【10月23日(月)】


 録画してあった『鉄甲機ミカヅキ』の第一回を見る。冒頭でこりゃダメかもなあと覚悟したんだけど、驚天動地の巨大スイカ以降はOK。スイカ怪獣の造形も、ちゃんとスイカに見えるのでマル。マギ・システムの人間版みたいな三人娘がすばらしい。戦隊物のコスチューム着たとき、顔の前にスクリーンが出る(ナデシコの通信システムみたいなやつ)のも爆笑。ふつうの芝居の演出には少々難あり。まあしかし、TV特撮でこれだけやってくれればじゅうぶんでしょう。クウガも見てないオレが言っても説得力はないが。それにしても吉野沙香のあの使い方は……。

 そのミカヅキの話を枕に、『式日』『アヴァロン』でアニメージュ原稿。




【10月24日(火)】


『このミス』狂犬三兄弟座談会@ダイヤモンドホテル。今回のこのミスは原稿依頼も断って、アンケート参加だけのはずだったのに、ゆうべ、茶木監督からとつぜん電話がかかってきて追加招集されたのである。べつに故障者が出たわけでもないんだけど、どうも監督がシミュレートしたゲームプランでは、コマが一枚足りないという結論になったらしい。オレのポジションには福井健太が入ってるはずだったのに。やっぱりワンボランチじゃだめですか。いや、健太ならフォワードか。でも福井健太は守備的なのでダメでしょう。

 スタートは午後7時。今夜はアジアカップ天下分目の準々決勝だから、10時までにはぜたい帰る。と主張したら、座談会用にスイートが確保されていて、テーブルの正面にちゃんとテレビがあるのだった。
 これなら大丈夫だよなと思ってたら、座談会が全然終わらない。福井健太が攻撃参加をさぼりっぱなしなので、オレはひたすら長い距離を走らされてた気が。大森担当の国内編はようやく10時半ごろ終わったんだけど、11時になっても海外編やってる最中。海外編にはオレはほとんど関係ないので、座談会やってる人々をしりめに、音を消してテレビをつける。がーん。もう1点先制されてるじゃん。どういうことよ。
 と思ってたら同点。さらに逆転。しかし座談会中なので大声で叫べないのがつらい。

 結局、前半が終わったところでようやく座談会が終了。打ち上げに流れる人々を追い出し、後半終了まで部屋のテレビを見つづける。巨大なスイートになぜか茶木さんと二人きり。全然うれしくないです。

 勝利を見届けてから、近所の居酒屋でやってる打ち上げに合流。さらに茶木組は麻雀に流れたが、オレは仕事がつまってるのでとっとと帰宅。




【10月25日(水)】


 16:00、早川書房編集部で上遠野浩平インタビュー。2001年1月号から《SFインターセクション》を再開してねと言われて、その第一回。SF大会でけっこう話を聞いちゃってるのであんまり話題もないかなあと思ったけど、上遠野さんががんがんしゃべってくれたので楽勝でした。
「SFに何ができるか」じゃなくて、「SFに何ができないか」をメインに考えたほうがいいんじゃないか――って話は含蓄が深いと思った。

 終了後、塩澤編集長、上遠野さんと三人で、ひさしぶりの印度屋に流れ、秋味ターリのカレー。サーモンのサモサとかついてて謎めいている。それにしても印度屋はいつもこんなにガラガラで商売が成り立つのだろうか。

 例によって満腹度120パーセントになった重い体を抱えて有楽町。丸の内東映で『バトル・ロワイアル』の完成披露試写。
 着いてみたら開映時間が延びてたので、マガジンマガジンの佐川さんおよびコミックJUNE編集長の女性と近くでお茶。JUNE編集長の話とか(笑)。
 同じ喫茶店の隣の席には吉田伸子・東えりかの読書相談員コンビがいたり、あとから柳下毅一郎がやってきたりしてわけがわからない状態。さすがは『バトル・ロワイアル』である。

 深作欣二監督作ってことで、試写には映画監督多数。若松孝二とか大森一樹とか樋口真嗣とか。藤原竜也はいません(笑)。庵野さんも来てて、『式日』見ましたとか挨拶したら、「次はSF撮りますから」だって。そういえば庵野秀明公式Webサイトもオープン。自分でいっしょうけんめいつくったらしいお仕事リストが圧巻。しかし雑誌関連はまだまだですね。SFマガジンとか忘れられてるし。というわけで、エヴァおたく/庵野おたくなひとはどんどんガイナックスにメールで指摘しよう。
 ちなみに『式日』はTUTAYA ONLINEにもかっちょいいサイトができてます。それにしても、東京国際映画祭のニッポン・シネマ・ナウじゃなくてコンペティションに出るとは。あ、新人だからか。2本目までって規定だっけ? 劇場アニメはカウントされないってこと?

