【3月1日(木)】


「ハンニバル」試写@新宿ミラノ座。さすがにたいへんな混雑。みんなそんなにブタが好きですか。
 しかし映画は結局リドリー・スコット。原作ほど気が狂った感じはなくて、わりとふつう。いや、原作読んでなきゃ、これでもじゅうぶん異常に見えるのかもしれないが。
 アタマの銃撃戦シーンはよくできてました。「プライベート・ライアン」みたい。いちばん納得できないのは、フォーションのランチボックスがディーン&デルカに変更されていること。なぜディーン&デルカ? あれってニューヨークの店じゃないの。と思って調べたら、ワシントンDCにも支店があるのだった。しかしなあ。この変更が象徴するように、映画は全体にアメリカナイズされてる感じ。オレのレクター博士は「オーキー・ドーキー」なんて下品な言葉は使いません。
 ジュリアン・ムーアは意外といい。レイ・リオッタはラストで評価が急上昇。あのシーンがあんなに似合う役者はほかにいない。ジャン・カルロ・ジャンニーニはかっこよすぎでしょう。

 終了後、集英社C塚嬢、中原昌也とお茶。「『レッド・ドラゴン』も『羊たち』もどうでもいいけど、『ハンニバル』は最高」派の中原くんは映画の出来に激しく不満らしい。つまり、原作に思い入れのない人が誉める映画なのか。しかし中原昌也はオレより物忘れがひどい。まだ若いのに。編集者の名前が覚えられないのはオレだけじゃないことを知ってちょっと安心する。なんか《新潮》に200枚の新作を書いたそうです。すごいなあ。三島賞候補決定か? でも芥川賞とらないと売れないんだよな。

 VoiceATOK14が到着したので、ViaVoiceからインストール。音声認識のデータをとるためにサンプルのテキストを読み上げるんですが、これがけっこう笑える。ひとり朗読コンテストっていうか、噛まずに読むゲームみたいな。全部やると1時間以上かかるので、とりあえず15分。それでも、そのへんの新聞とかを朗読する分にはかなり認識率が高い。
 しかし、ふつうの会話とかになるととたんに認識率ががくんと落ちるんで、やっぱり対談やインタビューのテープ起こしには使えそうもない。講演会ならだいじょうぶかも。
 VoiceTREKで録音したDSSのデータを読ませる実験もしてみたが、なぜかDSSファイルを認識せず。というか、.wavファイルなら大丈夫なのに、.dssファイルを選択するボタンがアクティブにならないのはなぜ。やっぱりVoiceTREKの接続キット買わなきゃダメなのか。




【3月2日(金)】


 東京會舘で徳間三賞授賞パーティ。大藪春彦賞を『スリー・アゲーツ』で授賞した五條瑛はひどい風邪を引いてるとかでずいぶんボルテージが低めだったんだけど、それでようやく常人並みな感じ。
『オーラバスター・インテグラル』近日発売予定の若木未生さんとひさしぶりに対面。ていうか、まともに話をするのはほとんど初めてかも。さらに『炎の蜃気楼』の桑原水菜さんを紹介される。コバルト出身の人はデビューがはやいので、巨匠になってもみんな若くて驚きますね。
 霜越かほる、久保田弥代の両氏とも初対面。デュアル文庫が積極的にティーンズ文庫系の作家に声をかけているせいか、けっこういろんな人が来てておもしろい。

 終了後は東京會舘ティールームでお茶。そのあと、五條さんの二次会@銀座ワインハウスに流れる。集英社の仕切りなので、田中哲弥とか田中啓文とか我孫子武丸とか牧野修とか東雅夫とか倉阪鬼一郎とか、よく見る人たちが会場の隅の一画にかたまってるんだけど、そこだけ思いきり浮いてました。あれはなんだったんだろう。
 藤木稟、石田衣良両氏とは初対面。藤木さんはもともとSFファンで、SFが書きたかったのに企画が通らなくて《朱雀》のシリーズを書くことになったとか。5月に講談社から出る新作は『イツロベ』の姉妹編で、さらにSFらしい。『イツロベ』は途中まで傑作だったのに、わりとあたりまえなところに着地しちゃったのが不満。新作には期待したい。
 石田さんも今度徳間で書くやつはクローンネタのSFだそうです。

