オンライン書店bk1との提携力強化中。

【bk1のurl攻略法】

 たとえば、bk1で注文できるSFの新刊100冊を例にとります。これをクリックすると、ブラウザのアドレス欄に、http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_result_book.cgi/?idx=2&st=ds%2Czc&dp=100&pby=20000101&pbrg=1&aid=p-ohmori0036&gu=01010800みたいなやたら長いurlが出るはず。

 aid=p-ohmori0036ってのは、提携サイトの識別ナンバーで、urlとは直接関係ありません。srch_result_book.cgi/のあとに、396a0e9c5c7fa0102xxxみたいな文字列がくっついてると思いますが、これはbk1の顧客識別ナンバーなので、やはりurlには関係なし(なので、bk1のファイルにダイレクトリンクを張るときは、この部分は削除してあげたほうが親切)。
「dp=100」が検索結果の表示件数(dp=25とすれば25件表示に変わる)。最大は100件。
「pby=20000101」は「2000年1月1日以降出版」の意味。pby=20010101とすれば、今年1月以降に出た本だけが表示されます。
 urlの最後のgu-01010800ってとこがジャンル指定。
 上位カテゴリーの「文芸・小説」はgu-01010000で、これが「文芸」gu-01010100、「ミステリ」gu-01010600、「ホラー」gu-01010700、「SF」gu-01010800に分類されるので、違うジャンルを同じ条件で検索するときは、urlの最後の3ケタを変更すればOK
 これはジャンル間で平台(トップページ)を移動するときも有効で、たとえばSF棚のトップを見てから、ミステリ棚のトップに移るときは、いちいち上位カテゴリに戻らなくても、url末尾の800を600に(ホラーに移るときは700に)変えればOKです。でもトップより下のディレクトリ構成は棚ごとに違うので、ミステリの新刊書評からSFの新刊書評に同じ方法で飛ぶことはできません。

 連載コラムに関しては、連載の回数と関係なく、ページごとにファイルが分割されています。たとえば、「大森望のSFハイパーリンク」だと、いちばん新しい第五回(ギブスン・インタビュー落ち穂拾い)の1ページめのurlは最後が
 tpl=dir/01/01010800_0020_0000000024.tpl
となってます。01010800はSF棚であることを示し、次の0020が連載識別番号、最後の0000000024がファイル番号です。ページごとにファイルが分かれてるので、連載は5回目だけど24個ファイルがあるわけですね。じゃあ次のページは0000000025かと思うとそうじゃなくて、なんと0000000023(笑)。連載各回の最後のページから逆順で番号を振ってゆく仕様らしい。どうもbk1のコラムはバックナンバーが参照しにくいと思ってたんだけど、こういう秘密があったとは。

 というわけで、bk1SF棚の自分の連載分だけバックナンバー目次をつくってみました。

第1回 ややエッセイ風新刊ガイド :ディック『シビュラの目』、ベア『斜線都市』、小松左京『虚無回廊III』、岩本隆雄『星虫』など
第一回のオマケ 山尾悠子様の思い出を語る(主に自慢): 『山尾悠子作品集成』
第2回 「女のSF」を信用しない男/野尻抱介書評インタビュー ゲスト:野尻抱介
 『銀河博物誌 ピニェルの振り子』著者インタビューを中心に、伊吹秀明『出撃っ! 猫耳戦車隊』、菅浩江『永遠の森』、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』など。

第3回 最近のティーンズノベルはどうなっているのか ゲスト:三村美衣
 新創刊の徳間デュアル文庫とハルキ文庫《新世紀SF》のラインナップについて
第4回 河出文庫『20世紀SF』全六巻の舞台裏 ゲスト:中村融、山岸真
第4回のオマケ bk1でいま注文できる英米SF(およびその周辺作品)アンソロジー適当リスト
第5回 ウィリアム・ギブスン・インタビュー落ち穂拾い: 捨てるにはちょっともったいないネタをサルベージ




