錦繍の奥丹波・頭巾山          

若狭湾方面を望む  
山頂から左に青葉山を望む   
 今年も来ました紅葉の奥丹波、今回は去年行けなかった頭巾山です。
紅葉に加えて沢沿いの谷道、さらに本格ヤブこぎのオマケつき。(^^)v

■目的地:頭巾山(871.0m)
■2.5万図:口坂本   <山域:丹波・京都府美山町・綾部市・福井県名田庄村>
■日にち:1998年11月8日(日)
■天気:晴れ
■同行者:俊一(9才)
■アクセス: 自宅発(6:30)=R173=R9=R27=(7:50)府道12=R162=林道福居上谷線(8:30)
■コースタイム:

  林道ゲート前発(8:45)〜502mピーク南の稜線上に出る(9:15)〜
  道標「横尾峠 福居」(10:20)〜ササヤブ〜横尾峠西のお地蔵さん(11:00)〜
  鉄塔下(11:10)〜下小屋ヶ谷道出合(11:15)〜道標「山頂まで1.5km」(11:55)〜
  上谷道出合(12:10)〜山頂(12:20-13:20)〜上谷道出合(13:30)〜沢に合流(13:45)〜
  林道終点(14:40)〜道標「頭巾山へ」(14:45)〜ゲート前着(15:00)

【頭巾山】 頭巾山(ときんざん)は、弘法大師の雨ごいの祈とうも行われた古くか
らの水の守り神で、近在から参詣する人も多い。毎年4月には山麓の3市町村から多く
の人が参拝し共同で祭がおこなわれる。
 山中には府内有数のブナ林、シャクナゲの古木等が生育し、カモシカ等の大型哺乳
類も生息する等貴重な自然を有しているが植林開発にもさらされている。

【朝霧】 家を出て能勢町に入ると霧で真っ白。さらに篠山、瑞穂、丹波町とずっと
霧でした。これが噂の丹波霧かな。剣尾山にも登ろうかなと思ったのですが、宿題の
残る俊一を早めに帰すべくグッとこらえる。車の窓からチラリと雲海が見えたが、
これも初めて。

【静かな里】 ほんのり霧の残る美山町辺りは黄葉の盛り直前。藁葺き屋根が
多くなって、地図を見ながら林道福居上谷線に入る。福居では頭巾山の古い解説板と
新しいコース図が立っている。静かな朝の静かな里である。エンジン音さえもはばか
られるくらい。林道を進むと直ぐに車止めゲート。閉まっているのでここまでとし、
手前の一軒家の横に停めさせてもらう。一番乗りぃ。(^^)v

【京都のご夫婦】 仕度をしていると京都から来たというご夫婦到着。取りつきを
探すがそれらしいモノはない。ガイドブックは西の綾部側からのルートばかりを紹介
してあるので、我々のルートはマイナーかなと思い、植林の端にあるポンプ小屋の
ような所の横の小さな谷に仕事道がついているのでここを上がる。
 直ぐに細くなって踏み跡がなくなる。「怪しいですが、我々はここを登ります。」
と後ろから付いてきていたご夫婦に言って、道のない雑木林の急坂を根に捕まりなが
ら登っていく。

【古い道】 尾根に出ればはっきりした道があるだろうとエイエイと登ると、以外に
あっさりとはっきりとした山道に合流。後ろからご夫婦が来るかなと振り返るも気配
無し。黄葉が綺麗で気分はいい。クモの巣が残る。一番乗りだもんなぁ。(^^)v
 明瞭な山道だが若い木がにょきにょきと生えて最近はあまり歩かれていない様子。
これもマイナーな道のためかなとまだ思う。やがて反対斜面が植林になっている尾根
にたどり着く。以外に早かったので少し気になる。ここは左。この延長が山頂。と、
頭の中でルートを辿る。少し踏み跡を見失うが直ぐに先程のような古い山道に会う。
 くねくねくねくねと緩やかに登る。倒木や若木で歩きにくい。俊一はちゃんと付い
て来る。向かいの尾根との谷にキョーンと鹿の声が響く。時々シイ?の大木に出合う。
かなり長いことくねくね歩いた所に「横尾峠 福居」の道標が木にぶら下がっている。
「ん?」磁石を出す。北へ向いて歩いている。ということは、自分が居るのは横尾峠
から南に派生した尾根の上、エアリアでは破線。(^^;
若丹稜線  
 若丹稜線の道標 
【ササヤブ】 「横尾峠 福居」の道標を過ぎた辺りでササが出てきた。少しこぐと
向かいの支尾根と若丹稜線が見える。植林が多いが黄葉も綺麗。さらにこの先、
背丈くらいのササヤブが30分程続く。去年までは怖じ気づいたかも知れないが、
氷ノ山殿下コースのササに比べればまだ良い。前に進まないと山頂もないし...(^^;
 俊一はかなり歩きにくそう。「すまんなぁ、がんばれ。」と励まし、時折覗く若丹
稜線を見ては「こんな景色が見れるのは、このヤブを歩いているからこそやでぇ。」
と負け惜しみをたれる。思いがけないヤブこぎになってしまった。

