'98.12.31 |
- 12/31なので「今年は …… 」という1年を振り返るような更新だと思った方は、大間違い。
年の暮れに大事件。
これまで、未解決だった、合同数37、61、62の具体的表現が見つかりました。
- 合同数について簡単に説明すると、3辺が有理数の直角3角形の面積として表される整数のことです。
直角3角形の直角を挟む2辺をa、b、斜辺をcとすると、a2+b2=c2が成り立ちます。
この2次不定方程式の解は完全に求められていて、一般解は、
a=d(m2−n2)
b=d(2mn)
c=d(m2+n2)
となります(d、m、n は任意の自然数。特にd=1のときを原始的な解と呼ぶ)。
このとき3角形の面積は、s=ab/2=mn(m+n)(m−n) なので、合同数をgとすると、
k2g=mn(m+n)(m−n) となる m、nを見つければよいことになります。
一番 primitive な方法は、m、nをループでまわし、s=mn(m+n)(m−n)を求め、
それを2乗因子で割ればいい訳です。ただこの方法は、mの4乗のオーダなので、
探査範囲を1桁上げるだけで計算量が10000倍となり、計算能力(CPU)の向上ぐらいでは不可能です。
それで、今回見つけた、37、61、62についての m、n の値は、
37 : 779689, 776161
61 : 22806729, 1852321
62 : 39200, 22801
です。
試しに、まず、mn(m+n)(m-n)を計算し、それが37他で割り切れるころ、及び、
割った結果の平方根が確かに整数になることを確認してみてください。
62の場合が辛うじてしらみつぶしの範囲、61に至っては、今後とも多分計算不可能です。
これらの値をいったいどうやって求めたのか?
当然、単純なしらみつぶしではありません。
- ことの発端は再プログラミングです。
まず、m、nに関する枝刈りの条件のところで、
m、nが互いに素のとき、
m、n、m+n、m−nから2つを選んだものは全て互いに素となる。
というのが、一般には成り立たないということ、
(m、nともに奇数のときは、gcd(m+n,m−n)=2>1)
これがきっかけで、条件を1つ見直すつもりになったこと、
またプログラムを直す過程で、探査が尽くされていないことに気づいたこと。
これらに気がついた時、一瞬いやな予感がしました。
そして、これらを反映したプログラムを走らせて、37についての解がはじき出されたとき、
最初は自分の目が信じられませんでした。
そして、検算して正しそうだということが明らかになるにつれて、
この7年間、この問題はこれ以上進みようがない、と思い込んでいたのが
とんでもない誤解であったことが判明してきて、だんだん恐ろしくなってきました。
まさに、
チューニングは、もうこれ以上やりようがない、
と思ったところが出発点である。
というのを、再認識したどころではありません。
- という訳で、年明け、合同数の章を更新します。
まだ、かなり計算が残っているので、1月いっぱいぐらいかかるとは思いますが、
いったい、どのぐらい、新たな解が見つかるんでしょうか。
それよりも、何故、今まで気がつかなかったのでしょうか。
今(これを書いている今も)、脳の70%ぐらいは、この問題に使っています。
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'98.12.28 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
といっても、Wol4 60(79桁)を苫米地factorで分解した1個だけ。これでも35時間かかっています。
直接分解は次の80桁あたりが限界か。
円分数114はあいかわらず進展なし。
これについては鵜飼さんからメールがあり、3個重複があったものの、7個つぶれました。
- 『読書記録』更新。
いろいろ積読はありますが、雑誌なので旬のうちにと思い、買ってすぐ着手しました。
雑誌といえば、先日創刊の『電撃hp』(メディアワークス)。
「高畑京一郎待望の新作」ということで、衝動買いしようと思った別の本を押しのけての衝動買い。
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'98.12.21 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
!n は、依然1個も見つかりません。今週は、円分数114も1個も見つかっていません。
(今週も同じことを書くはめになるとは)。完全に煮詰まったような感じです。
- 川原 泉『小人たちが騒ぐので』購入。これを見て、よくわかったこと。
ネタがないのに、無理矢理書き継ぐのは、見苦しい。
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'98.12.14 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
!n は、依然1個も見つかりません。今週は、円分数114も1個も見つかっていません。
明るい話題としては、j(τ) 324, 332(両方とも、77桁)が、苫米地 factor で 19hr 程度で分解できたこと。
この程度の時間で分解できるなら、Wol2 の78桁とか、Wol4、j(τ) の79桁もやってみる気になります。
- 『読書記録』も久しぶりの更新。
感想はあっさりとしか書いてありませんが、なかなか面白かった。
- 12/11 の彼彼のエンディングは、JR南武線です。
川崎から立川に向かって右に座ると、あの風景が見えます。
後半に出てきた駅は川崎駅。
もっと、じっくり見ていくと、川崎近辺の具体的なものがいろいろ見つかるかも知れない。