【1月20日(土)】


 早川書房で『SFが読みたい!2001年版』用の鏡明・山田正紀対談。お題は90年代SFベスト。鏡さんと山田さんが会うのはなんと十数年ぶりとか。
 山田さんは最近やたらに対談・インタビュー・座談会づいてますが、病気で死にかけたのでもう怖いものはなにもない。なんでもしゃべるぞ――という心構えらしい。
「死んだと思えばなに言ってもいいよな」と鏡さん。「まあ靴ひもも結べないやつが言うことだけどさ」
 化石のような対談だと本人たちは言ってましたが、ここまで来ると伝統芸能の世界。若い人には注がないとわからないでしょう。(注:かつて山田正紀には「自分で靴ひもが結べない」という伝説があった)
山田「そんなのは都市伝説ですよ。靴ひもぐらい俺だってちゃんと結べるんだから
鏡「それを自慢するところが情けないよな。しかし山田正紀は安全ピン留められないだろ。こいつさあ、安全ピンを服に留めてくれって言われて、針のところをはずさないで、こっち側のまるいところをぐりぐりセーターに押しつけてたんだぜ。あれは驚いたよ」
大森「…………」

 というわけで、「山田正紀は靴ひもが結べない」は都市伝説で、「山田正紀は安全ピンが留められない」が事実らしい。
 対談はほとんど鏡明相談室。山田正紀が鏡明に作家生活の悩みをあれこれ相談するとたちどころに鏡明が回答する。大森は、その回答を、山田さんに理解できるように翻訳する係。
山「なんでそんなに鏡明の言うことがわかるの」
大「だってわかりやすいじゃないですか」
鏡「うーん、大森望がいるとべんりだな。説明の手間が省ける」
山「そうか、大森望は鏡明のシャドウなんだ」
 オレはビーンですか。うれしいような哀しいような……。

 個人的にはめちゃめちゃ面白かったんですが、面白くまとまるかどうかは不明。SFオモロ大放談ならよかったんだけどなあ。そういう企画じゃないからなあ。

 終了後、この世のものとは思えないほど忙しい鏡さんは明日からまた中国へ行くってことでとっとと帰宅。大雪のなか、塩澤編集長、山田さんと三人で三州屋へ。山田さんは猫の世話のために軽井沢に帰らなきゃいけなかったらしいんだけど、この雪ですっかり気力が萎えた模様。ずっと猫のことを気にしているのがめちゃくちゃおかしい。
大「うちの猫は四泊までなら留守しても平気ですよ。放っといても勝手にやってますから」
山「そうだよなあ、大丈夫だよなあ。暖房はちゃんとつけてきたんだよ。風呂のお湯も細く流しっぱなしにしてるから凍結の心配はないし。そうだよなあ、明日の朝はやく帰ればだいじょうぶだよなあ。一泊だけだし。この雪のなか軽井沢まで帰ると体がおかしくなりそうだし。でも大丈夫かなあ。猫がなあ」
 とかひとりでずっとぶつぶつ言い続ける山田正紀。
大「奥さんと娘さんは横浜の家にいるんですよね」
山「そうなんだけどね、猫を軽井沢に二匹、横浜に二匹置いてるから、軽井沢の猫は俺が世話することになってるんだよ。ほら、娘は学校があるし、奥さんはいろいろ忙しいから、結局いちばんヒマなのは俺で……」
「奥さんはどうして忙しいんですか?」
「習い事とか、近所のつきあいとか、いろいろね」
「……」
 さらに三州屋から自宅に電話し、軽井沢に行かなくてもいいか奥さんにお伺いをたてる山田正紀。多忙な奥様はまだ帰宅しておらず、「じゃあね、ママが帰ってきたらこの携帯に電話するように言って」と大森の携帯の番号を伝言するパパ。2時間ほどさんざん飲み食いしたあと、ようやく電話が鳴る。山田さんの第一声は、
「いやあ、軽井沢に帰ろうと思ってたんだけど、対談の仕事がすっかり長引いちゃって。それにこの大雪だろ。いや、うん、電車が止まってるわけじゃないんだよ。でもね、駅から歩くのがたいへんでしょう。ほら、この雪だし。寒いし。うん。うん。でも大丈夫だと思うんだ。暖房はちゃんとつけてきたんだよ。風呂のお湯も細く流しっぱなしにしてるから凍結の心配はないし。明日の朝いちばんで帰ることにしようと思って……」
 大森と塩澤は笑いをこえらるのに必死。しかしオレはいいけど、編集者という立場上、塩澤くんが爆笑するのはいくらなんでもまずいのではないだろうか。

 とかこういう話を書くから、山田正紀神話が崩れると文句を言われるのか。まあでも対談のときは、「なにを書いても誉められるのはなにも言われないのといっしょ」とか愚痴ってたので、このぐらい書いておけば山田さんも安心。

