【4月22日(土)】


 夕方の新幹線で姫路。車内でもひたすら仕事。
 8時ごろ到着、前回とおなじ姫路サンガーデンホテルに投宿。ひと風呂浴びてから、姫路の町をちょっと歩く。山陽電鉄の新しい駅ビルも、中に入るのはこれがはじめてかも。駅前の商店街は新旧入り乱れて混沌状態。しかし夜がはやい町だね。開いてる店がほとんどないので、結局、巨大な王将で夕食。




【4月23日(日)】


 8時に起きてJR姫路駅構内の喫茶店でモーニングと仕事。今日は99歳で大往生した祖父の四十九日なんですが、はじまる時刻を2時間まちがせていたことが判明。時間が余ったので町をぶらぶらして、カフェドパリで仕事。ついでに、となりの新しいビルに入ってるジュンク堂を見学する。広々した図書館的な棚配置で、やたら見通しがいい。客が少ないせいもいあるけど、本はけっこうそろってるのでかなり使えそう。

 1時半から、父親の実家で法事。南無阿弥陀仏の浄土真宗的詠唱にもすっかり慣れたというか。
 うちの弟はいきなり平服。黒のスーツを入れた鞄をまるごと新幹線に忘れてきたらしい。まあ赤いスタジャンとかじゃなくてよかったな。
 倉阪兄弟に対抗して、「あずさ2号」……は無理でも「悲しみロケット2号」ぐらいなら行けるかも。と思ったが、うちの弟とカラオケ行ったことはほとんどないのだった。

 法事終了後、ホテルにもどって着替えをすませ、荷物を宅急便に出してから新幹線で新大阪。名張人外境アレクセイの花園の大暗室大宴会なのである。
 新大阪から幹事の大熊氏に電話する。まわりがうるさくてよく聞こえない。
「場所はどちらですか?」
「旭屋の裏のたよしです」
「え? たよし? たよしというと、あの、『たーんたーん、たーよーしー、あじよーしたーよーし』のたよしですね」
「そうそう、たーんたーん、たーよーしー、あじよーしたーよーし』ですわ」
 というような会話をしていたところ、さいとうよしこに奇異な目で見られてしまったが、ふつう歌うでしょう。「伊東へ行くならハ・ト・ヤ」みたいなもんですな。

 というわけでたよしに行く。グランディーヌ久子さまとらじさん@求道の果て以外の方々とは初対面。と思ったら、《ネオ・ヌル》の時代から愛読していたファンライターの西秋生氏がいて驚く。《北西航路》から《風の翼》へと続く、関西創作系ファングループの一方の重鎮。しかも、《風の翼》関係者は、このオフでも最大派閥(?)を形成している模様。なんだ、SFじゃん。なにしろ人外境のご主人からして以下略。
 園主のアレクセイこと田中幸一氏は、オフラインでは気さくな人でした。文章から受ける印象とはかなり違うんだけど、そのへんは事前取材をすませてあったのでそれほど違和感なし。写真撮影のさい、ポーズと背景に執拗にこだわるご様子がなかなか面白かったんですが、無料公開はもってのほかと言われているのでお見せできません。見たい人は大森に200円払うと、アレクセイ氏に40円が支払われるシステムらしい。破格の安値と言うべきでしょう。アレクセイ氏の過去の活躍ぶりについては、その一端が、アレクセイの花園・バックナンバーで読めます。「アレクセイ狂人伝説 接触篇」「発動篇」は必読。(と思ったら、諸般の事情で現在読めない状態になってますが、まあそのうち復活するでしょう)。

 2時間ほど滞在し、ひとしきり観察をすませたところで、人外境組と別れる。

大森「この近くで、関西の古いSFの集まりがあるもんですから」
大熊「それはもしかしてあれですか、関西海外SF研究会とかの」
大森「そうそう、それです」
大熊「そしたら、ええと、あいつ、だれやったかな。寺方民。寺方民とかも来るんですか?」

 という会話を聞いて爆笑する人はたぶん10人ぐらいだと思いますが、「寺方民」(テラ・ホーミンと読む)というのは、THATTA ONLINEでもおなじみの岡本俊弥が百万年前に使用していたペンネーム。ファンジンとかチャチャヤングとかに小説書いてた時代の名前ですね。海外SF研究会(KSFA)というと、昔から英米SFの翻訳と紹介ばっかりやってたイメージですが、神戸大SF研のメンバーは、筒井康隆邸に集合して《ネオ・ヌル》を復刊し、SHINCONのスタッフを勤めた人たちなので、みんな小説を書いているのである。水鏡子の「クロウ」とか。大野万紀だって、《ネオ・ヌル》の創刊号にはショートショートが載ってるし。ちなみに牧野修も《ネオ・ヌル》出身。

 というわけで、阪急東通商店街から旭屋にまわり、むかし小説を書いていた人たちと合流。残念ながら寺方民氏は欠席で、大野万紀・米村秀雄・水鏡子・寺尾公博・青木治道・宮城博史・菊池誠夫妻・かおるさん・陽子さんなど。
 考えてみると、大森がはじめてこの集まりに顔を出したのは18歳のときなので、すでに20年以上が経過しているのだった。水鏡子師匠は、ブギーポップを全巻まとめて読破して、一家言あるらしい。あとはカムナビ話とか。

 9時前に中華料理屋を出て、最終ののぞみで帰京。




【4月24日(月)〜25日(火)】


 ひたすらキーボードを打ち続け、SW/RPの第一稿がようやく完成。
 アスプリンのシリーズ最新作『銀河おさわがせマネー』(ハヤカワ文庫SF)の解説を書く。




【4月26日(水)〜30日(日)】


 SW/RPの翻訳原稿を頭から校正。直しが終わったところからどんどんメールで送る。ソニー・マガジンズもイーオンも、ゴールデンウィークなのに稼働しているらしい。結局、当初の予定より一カ月遅れですが、まあこんなもんでしょう。

 ほかに、《本の旅人》用の書評とか。お題は、今年の横溝正史賞を受賞した小笠原慧『DZ』(角川書店近刊)。人類進化テーマの本格SF――と書きたいところだが、サイファイかもしれないのでなるべくSFとは呼ばないようにする。オレ的にはどう見ても『継ぐのは誰か?』現代版なんですが。
 カドカワ・ミステリーのウェブサイトに著者インタビューあり。そこから飛べば選評も読めるようになってて、これは便利。
 ところでこれを読んではじめて気がついたんですが、今回から(2000年9月応募締め切りの第21回から)賞の名前が変わったんですね。横溝正史賞じゃなくて、横溝正史ミステリ大賞。横溝だけだと、ミステリの賞だとわからないから? まさか。



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