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'98.12.10 | |
'98.12.07 | |
'98.11.30 |
-
Appendix 1. 素因数分解結果更新。
- 『楕円曲線上の有理点』。
楕円曲線というとよく紹介される「和の定義」の一歩手前まで来ました。
- 古本の掘り出し物2冊。
- パオロ・ロッシ
『魔術から科学へ』
サイマル出版会絶版特集、というコーナーが組んであり、完全に新刊の状態で、
なんと100円。
- 井辻 朱美
『エルガーノの歌』
状態は少し古くなっていますが、これも、180円。まさに量販店ならではの価格設定。
三月由布子のイラストも、裏表紙の本人の写真も、なかなかいいです。
これで、井辻朱美の文庫が全部そろいました。
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'98.11.26 | |
'98.11.24 | |
'98.11.17 | |
'98.11.09 |
- またいつものページ
の定期更新です。
- このページに関するネタを2つ。
- Yahoo Japan で「密室」というキーワードで検索すると、森 博嗣の浮遊工作室と、
数学者の密室が並んで表示されるそうです。
私のページに辿り着くパターンは、これが一番多いのではないでしょうか。
タイトルの方針が似ているし、中味を見てみると文体もなんとなく似ている。
内容は建築ではないが、専門の話を受けも気にせず延々と展開していく様子は、
まるで、犀川助教授が実在しているようだ ……
並んで表示されるというのは完全に偶然ですが、それにしても
「おもしろいねえ。実におもしろい」。
- 数理科学 11月号「数式処理とその周辺」、渡辺隼郎「Maple V と Mathematica との比較」で、
Pell方程式の解のプログラムのところで、私のページが引用されています(P.49)。
会社で、たまたまこれに気がついた人がいたのでわかったのですが、そうでなければ、
買い逃すところでした。
ちなみにプログラムの先頭はコメントですが、それでも省略せず、
10 ' pell equation's solution by continue fraction method
と引用して欲しかったと思います。
10 ' pell continue
では何のことかわかりません。
- 11.06 付けで異動になりました。
いろいろ書きたいことがあるのですが、別途詳しく。
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'98.11.02 |
- 『読書記録』更新。
- 『積読』には載せませんでしたが、星野之宣の『宗像教授伝奇考』第四集。
file.23 の「魔将軍」がなかなかよかった。綱吉の話ですが、これは事実なんでしょうか?
- 実は、私、というより「三島」という姓は、綱吉と関わり合いがあります。
森岡 浩『日本人の名字』日本実業出版社、の P.75「同姓の家が圧倒する村」に、
岐阜県武儀郡板取村では「長屋」という姓が多い、ということが紹介されており、
次の頁には「板取村姓ベスト10」という表が出ていて、第2位は「三島」となっています。
人口約1500人のうち約70%が「長屋」、15%が「三島」、あとは鈴木、田中等、普通の名字で
(ただし、太田という名字も割と多い)、大体10種類ぐらいしか、名字が存在しません。
私の曾祖父は、ここの出身です。
それで、村役場発行の『板取村史』の中に、これらの姓の由来が書かれており、それによると、
板取の三島姓は綱吉の時代に溯り、当時は江戸に住んでいたが、なんと犬を殺してしまい、
岐阜の山奥に逃げてきて住み着いたのが始まり、ということです。
よりによって、綱吉の時代に、しかも、犬を殺してしまう、というのは、
- 誤って殺した、或いは、やむにやまれぬ事情で殺した
- (反骨精神から)故意に殺った
- 偶然、殺したことにされてしまった
(飼っていた犬が病気で死んだ、或いは馬に乗っているとき、犬が突っ込んできた)
- ……
等、いろいろ考えられますが、どういう理由であれ、普通でないことは確かです。
この謎めいた運命を辿った自分の先祖に、ひじょうに興味を感じます。
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'98.10.29 |
-
Appendix 1. 素因数分解結果
Euler数、Bernoulli数、円分数、円分多項式を計算するためのプログラムを掲載しました。
これらは以前から公開していたものですが、今回新たに、
楕円モジュラー関数j(τ) の係数計算のプログラムを載せました。
- 『読書記録』更新。
レムの『GOLEM XIV』はおすすめです。
ついでに、『レムの宇宙カタログ』も探し出して、
『新しい宇宙創造説』『手記』を読むことをすすめます。
人類の創造力の限界と云っても誇張ではありません。
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'98.10.27 | |
'98.10.21 |
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Appendix 1. 素因数分解結果、
『読書記録』と、いつもの定期更新のみですが、
『読書記録』の方は今回はおすすめです。
かなり、詩に関するイメージが変わると思います。
- 私と同じ年代であれば『タイム・トラベラー』と云えばある種の感慨が浮かぶと思いますが、
最近、その録画(ただし最終回のみ)が発見されたようです。