 でもちなみに鏡さんはいまだに原稿手書きで、ウェブも会社で業務関連のサイト見てるだけらしいので、電脳化は山田正紀のほうが進んでます。

【bk1で注文できる山田正紀の著作一覧】
 84点もありますが、うち15点はアンソロジー。読書ガイド的に言うと、SF長編ではまず『神狩り』『弥勒戦争』『流氷民族』の神様三部作を読み、それから『宝石泥棒』二部作、『竜の眠る浜辺』で休憩してから、90年代ベストワンの傑作『エイダ』かな。連作短編集の『超・博物誌』もいいっす。
 冒険小説系で一番のおすすめは『火神を盗め』。『謀殺のチェス・ゲーム』はもちろん、有栖川有栖氏推薦の『謀殺の弾丸特急』とか、『虎口からの脱出』の元ネタとも言われる『崑崙遊撃隊』とか。本格系では『人喰いの時代』『ブラックスワン』から、《女囮捜査官》五部作に幻冬舎の『妖鳥』『螺旋』、それから講談社ノベルスかな。『阿弥陀』もけっこう好き(でも続編の『仮面』はバツ)。ハードボイルドの『氷雨』も悪くない。




【1月21日(日)〜23日(火)】


 初稿をつくったまま中断していたD・A・スターン『ブレアウィッチ2 暗黒の書』(発行:アーティストハウス/発売:角川書店)の直しをやっと終わらせて入稿。
 そう言えば、サンフランシスコから帰ってきてすぐ『ブレア2』の試写を見た話を書くのを忘れてました。
 シリーズ第二作の『ブレアウィッチ2』は、前作が大ヒットした現実をそのまま作中にとりこみ、メタフィクション的な構成を採用(前作は中黒つきの「ブレア・ウィッチ」ですが、今回から「ブレアウィッチ」に変わっているので注意が必要)。
 メリーランド州の田舎町バーキッツヴィルは、「ブレアウィッチの故郷」として、全米で大人気の観光名所に早変わり。地元の若者はさっそくショップを開店、そのへんに落ちてる枯れ枝でつくったスティックマン人形だの、ブラック・ヒルズ・フォレストの小石だのを土産物として売り出し、オンライン通販でも大々的に売りさばく。さらに、やってくる観光客相手にはじめた新商売が、映画に出てくる名所を回る観光ツアー、《ブレアウィッチ・ハント》。
 このへんの仕掛けは面白いんだけど、超常現象が起こりはじめてからは、ホラー映画としてはどうよ。という展開。監督のジョー・バーリンジャーはドキュメンタリー出身なんで、ホラー映画には致命的に向いてない感じ。その意味では、あいかわらずフェイクドキュメントに徹している書籍版(『ラスティン・パーの告白』は小説仕立てですが、『暗黒の書』は『完全調書』の続編なので資料集)のほうが面白い。
 BWP関連本はヤングアダルト版『Xファイル』みたいな『ブレアウィッチ・ファイルズ』シリーズ(『グース・バンプス』系)とか(角川ホラー文庫近刊予定)、アメリカでは山ほど出てるんですが、すでに映画は関係ない世界に行っちゃってる気が。

 原稿はひさしぶりにアニメージュのコラムとか、《週刊小説》の岩井志麻子インタビューとか、『この映画がすごい』のアンケートとか。

 ブルース・スターリング『タクラマカン』は、「小川隆・大森望訳」となってますが、大森訳は一本だけ。それも『ラッカー奇想博覧会』に入ってるラッカー/スターリング合作の「クラゲが飛んだ日」で、これはどう見てもラッカーの短編だから、スターリング短編集的には非常に場違い。『ラッカー奇想博覧会』が品切でなきゃ、邦訳版からカットされてしかるべきなんだけど、まあわたしが文句を言う筋合いじゃないので。
 この短編集のキモは、後半のチャタヌーガ三部作。「ディープ・エディ」がいちばんスターリングらしいけど、ふつうに読んでいちばん面白いのは「自転車修理人」かな。これは笑えます。表題作もすごいけど。
 ベストSFアンケートの区切りでは、『祈りの海』も2001年度に入っちゃうから、来年はこの二大短編集が激突するわけですね。最近の情勢では『祈りの海』のほうが有利か。「聖なる牛」は世にも珍しいインド映画ネタのSFなので、その筋の人は必読。




