【5月21日(日)】


 箱崎の東京シティエアターミナルに向かう斉藤友子を見送ってから、駅で合流した堺三保と九段下へ。なぜか(日曜日なのに)角川書店富士見事業部で、O氏@関大SF研OBと落ち合い、日本武道館へ向かう。
 モーニング娘。(以下「娘」と略)春のコンサートツアー最終日の武道館公演昼の部のチケットが一枚余ったので、O氏から回してもらったのである。大阪からクルマでやってきたO氏は東京パフォーマンスドールにハマって以来、アイドル追っかけ歴10年(?)のベテラン選手。そのO氏から、娘の近況に関するレクチャーを受けつつ入場。
 高貴準三氏@イオンがコンサートパンフを欲しがってるらしいので買おうかと思ったら、物販コーナーは長蛇の列。オレはとっととあきらめたんだけど、「じゃあぼくが行ってきます」と志願する堺三保。2、3分でもどってきて、ずいぶんはやかったなあと思ったら、列の前のほうに並んでる見ず知らずの気の弱そうな青年に一万円札を押しつけて、「これで三冊買ってきて。お釣りはあげるから」と強要したらしい。さすが関西人。それにしても写真だけのコンサートパンフが3000円とは。
 いきなり4人増えたばかりか、市井の退団が決まったおかげで、11人編成の娘さんたちを見られるのは今日が最後(いや、先のことはわかりませんが)。市井の娘時代ラストステージかと思うと感慨深い。わたしは後藤真希より市井なのである。もともとは阿部なつみと飯田佳織だけど。
 最近はASAYAN全然見てないので、新しく増えた4人に関しては予備知識ゼロだったんですが、辻希美(12歳コンビのうち、東京出身のほう)はかなり面白そう(もっとも新メンバーは、先輩陣の両サイドにふたりずつ分かれて立ち、ときどき振りをまりがえて目立ったりしてる程度)。
 曲構成はオーソドックスというか初心者向きというか、娘のナンバーはメジャーなシングル主体。タンポポ(飯田と矢口の2人編成)とプッチモニ(3人編成はこれが最後??)が各1曲、メロン記念日とカントリー娘が各1曲。
 武道館前で行列してるのを見たときは、やっぱり娘は客層が広いと思ったんだけど、コンサートがはじまると目立つのは男子ばかり。80年代アイドルおたくノリっていうか、おニャン子の客がそのまま引っ越してきた感じで、そうか、文化はこのようにして継承されるのか。
 二階席の前から二番めというチケットだったおかげで、最初から最後まで座りっぱなしでゆっくり観られたのはめちゃめちゃラッキー。親切なO氏が双眼鏡を貸してくれたし、アンコールの紗耶香コールも聞けたし、もう思い残すことはない。

 コンサート終了後は地下の《武道》でお茶を飲みつつ、SWRPのゲラチェック。夜の部を観る小浜徹也と入れ替わりに九段下を去り(堺とO氏は昼夜鑑賞)、飯田橋の沖縄料理屋《大ちゃん》で、イオンの高貴氏・T嬢とゲラの受け渡し&打ち合わせ。西葛西の沖縄料理屋がつぶれちゃったんで、沖縄料理はひさしぶり。ゴーヤチャンプルーやソーキをおいしくいただきました。
 話題はSWスピンオフノベルのディープな世界(ウェブ上でのおすすめは、STAR WARS CHRONOlOGYだとか。小説に関してはたしかにめちゃめちゃ濃い)。
 グレッグ・ベアが自分のサイトに新設したSWRP FAQの中で、「オレはofficial historianじゃないから、細かいミスを指摘されても知らないよ。文句はルーカス・フィルムに言ってね!」みたいなことを書いてますが、翻訳者も事情は同じ。SW用語のミスの指摘はイオンのほうにどうぞ。SW用語の統一はほとんどイオン/ソニー・マガジンズにおまかせです。しかし「ライトセーバー」はいいかげん「ライトセイバー」に変えてもいいと思うのだが。
 ちなみに表記が決まってない固有名詞に関しては、同時発売朗読CDの発音に準拠してます。




【5月22日(月)】


 NHK『六番目の小夜子』の最初の5話をまとめて見る(とくに因果関係はありませんが林くんありがとう)。絶賛するほどではないが、30分ワンクールの連続ドラマとしてはよくできている。歌声喫茶の処理はうまいと思うけど、原作の唐突すぎるおかしさがなくなったのは残念。ところで「エーデルワイス」の日本語詞ってそんなによく知られてるものなんですか?
 あとは学園祭の芝居さえちゃんとやってくれれば文句なし。

 ついでに録りっぱなしだった『メダロット』の3月放送分を消化。レアメダルはオーパーツだった! というSFオチにあっと驚く。このへんのエピソードは必見でしょう。全体の流れとしては3月末が最終回で、そのあと4月からオマケの世界大会編がはじまる感じ?

