【1月1日(月)】


 あけましておめでとうございます。
 SF少年だった小学生時代は、2001年1月1日の自分がいったいどこでなにをしてるんだろうとさんざん想像してたもんですが、コンピュータ使って世界的なネットワーク上で日記を書いてるってのは多少未来的かも。しかしまさかこんな大人になっているとはなあ。21世紀も平常心がたいせつだ。

 大晦日は伊丹経由で午後7時高知空港着。タクシーで実家に帰って紅白歌合戦。21世紀気分が盛り上がらない最大の要因かも>紅白。小林幸子も銀色のDIVOスーツとかで出たらどうですか。
 で、紅白が終わると「ゆく年くる年」。カウントダウンがないので気がついたら21世紀でした。だめすぎる。まだ年越し蕎麦が食べ終わってないのに。

 年が明けたら初詣に行こうかと思ってたんだけどあまりにも眠いので寝てしまい、午前10時起床。おせち料理をつまんで、お昼過ぎから潮江天満宮に初詣。なんか凄い人出で、参拝するまでに30分ぐらい並びました。いつもは夜中にしかいかないのでよくわからない。
 屋台で買った椎の実とかをつまみながらぶらぶら歩いて帯屋町。東宝で『ゴジラ対メガギラス』。最近のゴジラ映画の中ではよくできてるほうですね。冒頭、爆笑できるだけでもOK。しかしゴジラともあろうものがG3の舞台でG2やるのは情けないぞ。

 ワシントンホテルで西澤夫妻と合流し、《三十三間堂》でフグづくしコース。2001年1月1日は河豚を食べた元日として記憶されることになる(笑)。4人で2人前とったんですが、もうそれだけで満腹な感じ。

 食後は追手筋の怪しいカラオケボックス。雑居ビルの一階にある不動産屋の事務所みたいなところが受付で、鍵を渡されてとなりのビルへ。お正月のせいか、ほとんど廃ビルのような状態。寒い部屋は壁一面に落書きの山。追手前とか土佐女子の生徒が書き殴っているのか。しかしシステムはなぜかMAC21なので侮れない。飲食物は持ち込みOKで、一階の自動販売機利用。しかしビールがなかったので、2時間歌ったところでビッグエコーに移動してもう1時間。




【1月2日(火)】


 一軒だけ開いてた近所の喫茶店でモーニングを食べつつ年賀状書き。
 昼食は両親と新阪急ホテルのル・シエル。そのままタクシーで空港に直行し、夕方帰宅。




【1月3日(水)】


 新装オープンした南砂町のトピレックプラザに出かけてジャスコで買い物とか。喫茶店で新年最初の原稿を書き、たなべ書店を覗き、バーミヤンで食事して帰宅。日韓合同チーム×世界選抜のサッカー試合を眺めつつ荷造り。




【1月4日(木)】


 午後1時半、箱崎CATで《Title》編集部のK藤氏と落ち合い、リムジンで成田。箱崎はがらがらだったし、道も空いてて快適。成田も意外と混んでない。
 飛行機は直行便がとれなくてシアトル経由のユナイテッド。飛行時間は7時間40分。ロイス・マクマスター・ビジョルドの『バラヤー内乱』を読み、ウェブ上に山ほどあるギブスン・インタビューをチェックしてたらもう到着。機内食のミートローフはまずまずでした。多少改善されたのか?
 シアトル‐バンクーバー間は30人乗りのプロペラ機。通路の左右は一人席と二人席で、それが十列。今まで乗った中でいちばんちっちゃな飛行機かもしれない。コックピットのドアが開けっ放しで、スチュワーデスと機長が雑談してたりするので中が丸見えでちょっとお得。飛行機おたくならもっとお得だったのに。

 正午過ぎ、ようやくホテルにチェックイン。直行なら9時には着いてるよ。ホテルはダウンタウンと反対方向のリッチモンドにあるエアポート・ヒルトン。設備・サービスは並みですが、部屋はめちゃめちゃ広くて快適。ベッドは横幅のほうが広く、枕が三つ(笑)。
 日本時間では午前5時なので強烈に眠いが、初めてカナダに来て、貴重な一日を寝て過ごすわけにもいかない。ひとりでタクシーに乗りダウンタウンに出撃する。
 着いたときには小雨模様が本降りに。日本で言うと春の雨みたいな感じで異様にあたたかい。山ほど防寒具持ってきたのにぜんぶムダですか。とりあえず、ロブスン通り近くの開店寿司屋でBCロールを食べる。鮭の皮を焼いたやつが巻いてあります。全体に巻物の種類が異様に多く、なにがなにやらよくわかりません。見た目はサーモンみたいな赤マグロ(Hawaiian Tuna)がけっこうイケる。

 雨がどんどんひどくなるので巨大ショッピングモールのパシフィックセンターに避難。バンクーバーは一般的に店が広くて客が少ないので買い物には快適。町としてはサンフランシスコをゆったりさせたような感じでしょうか。モールの品揃えはわりと若向き。30代ぐらいに買いやすいラインが揃ってます。カナダ初のブランドも多数。わたしはついこないだまでClub Monacoがカナダのブランドだとは知りませんでした。
 シアトルがすぐ近くにあるせいか、カフェはスターバックスの天下。ダウンタウンはほとんど一ブロックに一軒スターバックス。どうせバンクーバーもあらゆる公共の場所が禁煙なのでスターバックスでも安心さ。
 町の看板やアナウンスはいたるところ、英語以外に日本語・中国語・フランス語が。日本人にはめちゃめちゃ住みやすそうな町で、山田正紀氏が住んでたのも納得できますね。観光客も日本人多数。これで雨さえ降らなきゃなあ。

