【2月8日(木)】


 午後5時、ミストラルで、博報堂のPR誌(書店売りもあるらしい)《広告》のキャラクター特集用の取材。「キャラ立ち/キャラ萌えと新本格」みたいな切り口で、こないだ文藝別冊に書いた原稿の延長上。話してるとなんか頭の悪いコミュニケーション論に近くなってしまうのはやや問題。キャラ萌え/パロディ同人誌は横方向コミュニケーションの手段である、とか。垂直方向おたくから水平方向おたくへ、とか。 こんな話をしてお金をもらってるとまさに「サブカルの人」みたい(笑)
 でもインタビュアーの人が事情通だったので、固有名詞だけで会話が楽でした。ってただのおたく会話? いっしょに来た編集長氏は、半分以上意味不明だった模様。「くるみ」「でじこ」「トルーパー」「ブギーポップ」「霧舎巧」「活くら」「To Heart」「K/S」「合田」「間の楔」とか。北上次郎さんはいくつわかりますか(予想:3個)。
 しかしけっきょく新本格とはあまり関係ないのだった。

「時間があったら食事でも」のお誘いを断り、家に帰ってカールズバーグ杯三位決定戦と決勝戦。香港リーグ選抜×日本代表は、一回戦よりはるかに面白い試合。名波がボール出して沢登・カズ・中山で攻めるとか、いや懐かしい。ふつうの代表チームって、守備にベテラン配置して攻撃に若手って布陣が多いと思うんだけど。
 いきなり小野くんはずしてベンチにも入れないトルシエはけっこう好きかも。このへんの思い切りが従来の日本代表ヘッドコーチとの最大の違いでは。
 しかしやっぱり中村俊輔でしょう。どうして後半頭から入れませんか。結果は0-0だけど、点が入らないのは時の運なので、いいんじゃないでしょうか。決定的チャンスを二回はずしたくらいで平瀬を責めてはいけない。A代表の場合、三回までは笑って見てなきゃ。
 それ以上に面白かったのは決勝戦。エルナンデスやブランコはもうメキシコ代表に要らないかもしれない。ただ、それだと似た選手が多くて区別がつきにくいのが難(笑)。チェコはなんかアメフトのチームみたいだった。
 それにしてもA代表のサイドはなあ。やはりとっととアレックスくんに帰化してもらって、左に入れるとか。じゃあ右は市川?(笑) フォワードは点が入らない人が二人いても無駄なのでワントップにしろ。中盤はたくさん人材がいるんだから3‐6‐1でいいじゃん。




【2月9日(水)】


 ミストラルで飯食ってから日比谷に出て、東宝で「ケイゾク/映画」の試写。副題がBeautiful Dreamerなので金魚売りが出ます。いやほんとに(笑)。冒頭の中谷美紀登場シーンはエヴァだし、後半はずっとエヴァやってました。本格ネタは、ミステリ読者なら一瞬でバレるレベル。絵的にはかなり面白いとこもあるんだけど、うーん。「踊る大捜査線 the Movie」にも「逮捕しちゃうぞ the Movie」にも負けてる気が。ていうか、孤島でああいう話をやるなら、『夏と冬の奏鳴曲』を原作に借りてくればよかったのに。
 あと、最初のほうにいくつか振った小ネタ(慰謝料不足分とかツチノコとか)を解決しないで終わるのはどうか。そのへん、つくりかたが「踊る大捜査線」と対照的ですね。

 日比谷シャンテの喫茶店でちょっと仕事してから、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』。公開まもないとはいえ、劇場はほぼ満員。『ホワイトアウト』はロングバージョンの予告編。『クロスファイア』は正月のといっしょかな。驚いたのはデ・パルマの『Mission to Mars』。シド・ミードが参加してたSF映画ですが、なんか2001年みたいなシーンが。こ、こんな話だったの?
『007』のほうは、悪役に凄味がないのと、話の根本に無理があるのをべつにすると、アクションはまずまず。オープニングのボートチェイスは笑えます。アヴァンタイトルとしては記録的な長さかも。ソフィー・マルソーも意外といいじゃん。デニス・リチャーズも思ったほど浮いてないし。ピアース・ブロスナンはどっちかというと『トマス・クラウン・アフェアー』みたいなやつのほうが向いてる気がするけど、それなりにハマる。ただし、オープニングのねっとりしたタイトルバックとはミスマッチ。

 寒いのでラーメンを食べて帰宅。寝床で読書。
 新潮ミステリ倶楽部賞の雫井脩介『栄光一途』(新潮社)は柔道モノ。女性主人公の設定とか、柔道描写とか、前半の展開は悪くないのに、結末でぶちこわし。派手な事件を起こせばいいというもんじゃないでしょう。
 柴田よしき『象牙色の眠り』(廣済堂出版)は、意外性のあるフーダニット。トリックはないけど(なくはないが弱い)トリッキーで、ドメスティックなサスペンスだと思ってると足をすくわれる。こういうタイプはかなり珍しいのでは。




