●観光地百選シリーズ●

Tourist Promotion Series (1951-53)

日本の代表的な観光地を紹介するシリーズ。
1950年、毎日新聞社が全国アンケートで有名観光地を選んだ。
観光地の関係者が、競って多数の葉書を差出しため、7750万通
もの応募があり、郵政省は大喜びした。

このシリーズは、山岳・平原・温泉など10部門で各1位に
選ばれた観光地を図案としたもので、全10集(計20種)。


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●蔵王(山岳)●

 ●蔵王国定公園(1963年指定)は、山形県・宮城県にまたがる蔵王山を中心とする山岳自然公園である。壮大な火山景観と樹氷、また温泉とスキーで知られる。「蔵王山」は、奥羽山脈中南部に位置し、「北蔵王」「蔵王連峰」とも呼ぶ。那須火山帯に属する活火山で、熊野岳(1841m)・馬ノ背・刈田岳と連なるのが外輪山で、御釜(火口湖)、五色岳(中央火口丘)で構成される複式火山。南蔵王や地蔵岳は、亜高山性針葉樹林に覆われ、特に西斜面のアオモリトドマツには、冬に「樹氷」が形成される。

 ●樹氷:「霧氷」は、その形成機構から、「樹氷」「粗氷」「樹霜」を区別される。かっては樹木の枝などに付着する氷を、総称して樹氷と呼んだ。樹氷は、過冷却の水滴が、樹木表面に付着して凍結してできる。大きな樹氷は「monster」と呼ばれ、蔵王山のモンスターが有名。斜面のアオモリトドマツに、冬の季節風に伴う雪まじりの雲霧が、長時間、吹付けて形成される。

●赤目四十八滝(瀑布)●

 ●赤目四十八滝は、三重県名張市にある滝。見事な安山岩の柱状節理をみせる深い峡谷に、「霊蛇滝」「不動滝」「柿窪滝」など大小多数の滝が約4kmにわたり続く。日本サンショウウオセンターを起点とし、往復4時間のハイキングに最適な行楽地である。切手図案は、8円が「千手滝」(せんじゅのたき:起点から800m)、24円が「荷担滝」(にないのたき:同2605m)。1970年に、室生赤目青山国定公園として指定された。

 ●室生赤目青山国定公園は、奈良県〜三重県にまたがる国定公園。室生火山群、高見山地、青山高原などを含む。新第三紀の噴火による火山灰が堆積し、自身の熱で溶結した「室生火山岩」からなる。柱状節理などの地形を示す。天然記念物の「屏風岩、兜岳および鎧岳」があり、また青蓮寺川の香落渓・奥香落渓、滝川の赤目四十八滝などの景勝地がある。また大野寺や室生寺が、公園地域に含まれる。

●和歌浦・友ケ島(海岸)●

 ●和歌浦は、和歌山市南部にある海浜。古くからの景勝地で、聖武天皇行幸の際に、山部赤人が詠んだ「和歌の浦に潮満ちくれば潟をなみ……」が有名。片男波(かたおなみ)とよばれる砂嘴が南に長く延びる。できたばかりの浜の意味で、「若の浦」「弱浜」(わかのうら)とも記された。『枕草子』に「浦は和歌の浦」と書かれた。かつては島であった玉津島の「玉津島神社」は歌枕の地である。玉津島の東方に「観海閣」のある小島があり、玉津島と三断橋で結ばれる。また玉津島から片男波へは「不老橋」がかかるが、最近の道路開発によって、旧景観が破壊されてしまった。周辺には東照宮や天満神社がある。1995年のNHK大河ドラマ「吉宗」で、東照宮などが有名になった。湾内はノリ養殖地で、カマボコも名産。大正初め頃から西方の「新和歌浦」が観光開発されて旅館も移ってしまった。新和歌浦と友ヶ島は、瀬戸内海国立公園に含まれている。8円切手は「観海閣」。

 ●友ヶ島は、和歌山市北西部、紀淡海峡の中央部にある島。沖ノ島(1.4ku)、地ノ島(じのしま:1.06ku)およなどからなる。並ぶ二島から「友ヶ島」と呼び、古歌には伴島(ともがしま)、妹島(いもがしま)とも詠まれる。和泉山脈の延長で、海没部分の山頂にあたる。沖ノ島の最高点は120mで、修験道の行場跡がある。明治から要塞地帯であったが、戦後は瀬戸内海国立公園に編入され、観光化した。地ノ島は無人島だが、沖ノ島には旅館があり、加太港から船で約25分。魚釣りの名所。24円切手の図案は沖の島の「野奈浦」。

●長崎(都邑)●

 ●大浦天主堂(8円切手)は、長崎市南山手町にある現存する日本最古のカトリック教会堂。1864年、宣教師フューレは、仏人居留民のための教会堂を建立。翌1865年(慶応1)2月、長崎で殉教した「日本二十六聖人」(1597年)に献げた。当時は「フランス寺」とも呼ばれた。3月、浦上村の一団がプチジャン司教を訪ね、カトリック信者であることを告白した。「信徒発見」である。250年にわたり密かに信仰を守り続けてきた隠れキリシタン達が現れたのだ。1945年、原爆で破損し、1952年補修再建された。1933年と1953年に国宝指定。

 ●崇福寺(24円切手)は、長崎市鍛冶屋町にある黄檗宗の寺院。号は聖寿山(しょうじゅさん)。福州寺(ふくしゅうでら)とか支那寺(しなでら)とも呼ぶ。本尊は釈迦如来。1632年(寛永9)、長崎在住の中国福建省の商人=王氏らが福州人の菩提寺として創建し、明の僧=超然(ちょうねん)を招いて開山。1654年、隠元(いんげん)が来朝し、翌1656年この寺に入る。さらに1657年、隠元の弟子の即非如一(そくひにょいち)が来朝して入寺し、堂宇を営造した。本堂にあたる「大雄宝殿」と「第一峰門」は、明末の様式の黄檗宗建築で国宝指定。三門・護法堂・鐘鼓楼・媽姐門は重文指定。

●錦帯橋(建造物)●

 ●錦帯橋(きんたいきょう)は、山口県岩国市の錦川(岩国川)に架かる橋で、日本三奇橋の一つ。国の名勝に指定。5個の反り橋からなる木造橋。木材を組合せ、巻金と鎹の他は、釘は1本も使わず、優れた構造の美しい橋である。橋幅5m、橋面に沿った長さは210m、橋台の高さ5m。

 1673年:岩国藩主=吉川広嘉(きっかわひろよし)の代に創建。翌年に流失するが、同年再建。甲斐の猿橋や中国の『西湖志』の六橋をヒントしたという。武家屋敷のある横山と城下町の錦見(にしみ)を結ぶ城門橋であった。20年毎に架け替えられていた。

 1950年:観光地百選の建造物の部の第一位に選ばれたが、同年9月14日のキジア台風による洪水で流失。直ちに復元に着手したが、切手発行は、1953年の再建完成まで延期された。1953年:現在の橋が再建され、1月15日に渡初式。河床敷石工事完了後の5月3日に竣工祝賀式。

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