ポールマッカートニーのスチャラカな作品群が戻ってきた!
ノリ1発で作った様な曲をシングルにしてしまうスチャラカさ、クオリティの高い捨て曲(実は褒め言葉)の面白さを久々に聴いた!
前々々作、ELOのジェフ・リンと組んだ「FLAMING PIE」が期待外れ。曲が均質過ぎた上に曲自体の魅力がイマイチで全然マジックが起こって無かった事への失望。その次の「DRIVING
RAIN」もまたしかり。
なんかモヤモヤばかりが溜まっていたのであるがちょっと前作「CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD」が内省的でモノトーンな印象が(ジャケで左右されてるかな?)あったものの、曲が小粒ながらも今までのアルバムよりもクオリティが上がってきて、そこしモヤモヤ晴れました。そしてこの作品へとつながります。
曲は前作より以前に書かれ、一回お蔵入りになっていたものの、録音が済んでいた曲に新録パートを加えたり手直しをしたりしてよりクオリティをアップさせたらしい。
それでは曲を聴いていこう。しょっぱな1曲目の英国でのシングル曲が「?」って思わないでも無いのだが、全編聴いていくと確かにこれがシングルだと思う。なにせスチャラカな曲が多いなかこの曲が一番シンプルで分かりやすい。その分物足りなさも感じてしまうのは仕方ないのか。
アメリカでは2曲目がシングル。これが…妙にポールにしか作り得ないクオリティの高い捨て曲メロディなのである(笑)、僕は好きだけど。
全盛期に見られた「強引にメドレーにしちゃいました」(8〜12)とか「あからさまに妙な構成、サウンドであるのにポップ」な曲(6、8)があるのは嬉しい所。こういうのが欲しかったんですよ僕は。
こういうのがあるからシンプルな作品やバラードが生えるんですよ。嗚呼、スチャラカスチャラカw
で、12曲目のバラードで終わっときゃ良いのに妙な曲を最後に付け加えちゃう変なセンスが成功してるかわかんないけど「やっちゃった」のはこれも評価ポイント。
演奏面ではポールのベースがよく動いているのが嬉しい。昔ほどゴリゴリに目立つほど弾いていないのは曲作りの変化と整合性を持たせた故の判断なのでしょう。でもポールのベースのフレーズは聴き込むと味わい深いメロディが聴こえるので、2回目以降ベースのメロディを追ってみるのも面白いでしょう。単なるリズムキープだけで無いベースの面白さを体験出来ると思います。
サウンドも一回咀嚼してるからこそのプロダクションの多様さが目につきます。1曲の中で色んな音が鳴ってるし、歌、ノリに頼っていた今までよりも音作りが面白くなっているのは聴き所です。(この辺は僕の偏った意見です)
そうは言っても核になる作品がイマイチ物足りないのは曲が小粒なのか、アルバム全体を見て判断するべきなのか。70年代のアルバムに2曲は入っていた大ポップな曲が欲しい所である。そう考えるとポール完全復活はまだ遠い所なのか。
でも近年ではとってもいいポールの作品です。低迷時期に離れてしまった方にぜひ。
●追記:日本盤CDに付いている解説は昔の曲とちょっと似ている部分を引用する意味不明な比較手法や上ッ滑りなべた褒め等トンデモ満載かつ強引で「ある意味」面白いのだがちょっと…な部分が多く僕は嫌いな解説。今作にかぎらず、ビートルズクラブの解説はどうにも僕には肌があわない。ビートルズ関係をこいつらの専有物にしないでもっと違う人の面白い解説を読んでみたい。それじゃ無かったら情報のみとかね。
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