ディスクレビュウ・ライト #16

薔薇と毒薬
高岡早紀
(1989年 日本)
作詞 森雪之丞
作・編曲 加藤和彦

c/w「パンドラの船」
作詞 森雪之丞
作・編曲 清水信之
(メガゾーン23。主題歌)

 今や「サッポロ一番」の顔になってしまった高岡早紀の4枚目のシングル。これジャケットがとても可愛いんですよ。昔からセーターフェチなもんで。ちなみに全体写真はベスト盤のジャケにもなってます。

 僕が勝手に決めた「高岡早紀シンフォ歌謡3部作」のトリを飾る名曲で、1989年当時、一番シンフォニックなアレンジの歌謡曲として(僕比)僕の心に響いてきました。
 当時のアイドル歌謡はブラス系の音色、ダンサンブルなアレンジが多く、あのブラス系のシンセの音色が大変嫌いだったせいもあり、とても救われたものです。
 3部作には、印象的で緊張感のあるヴァイオリンと憂いを帯びたアップテンポの2ndの「眠れぬ森の美女」(作詞:真名杏樹/作曲・編曲:加藤和彦)と一般的には(高岡早紀の歌と言う時点で一般的じゃない気もしますが)一番有名な高岡早紀の曲で久保田早紀(おぉ、早紀つながり!)の「異邦人」にも通ずる、イントロのストリングスがかっこいい3rdの「悲しみよこんにちは」(作詞:真名杏樹/作曲・編曲:加藤和彦)があります。
 そしてこの「薔薇と毒薬」です。これまた印象的なイントロのストリングスとサビで聞こえるホーン。「眠れぬ〜」「悲しみよ〜」では加藤和彦の日本的なインチキ臭い(超褒め言葉)本格的なヨーロピアンテイスト(笑)が爆発していましたが、こちらは結構歌謡曲的。でも3部作のなかでは一番派手なアレンジで、超ポップ。歌詞も森雪之丞に変わり、ここでもインチキ臭いヨーロピアンからの変化が見られます。
 その後の彼女の作品では室内楽っぽいシンフォ作品があるのですが、クラシック寄りになってしまっていて、僕のシンフォ歌謡、ポップスとしての評価はイマイチ。ポップスとしてストリングスとの融合が大事なんです。

 歌に関してはもうアイドルですからの一言なんですが、実際あまり上手いよりも「ゆらぎ」ですか、佐治晴彦先生じゃないですけど「1/f」がアイドル歌謡には大切です。