晩秋の丹波・とんがり山へ北尾根から          

 
とんがり山
■目的地:とんがり山(620m)<山域:丹波・篠山市今田町>
■日にち:2007年11月25日(日)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  四斗谷 林道舗装終点 発(10:15)〜堰堤の脇(10:20)〜林道終点(10:25)〜689m山(11:25-11:40)〜
  644m山(11:50)〜607m山東手前の岩(12:30)〜607m山南の露岩Ca575m(12:45-13:10)〜
  570m山(13:25)〜西寺山分岐Ca575m(13:40)〜とんがり山(13:50-14:10)〜妙見宮跡(14:30)〜
    薬師堂(14:40)〜林道〜ため池の脇(14:55)〜駐車地 着(15:10)

 丹波の名山・白髪岳は10年振り。今回は未登のとんがり山まで尾根伝いで廻ってみたいなと思った。
朝起きると、遅い時間。ぎりぎり歩き通せるかなと支度もそこそこに出発。途中の山々がいい色に黄葉しているので
ついつい遠回りして、いろんな山を眺めていってしまった。羽束山、有馬富士、千丈寺山、焼山、虚空蔵山、
和田寺山、そしてとんがり山と白髪岳。

 四斗谷の集落を抜けると静かな林道が続き、きらびやかな黄葉の中を行く。舗装が終わり竹林がそばにある。
たぶんこのあたりが尾根の取りつきに考えていたところだろう。しかし、ちょっと自信が持てない。
車で来たから周りをあまり確認できていなかった。東側は電柵のはり巡らされた田んぼ。その先は植林。
うーん、今から場所を確認していたのでは、更にスタートが遅れてしまう。
ショートカットと場所の確定を兼ねて砂利道の林道をたどって行くことにした。植林が続くのは地図で容易に想像つくが、
我慢しよう。すぐに地図にある堰堤の横を通り、薄暗い植林を抜けて林道終点に着いた。
 
地図にある堰堤 Ca305m
 ここから更に細い道がササやぶに入っている。が、気が進まない。右の枯れた沢を渡って植林の中に踏み跡が
ある様子。白髪岳に近い方角なのでこちらにする。薄暗い植林だが下草が無く、比較的手入れされているので
見通しも利く。尾根沿いへ歩いて行くも斜面がきつくなってきて、徐々に西寄りになる。とうとう沢を渡って本来の細い道を
行くようになってしまった。ヤブは無くなっているので温和しく道なりに行こうとしたら、黄色いテープが杉の木に巻いてあり
白髪岳を右に指していた。なんだぁ、よく人が入っているのかなと、ホッとするような落胆するような微妙な気持ち。
薄暗い植林の歩きはまだまだ続くのです。

 そんな植林の中に緑の草が少しだけ茂ったところがあった。祠か何かあったのだろうか、崩れた石垣とも
見れるような苔むした石も残っている。枯れた沢を渡り返して廃道のような山道を行く。植林の下は踏み跡が
明瞭だけど古道なのか仕事道なのか判別できない。右寄り加減にコースを採ってきたら、やがて谷が狭くなり
植林の先に雑木林が明るく見えるようになってきた。
 
植林から雑木へ Ca305m
 さてこの谷はどちらに行こうか、既に道といえる踏み跡はないが、どちらにも上って行けそうだ。右の斜面が
より白髪岳に近いとは判るものの、険しそうなので安全をみて左斜面に取り付く。こちらも獣道はあるものの、
段々急勾配になってくる。丹波らしい雑木のヤブである。なつかしいなぁ。

 枝を掴んで汗を出しながら登っていく。まだ黄葉が残り、黒い白髪岳の影に映える。明るい尾根が近づいてきた。
尾根に出ると綺麗な落ち葉の道がついている。予定の縦走路上で、689m山の近くと思われる。11時20分。
ここから白髪岳は時間的に諦めるとして、とりあえず689m山まで行ってみる。白髪岳から松尾山のルートは
この山をトラバースしているので、低木に囲まれた静かなピークであった。
 
689m山
 さて一服、おにぎりと水分補給。少し早い時間かなと思いつつも無線を入れて低徘を呼ぶと、TQFさんがホームから
応答して頂いた。まだ先があるからとお気遣い頂いて、いよいよ縦走に入る。
快適な落ち葉の道を下り、先程飛び出してきた地点も過ぎ、644m山との鞍部Ca605mに着く。北側は鬱蒼とした植林。
南は目映い陽射しの雑木林。この雑木林の斜面に植林から上ってきた道があるかは、落ち葉に覆われ判らない。
一方、少し登った平坦地には明瞭な踏み跡が南西に下りていた。

