【4月20日(金)】


『JSA』の13:00の試写に行くつもりだったのに起きたら1時過ぎなのであきらめて月刊アスキーのコラム原稿を書く。
 堺三保インタビューを終えた茅原友貴がやってきて大学SF研インタビュー。京大SF研時代の話だけだと思ったら、小中高のSF歴も根ほり葉ほり聞かれ、すっかり忘れていたことをいろいろと思い出してしまう。長じてネタに使ってない話は忘れますね。
 ふたりを連れて病院に寄り、ひみつの話いろいろ。高橋ま@MACLIFEが来たので、たこいきよしの私生活について根ほり葉ほり質問する。しかし日記にあそこまで赤裸々に書いてあるとなあ。だれとは言いませんが赤裸々に書かない人たちとはえらい違いである。




【4月21日(土)】


 病院に寄ってから、MYSCON2に参加すべく、南北線・東大前駅経由で本郷の鳳明館森川別館。受付をすませて部屋に入ったとたん、をを、この人がりえぞん団十郎ですか。意外とふつう。愛・蔵太とりえぞん2ショットを撮影しようと思ったのに、反対にオレが愛・蔵太と並んでいる写真を撮られてしまう。

 大広間企画の本の交換会が終わってから、旅館を2時間抜け出して高田馬場。ユタ・ねぎしで牧紀子・三村美衣とSF大会企画の打ち合わせ。ミステリ関連企画はほぼ決まり。あとはまだ流動的ですが、企画をお願いしているみなさんはくれぐれもよろしく。第二回をやろうかと思ってた最強決定戦は、準備が大変すぎるので今回は見送り。だいたい幕張で企画やったりしてる余裕がほんとにあるのか>自分。

 飯食ってからタクシーで本郷に戻り、なんでも鑑定団企画を見物。大森は、こないだ発掘された《リトル・ウィアード》のうちの3冊(川又千秋蔵書)と、その昔自分で買った山田章博同人誌『天空人賛揚』および山田さんが森脇真末味とかとやってた同人誌《ZOO》の6号、さらに『嗤う伊右衛門』和綴じ版2冊セット(表紙違い)を鑑定に出す。
 鑑定人は日下三蔵と彩古さん。日下三蔵は《リトル・ウィアード》も《ZOO》も知らないので論外。まあ若いからしょうがないね。
 彩古さんの《リトル・ウイアード》鑑定価格は1冊1万5000円。ダイジマン鑑定価格とぴったりでした。そのへんが相場らしい。恐ろしいことである。しかしそれよりずっと新しくて部数が十倍(限定200部)の天空人賛揚』も鑑定価格は同じ。どうせ同人誌を集めるならマンガ同人誌を買っておけばよかったのか。どこかにあるはずの《ODIN》や《ドガ》も発掘していきたい。ていうか、森むく作品掲載号ならミステリ市場で高値がつくのか?

 喫煙部屋では、酔っ払った浅暮三文氏の新作披露会が突発開催。これから某社に送る秘密のネタが秘密裏に何度も披露される。
「だからそれは××が×××なんでしょ」
「あ! なんであんさんが知ってるんや。おっかしいなあ。秘密にしてたのに。どこで聞いたん? まったく油断も隙もない。ひみつやゆうとるやんけ」
 というわけでひみつです。

 大広間ではじまった古本オークションと推理ゲームを途中で抜け出しタクシー帰宅。仕事の本をひたすら読む。




【4月22日(日)】


 明けがた寝たと思ったら、さいとう母とさいとう妹と姪二人が午前9時に来襲。来るなり掃除機をかけはじめる義母。さらにさいとう弟のクルマで、23日に計画出産の決まったさいとうよしこが一時帰宅。さいとう叔母と従姉妹とその娘までやってきてさいとう一族が大集合。眠くて死にそうなので寝室に引きこもり昼寝する亭主。キュートな幼女3人があられもない姿で無心に遊ぶ光景はある種の人々にとってはパラダイスかも。と思うが眠けには勝てない。というかなんでこんなに疲れてるんだろオレ。ゴールデンウィーク進行の原稿があと6本残っている事実にとつぜん気づいたせいかも。そのぶんさいとうよしこは元気。夕方起き出して病院まで送り、原稿を書こうとするが全然進まないのであきらめる。




