【6月16日(土)】


 ミステリチャンネル『ベストブックス』、隔月収録になっての第一回。ウェブ上には「次回はどうなる!?」ってコーナーが新設されたので、だいたいどんなタイトルが上がってるかはそちらを参照。収録で盛り上がったのは小川勝己『彼岸の奴隷』とか。メインは奥泉光『鳥類学者のファンタジア』。




【6月17日(日)】


 早川書房K山氏から矢の催促なので、途中まで書いてあって放り出していた『星界の戦旗読本』の森岡浩之ヒューマンドキュメント原稿を仕上げる。どうせ森岡さんの短編ができなくて当分出ないに決まってるのに。
 最初書いてたのが妙に真面目になっちゃったんで、アナウンサー×解説者の問答形式に変更して、間にVTRで過去のインタビューとか取材結果とかがはさまる構成にしたんですが、森岡新居訪問部分のVTRを増量してくれと注文があり、さらに加筆訂正。注まで含めると27枚の大原稿になったのに情報としての価値はほぼゼロ(笑)。それにしてもモーニング娘。の中でだれが後藤真希なのかわからないというのはどうかと思うね>森岡さん。




【6月18日(月)】


 ワールドユースの試合見て、徹夜で『A.I.』早朝試写。やっぱりスピルバーグにはSF魂がないね。ていうか、どうせおとぎ話なんだから、宇宙人出すのはともかく、謎の科学を採用しないでほしい。うーん、頭の1時間は好きなんだけどなあ。まあしかし低予算家庭ドラマをつくるわけにもいかんのか。思うに『A.I.』は(りんたろうの)『メトロポリス』と同じ問題を抱えてますね。えらい先輩に対するリスペクトが強すぎ。どうして青の妖精なのか、スピルバーグにはわかってないと思う。オレにもわかんないけど、わかんないならやめちゃえばいいのになあ。
「キカイの息子を愛せないお母さんの話」が途中でどこかへ行ってしまうので、結局、「かわいそうなピノキオの話」なんでした。でもアンドリューNDRなんとかよりは、追っさんじゃない分だけいいと思う。
 しかし、期待値が思いきり低かったので、ラストを別にすれば、けっこう楽しめました。イアン・ワトスンが書いたジュード・ロウのパートとか。
 ところでスピルバーグは、自分で全然興味がないくせに、どうしてあんな思わせぶりに性的な言及をしますか。冒頭の「服を脱いで」なんてまったく意味ないじゃん。大人のフリがしたいの?

 試写終了後、高橋良平・渡辺麻紀・樋口真嗣・福井晴敏・添野知生etc.のよくわからないメンツでなぜかトンカツ屋へ。まだ午前中なのにトンカツとはさすが樋口真嗣セレクション。話題の中心はスピルバーグ罵倒とか、どこまでキューブリックなのか、とか。お話的にはかなりキューブリックのようです。まあキューブリックが撮ってたらもっと荘重なファンタジーになってただけのような気もする。
 食後、さらにSF組でだらだらお茶。眠いついでに『みんなのいえ』を観る。ふうん。




【6月19日(火)〜21日(木)】


 コンフェデ杯のフジテレビ中継ネタで《ナンバー》のコラム。なんか一度も会ったことがない《ナンバー》の編集者から突然電話がかかってきて、
「最近、サッカー選手とか、スポーツ選手のTVコマーシャルがたくさん流れてますけど、それについてコラムをお願いできませんか」
「明神が出てるキャノンのCMとか驚きますよねえ。でも最近、地上波は全然見てないんで、スカパーのCMしかわかりません。コンフェデ杯の中継でアタマに来て、速攻でスカパーに加入しちゃったんで」
「ほう。それはどういう?」
 で、ひとしきりフジの中継を罵倒したところで、
「じゃあ、その話でひとつ」だって。いいのか、そんなことで(笑)。
 まんまと術中にハマった気がしなくもない。まあ、中田英寿の服装に関して《ナンバー》誌上で嫌味を書くという目的を達成したのでよしとしよう。柳下毅一郎からは、「あんな雑誌に書いて恥ずかしくないのか!」と罵倒されたけどな(笑)。