【1月24日(水)】


 ティールームで太田出版の人と謎の打ち合わせをしてから日本推理作家協会新年会@飯田橋ホテル・エドモント。なんか田中啓文が何度も行ったり来たりしていたのはなんだったんだろう。黒田研二氏とは初対面。とてもあんな小説を書く人には思えない(笑)。

 終了後、近くの喫茶店でお茶飲んでから飯田橋カーニバル。わりと珍しい歌を聴いたような気がするが思い出せない。倉阪さんがいない隙に「箱根八里の半次郎」を歌おうとして玉砕する。一回しか聞いてない歌は歌えません。やだねったらやだね。




【1月25日(木)】


 ENIXエンターテインメントホラー大賞の最終候補作決定会議@ENIX。雨の中、新宿西口公園を突っ切ってENIX。三村美衣大遅刻。結果はわりと順当。ホラー系の賞が三つもできちゃったので、角川はスーパーナチュラル系、新潮社/幻冬舎はサスペンス系、ENIXはヤングアダルト系――みたいな棲み分けになるのかも。

 終了後、SFなメンツでお茶。世田谷の一家惨殺事件とか、月森聖巳日記の壮絶な内容についてとか。野口幸夫氏は独身者になったらしい。




【1月26日(金)】


 早川書房で新SFインターセクションの田中啓文インタビュー。というか、田中啓文のインタビューはいかにあるべきかという話を2時間ほど。必死に考えてネタを振ったギャグより天然ボケの部分でウケてしまうキャラクター性はいかがなものか。
 ところでガイナックスの新年会話に書くのを忘れてましたが、あの夜の二次会で集まった人々が居酒屋で、「えーと、チキチキマシンの二番て、ヒュードロクーペとドラチビとあとひとつなんやったけ」みたいな話がはじまって、強烈な既視感に襲われたオレ。こ、この状況はたしかどこかでつい最近……。
 と考えて思い出したのが、田中啓文がe-NOVELSに連載しているあいうえ音座録の「ろ」の回の前フリ(この回だったことは本人に確認してやっと判明しました。だって「ろ」とは全然関係ないんだもん)。
 田中啓文はガイナックスのサイトでもエッセイを連載しているというのに、ガイナックスの人はだれも読んでなかったらしく(武田さんも読んでない)、しかたなく大森が内容を説明。その場ではてんちょさんがずっと居眠りしてたんですが、どうしても誰も思い出せないネタがあるとつついててんちょさんを起こす。するとかっと目を開いて、「それはちょいと出ましたチンパン探偵」とかなんとか一言つぶやき、また寝てしまうんですな。
 というわけで、佐藤裕紀氏がウェイトレスのおねえちゃんに決定。いやな店かも。
 田中啓文によるとあれは捨てネタだったそうですが、あの場ではえらいウケてました。





【1月27日(土)】


 森山日記経由、bk1で検索した久保書店SFノベルズのリスト。ベイリー『時間帝国の崩壊』のみ品切れ。『時間の崩壊』っていうのはデータ入力ミスでしょう。このシリーズはオレも揃えてないので内容はよくわかりません。単独長篇かと思うと別の人の中編と抱き合わせだったりするので注意。このシリーズが唯一の現存する邦訳書、という作家がたくさんいることである。
 なお、QTブックスのほうも在庫有り。bk1で注文できるQTブックス一覧からどうぞ。内容は溝口哲郎「素晴らしい新世界 〜或いはSFと戯れる日々〜 第3回 」参照。

 bk1では、《小松左京の本を読もう》フェアもやってるけど、多少の内容説明が必要では。
 初めて読む人は、『果しなき流れの果に』『日本アパッチ族』『復活の日』あたりをまず消化してから(『継ぐのは誰か?』は去年読み返したらけっこう古びてたのであまり進めません)、日下三蔵編のハルキ文庫短編選集に進むといいでしょう。税込み千円本シリーズ。『夜が明けたら』がホラー系、『くだんのはは』『高砂幻戯』が《女》シリーズを含む和物中心。本格SF志向の人は、宇宙物の『結晶星団』と、初期代表作中心の『時の顔』を(ここに「骨」が入ってるのはちょっと違う気が)。人類とか神とか宇宙とかにいまいち興味が持てない人は『物体O』かな。再編集物じゃない短編集としては、『ゴルディアスの結び目』が傑作。
 小説以外では、高千穂さんが「とにかく『教養』を宣伝しなさい。あれが売れないと次が出せないんだよ」と言ってたので宣伝します。小松さんがどんどん喋ってる本です。すいませんまだちゃんと読んでません。


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