【7月27日(木)】


 推理作家協会懇親会@ホテル・エドモント。暑いせいか珍しく人出が少なくて、ゆったり懇談、がっちり食事。フィンランド帰りの浅暮さんに魚が釣れなかった話を聞く。スウェーデン、ノルウェーまでは行ったけど、フィンランドには行ったことないんだよなあ。
 フィンランドではカルヴィーノがベストセラーリストに入ってるらしい。『冬の夜、ひとりの旅人が』のペーパーバック版。なんかずいぶん民度が高そうである。いや、そもそもそういう本しか出ないのかもしれないけど。

 一次会で帰宅して仕事。《SIGHT》の90年代邦画ベストテンをえいやっと決定。こんなの。

1「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」(シト新生+THE END OF EVANGELION)庵野秀明
2「機動警察パトレイバーII」押井守
3「平成ガメラ三部作」金子修介
4「DEAD OR ALIVE 犯罪者」三池崇史
5「CURE」黒沢清
6「犬、走る」崔洋一
7「傷だらけの天使」阪本順治
8「女優霊」中田秀夫
9「20世紀ノスタルジア」原将人
10「神様の愛い奴 神軍平等兵の凱旋」根本敬

 北野武を入れなかったのはわざとです。

《プレミア》に「X‐メン」の映画評。けっきょく「X‐メン」には厳しい評価。やっぱり魂がないとね。ってオレはべつに「X‐メン」おたくじゃないんだけど、せっかくフォックスでブライアン・シンガーなんだからさ。




【7月28日(金)】


 14:30、大泉学園。東映撮影所前のコージー・コーナーで、『映画秘宝』用の高見広春インタビュー。ご本人はお笑い芸人志望だったとか言ってましたが、ルックス的には島田荘司を若くした感じの路線。こんな人です

 インタビュー終了後、高見さんにくっついて、映画『バトル・ロワイアル』深作組の撮影現場訪問。いきなり深作欣二監督に紹介されてびびる。『宇宙からのメッセージ』の話なんかもちろん聞けません。『ガンマ3号 宇宙大作戦』が好きですとも言えない(笑)。えらすぎるもんなあ、やっぱり。

 とはいえほかにスタッフで知ってる人もいないしなあと思ってたら、宮部さんのお友達の美術監督、部谷京子さんと遭遇。ちょうどきのう、推協のパーティで宮部さんと話してたとき、
「わたしこないだ、『バトル・ロワイアル』の現場に行ってきたんですよ」
「え? ぼく、明日行くんです。しかしどうしてまた宮部さんが……」
「美術やってる部谷さんがお友達で」
 みたいな会話があったばかりなんでした。
 というわけで、『Shall we ダンス? 』や『金融腐食列島[呪縛]』の美術の話がいろいろ聞けてラッキー。深作組はやりがいがあるらしい。
 じっさい、そばで見てると、深作監督の場合、絵コンテがなくて、セットを見てからどういう絵にするか決める模様。ぼくが見学したのは猟師小屋のシーンだったんだけど、「この網、おもしろいからこれを使おうか」みたいな。

 2時間ほど見学し、本番をワンカットだけ見てから、もしかしたら藤原竜也がいるかもしれないと思って見学にきたもののあてがはずれた(竜也くん出演の灯台シーンは今朝7時までかかって撮了)さいとうよしこと大泉学園駅前で焼肉を食べて帰る。




【7月29日(土)】


 すっかり忘れていた毎日中学生新聞の原稿をあわてて書き、ぼちぼちSF新刊の読書にかかる。野尻抱介『ピニェルの振子』とか、村上龍『希望の国のエクソダス』とか。ゲラで再読しかけたものの、けっきょく次号でやることにした菅浩江『永遠の森』も完本で最初から読みなおす。




【7月30日(日)】


 小説すばるの書評。今月のお題は大塚英志『木島日記』(角川書店)。マンガ版より小説版のほうが面白いと思うんですがどうですか。森美夏の絵も好きなんだけど。




【7月31日(月)】


 ミステリチャンネル用に新刊ミステリの未読消化。響堂新『超人計画』とか恩田陸『麦の海に沈む果実』とか。『超人計画』はマッドサイエンティスト物の人類進化(?)SF。前半あれだけ細かく書いておいて、後半アレはないと思うが。あんなに巨大化して飛べるのか。釣巻礼公の『破びの種子』(ネッシーは巨大化したカンブリア生物だった!)系列。ミステリの人はこういう小説をどんなふうに読んでるんでしょうか。謎すぎる。




【8月1日(火)】


 今日は毎年恒例の江東花火大会。いつもは中川の江戸川区側堤防から遠くに見てるんだけど、今回は遠来の客を迎えることもあり、荒川と中川のあいだにある中州まで進出する作戦を決行。

 偵察部隊として先乗り調査に赴いた林哲矢からデブリーフィングを受けたのち、餃子の末っ子とオリジン弁当で買った食糧を携え、1900時に自宅を出発。先発隊は三村美衣、林哲矢、さいとうよしこと大森。『X‐メン』の試写に行ってたという堺三保はあとから合流。ここまで歩いてくるのがめんどくさいので自転車を買ったらしい。豪快さんである。

 なにしろ江東区の花火大会なので、江戸川区側は一等地の中州でさえ余裕の人口密度。ガリバーで購入してあった巨大シートを敷いて食糧を広げる。しかし花火がはじまっちゃうとひっきりなしに打ち上がるので食べてるヒマがないのが難点。
 後半に突入したところで、小林治仙台エリ、アリサ@素敵生活応援推進隊の後発トリオが合流。クライマックスにぎりぎり間に合ってめでたしめでたしでした。宴会風景はこんな感じ。

 花火終了後、元気なお嬢さんたちは周囲のジャングル探険に出発。さすが、アニメ仕事デビュー作が「ジャングルDEいこう!」だった仙台エリさんは違いますね。ついでにもう一枚、幻想的なカットをサービス。

 花火宴会のあとはうちの仕事場に立ち寄り、西葛西名所観光などを経てカラオケ。さらにビリヤード。小林×アリサ対決は白熱していた模様。最後は《なか卯》でシメて、午前5時解散。




【8月2日(水)】



 青木みやさんの日記を読んでて、第12回日本ファンタジーノベル大賞受賞作決定を知る。斉藤直子『仮想の騎士』ですか。大賞受賞作を引き当てたのは久々なのでちょっとうれしい。この賞は二次以降、編集部で決定するシステムなので、一次の自分の箱に入ってないと、受賞作が決まってもどういう話かわかんないのである。『仮想の騎士』は自分でも好きな小説なのでめでたいかぎりです。出版は例によって12月かな。お楽しみに。


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