検索エンジンで探すことができますが、中には、その音声データが公開されているところもあり、
あれが聞けるのであれば、ダウンロード時間などどうでもよくなります。
ラベンダーといえば、富良野ではなく、トカリベツ。
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'98.10.19 | |
'98.10.13 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
昨日から掲載した、楕円モジュラー関数のフーリエ展開の係数について、整形が完了しました。
いくつかは追加もあります。
Euler 数 106 について、Allan MacLeod <MACL-MS0@wpmail.paisley.ac.uk> から報告がありました。
メールの中では、PRP test しか実施していないと書いてあったので、一応 APRT-CLE で調べたところ、
確かに素数でした。
- Web更新も、たまに気分がのらなかったり、妙に疲れたりすることがあります。
私の場合、それは、日曜の深夜、風呂上がりでビールを飲んだ直後、という執筆環境に原因がある
と思っていたのですが(まあ、それが主原因だとは思いますが)、実は入力環境自体にも問題がある、
ということに気が付きました。
まず、マウス。
机、本体、パソコンデスクの位置関係から、ほとんどケーブルが伸び切っており、
かつ、キーボードの横のスペースが少ないので、マウスがひじょうに使いにくい。
よって、キー入力が主体となる(ただし、これ自体は別に気にしていない)。
一番大きな原因は椅子にあります。
今使っている椅子は、ミシン机用の木の椅子であり、背もたれが動くこともなく、
座席部分もクッションはなく、当然、キャスターなどはついていません。
よって、体が同じ姿勢のまま固定されることとなり、これが原因で疲れが蓄積することとなります。
そこへいくと、会社の椅子は、長時間座っていても、あまり疲れることはありません。
適当に作っているように見えて、実は人間工学的に考えられているということがよくわかりました。
という訳で、パソコンの前に座っていて、なんとなく疲れるような感じがするなら、
まず、椅子(&座り心地)を改善することをお勧めします。
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'98.10.12 | |
'98.10.05 | |
'98.9.28 | |
'98.9.21 | |
'98.9.19 | |
'98.9.16 | |
'98.9.15 |
- 数論的アルゴリズム追加。
Wieferich 素数の話を追加しました。
フェルマーの小定理により、任意の素数pと、pと互いに素なaについて
ap-1≡1(mod p)
が成り立ちます。
では、
ap-1≡1(mod p2)
が成り立つような、a、pの組は存在するのか?
これが成り立つようなpを、Wieferich 素数と呼びます。
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'98.9.14 | |
'98.9.13 |
- 『表紙の言葉』更新。
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
今回で、一応150桁以下の数について全て掲載しました。ECM で curve 5 まで。
まだ地均し以前の、雑草を伐採している状態です。
それから、Igol Schein からの Wolstenholme , Bernoullli を更新しています。
- 『読書記録』更新。
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'98.9.8 | |
'98.9.7 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
ΠPn±Nextprm の100桁以上を追加しました。
それから、Igol Schein からの Wolstenholme , Wolstenholme2 を更新しています。
- 『読書記録』、
『積読寸評』は久しぶりの更新。
- 『枕草子*砂の本』数学者の休日3掲載。
- 札幌から戻ってきて何日かだるい日が続き、体が全然動かない。
暑さのせいにしては変だな、と思って熱を計ってみると、確かにあった。
まだ、完全には回復していません。
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'98.9.1 |
- 数論的アルゴリズム追加。
円分数の素因数分解プロジェクトに対する援護射撃として、
円分多項式、円分数を求めるためのプログラムを掲載しました。
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'98.8.29 |
- Appendix 1. 素因数分解結果更新。
京都大山崎氏より報告があり、ついに、100桁以下の完全分解が完了しました。
それにしても、最後の詰めの部分は、山崎、苫米地両氏の協力による部分が大きく、
あらためて、御礼申し上げます。
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'98.8.20 |
- 『表紙の言葉』更新。
今回紹介した作品は、今、文庫では絶版になっていますが、図書館で探してでも読む価値はあります。
ちなみに、ある読書アンケートで女子大生が好きな作家として「小川国夫」をあげていて、
なかなか渋い選択だな、と思ったら、「後は、片岡義男」となっていました。
それって、ただ単に、バイクで飛ばすのが好きなだけ、なんじゃないのか?
