作成者 | BON |
更新日 | 2009/07/12 |
ここでは,水道関連の国庫補助規定について扱います。が,一気に全部造り込むような形では作業をできませんので,誤解を招きかねない場合もあります。あくまで入手した段階のデータ(2001年ごろ)なので,最新の情報は個別に調べてください。
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国庫補助の対象施設 とりあえず規定を引用。 |
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補助率 とりあえずメモから。 |
【参考】
歩掛からの引用。以前災害復旧の対象施設について調べたメモから。
(1)国庫補助対象施設
1. 次に定める施設及び当該施設設置のための必要な最小限の用地及び補償費
(1) 井戸,集水埋きょ,貯水池,取水ポンプその他取水に必要な施設
(2) 導水管,送水管,その他導送水に必要な施設
(3) 浄水池,滅菌装置その他浄水に必要な施設
(4) 配水池,配水管その他配水に必要な施設
(5) 飲料水供給施設(簡易水道再編推進事業にあっては,飲料水供給施設を布設し得る条件を備えた未給水地区内を含む。)にあっては,(1)から(4)までに掲げるもののほか,給水に必要な施設であって屋外に新設する部分。ただし,次に掲げるものを除く。
ア 給水栓
イ 立上り管
2. 1に掲げる施設には次の施設を含まないものとする。
(1) 事務所及び倉庫(工事施工のための仮事務所及び仮設倉庫を除く。)並びに門,さく,へい,植樹その他当該簡易水道の維持管理に必要な施設
(2) 給水装置
(2)災害復旧対象施設
災害復旧事業の対象となる施設は,水道法(昭和32年6月15日法律第177号)第6条または第26条に基づく厚生大臣の事業認可を受けた水道事業または水道用水供給事業経営者のうち,地方公共団体(地方自治法(昭和22年4月17日法律第67条)第284条第1項に規定する一部事務組合を含む。以下同じ。)が管理する水道事業または水道用水供給事業のための施設であって,且つ,次の施設にかかる建物,建物以外の工作物,土地,土地造成施設及び設備とする。
取水施設(井戸,集水埋きょ,取水ポンプその他取水に必要な施設)
貯水 〃 (貯水池,その他貯水に必要な施設)
導水 〃 (導水管,専用道路,その他導水に必要な施設)
浄水 〃 (浄水池,沈澱池,ろ過池,滅菌室,ポンプ室、その他浄水に必要な施設)
送水 〃 (送水管,送水ポンプ,専用道路,その他送水に必要な施設)
配水 〃 (配水池,配水管,配水ポンプ,専用道路,その他配水に必要な施設)
ただし,需要者に水を供給するため地方公共団体が設置した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具(消火栓,給水栓を含み,以下「給水装置」という。)並びに事務所,門,さく,へい,植樹その他維持管理のための施設は災害復旧事業の対象としない。
【参考】
歩掛を参考にしました。
(1)国庫補助事業と補助率
水道施設に関する国庫補助制度と補助率等については以下のサイトを参考にしてください。
大きく分類して,簡易水道(小規模な水道),水源地域の改善,水処理の高度化,災害対策や予防,の4種類の補助メニューがあり,沖縄など地域事情に応じた追加のメニューがある,という構成です。
石綿セメント管対策など,総務省枠で地方交付税交付金の起債充当枠の補助メニューもありますが,これは別途。
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水道施設の国庫補助金交付要領について@【厚生労働省健康局水道課】 私ごときが解説するより,国のサイトに掲載されている情報の方が正確でわかりやすいのです。 |
(2)補助対象費用
事業費のうち,他の補助の対象となったり私費で賄うべき部分を除いた工事の費用,及びこれに絡む調査費,事務費です。
20年間の減価償却費+支払い利息(=資本費という)を総有収水量で除して算出する。将来の20年間分,というのがミソなので,補助申請時の予測値になります。補助率算定意外に活用されている様子はないような気もしますが,資産の効率を図る目安ではありますし,なにより補助制度にも絡む数字ですから,PIに入ってもいいのかもしれません。
【参考】
実は,資本単価に関するメモを成仏させてやるのがこのコーナーの目的だったり。
(1)手順
補助事業の流れは以下のようになっています。
ポイントは,「工事予定についてヒアリング」の部分です。ヒアリング段階で工事費が出ていないといけないわけで,設計前に工事費を算定するという荒業が必要になります。補助金は変更してもらえません。そして,延長など条件が20%以上変化すると,たしか変更申請が必要になって大変面倒です。
補助金の支出を受けるためには一定の手続きが必要です。私が現場で申請書を書いていた時代はこの手続きはずいぶん大変だった覚えがありますが,最近ではこのあたりはずいぶん合理化されているようです。
補助金の返還が忌避された時代には,補助金をもらえる事業であっても,若干申請を減額して余裕分を設け,単独費用で事業を実施することが普通でした。この単独事業分を俗に「対象単独」といいます。
また,補助金は事業費の全額に対して支出されるのではなく,事業費のたとえば1/3が支出される場合,残りの2/3は自分で資金を用意しないといけません。この2/3を補助裏,といいます。
(3)書類の作成方法
厚労省への補助申請所やそのための設計書の組み方についてはそれぞれの県に規定があるのでそれに従うことです。基本的にはいわゆる歩掛(実務必携)に事細かに記載され,これに則ったものであることが必要です。
(4)補助返納
これからは水道も統廃合の時代。国庫補助を受けて整備した既存施設を,法定の処分期間の前に破棄したり,補助の主旨とは別の用途に移転する場合の処理はどうなるのでしょうか。
原則論としては,国の指示に基づいて,相当する施設の評価額のうち補助金分の比率を返納することになるようです。施設の評価額の算定方法はよくわかりませんが,これは国の指示を仰いでもらうことになるでしょう。
ただ,破棄される理由がやむをえない場合(自然災害等)や,その施設の破棄が全体としての効率改善に大きく資する場合(広域化など)については返納を免除されたり,他の事業に移転して有効に利用される場合(たとえば余裕水利権分の施設を利用する場合など)については相殺のような扱いを受けることもあるようです。ただ,この辺は,あくまでも裁量であり,噂にすぎません。具体的な手続きはしっかりと所掌の都道府県や厚労省に確認してもらうことが必要でしょう。
【備考】
5月7日修正記述修正。