【4月23日(月)】


 昼前に起きて病院に寄ってから、新橋TCCで鶴田法男監督『案山子』の試写。伊藤潤二原作の劇場映画7本め。『富江Re-birth』がダメだったんで期待してたけど、うーん、これじゃあなあ。とりあえずカーペンターが好きだということはよくわかるけど。カーペンターには、カーペンターが撮ったということ以外とくに取り柄のない映画が何本かありますが、それと似たような感じ。しかもカーペンターが撮ってるわけでもないという。まあ誉めてる人もいるので相性の問題かも。

 映画終了後、新橋のセレクトインきむらやでデジタルビデオカメラを購入。ビクターの新しいやつにしようかと思ったけど、黒のボディがいまいち気に入らないので、4万円安いキャノンのIXYデジタルに決定。袋を抱えて病院に戻り、高知からやってきたうちの母親を駅まで迎えにいってまた病院。
 4時から計画出産の第一段階処置。ラミナリア注入とかそういうやつ。とくに痛くもないらしい。
 デニーズで夕食。面会時間終了とともに母親を連れて帰宅。ちょっと原稿。夜中にさいとうから「スコシイタイ」のPメールとか。




【4月24日(火)】


 十時に起きて病院。うちの母とさいとう母と叔母が先着。さいとう妹も来る。ぼちぼち点滴とか開始。風船注入。胎児の心搏数と子宮の収縮度を測定するモニタを設置。折れ線グラフが描かれてゆくのがけっこう楽しい。予定日より三週間もはやいので、帝王切開確率30パーセントと宣告されてたのに、11時の診察で、「これは安産ですね」というご託宣がくだったらしい。やっぱり安産の家系なのか。
 しかし午前中の段階では、多少痛いとは言ってるもののぜんぜんふつう。まあはやくても夕方ぐらいまでかかるよね。せっかく宇都宮から来たんだから、終電までに生まれてくれるといいんだけど。ほんとに痛くなったらそんなもんじゃないよ、と姉を脅すさいとう妹。これから長丁場になるから今のうちにごはん食べてきたら、と母親たちを送り出したのがお昼ぐらい。
 義妹といっしょにのんびり「思いッきりテレビ」を眺めつつ、トンカツはやっぱり二度揚げかあ。とかゆってるうちに陣痛が一気に本格化。チャンネルを替えて「ちゅらさん」を見はじめたあたりでグラフの山が急角度で上昇しはじめる。あそこを押さえろ、ここを押せ、もっと強くと悲鳴をあげる妊婦。そんなに押したら赤ん坊の頭がつぶれるんじゃないのとか言いつつ、義妹と交替でぐいぐい押す。これは看護婦さん呼んだほうがいいかもねえ。とか言ってるうちに総裁選投票の生中継がスタート。やっぱり名前は純一郎でしょ。オレの父親の名前は怜一郎だし、顔もちょっと小泉に似てるから。でも小泉政権がいつまで持つかなあ。あ、小渕優子だ。やっぱり国会議員の中にいると目立つねえ。
 うなったり叫んだりしている妊婦をよそに雑談していると、ようやく看護婦が到着。妊婦とモニターにちらっと目をやるなり、「これはもう分娩室ですね。用意ができたらすぐに呼びにきますから」
 え、もう分娩室なの? さっき陣痛はじまったばっかりなのに。さいとう母・叔母を電話で呼び戻したところへ看護婦がもどってきて、さいとうよしこは分娩室に拉致される。出産立ち会い希望の大森はマスクと白衣を着けて廊下待機。
 10分ぐらいして分娩室に呼び込まれる。スタッフは臨戦態勢。そのへんに立っててくださいと指示された場所に立つ。「ちょっと失礼しますよ」とひと声かけて医者が分娩台の上にすばやく登り、中腰状態で妊婦の腹をぐいぐい押す。「はい、もうちょっと!」「いきんでください」「思いきりいきんで」(このへんで産婆役のもうひとりの医師がチョキンと会陰切開)「出てきた出てきた」「もうちょっと」「よし」
 というわけで、オレが中に入ってからわずか3分ぐらいで出産完了。誕生日時は4月23日午後1時45分。赤ん坊が出てきたあと、血の混じった羊水がどばっと子宮から吐き出されるスプラッタシーンが秀逸でした。なかなかナマでは見られません。
 出てきた瞬間はえらく静かだった赤ん坊は一拍おいて非常に不思議な産声をあげる。その声を確認してほっと息をつくさいとうよしこ。オレはいきなりマジックをわたされて、「足に名前を書いてください」。名前はまだ決まってないんですとか思わず言いそうになるがそういうことじゃないのに気づいて姓を書く(笑)。いやあ、こんなにはやく生まれちゃうとは思いませんでした。ビデオカメラ持ち込んでたのに全然撮るヒマもなく。ギリギリまで原稿に手をつけずだらだらしてるのにいざ書きはじめるとけっこう速いというさいとうよしこらしい出産である。いや、今回は締切過ぎてなかったんで、非常に優秀だったというべきでしょう。
 調子が悪いのでいったん家にもどっていたうちの母親なんか、病院に戻ってきたのは生まれたあとだったという。
 体重は3028グラム。あと三週間も胎内にいたら出てくるのがたいへんだったかも。
 新生児室に運ばれた赤ん坊をガラス越しにしばらく観察し、病室に戻る。ほっとくつろいでいる間にも携帯が鳴り、原稿の催促とか解説の依頼とか。ついでにあちこちに電話して出産報告。後産の処置とかを終えたさいとうよしこが戻ってきたのは30分後。さすがにちょっとぼうっとした感じだが全然元気。3キロもあるものを体の中から外に出してぴんぴんしてられるのは謎ですね。
 祝勝ムード一色の森派事務所――じゃなくて病室を抜け出し、デニーズでアルバトロス・フィルムK井くんに頼まれた「アメリカン・ナイトメア」のチラシ原稿を書いて送稿。