- 8/21 より、遅い夏休みに入ります。8/24 の定期更新はありません。
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'98.8.19 | |
'98.8.17 | |
'98.8.14 |
- 久しぶりの2日連続更新。
Wolstenholme 1 の素因数分解について、n=350 まで掲載しました。
n=233〜300、
n=301〜350。
(IS)は、Igor Schein (igor@txc.com) による結果であることを意味します。
- 『読書記録』、
『積読寸評』はいつものとおり。
こういう文も含めて、Igor Schein は読んでいるんでしょうか?
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'98.8.13 |
- 『楕円曲線上の有理点』3章 有理数解を求めるためのアルゴリズム・プログラム 掲載。
表の方もいろいろメンテしています。
- 『リンク集』更新。
Igor Schein の Wolstenholme 数の素因数分解に関する結果をリンクしました。
- 吉報と訃報。
吉報。
『サイボーグ009 天使編』の続きを、息子の小野寺丈氏が小説化する、
というニュースが8/11の読売新聞の夕刊に載っていました。
なんだか数年前の『虚無回廊』の続編執筆についての騒動を思い起こさせますが、
ぜひとも実現してほしいと思います。
訃報。
将棋の村山 聖 八段死去。29歳。
彼は、まさに不世出の天才です。
10年程前、私の高校の1年後輩の小野敦生 五段がやはり20代で死んだときは、
将棋界の外ではほとんど話題になりませんでしたが、某棋士の不倫騒動が週刊誌やTVを賑わす今、
形だけでもよいので、取り上げて欲しいと思います。
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'98.8.10 | |
'98.8.6 | |
'98.8.3 |
- 京都大 山崎氏より、久しぶりに素因数分解の報告があり、こちらを更新しました。
残りは1個。
- 素因数分解については、初の海外からのメールがあり、やはりこちらを更新しています。
- 『CDレビュー』は近々更新しますが、7/31に掘り出し物。
まず1枚目は、川村万梨阿の
『CANARY』
。
『春の夢』
のようなドラマチックな盛り上がりを見せる曲があり、
まさに、まぼろしの名盤と呼ぶにふさわしい(残念ながらミュージックテープ)。
それから、松浦有希の
『星に願いを』
。声がまだ若くてかわいい。
この時点で目を付けていた人は、かなりのマニアと呼んでいいでしょう。
はやく「トランス・パランス」と「しあわせな き・ぶ・ん」の
セルフ・カバー・バージョンが聞きたい。
(「トランス・パランス」は、やっぱり「Transparence」なんだろうか?)
それにしても、こんなの今どき、どこを探しても絶対に見つかりません。
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'98.7.27 | |
'98.7.24 |
- 『表紙の言葉』変更。
回を重ねること14回、かなりファイルサイズもでかくなってきました。
- ふと思い付いたのですが、『表紙の言葉』を分割して、
それにデジタルカメラで撮った写真等を添えると、
なかなか美しいページになるのではないかと……。
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'98.7.20 | |
'98.7.13 |
- 『楕円曲線上の有理点』
2章 y2=x3+k(−100≦k≦100)の整数解・有理数解 掲載。
アルゴリズム、プログラム、整数解、有理数解を掲載しました。
まずは小手調べです。こういう primitive なやり方では、すぐ限界が来ることは明らかです。
しかし、
1個目の整数解・有理数解を求めるためには、基本的にこの方法しかありません。
(誰か、否定して下さい)。
有限位数の解、ということであれば、別の方法があります。
ちなみにタイトルは『楕円曲線上の有理点』の方がふさわしいので、変更しました。
- 『積読寸評』更新。
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'98.7.6 | |
'98.7.2 |
- 『楕円曲線入門』。
1章 楕円曲線の標準形掲載。
6/29 は時間が無くて書けませんでしたが、今回は違います。
目次に示した範囲は元ネタが出来ていますが、『数密』の時のように息切れしないように、
2〜3週間ぐらいのペースで更新していこうと思っていますが、
勢いで書いてしまうかもしれません。
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