【2月10日(木)】


 ミストラルで仕事。書き上げて送ったつもりでいた恋愛映画20選原稿が、じつは終わっていなかったことに気づいて(というか催促されて)あわてて直したり。

 7時半、神保町の出雲そばで飲んでる倉阪鬼一郎、C塚、AZMの三氏に合流。ネット上の出来事しか話題にならないのはなぜ(笑)。
 またしても御茶ノ水パセラに流れ、倉阪氏の邪悪な歌声を聞く。この声が耳について離れなくなるとたいへんだという話は、集英社近刊予定の倉阪最新長編『ブラッド』に書いてあります。傑作。
 田中啓文に対抗意識を燃やしているらし倉阪鬼一郎は、「赤鬼と青鬼のタンゴ」に挑戦しようとするも、なぜか歌本にエントリが見つからず。かわりにミッチーの「今夜、桃色クラブで」とか歌って、差別化を図ってました。古い歌だけじゃないんだぞ、と。
 AZMさんは一発目がいきなり「オレンヂ、バナナ」だったので目が点。いやそうですか、kusukusuファンですか。おまけにリクエストに応えて、「元禄名槍譜 俵星玄蕃」のロングバージョン(紅白でやったセリフ入りのオリジナル版が新たに入った模様)を熱唱してくださいました。「オレンジ、バナナ」と「俵星玄蕃」を両方歌える人は日本広しといえどもたぶん10人ぐらいしかいない気がする。「玄蕃」覚えなきゃ。

 終電で帰宅し、玄関前に山積みになっていた乱歩賞の箱を開ける。原稿を一枚も書かずに新人賞下読みと座談会だけで生活するのが理想かも(笑)。原稿読んでるうちに眠くなったので寝ようと思ったら「ワレメでポン」やっててつい見てしまう。どうしても見てしまう。




【2月11日(金)】


 起きたら午後4時。
《本の雑誌》3月号はパソコン雑誌特集。対談は遠藤さんのインタビューとネタがかぶってましたね。遠藤インタビュー5ページとかでもよかった気が。写真がいい味出してます。
「41誌、一気読み」は、たくさん並べた甲斐があんまりなかったような。もっとたくさん書くか、バイヤーズガイド的に星取り表か一言コメントでもつければよかったのに。分類もやや疑問。この特集を読んだPC初心者の人は、やっぱり、
「その用途によって何がベストであるのか異なってしまうという事情だろうが、こちらとしてはそんなことはどうでもいいのだ。明確な結論が欲しいのである。はっきり言ってほしいのである。」
 と思うんだろうな(笑)。やっぱりASAhIパソコン?
 ちなみに目黒さんにはFileVisorは不要だと思います。ノート買ったんならとりあえずチューチューマウスかな。
 そういえば、Cashe Converterのバージョンアップが止まっちゃってIE5.0に非対応らしいんで、かわりのキャッシュ書き出し・ローカル再構築用のソフトを探してたんですが、本の雑誌編集部でぱらぱらめくってた41誌のどれかで、i.j IE5 Web Rebuilder っていうi.j氏のフリーウェアを発見。わりと高速で使いやすく、重宝してます。あとはIEでキャッシュにないファイルを選択したとき、自動的にローカルの再構築フォルダを探しにいってくれるような追加機能があると便利なんだけど。




【2月12日(土)】


 4時、銀座東武ホテルで翻訳入門関係の本のインタビュー。翻訳者として取材されるのはひさしぶりかも。プロになりたいならウェブでペーパーバック書評とかがんがんやってアピールすればいいじゃん、とか勝手なことを言う。それにしてもSF翻訳はほとんど新人が出てませんね。そもそも20代でプロデビューすること自体、減ってるのか。ヤングアダルトのマーケットがない翻訳業界は老化する一方かも。

 5時からすぐそばの高松本店で、T田氏@F桑社とK上嬢@H川の結婚祝賀宴会。SF/ホラー系編集者とミステリ系編集者の結婚ってことで、翻訳者・編集者多数。最大勢力はやはり元H川組か(笑)。
 推協麻雀大会でチェキを獲得したので、前から持ってたポケビ(Takaraバージョンのチェキ。違うのは名前だけで中身は同じ)を放出することにして、出席者の写真をばしゃばしゃ撮影、カメラごと新郎新婦にプレゼント。スリランカにも持ってったので、これでクラークとお揃いだね。
 余興はビンゴ。ホラー勢力が圧倒的に強い。他にだれもリーチさえ出てない状況で、「あ、おれ、ビンゴだ」と1位賞品を引き当てたのは風間賢二。3番目に上がったのは東雅夫だし。人数的にはかなりたくさんいたSF勢力はぜんぜんダメ。終わりのほうで三村美衣とか山岸真とか当たってましたが、あれじゃあね。
 その山岸は、マイクを持つなり、「どうも、年収二百万の岸田真一です」と、一部関係者以外にはまったく意味不明の挨拶。それともあれは、「TPOをわきまえないおたくの人」という役割演技だったのか?
 宮脇孝雄氏とはすごくひさしぶりにお目にかかりましたが、新婦担当の仕事でたいへんらしい。最後の新郎新婦の挨拶で、新婦いわく、
「本日は、せっかく皆様にお越し頂きながら、到着が遅れてゆっくりお話もできませんでした。たいへんもうしわけありません。これからまだ少々時間がありますので、みなさまのところに伺ってお話をさせていただきます。とくに宮脇さん。まだぜったい帰らないでくださいねっ。
 結婚パーティで来賓に原稿を催促するとは、見上げた編集者魂である。会場はやんやの喝采でした。しかしT田くんもこれからたいへんだなあ。

 終了後はSF組でルノワールにたまり、さらにラーメン食べて帰宅。


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