HOSPITAL

GARY YOUNG

1994年 アメリカ



1. PLANT MAN
2. 1ST IMPRESSION
3. MITCHEL
4. FOOTHILL BLVD
5. REAL KRILL
6. WARREN
7. HOSPITAL FOR THE CHEMICALLY INSAINE
8. BIRDS AND TRAFFIC
9. WHERE ARE YOU AT?
10. RALPH(THE VEGETARIAN ROBOT)
11. MISSING IN ACTION
12. WIPE OUT
13. 20TH DAY
14. GERRI
15. HOOKS OF THE HIGHWAY
16. PLANT MAN(SINGLE VERSION)
17. STOCKTON HAUSEN MOVEMENT 1
18. WHERE ARE YOU AT?
   (ALTERNATE TAKE 2)
19. PLANT MAN(SCAT MIX)

 

 一部マニアの間で「オヤジ」と親しまれていたペイヴメントの初代ドラマー、ギャリー・ヤングの初(にして唯一の?)ソロアルバム。はっきり言って好事家(僕か?)かよほどのペイブメント好き出なければ多分買わないだろうの本作。買っといて正解です。 聴いていて面白いんですよ、これが。
 メインストリームからは全く外れているし、感慨が起る様なアルバムではありませんが、その存在自体が面白いんですよ。

 ツアーバスのサンルーフから逆立ち両足突き出したまま帰路事件やライブ前の謎の野菜配付行為などの奇行ばかりがクローズアップされていたせいなのか、このアルバムに対する評価も「奇」の一言がまとわり付きがち。レコード会社の英断とか勇気ある行動だとかそんな言われ方もしちゃってます。
実際の所、その天然奇行ぶりに見合うかの様なキテレツ楽曲や思い付きともとれる楽曲の数々。それがさらに拍車をかけちゃったのでしょう。
 でも、そんな中でもしっかりとした楽曲もあったりします。本人はプログレ好き。でも日本で言う所謂「プログレ系」とは違ったある種のアバンギャルド音楽の方がお好みなのでは。微妙な例えが「ケビン・エアーズのプログレ感覚っぽい」って非常に解りづらいですね。
 
ある種の浮遊感、弾き語りや唐突な展開、イメージの洪水の様な各曲のつながりは近いモノがあります。良く言えばサウンド・コンクレート、悪く言えば支離滅裂(笑)。
 ボーナストラック(17)なんかタイトルからお解りになる通り、シュトックハウゼン的なミュージック・コンクレートの作品だったりもするし、よく聴いていくと、ガレージ、サイケ、電子音楽〜プログレといった彼の基本底流が聴いてとれます。青年時、ヒッピーらしかったこともあってその辺の音楽シーンにかなりの影響を受けているのではないかと察する事も出来ます。ホームメイド感覚や彼のドラミングの特徴である、奇妙なヨレ具合もまたイイ味です。
 その上での感想、「なんだ、しっかりしてるじゃない、オヤジ!」

オヤジの勇姿はこちら(裏ジャケから)

 こんな作品が出るのは確かにレコード会社の英断。普通に言ったら日本盤なんか出ませんよね。日本でおもいっきり盛り上げて盛り上げて出ちゃったんでしょうね、本人も乗り気になって。レコード会社の思惑や制約なんかなく本人が自由に好きにやってるからこその面白い作品。声にクセがあるのでちょっと引く向きもありますが、興味をもたれたらぜひ。でもまだ売ってるかなぁ?