多紀連山・ツツジ科の花巡り      

三岳  
 西の覗から見上げる三岳
■目的地:三岳(793.4m)・西の覗・小金ヶ岳(725m)<山域:丹波・篠山市>
■2.5万図:村雲・宮田
■日にち:2001年5月1日(火)
■天気:曇り時々晴れ
■同行者:佐竹さん
■コースタイム:

  火打岩 発(10:00)〜三岳道合流(10:25)〜鳥居堂跡(10:45)〜水飲み場(11:00)〜
  石仏(11:10)〜展望岩〜三岳山頂(11:35)〜石室(11:40-12:10)〜栗柄分岐(12:40)〜
  西の覗(12:50-13:00)〜三岳山頂(13:35-13:55)〜大たわ(14:20-14:30)〜
  小金ヶ岳(15:15-15:25)〜畑山と小金ヶ岳の鞍部(15:45)〜林道 着(16:00)

【登山口】 火打岩から川阪へ抜ける車道を上ると「おのぶの滝」の標識を過ぎたカーブに
「小金ヶ岳」の標識が植林の谷を指している。小金ヶ岳南の鞍部を越えて鍔市ダムの谷へ
抜ける道がある。このカーブに車を一台置いて、火打岩まで戻って歩き始める。初めて歩い
た5年前と同じくシャガが竹林に咲いていた。
火打岩  
火打岩から三岳
【緑の尾根】 壁に道標を付けた民家の間を通り抜けてあぜ道へ。タンポホやレンゲの咲く
田の向こうに三岳が聳える。植林の階段道に入り新緑の雑木林に変わる。三岳口や丸山から
上ってきた道と合流すると平坦な尾根道が続く。緑の林の中に西の眺めがある露地を過ぎて
ギンリョウソウが足下に顔を出している。アセビ、ツツジは既に落花。鳥居堂跡を抜けた頃、
横の林で突然ポン、ポンポンとツツドリが鳴き始めた。ササが混じる足下ではイカリソウが
ぽつりぽつりと咲いている。
尾根から  
尾根道から小金ヶ岳の影
【展望岩へ】 ササが茂ると水飲み場。東から道がある。さて、この先から長かった尾根道
も終わり本格的な上りとなる。同時にミツバツツジの花が増えてきた。その下で石仏が5年
前と同じく座っておられる。どんどんと高度を上げ薄紅のツツジが青空にかざしてきれい。
軽い岩場もある。やがて西ヶ岳を望む展望岩についた。端正な形の西ヶ岳は新緑の中に振り
かけたツツジの紅。その南に連なる尾根は東面が伐採され、林道が痛々しく延びて対照的。
直ぐ背後になる三岳山頂西南面には荒々しい岩壁をツツジが覆う。南の直下に目を向けると
色とりどりの緑を取り混ぜた谷が落ちる。遠望は利かない。弥十郎は何とか見えるが深山は
判らない。高城山も薄い。
展望岩から  
西ヶ岳を望む
【春うらら】 さらに登れば見晴らしの良い岩が続く。ツツジが賑やか。東の展望岩からは、
小金ヶ岳が烏帽子のような独特の山容で立ち上がる。この上は短く植林を抜けて石室。さらに
西の山頂三角点を確認して戻り、石室横の岩峰で昼食にする。眺めが良いはずの北も霞。
山頂北面は黄色い新芽をつけた木が覆う。静か。ひょっとしたらと無線を聞いてみるがこの
静けさには似合わない。昼食を終えて西の覗まで行ってみようということになる。