【6月22日(金)】


 ホテルオークラで新潮四賞授賞パーティ(今回は川端賞がお休みなのでほんとは新潮三賞)。今回は山本周五郎賞は関係なくて、三島由紀夫賞受賞の中原昌也氏のお祝いに参上。知り合いの作家が三島賞とるのは第一回の高橋源一郎以来かも(笑)。『すべての場所に花束が…』(新潮社)って、エンターテインメント系で出てればぜったい帯には《ノワール・ヌーヴェルバーグ》とかキャッチがついてたんじゃないかと思う。著者自装なのに著者名がタイトルよりはるかにでかい(筒井康隆『大魔神』みたいな感じ)。
 中原昌也はいつもの服装。自分で二次会の案内を配って回るのはどうかと思った。

 新潮社主催の青山・中原合同二次会は表参道の《ディープ・ブルー》が会場。司会進行はオレと同期入社のK元@《新潮》編集部。中原くんの最後の挨拶で、「それにしてもK元さんは司会がヘタですね。もっと修行してください」とか思いきり突っ込まれてました。
 客はよく知らない人多数。光石研や田村正毅撮影監督が挨拶に立つあたりはさすが青山組。中原くんから、SFファンだというDJの人を紹介される。若い身空で「オールディスのBarefoot in the Head を買ったんすよ! ニューウェーヴ最高! どうして売れないんですか。アンナ・カヴァンとかも好き! ラングドン・ジョーンズはちょっとわかんないけど」みたいな。生まれるのが20年か30年遅かった。
 柳下毅一郎は大方の期待を思いきり裏切り、青山真治とあっけなく和解。「向こうから謝ってきたんだからしょうがないだろう」とか。しかし授賞式の夜に謝るのは「金持ち喧嘩せず」の実践では。




【6月23日(土)】


 第一回本格ミステリ大賞授賞パーティ@日本出版クラブ会館。往年の鮎川賞以上に作家率の高いパーティかも。物集高音氏はじめ、初対面の作家の人もちらほら。
 二次会は『日本ミステリー事典』のほうに寄ってから、講談社ノベルス組が飯食ってるところに顔を出し、そのメンバーでぞろぞろ倉知さんの二次会場に歩いていったらもう終わったところで、最後は神楽坂のドトール。竹本さんはずっとドトールでお茶飲んでたらしい。ドトールのあとはカーニバルでカラオケといういつもの段取りですが、今夜はさいとうよしこが来てるので大森は子守に帰宅(23時まではポピンズ派遣のベビーシッターが担当)。




【6月24日(日)〜25日(月)】


 アスキー・ネットJ、アニメージュ、月刊アスキーのコラム原稿。アスキーは「小泉内閣メールマガジン」ネタ。柳下の話だと、こないだのユタで聞いたらだれも購読してなかったそうですが、読んでみるとなかなか笑えます。坂口力が医者時代に無医村に派遣されて、「耳にカブトムシが入っちゃった小学生」を診察した話とかもう爆笑。だれだか知らないけど編集してるひとはえらいと思った。
 これ読んで、『小泉内閣はキャラ萌え政治である』という説を唱えてるんですがどうですか。リスタートするワンフェスでは小泉フィギュアを出してほしい。夏コミでは野中×小泉本とか、塩爺総受本とか。




【6月26日(火)】


 天王洲スタジオで、BSフジ「映画大王」の収録。外遊で出演できない渡辺麻紀の代打。3時間枠で映画を一本放送し、残り時間をその映画にまつわるトークで埋めるというBSらしい企画。今回の映画は『ターミネーター』で、ホストは筧利夫、司会は佐々木恭子アナ、ゲストが三留まゆみと塩澤編集長とオレ。
 セットがでかいのとスタッフの数が多いのに感動。20人ぐらいいました。ミステリチャンネルの3倍? 一応ちゃんと台本もあって、まるでテレビみたい。ベストブックスでは30分で10冊の本を紹介してるので、映画一本を40分もかけてしゃべるのかと思ったけど、まあすぐでしたね。『ターミネーター』だし。
 7月30日20:00〜22:55の放送らしいので、塩澤編集長ファンはお見逃しなく。しかしうちではBSフジはまだ見られないのだった。やっとスカパーが入るようになったと思ったらこれだよ。




【6月27日(水)】


 リ・イマジネーション版『猿の惑星』のパンフに原作関連の原稿を書かなきゃいけないんだけど、もちろん映画はまだ観られないので、角川スニーカー文庫で出たバートン版のノベライズを読む。矢口誠の熱血解説がなかなか飛ばしてますが、これはどう見ても、ヒトが黒人奴隷でサルが白人。奴隷解放革命の話で、原作とはほぼ関係がない。あんまりバートンらしいとも思えないんだけどなあ。