【天国の道】 若丹稜線が近づきやっとこさ稜線道に出る。歩きやすい。少し東に
行くと石室にお地蔵さんと「頭巾山 横尾峠」のプレート。時を同じくして天気も
すっかり晴れてきた。
 さてこれからがホンモノのルートだなとすこぶる歩きやすい道を西へ向かう。
鉄塔下を抜け、大きな切り開きがあって周りの山の色に感激。まるで天国のようだ。
やがて本来、登るべき下小屋ヶ谷からの道と出合い、立派な道標が立つ。
 ここから先がまた素晴らしい黄葉の林の中、快適な尾根歩き。ヤブの後だから
なおらさ。やっぱり天国のよう。去年の八ヶ峰と似たようにアップダウンが続くが、
少し趣が違う。林の他にススキや下草の鞍部、ササの道と変化がある。
特に黄葉の林の鞍部に下りるときの見晴らしというか、景観が実に良い。
 若狭側から登ってきたササの道を右に出合い、「山頂まで1.5km」の道標を見る。
「えぇっ、まだあるのぉ。」俊一、少し疲れたもよう。シャリバテと見て、ゼリーで
エネルギー補給。復活。(^^)v
 ニセピークを二つ三つ乗り越えて、やっとこさ上谷から上がってくる道に出合う。
そして山頂手前で京都のご夫婦に再会。朝は無口のようだった奥さんから笑顔で
「ボクっ、もう少しよ!」と嬉しい励ましをいただく。同じ歩きを共有した者同士。
山っていいなぁと感じる。これから上谷を下りてみると仰るので、「それじゃぁ、
気をつけて。」と互いに声をかけて別れる。
天国のような歩き  
 黄葉の林の中を歩く 
【若狭湾】 山頂までは最後のあえぎを振り絞って到着。単独おじさんと年輩夫婦。
暑い。大きくないが立派なお社と少し下に避難小屋。
若狭湾側が大きく広がるが、霞んでいるので青葉山から横に目を凝らすと半島が浮か
んでいるのがわかる。そこからこの山頂までうねうねと錦繍の山並みが重なる。
 西は真っ赤なもみじの向こうにトンガリが目立つ弥仙山。眺めも楽しみたいが
昼飯にしよう。ラーメンのお湯を沸かす。俊一は早速おにぎりを頬張る食べ盛り。
年輩夫婦はやがて綾部の方へ下りられた。単独おじさんは若狭側から来たとのこと。
登りが急で大変だったという。
 子供連れの4人家族と年輩ご夫婦が到着。ぽつりぽつりと入れ替わりがあって、
丁度良い賑わい。うるさくもなく、寂しくもなし。
 ラーメンを食べ終わると再び眺望と錦を堪能する。東に延びる若丹尾根の向こうに
こんもりブナノ木峠。その先にうっすら武奈ヶ岳や蓬莱山も浮かぶ。反対の西には
弥仙山の向こうに薄く大江山の影があるも、残念ながら蘇武岳までは見えない。
南側は立木があってすっきりと見通せず、長老ヶ岳辺りを確認。

【黄葉の谷】 俊一の帰りもあるので1時間のお楽しみの後、来た道を下りる。
眼下の若丹稜線の黄葉が素晴らしい。登りの時に確認した分岐を下りる。ジグザグの
急坂が続く。雑木林の中、見上げると黄葉がきらきら光る。ぽつぽつと紅葉もあって
赤が引き立つ。やがて杉の植林に変わると沢に出合う。

【嵐の爪痕】 冷たい水で手を洗う。少し荒れた感じの沢を何度も跨ぎながらゆっく
りと下りていく。台風の影響か木の橋が流されているところもある。しかし、岩に
のって渡れるところばかり。滑らないように注意する。途中、ロープや木の階段あり、
道が途切れた谷を彷徨いながらのゲーム感覚ありで変化に富んだおもしろい歩きで
ある。長い谷道だったが俊一も飽きない様子。そんな中、無惨に植林の杉が十数本程
倒れて押し流されているところがあった。

【秋の空】 1時間ほどの谷歩きの後、林道終点にたどり着く。今日の山もそろそろ
終わりかと思うと、出だしの尾根間違いからすがすがしい稜線歩き、山頂の景色を
思いめぐらし、林道から見上げる稜線の黄葉と眩しい青空に見とれる。
「頭巾山」の道標が二つも立つ林道上谷線支線の分岐で、本来スタートすべき地点を
種明かしされた。道脇の草むらから寂しげにコオロギが鳴く。
 すでに京都のご夫婦の車はなく、夕陽が直ぐそばの小さな河原を照らす。

  頭巾山について 
 
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1998.11.15. BY M.KANE