 三次会はいつものホラーな人たちといつものDAM。田中啓文は明日の結婚パーティでサックスを吹く予定だそうで、家から持ってくるのはめんどくさいとガイナックス武田さんからアルトサックスを借りて、カラオケボックスでその練習。サックスが鳴るような曲を入れると、田中啓文がオカズを入れてくれるので、チェッカーズとかどんどん歌う。なんかべつの曲になってしまうような気も。




【3月3日(土)】


 神代創の結婚パーティ@白金。南北線の白金台からもけっこう遠いので、広尾からタクシーで会場入り。ニフ結婚なのでニフ者の山。15年振りぐらいに会うようなFSFの古い人たちもけっこういました。しかしすでにノリについていけなくなっているのだった。
 田中啓文のサックス演奏は、さわりだけVoiceTrekで録音。DSSファイルのままなんで、田中啓文の名演奏を聞きたい人はフリーのDSSプレーヤー・ライトをいっしょにダウンロードしてください。

 終了後、ぞろぞろ歩いて恵比寿ガーデンプレイス。オープンカフェでお茶飲んでから、ビアホーフ麦酒館で食事。さらにぞろぞろと歩いて山手線に乗り、馬場で降りてユタに流れる。そのあいだずっとアルトサックスを持ち歩いていた人がいたことは言うまでもない。




【3月4日(日)】


 26日から30日まで自宅にリフォーム工事が入ることが決定。和室とリビングルームの間仕切り壁をとっぱらい、大きな一部屋にして床をフローリングに変えるのと、壁紙・天井紙の総張り替え。工事の間は、仕事場(というか、事実上は書庫)のマンションで暮らすことになる。
 そのために、自宅の和室とリビングに積み上がっている本とか雑誌とかビデオの山をかたづけなきゃいけないんですが、いやもうこれがたいへんでたいへんで死にそう。
 駅前の本屋からトーハンの段ボール箱をプレゼントしてもらい、仕事場に移動させる本と自宅に置いておく本と捨てる本と売る本を分類して、どんどん詰めていくだけなんだけど。どうしてこんなせまいスペースにこんなに大量の本・雑誌が詰まっているのか。
 すでに1トンぐらいものを捨てたのに全然減らない。

 資源ゴミ回収の日の朝、ヒモで縛った大量の古雑誌の山をマンションのゴミ置き場に持ってくと、廃品回収業のおっちゃんが軽トラで乗りつけて運んでいく現場に遭遇。
「部屋の前に出しといてくれたら持ってきますよ」と言うので携帯の番号を教えてもらう。マンションのゴミ置き場はウチの部屋と反対側で、何往復もするのはけっこう疲れるから、これはラッキー。
 十年分の月刊アスキーとか噂の真相とか、創刊当時のインターネットマガジンとか、小説NONとか文藝ポストとか問題小説とか、たまりにたまったやつをまとめて持っていってもらう。
 捨てにくい雑誌(『活人』とか『よいこの歌謡曲』とか『CAPE-X』とか)も山のようにあって、どうするか思案中。杉並北尾堂を呼ぶか。

 仕事場に運ぶ段ボールその他の移動は便利屋の《ベンリー》を呼ぶ。パソコンデスクも分解して移動。十年ぶりに和室の畳が見える状態に復帰。しかし、道はまだまだ遠いのだった。終わるのか、25日までに。




【3月5日(月)〜7日(水)】


 bk1から提携サイト宛てのメール。
 2月中に当サイト経由でbk1から購入された本は70冊、金額合計は税抜き65,520円。1,965ポイントを獲得しました。累計で3,309ポイント。
 とりあえず、『貼雑年譜』を買った人はいなかったらしい(笑)。

