【4月6日(木)】


《本の雑誌》の原稿を書く。今月は遺伝子モノ特集。

 小黒氏から送っていただいた《アニメスタイル》創刊号を読む。こんなに読みでのある雑誌はひさしぶり。庵野秀明ロングインタビューが量的にはいちばんですが、その他のインタビューもひと味違うツッコミ。SFとかミステリとかホラーとかでもこういうインタビュー&批評誌はありなんじゃないでしょうか。

 《WORKBOOK》最新号、二編載ってる翻訳は、この長さのショートショートしてはどちらも悪くない出来。しかし解題はおろか初出も載ってないのはどうか。訳文に関しては、まだまだ改善の余地あり。しかしファンジン翻訳がめっきり少なくなった昨今では、存在だけで貴重かも。




【4月7日(金)】


 午後7時発のANAで高知。堀詰のとりとり亭(仮称)で西澤さんと合流。西澤日記で評判の鶏の唐揚げとか。評判だけあってうまい。しかし予想していた店とは全然違っていまふうのおしゃれなインテリアでした。話題は最近の講談社ノベルス。『美濃牛』とか『UNKNOWN』とか。
 『UNKNOWN』は飛行機の中で読んだんですが、短編のネタですね。やはり一種の特殊業界物でもある『栄光一途』とかが、おなじようにリアルな前提から出発ながら、おいおいそりゃないだろうって方向(そりゃ話は派手になるけどさ)に行くのとは対照的に、まあこのくらいの事件なら起きても不思議はないかも、ってレベルに抑えているのがかえって新鮮。自衛隊内部の描写については、五条瑛の見解をまちたい。

 電車通りのすぐ向かい側はDAM直営のボックスなので、西澤さんはすっかりカラオケのつもりだったらしいのだが、いくら敬愛する作家とはいえ、中年男性ふたりでカラオケボックスに入る趣味はないので――ってそうじゃなくて、仕事がつまってて明朝までにSFマガジンの原稿を入れないといけないので、泣く泣く辞退して実家に帰宅。

 朝までかかってディック短編の原稿を直しつつ、ホーガン『ミクロ・パーク』を読む。なんか、昔の実写ディズニー映画みたいでした。『首のない馬』とか。子供たちが機転をきかせて、悪い大人に一泡吹かせる話。ナノテクもマイクロマシンも関係なくて、テレプレゼンスの話では。リモコンとあまり差がない(というか、原理的にはリモコンの一種なんだけど)ところがホーガンらしい。




【4月8日(土)】


 午後4時起床。6時から《司》で、四万十デジタルビレッジ・クリエーターズグランプリの審査員懇親会。食糧費を拠出すると、缶ジュース一本でも高知県のウェブサイトで情報公開されてしまうそうで、時節柄、今回は参加者の割り勘。公務員の接待自粛は、高知県においては厳密に守られている模様。食糧費で缶コーヒー一本おごってもらって県のウェブサイトに名前が載るっていうのも魅力的ですが。
 宴会に集合したのは、高知出身がスクウェアの山地さんとO本さん(高知県からスクウェアに研修出向中とか)、平林久和、河口洋一郎の両氏。あとは高知県庁企画部情報企画課とヒューマンメディアの人々。スクウェアの山地さんは元GAGAで、『0課の女』とか『不動』とか、ビデオオリジナルの映画を80本ぐらいプロデュースしたらしい。三池監督とか竹内力とかの話題で一部盛り上がる。
 しかし半分ぐらいは高知の人間なので、局地的には土佐弁爆発のローカルな話題が中心だったり。
 料理は県外人接待の定番、皿鉢料理で、つきだしはドロメの酢味噌あえ、メインはカツオのたたきとサバの姿寿司。割り勘のせいか(笑)、ウツボのたたきや鯨方面の土佐料理は出ず。ノレソレは季節が合わないか。

 二次会は男ばかりで大手筋近辺のパブ。フィリピンでもランジェリーでもない、ごくふつうのパブですが、土佐のおねえちゃんたちがなかなか豪快で(とくにママが異常に豪快)いやもうたいへんな騒ぎ。平林さんと河口さんに関しては、議論の余地のない証拠写真をデジカメで抑えてあるので、もう安心。
 ちなみに翌日その話を一部伝え聞いた香山リカ嬢いわく、
「結局みなさんアナログなんですね。ヒューマン‐ヒューマン・インターフェイスっていうか」
 大森は高知に帰ってもデジタルなので、デジタルカメラでひたすら撮影してただけです。いやそれにしても、平林さんがあんな人とは思わなかったなあ。勉強になりました。河口さんもけっこうマメ。さすが東大教授っていうか。

 三次会はさらなるフィーバーを求める声が一部に根強くあったものの、土曜の夜ってことで店はどこも満員。結局、松坂と王監督が握手したことで有名な屋台のラーメン屋《松ちゃん》でギョーザとラーメン。ギョーザが異様にうまくて驚きました。




【4月9日(日)】


 夜中に帰宅したものの、起きたのが午後4時なので眠れず、高野史緒の中公C★NOVELSファンタジアの新刊読んだり、ディック短編の2本めを直したりしているうちに朝になり、寝るのをあきらめて一階の喫茶店でコーヒー。

 12時過ぎ、県庁の公用車が迎えにきて、南国オフィスパークの審査会会場へ。まわりにはなんにもなくて、そりゃ環境はいいけど、こんなところでは働きたくない感じ。クルマがないとどこへも行けないしなあ。
 第二回四万十デジタルビレッジ・クリエーターズ・グランプリ最終審査は、一次通過作の応募者が会場までやってきてプレゼンする方式。地元の人はだれもいないので(いちばん近い人で岡山)、みんな昨日から高知入りして、ホテルに泊まってたらしい。
 審査結果は、まあ順当なところでしょう。エコロジー系が強いのはしょうがないよな、賞の性格上。講評では平林久和氏の語りが炸裂。河口さんも飛ばしてました。いやはや。

 情報企画課に、小学校の同級生のお兄さんがいて、やっぱり高知はせまいと驚いてたら、審査が終わって外に出たところでべつの同級生(やっぱり追手前小学校)と遭遇。いまは四国運輸の社長になってるんでした。南国オフィスパークに場所を借りて新会社を設立したんだそうで、たまたまそこへ寄ったら、審査員で同級生が来てたので顔を見にきた――ということらしい。いやはや。

 帰りも公用車に送ってもらって帰宅し、夕方から爆睡。




【4月10日(月)】


 午後から起きて一階の喫茶店で仕事。夜は新阪急ホテルのル・シエルで両親と食事。さらにティールームで仕事して帰る。




【4月11日(火)】


 朝起きて仕事して、2時の飛行機で東京に帰還。金土日と三日さぼったので長編の予定がベタ遅れなんだけど、やっぱり気力が出ない。20日まで? そりゃ無理でしょう。


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