごく感動してたので、おたく系の客からなにを言われてもノープロブレムか。『タイタニック』のようなものをつくるって意味では、これで正解なんだろうな、きっと。『タイタニック』見てないけど(笑)。
 一応、構造としては侵略SFなんですが、SF的には(?)ちょっと面白いネタが投入されてます。でも基本はアメリカ版サブタイトル(The Spirits Within)が示す通り、スピリット探しの話なので、そこはファンタジーRPG的というか、精神世界探求物の雰囲気。SF的なガジェットがそういうものと平気で共存してしまうところがFFらしいと言えなくもないが、SFおたくはたぶん喜ばないと思いました。で、そういう客を相手にしてないのは『A.I.』といっしょ。ってことは大ヒットするのか?

 終了後、べつの某社編集部某氏と打ち合わせのあと、『千と千尋』の試写スケジュールを入手すべく、おなじ喫茶店にいたデュアル文庫編集部O野くんと徳間書店。アニメージュ編集部でちょっと油を売ってから、喫煙コーナーでSF話。デュアル文庫にはがんばってもらいたいんですが、すでに読むほうが追いつかなくなってたり。

 新橋から日比谷にまわって、日本ホラー小説大賞授賞パーティ@東京會舘。
 めでたく大賞に輝いた『ジュリエット』の伊島りすと氏は、なんでもこの日記を読んでくださってるそうで、「今度ぜひゆっくりサッカーの話を」とか言われてうろたえる。圧倒的に面白かった前回応募作『不思議』は、やっぱりあのまま完結させるのは無理そうってことで、いったんばらばらに解体して再構成されるらしい。もったいない気もするが、あれにふさわしい結末はたしかにちょっと思いつかない。『ジュリエット』については、角川のPR誌、《本の旅人》に書いた書評を参照。ちなみにスイジガイっていうのはこんな貝です。
 長編賞の桐生祐狩さんは、冒険小説クラブの会員でと学会にも入ってて、業界系の知り合いは多い模様。受賞挨拶がめちゃめちゃ大胆で、一部で異様にウケてました。

 一次会終了後は東京會舘ティールーム。有栖川さん、U山スーパー部長と本格ミステリ大賞話とか、最近の新本格話とか。
 ティールームが閉店したところで、角川書店ダブルT木氏の引率により、総勢十数人で銀座のエル。まわりをかためたメンツがメンツだったせいか(フカザワ社長、森奈津子、牧野修etc.)、中村うさぎ女王様が全開状態に突入し、うんこ話が炸裂。「このテーブルは主にうんこのテーブルですね」という牧の発言まで出て、同席したエルの女性は激しく引いてました。森奈津子は、「こういうところが文壇バーなんですか。でも、文壇ってオナニーですよね」とか言ってるし、まったくこの人たちって……。

 しかしこの夜のメインイベントは、中村うさぎ・田中啓文・小林泰三・牧野修・フカザワマキ・さいとうよしこと7人で流れたワインバー。話題はたったひとつ、「2000年3月3日、日本SF大賞二次会の帝国ホテル・レインボーラウンジで岡本賢一が口にしたおそろしい発言とはいったいなんだったのか?」。
 どうしてこれだけのネタで3時間も笑い転げていられたのか、まったく謎としか言いようがない。回答を知っているのはフカザワ、牧野、田中の三人で、追及側の急先鋒は小林・中村コンビ。最初は絶妙のタッグで主に牧野修を追いつめていたのだが、途中からどんどん小林泰三の人間性が暴露され、ついに女王様も「わたくし、あなたには失望させられました。相対性理論を理解していてもその程度ですか」となで切り。「いや、量子論も知ってますけど」と謎の弁解でどんどん墓穴を掘る小林泰三。
 いちばん謎なのは、中村うさぎは岡本賢一の名前さえ知らなかったということである。どうして名も知らぬ人間の一年以上前の発言にそこまで興味を持てるのか。この飽くなき探求心は見習いたいと思う。しかし我孫子さんがいなくてほんとによかった。
 生後2ヶ月の赤ん坊を高知から出てきた母親に預け、夫婦そろって外出した甲斐のある有意義な一夜だった。と日記には書いておこう。


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