 病院に寄ってから(さいとうは尻が痛くて産後のほうがたいへんらしい)、母親と寿司を食って帰宅。いったん寝て夜中に起きて、アニメージュのコラム原稿。SIGHT対談用のゴダードを読んでまた寝る。




【4月25日(水)】


「チビ(仮称)がもう部屋に来てるよ」というさいとうの電話で昼過ぎに起床。近くのケーキ屋でデザート買って持っていくと、うちの弟@JUNE編集長が来てました(母親はとっくに起きて先に到着済み)。
 チビ(仮称)はやっぱり泣き声がへん。笑ってるようにしか聞こえない。頭がものすごく長い楕円形で、顔は下のほうに詰まっているので、造形的にはギーガーズ・エイリアン。福禄寿かキ・アディ・ムンディか、って感じですね。この頭なら足に名前を書かなくても一発で見わけがつくぞ。
 夕刻、三村美衣・堺三保がチビ見物に来訪。夜は太田出版のN木嬢の接待宴会に呼ばれてたんだけど見物客接待を優先し、エル・トリートで夕食。客を送ってから珈琲館で仕事。
 ちなみに明日からは母子同室で、退院は土曜日の予定です。

 帰宅後、アスキーネットJの原稿。今回は古本ネタなので、MYSCONの鑑定団&オークション話をからめつつ、さらに日下三蔵に電話取材して補強。SF方面は、白石朗からメールで、♪きむらかずし氏から掲示板経由で報告のあったPKD100冊セット(笑)。いくらなんでも強気すぎるお値段。古書相場だと、KashibaさんがMYSCON2に出した横溝スターターセット(冊数×100円の最低価格で落札)のほうが高かったりして(笑)。
 午前4時半からNHK BSでスペイン戦。ロスタイム5分は長すぎると思ったよ。しかしなあ。問題はディフェンスがボールとったあとでしょう。もうちょっとキープしないと攻められてばっかり。しかし前半の川口くんはずいぶん当たってましたね。

 試合が終わってから、あ・た・ま(我孫子・田中・牧野)の『三人のゴーストハンター』書評for小説すばるを仕上げて送る。月曜に書く予定だったのにすっかり難航しちゃったぜ。これであと2本書けば週末が迎えられるのか。



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