【6月28日(木)】


 日本推理作家協会賞授賞パーティ@第一ホテル東京。本日オープンのメゾン・エルメスで菅ちゃんの受賞祝いを買う――という野望はもろくも崩壊し、花束に変更。
 今回は受賞者が四人なので会場は大混雑。評論部門で都筑さんが受賞ってことで、珍しく石上三登志氏が来てたので、『A.I.』話とか。石上さんはいまんとこ『メトロポリス』が今年のベストだそうです。まあわかる気もするけど。
 長編および連作短編集部門を『永遠の森』と同時受賞した『残光』の東直己氏とは今日が初対面。受賞作はたいへん面白いので未読の方は是非。過去のシリーズ作品を読んでなくても全然大丈夫です。

 二次会はまず都筑さんのところに――と思ったけど、一次会場に届いていた菅ちゃん宛てのお祝いをなぜかT内と一緒に二次会場の銀座ワインハウスに運搬するハメに。早川書房の編集者がこういう宴会の段取りに慣れてないのは仕方がないとしても、人員配置はもうちょっと考えたほうが。ていうか、今回の受賞者は4人とも早川と縁が深いんだから、二次会場の場所はもうちょっと近くにかためるとかしてくれればよかったのに。
 もっとも、塩澤編集長の司会は、新潮社K元の三島賞二次会司会よりはずっとこなれてました。来ていた作家・評論家ほぼ全員にマイクをまわして挨拶させる趣向。
 山田正紀・高千穂遙・川又千秋・竹本健治・牧野修・久美沙織・綾辻行人・野間美由紀・田中啓文・岩井志麻子・京極夏彦・瀬名秀明・鯨統一郎・物集高音etc.、SF系・ミステリ系・ホラー系が入り乱れて多士済々。あ、山賀監督も来てました。
 思えば、岩井志麻子の山本周五郎賞受賞宴会の二次会も同じこの場所だったんで、悪い予感が心をよぎったんだけど、今回はとくに波乱もなく終了し、めでたしめでたし。
 三次会は例によって数寄屋橋のビッグエコー。総勢17人で午前2時ぐらいまで。歌う部屋と歌わない部屋に分かれたんですが、機嫌よく酔っ払った久美さんが歌わない部屋にやってきて、「え? いいんですか、わたしだけ歌って」とか言いながらいきなり工藤静香の『ブルー・ベルベット』を熱唱(笑)。
 あわてて歌う部屋に連行し、その後は久美沙織×野間美由紀の師弟対決に突入。そもそも野間さんがカラオケに燃えはじめたのは、昔々、白泉社の旅行で久美さんの歌う「天城越え」を聞いてショックを受け、負けてはいられないと必死に練習したのがきっかけだったという秘話(笑)が初披露されたり。わたしは数カ月ぶりのカラオケでやっと『天体観測』が歌えたので満足。
 歌わない部屋では、京極さんがひそかに坊主の歌を歌ったり、京極・牧野の新ユニットが結成されたりしていた模様。菅ちゃんの歌もはじめて聴きました。




【6月29日(金)〜30日(土)】


 21世紀最初の1年もあっという間に半分終了。連載はかなり減らしたのに全然翻訳が進まないのはなぜ。bk1の原稿もすっかり更新が止まっちゃってるし、日記の更新はとうとう月に2回になっちゃったし、いい加減なんとかしないと。でもどうするんだいったい。

 bk1から提携サイトの6月分売り上げ報告が到着。いきなりいつもの倍以上の売り上げ金額になってるんで、どうしたことかと思ったら、なんとイアン・ワトスン『オルガスマシン』(コアマガジン2800円)が当サイト経由で19冊も売れてたんでした。うちの店はじまって以来の売れ行き、みたいな。書店員の喜びがちょっとだけわかった気もするが、『オルガスマシン』がベストセラーになる書店はちょっといやかも(笑)。どこのどなたか存じませんが、お買い上げいただいたみなさま、ありがとうございました。
 ちなみに現在のbk1ポイントは、6カ月分の累計で15466ポイント。目標の10万ポイント(謝恩オフ開催予定金額)まであと少し。



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