『ブレアウィッチ ラスティン・パーの告白』に続いて、『ブレアウィッチ2 暗黒の書』の見本も届く。こっちは『完全調書』の続編風。前作以上にデザイナーが凝りまくり、日本語手書き文字満載の異常な本に仕上がってます。翻訳はあんまり遊んでないけど。BWPおたくな人はよろしく。

 仕事は『サイトでーた』のコラム原稿、『メンズ・エクストラ』の映画評、貫井徳郎『誘拐症候群』(双葉文庫)の解説、SFマガジンの鶴巻和哉インタビュー原稿など。本の箱詰め作業がずっと続いているのでなかなかまとまった時間がとれなくて本が読めない。




【3月8日(木)】


 日本推理作家協会賞予選会@協会事務局。曲がるところを間違えて道に迷う。
 前回で絞られた候補30冊ぐらいから、各メンバーが候補にしたいと思うものに投票するんだけど、みごとにバラバラ。本命不在の討議に突入する。オレが推したものはほかに一票も入ってないやつがほとんどだったので、さっさと作戦を転換し、現実路線を選択。

 短編部門の予選は大げんかした人がいたらしい(笑)。評論その他の部門の候補作にはちょっと茫然。まあ予選委員の顔ぶれからすれば当然の結果とも言えますが。

 終了後、池林房で宴会。座敷でずっと座ってると背中が痛いので途中帰宅。





【3月9日(金)〜10日(土)】


 日本ホラー小説大賞の受賞作が決定。
 大賞は伊島りすと『ジュリエット』、長編賞は桐生祐狩「妙薬」、短編賞は吉永達彦「古川」。非常に順当な結果ですね。というか、予想通り、日本ホラー小説大賞はスーパーナチュラル系本格ホラーの賞になっていく感じ。ホラーサスペンス大賞がミステリ寄りで、ENIXホラーエンターテインメントが伝奇/ファンタジー寄りとか。

 IE5.0のキャッシュは、どうやらトータルで約600メガバイトを超えると新たなキャッシュをつくらなくなるらしい。しかたないのでi.j IE5 Web Rebuilder でローカルに保存してからキャッシュをクリアする。googleができた今、ADSL環境だとキャッシュをとっておく意味はほとんどないんだけど、原稿を書くのは常時接続じゃない環境だからなあ。無線LANの距離が半径300メートルぐらいまでのびればほぼ完璧なんだけど。
 しかし、iije5でローカルに再構築したフォルダのサイズはなんかたいへんなことになってますね。ファイル数131,891(笑)。実サイズでトータル1.10ギガ、1.9ギガバイトのディスクスペースを専有してます。前にキャッシュコンバーター使ってたときの再構築フォルダが500メガぐらいあるから、12ギガのHDのうち5分の1はウェブのデータ。ローカルでgoogleを運営してみたい。

 マイクル・コーディの『クライム・ゼロ』(内田昌之訳/徳間書店)が届く。推薦文を書けと言われて書いたんですが、本の帯を見るといきなり誤植。
「バイスリラーの遺伝子が謀略小説とスリルを接合する」って……。「謀略小説とスリル」はくっついてるのがあたりまえじゃん!
 大森が送った原稿は、
「バイオスリラーの遺伝子が謀略小説のスリルと接合する」
 接合って、一般用語だと他動詞として使われるケースが多いけど、生物学用語だと自動詞でしょ。なまじ意味が通るだけに、まぬけなことを書いてるなあと思われて恥さらしな感じ。素直に「融合」にすれば間違えられずにすんだかもなあ。
 しかしこの手の推薦文はゲラが送られてこないのでチェックのしようもないのだった。こういう目立つところでまちがえないで頂きたい。珍しく締切守ったのにこれかい。せっかく五條瑛と並んでるのに(笑)


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