 644m山も低木が生えているものの、その上から見晴らしが得られる。西にはこれから向かうCa640mのふたコブが
ふわふわした雑木を被って待っている。ここは北へも尾根が派生するが真っ直ぐ西へ下りていく。テープも着いた
落ち葉道です。道は低木で覆われ展望はありません。これから先、ほとんどがこんな感じ。木の間から見えるCa640mが
段々近づいてきてその雑木林にワクワクします。よく見ると北面はもう葉を落としています。東の方には登るつもりだった
白髪岳がすっくと聳えています。
 
Ca640mのふたコブ
 Ca640mのふたコブはどちらも丹波らしい低木に囲まれた落ち葉のピークでした。残念ながら展望はありません。
二つめのピークから南西に採りますが、この斜面は今までと様子が違ってすこしヤブっぽい雰囲気です。
でもテープが着いているので拍子抜けします。尾根を下っていくと若い植林の鞍部。以前は峠道だったのか
北の方にはえぐれた道の跡があります。登り返しは相変わらず植林ながら下草のない歩きやすい尾根。

 次のコブであるCa645mは、北面を巻く道があったので素直に進みます。少しヤブっぽくなって、緩い鞍部から
南側に出ます。南面の陽射しの中にわずかな露岩があり、南から東に展望があります。白髪岳もだいぶ
離れてきました。正午も過ぎたので日向ぼっこで昼食にしたいところだが、もう少しがんばってみよう。
再び植林に入り、607m山は少し手前で南に巻く。次のCa595mは東に巻き道があるようだが、できるだけピークを
越えていくことにする。
 
露岩Ca575mからとんがり山
 更にその南、Ca575mも東の植林に微かな巻き道がある様だが、ピークが明るい。
松の幼木の庭園状になっており、その先は露岩。とんがり山の絶好の展望地である。腹も減ったのでここで
昼食にする。もう遅い時間なので無理かなと思いつつ無線で呼ぶと再びTQFさんが応答して頂いた。
朝から誰にも会っていないので、人と話すとホッとする。空から見守られているような感じである。
白髪岳は枝に隠れてスッキリと見えないが、これから歩く尾根やとんがり山、南の西寺山、西光寺山など
静かな山並みが暖かい陽射しの中、にわかに霞んで見える。

 岩を下りて植林を登り返しすぐにCa565m、雑木のコブです。ここまで頻繁にコブがあり地図から目が離せなかった
のだが、この先は比較的のんびりとした尾根歩きになりました。道も踏み跡明瞭です。常緑樹やモミの木が目立ちます。
そのため少し薄暗い道でした。570m山の手前ではササも出てきますが、今は枯れています。
先程のCa575m露岩からはいい感じの雑木尾根に見えたのですが、黄葉は斜面の下だったり樹冠の方だったりで
尾根の直近はさほど彩りは楽しめなかった。この地味さ、かつて歩いた多紀連山などの兵庫丹波を思い出します。

 いよいよとんがり山へ向かう分岐、Ca575mのコブです。まっすぐ行ってしまうと西寺山に入るため、間違い易い
かなと気にしていましたが、低木藪の中に西向きと東向きの踏み跡がはっきりしていることと、
東側にとんがり山の影が見えるので、意外にわかりやすい分岐でした。
雑木の中を抜けて最後の登りに取り付くと、やっと目映い黄葉に迎えられた感じです。
 
とんがり山の祠
 この山に辿り着くために、今まで低木藪も我慢してきたのです。青空はまだ待ってくれています。
南側に少し巻いて四斗谷集落からの道に合流すると、すぐに祠のある山頂です。展望は最高、今までの歩きが
報われた瞬間でした。白髪岳の勇姿、暗い植林登りの斜面、変化に富んだ歩きの尾根、黄葉に包まれた西寺山や
まだ知らぬ播丹の山々。何度も何度もぐるりと見渡して、今までの歩きの分を取り戻します。
 
山頂からの展望 (右に白髪岳、その左が歩いた尾根)
 あとは下るだけとはいうものの知らない道なので長居もできません。いつまでもこの展望を眺めたいのは
やまやまですが、仕方がありません。綺麗な雑木の急な下りです。途中で今から登る家族連れに会いました。
あの展望を肴にひと宴の様子、地元の人かもしれず、なかなか洒落た趣味の方達だなと思いました。うらやましい。
 
とんがり山南面
 妙見跡には大きな木が何本も残っています。よく写真で見た所にやっと訪れることができました。
共同受信設備の横を過ぎて広い道が下りていきます。里に出ると、やまあそさんのレポートにもありましたが
ほんとうに静かな里です。よそ者がほいほい来るべきではないかなとも思わせるほどの静かな里でした。
庭の柿の木や黄葉を映すため池、澄んだ川に泳ぐ魚影などを見ながら林道を戻ります。尾根歩きの余韻を
味わうには十分な時間と静けさでした。無事に歩けたことに感謝。
 
とんがり山東麓


 とんがり山について 
 
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2007.12.15. BY M.KANE