 春のアニメでは、『ラブひな』『ゲートキーパーズ』『サクラ大戦』『女神候補生』あたりをぱらぱら見るが(『星界の戦旗』はそのうちまとめて見る予定)、うーん。『ゲートキーパーズ』が比較的楽しいほうかな。『ラブひな』は、なんか全然おもしろくないんですけど。

 そういえば、こないだ森岡さんのパーティで高千穂さんに会ったとき、www.takachiho-haruka.comをとって、TV時評(注・かつてはリンク禁止だったやつ)を再開したんだよという話を聞いて、
「また悪口がんがん書いてるんでしょ」
「いや、わたしは悪口など言いません。誉めるだけですよ」
「じゃあ『ラブひな』どうすか?」
「××だね」
 というような会話があったことを思い出し、Takachiho Notesを見にいくと、
『ラブひな』第1話は、
「つまらなかった。途中で顔がひきつるくらいに、ださい演出だった」
 などと絶賛されているのだった。3話の旧仮名遣いについてはオレも疑問に思ったんですが、あれはなんだったんでしょうね。
 今期のビデオ予約をチェックし直した結果、『NieA_7』の録画を忘れていることを発見。ヒマになったらまとめて見ようと思ってたのに。




【5月23日(火)】


 夕方起き出して、小説すばる新人賞二次の評価表をまとめる。ぼちぼち出かけるかと思ってたら、うちのマンションで番を張っている凶暴な猫が、ベランダから侵入。うちの臆病猫たちがしっぽを十倍にふくらませて大騒ぎするので、撃退しようと思ったら右のてのひらを思い切りひっかかれて流血の惨事。
 外出を断念して、傷口がふさがるまでベッドで読書。金井美恵子『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』(朝日新聞社)を読んでたら、目白のおばさんが猫にひっかかれて大騒ぎする話が出てきて大笑い。『小春日和』の直接の続編で、「あれから十年たちました」という話。桃子も花子ももう30歳ですか。新登場のキャラも魅力的で、読み終えるのが惜しくなるタイプ。頭がよくて意地が悪くて愛らしい。

 田口ランディ『コンセント』(幻冬舎)は、牧野修系の電波小説(ただし、スーパーナチュラルだがホラーではない)。コンセントで「もうひとつの現実」につながっているという発想は非常に牧野修的で、切り口が違うだけかも。『共生虫』とも共通点が多くて、その村上龍が帯を書いてるのは、ちょっとつきすぎでしょう。

 そういえば池澤夏樹『花を運ぶ妹』もやっぱり似たような兄妹の話だな。

 関口苑生『乱歩賞と日本のミステリ』(マガジンハウス)は、《鳩よ!》の連載をまとめた本。当時の日本の状況とリンクさせるかたちで乱歩賞受賞作の変遷を追うのが特徴。作品に世相(時代背景)の影響を読む見方には懐疑的な立場なので、「こういう時代だからこういうミステリが……」という議論にはあまり同調できない。当時の日本の話より、当時の関口苑生の話をもっといっぱい書いてほしかった――と思う読者は少数派か。
 各選考会の内幕とか選評の抜粋とか、受賞のいきさつを語る部分は、新米予選委員の大森としてはたいへん勉強になります。欲をいえば、受賞作リストだけじゃなくて、各年度の全候補作と選考委員・予選委員のリストも載せてほしかった。
 いちばん個性が出ているのが作品評価の部分。『浅草エノケン一座』を筆頭に手厳しくやっつけられている受賞作も何本かありますが、これだけ長く書いてあれば、(同意するしないはともかく)なぜ批判しているのかはよくわかる仕組み。
 梅原理論に触れた箇所もあるので、SF読者も要チェック。




【5月24日(水)】


 綾辻さんからいきなり「リヴァイアス見れ」(大意)というメールが来たので、昨期のビデオの整理がてら、『無限のリヴァイアス』のラスト4話を見る(真ん中あたりの見てない回については、ウェブ各所のエピソードガイドで一応あらすじだけフォロー)。
 設定・アイデア・キャラデザイン・演出・プロットに関してはあまり文句がない。しかしセリフがダメすぎでしょう。中学生相手だとこのぐらいストレートじゃなきゃ伝わらないってこと?
 まあしかし、今年の横溝正史賞で「ヴィーナスの命題」を強く推した綾辻氏が「リヴァイアス」を気に入るのはよくわかる気が。端正なつくりでシリアスな、「背伸びした高校生モノ」がツボらしい。
 SF的には、既成ネタのパッチワークながら、うまく処理してあるし、決着のつけかたも悪くない。しかし結局最後まで女性キャラの区別がつかなかったな。ていうか、いまどきのTVアニメとは思えないような女性観では。

 などと思いつつ池上永一『レキオス』(文藝春秋)を読みはじめる。こ、この冒頭はガサラキ? あまりにも意表をつかれてしまいました。アニメ化希望。

 UEFAチャンピオンズ・リーグ決勝。バレンシア×レアル・マドリ。バレンシアはいいところなし。決勝進出だけで満足しちゃったのか。やっぱ、同国対決はつまんない。UEFA杯決勝のほうが面白かったのでは。

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