【シャクナゲ】 再び山頂に向うとご夫婦が休憩中。三岳北面にシャクナゲが遠目に見えるよ
と教えていただいた。期待に胸はずませ西へもったいないほど高度を下げていく。日射しが少
し出てきたのもあって新緑とツツジがまぶしい。一旦、緩やかになったところで三岳北面を振
り返ると、果たしてシャクナゲがひっそりと咲いている。はるか向こうにミツバツツジよりも
薄いピンクで孤高きわだつ姿。
シャクナゲ  
遠目のシャクナゲ (中央の薄いピンク)
【ツツジ科の花々】 さらに下りる。そして汗を拭き拭き登り返す。西ヶ岳へ緑の稜線。踏み
込みから切れ立つ北面を覗くと眼下に険しい岩峰が聳えていた。あれが西の覗かぁ、えらくま
た下りてから登らんといかんね。手元にはケカゲツツジまで咲いているではないか。上りの途
中でドウダンツツジまでもつつましやかに花穂をたれる。アセビも何とか花が残っていて、ツ
ツジ科の花々で彩られた尾根道である。目的の西の覗へ向かう道がないねと言いながら、さら
にもう少し歩くと、「栗柄」道標が北を指す。地図を見て60m程の下りだと確認、行ってみる。
少し下りるとヒカゲツツジがたくさん咲いていた。道脇の岩の向こうに先ほどの岩峰が立ち上
がって見える。その壁に張り付くようにシャクナゲの花がほっほっと咲いている。なんと険し
い所に咲く花か。その様は多紀連山の厳しさを改めて引き立たせる。その下に広がる緑のじゅ
うたんがまた心地よい気分にさせてくれる。ふかふかとして飛び込んでも大丈夫に見える。
西の覗への道の途中で  
ヒカゲツツジ
【西の覗から三岳へ】 落ち葉のまだ残る鞍部を上り返すと、西の覗の標識があった。ここから
は、新緑で彩られた三岳がすっくとそびえる。雲の切れ間から指す日が浅葱色の彩りを強調。
いい色に会えた、来て良かったなぁ。こんな風景までは期待していなかったので、とても幸せ。
いつまでも眺めていたい景色である。
 さて、三岳まで上り返さないといけない。ミツバツツジの回廊で目が和むのは救いである。
汗をかきながらやっと到着。佐竹さん特製のコーヒーを頂く。美味。のんびり過ごしていると、
昼下がりになると出て来るのか、ちくりと刺す小さいアブのような虫には参った。単独おじさん
が西から登ってきた。栗柄から西ヶ岳をピストンの仲間に時間をもらって、一人三岳まで来たと
いう。好きやなぁ。私らと同じく桜のような白い花の木に目を留める。ヤマナシだろうか。

【激下り】 さて、我々も小金へ向かおう。石室の先で東の展望岩から小金ヶ岳を見ていたら、
下から話声が聞こえる。しばらくすると20人ほどの団体さん。昼食の時は誰も来ないので今日は
人が少ないと思ったが、やはり人気の山である。団体さんが過ぎた後を大たわへ向けて激下り。
長い階段は膝に良くないが、あっという間に駐車場。大きな案内板の下に腰を下ろして休憩。
岩峰  
小金ヶ岳への稜線から
【小金へ】 さて、小金へ。植林は上りでも涼しい。下山の二組とすれ違う。植林から尾根に出て
階段の上り、さらに小さい岩がぽつぽつと飛び出た上り。この辺になるとけっこう足に堪えてくる。
ピークを巻いて休憩に良い岩。東には小金ヶ岳が大きく立ちふさがる。こちらも緑が美しい。
3月に来た時の雪をまとった姿とは別人のようだ。
 岩峰の下を巻き、岩の隙間を登って北壁と記された岩に着く。こちらも北面にヒカゲツツジや
シャクナゲが遠目に見える。新緑の林の急登をがんばると山頂。三岳が黒く横たう。東は懐かしい
八ヶ尾山へのうねうねとした山並みが続く。既に回りの木には葉がつき、ミツバツツジのピンクも
賑やか。
東多紀  
小金ヶ岳から八ヶ尾山
【急降下】 水分補給の後、南へ下りていく。道は少し細いが明瞭。南に畑山や西の谷が見下ろせ
る岩で眺めを楽しむ。その後は林の急降下。先に下りる佐竹さんに落石しないようゆっくり下りる。
何とか急斜面を過ぎると落ち葉の踏み跡を辿って道標のある鞍部に着く。車を置いてある西の林道
へ下りる道が三つほど出ているが、結局一番大きな道を下りるのがもっともわかりやすい。途中に
大きなモミの木が空を突いていた。やがて植林に入る。林道に近づくと山吹の鮮やかな黄が満開。
細い谷の上に三岳がそびえて顔をのぞかせていた。
 車で戻った火打岩、田にはもう水が張られている所が多い。篠山盆地を南走し弥十郎を眺めて帰
路に就く。予期していなかったヒカゲツツジやシャクナゲなど、期待以上の花の山となった。お手
軽のつもりが、そこそこの歩きとなり、多紀連山の魅力をより深く知ることができた。急な声かけ
にも関わらず、ご同行いただいた佐竹さんありがとうございました。
山吹  
ヤマブキ


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2001.5.06. BY M.KANE