 4時間巡回し、基本のお土産を買ってからタクシーでホテルに戻る。
6時から、カメラマンのサワベ氏、編集部のK藤氏と三人で打ち合わせを兼ねた食事。雨なのでホテルのレストラン。注文はやっぱりサーモン。




【1月5日(金)】


 午前4時に目が覚め、寝床で読書。ホテルのそばを散歩して、インターネットカフェで朝食と仕事。
 午後1時15分、タクシーでギブスン邸へ。閑静な住宅街に建つ一軒家。
 ギブスンと会うのは十年ぶりぐらい? 向こうはとっくに忘れてるだろうと思ったのに、一応覚えていてくれた模様。初めて話をしたのはたしかアトランタ行きの飛行機の中だったような(1986年のワールドコン、コンフェデレーション)。その翌年のブライトン(コンスピラシー)と、翌々年のペントハウス・ジャパン主催ギブスン東京公演でも会ってて、その次の来日の時はどうしたんだっけか。今は亡き新潮社の『03』のためにショートストーリーを頼んだり(Virtual Kyoto)、資生堂だかの『気の本』って企画で、「気」についてのエッセイを書いてもらったりしたこともありました。
 結局、日本でサイバーパンクが流行したのはちょうどバブルの時代だったわけで、デッドテックな光景とか廃墟の美学とかは、グランドデザインのない開発や地上げ、スクラップ&ビルドの思想に対して、結果的にある種の免罪符を与えた側面もあったような。
 ギブスンがSFマガジンのサイバーパンク特集に寄せたメッセージで、「きみたちは未来に生きている」と書いたのもこの頃。戦後はじめて日本人が自信過剰になりかけてた時代とぴったりマッチして、『ニューロマンサー』のチバ・シティが出現したと。
 しかしギブスンは義理堅いというか何というか、いまだに強く日本贔屓なので、なんだか申し訳ない感じ。いまごろIT革命とか言ってすみません、みたいな。
 しかしIT特集的にはどんぴしゃりの発言がどんどん出てくるので、原稿は安心だ。こぼれ話はいろいろあるんだけど、締切を思いきり超過しているbk1コラムのネタに使うかも。ということでまたのちほど。本チャンのインタビューは1月24日売りだかの《Title》IT特集に載る予定。あ、とりあえず写真だけこっちに載せとくかな。ギブスンの仕事場になってる地下室(といっても半地下)はこんな感じ。をを、PowerMac G4 Cube! しかし執筆は右の方のパフォーマを使ってるらしい。しかもプリンタはスタイルライターII(爆笑)。ついでに大森とギブスンの2ショット写真はこれ。大森が着てるのは裸のランチTシャツです(笑)

 冬のバンクーバーはやたら日照時間が短いので、写真撮影を含めて3時間ほどのインタビューを終えて外に出るともう暗い。
 電話で呼んだタクシーをわざわざ表に出て待ってくれるギブスン。そんなことしなくてもいいのにと思ったら、玄関で煙草が吸いたかったらしい(笑)。
「あ、まだ煙草吸ってるんですね」
「僕は北アメリカで最後の喫煙者なんだよ(笑)」
「やっぱり家の中じゃ吸えないんですか?」
「吸えなくもないけど、家族がいい顔しないからねえ」
 サイバーパンクのヒーローも螢族か。どうせなら喫煙ツーショットを撮ってもらえばよかった。バンクーバーではかなり犯罪的な感じですが、いや、煙草じゃなくてマリファナですと言い訳すれば許してもらえるかも。
 ところでギブスンの娘は日本アニメ/マンガおたくで、いまんとこ、「行きたいところリスト」のナンバーワンは東京らしい。ガイナックス見学ツアーを餌に娘を口説いて、2001年のSF大会にゲストで呼ぶのはどうですか。なんたって千葉だし(笑)。

 いったんホテルにもどり、フロントで教えてもらったダウンタウンの寿司屋にタクシーで出撃。《タンポポ》っていうお店で、十数ドルの食い放題コースを頼む。サーモンとツナの嵐。寿司だとあんまり食べられないから、サシミを頼んでみましょうか。とか注文するととんでもない量が。食べ放題の中にカルビとかトンカツとか混じってるのが笑えますが、量で判断するかぎり、トンカツがいちばん高級品らしい。

 食後、Denman Streetをぶらぶら歩く。ほとんどAsian townですね。男三人なんだけど、がんがん飲みたい人がだれもいなかったので、Death by Chocolateという巨大看板が目を引くデザートカフェに(笑)。この場でメニューをお見せできないのが残念です。と思ったらここにメニュー例が載ってました。けっこう有名なチェーンらしい。トーレンも知ってたしな。しかし実際のメニューにはもっとすごいやつ(ハンバーガーそっくりのとか、Broken Heartをかたどったやつとか)がいっぱいあったのに。




【1月6日(土)】


 3時間睡眠でまたしても午前4時に目が覚める。@niftyのバンクーバーAPにつないで、《アスキー・ネットJ》用のネットサーフとか。帰りはサンフランシスコ二泊の予定なんだけど、代理店の手違いか、バンクーバー‐サンフラシスコも直行便がとれずにシアトル経由。ここでもうちょっと待ってればイチローがやってくるはずだが、まだシーズンはしばらく先だからなあ。どうせならそのへんのシアトル人を捕まえて、イチローをどう思いますかと片っ端からインタビューすればよかったなり。

 結局、中途半端に空いた時間ではダウンタウンにも出られず、空港内で仕事。午後3時過ぎにサンフランシスコに着き、タクシーでスミス邸。この続きは別ファイルで。


top | link | board | articles | other days