 映画は面白いんだけど、原作とは別物。ベクトルが正反対の、熱いおやじ映画になっちゃってました。小説版と映画版では『ヒカルの碁』と『月下の棋士』ぐらい違う。《映画秘宝》の原稿にも書いたけど、Dragon Ashの曲に惚れ込んで三波春夫が歌ったら、やっぱり「元禄名槍譜 俵星玄蕃」になっちゃった、みたいな。みんなおやじパワーに負けちゃったらしい。オレ的には許しがたいカットも多々あるんだけど、そういうことを言ってもしょうがない感じのすさまじさ。30代のクリエーターに欠けてるのは、かっこ悪さを恐れないこの臆面のなさかもしれない。
 アクションの切れ味はさすが深作。灯台シーンはとくに秀逸。
 あと、宮村優子の使い方には感動しました。すばらしい。みやむーファンは必見。いやもう驚いた。まさか深作欣二の映画であんなものを見ることになるとは。あれは深作健太の趣味なんだろうか。謎すぎる。

 映画秘宝T辺くんがキープしといてくれた席が最前列だったので(どうも彼は、あらゆる映画おたくにとって、最前列がベストの席だと信じているらしい)めちゃめちゃ首と神経が疲れました。さすがに40人がかたっぱしから殺されていくのを至近距離で見つづけるとパンチドランカー状態。
 しかしこの映画、めちゃめちゃヒットしそうな気が。




【10月26日(木)】


 仕事→スポーツマッサージで首揉み→焼肉屋で日本シリーズ→仕事→家でサッカー。

 アジア杯サウジ×韓国(NHK BS)と、チャンピオンズ・リーグのリーズ×バルサ(WOWOW)を並行視聴。前者は前半があまりにもつまらなかったので。後者は結果がわかってたんだけど、それでも終盤バルサの猛攻をリーズが必死にしのぐ展開は見応え充分。アジアカップとは客の入り方が違うし。それにしてもマンガみたいなオチだ。いや、まだ安心できませんが。
 準々決勝はスポ根ドラマ的な同点弾で勝ち上がった韓国も、さすがにここまでか。やっぱり2点めが重要。サウジは監督変わってシステム変えてから、見違えるように攻撃がよくなった。

 というわけで準決勝第二試合は日本×中国。望月が出なくてほんとによかった(笑)。いや、たしかに明神の出来はよくなかった。茫然とするようなミスパスを相手フォワードに拾われて失点。負けてれば戦犯だったかもしれない。しかしこのチームは明神のチームなのである。やっぱり明神と心中しなきゃね。




【10月27日(金)〜(土)】


 ミステリマガジンのスタージョン「Wham Bop!」の原稿直し。主要参考文献は、e-NOVELS絶賛連載中の、田中啓文先生の傑作エッセイ、あいうえ音座録。いやもうすばらしくためになります。しかし、なにしろまだ連載が途中までなので、どうしてもわからないところがあるため、田中啓文先生に電話してジャズ関係の疑問箇所を質問。すばらしくためになるお答えをいただく。
 さらに、田中先生におかれましては、「このスキャットみたいなとこ、一応訳したけど全然自信がないからさあ、適当になんとかしてよ」という失礼なお願いをご快諾くださり、速攻で回答をいただきました。しかもそれがタイトルになってるので、この翻訳はもうほとんど田中啓文訳と言っても過言ではない。田中哲弥につづいて田中啓文先生も翻訳デビュー。オレはあいだをちょこちょこっと訳しただけなので全然責任はありません。いいのか、そんなことで。




【10月29日(日)】


 決勝戦。やっと日本代表らしい試合。最後の最後で同点にされるのがいつものパターンだけど、なんとか守りきりました。川口くんもやっと見せ場ができてめでたしめでたし。これまで失点しつづけた甲斐があったというもんだ。じつに効率的。




【10月30日(月)】



 15:30、渋谷・円山町のクラブWOMBで、安藤政信インタビュー。宝島の女性誌、SWEETの仕事。俳優にインタビューするのは稲森いずみ以来?
 安藤政信っていうと、『キッズ・リターン』と『アドレナリン・ドライブ』の印象が強いんですが、『バトル・ロワイアル』桐山役の影響か、すっかりワイルドなイメージに。なんか加藤雅也路線でした。
 キャラクターも予想してたのとは全然違って、「ハリウッド映画は全然見ないんで、そっちの話されるとさっぱりわかんないんですよ。日本映画はよく見るんだけど」とか、「あ、オレ、三池さんの映画は興味ないっす」とか、「連ドラとか、これでもかってぐらい説明するじゃないですか。つまんないですよね」とか、いちいち話が面白い。桐山の唯一のセリフを深作監督に直談判して削ってもらった話がベストかな。

 さいとうよしこの録再MDを借りて持ってったんだけど、使い方を把握しないうちにインタビューがはじまっちゃったので、終了後にスターバックスに寄って15分でデータ原稿をまとめ、17:00に新宿MY CITY プチモンド。
 河出文庫《20世紀SF》の第一巻、『星ねずみ』の見本を受けとりついでに、担当編集者および編者ふたりにインタビュー。bk1 SF棚の連載コラム用の取材。もっとも大半は雑談。

 西新宿のカレー屋で、中村融、安野玲とメシ食って帰宅。




【10月31日(火)】


 月刊アスキーのコラム原稿。河上イチロー消滅宣言は、オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』におけるロックとデモステネス(ピーターとヴァレンタイン)である――というネタで半分埋めたんだけど、だれにも理解されないかも。いやまあそれにしても驚いた事件でした。いろんなことがあるなあ。

 小説すばるの書評は、真木武志『ヴィーナスの命題』。「バカには読めないミステリでございます」みたいな綾辻推薦解説(島田荘司より狡猾)がついてるので、「王様は服着てませんね」とか指摘したくなるが、この小説は好きなので仕方がない。『無限のリヴァイアス』が好きな人におすすめ(謎)。しかしあの一行アキはやめたほうがよかったと思います。

 あとは映画秘宝の『バトル・ロワイアル』原稿とか。


《20世紀SF》発刊記念ってことで、11年前、《てんぷら★さんらいず》用に書いた原稿、『お花畑でつかまえて 日本語で読める英米SFアンソロジー・ガイド』をhtml化しました。もうだいぶ古くなっちゃってるけど、昔のアンソロジーってどんなのがあったか知りたい人はどうぞ。


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