巨岩潜む丹波亀岡の行者山      

里山  
 神前から見た堂徳山   
■目的地:行者山(431.0m) <山域:丹波・京都府亀岡市>
■2.5万図:亀岡
■日にち:1999年5月5日(水)
■天気:晴れ後曇り
■同行者:単独
■コースタイム:自宅発(12:30)=R477=R372=府道=亀岡市 宮前町神前(こうざき)
  
  神前 発[約190m](14:00)〜ため池(14:10)〜鞍部「六町」[約345m](14:30)〜
  とこなげ観音[約300m](14:40-14:45)〜鞍部「六町」(15:00)〜
  堂徳山[約445m](15:10)〜行者山[431m](15:20-15:25)〜行場〜
  鳥居(15:40)〜行者燈〜千代川からの林道終点(15:50)〜水道施設(16:00)〜
  千代川・北ノ庄 光福寺[約110m](16:15)〜行者橋(16:20)〜神前 着(16:35)

【行者山】 昨日の雨は上がり空からだんだんと雲が退いてきた。昼になり新緑の
妙見山を見ていたら山に行きたくなった。
 行者山は、亀岡盆地の西に聳える里山。とこなげ山ハイキングコースとして東麓の
JR千代川駅を起点に、行者山からとこなげ観音(千手寺)を経て湯ノ花温泉へ至るコー
スがポピュラーなようです。例の如くへそ曲がりな私は北側の静かな里、神前を起点
に計画しました。
里の花
【里の花】 里は田おこしや草刈りで賑やかである。神社の森を南に見ながら田園を
抜けると小さな三叉路に「とこなげ山ハイキングコース 千手寺1.5km」の道標がある。
が、矢印の方向が曖昧。旧家と新しい家が入り交じる家々の中を真っ直ぐ谷へ向かう。
 小学生に「とこなげ山」を聞くと、谷の先を指してくれる。右のお寺のある方の
340m山は?と聞けば、良く判らないようだ。
 庭先も花で彩られるが、あぜ道に入ればレンゲソウやハハコグサ、ハコベ、タンポ
ポなどが咲く。やがて右手が竹林に差し掛かるとため池の土手。

【とこなげ山】 石の道しるべがあり「ひだり とこなげ道」と標されている。
たもとにシャガが咲いているのは絵になる。ワラビ取りのご夫婦が下りてこられたの
で道を聞くと、「真っ直ぐ行っても行けんことはないかもしれんけど、左の舗装道に
出て行きはったら。」
 こんな所に舗装道かなと不思議に感じつつも、下草で覆われたため池の下を横切る
と、果たしてコンクリートの道が現れた。

【林道歩き】 若い植林の中の道である。直ぐに「二町」の丁石。砂利道に変わって
ウグイスの声が元気。左の植林に細い脇道があるがパス。昨日の雨が加勢して沢音も
心地よい。日陰の緩い登り。「四町」チゴユリ、「五町」スギナ、「六町」は鞍部と
なって明るい峠。道標有り。とこなげ観音(千手寺)をピストンで寄ることにするので
続けて林道を歩く。
 左手に新緑の行者山が横たう。道脇に朱のヤマツツジや白いスミレの群生。緩い下
りに風が爽やか。花の落ちたショウジョウバカマ。やがて「八町」。下りなのに数が
増えるのは初めて。八重桜の落ち花が道をピンクに染めて、「十町」。道は二股とな
り、左に少し行けば石段に出る。
シャガ チゴユリ スミレ
【千手寺】 石段の上には立派な山門が聳える。山門前に由来の説明板があった。
ここの山号が「とこなげ(独鈷抛)山」、眼病に霊験あらたか。安置される本尊が千手
観音であるため千手寺というそうである。
 静かな境内には、子供の小さなブランコもあり微笑ましい。「十町」二股道のひと
つはお寺の裏に出るようである。

【山径へ】 千手寺から「六町」の鞍部へ引き返す。ウグイス盛会の中、右(北東)の
山径が行者山。左の445m山へもヤブの細い踏み跡がある。次の楽しみにとっておこう。
 「行者山」の道標がぶら下がる頭上に八重桜、足元にはヤマツツジが入り口を飾る。
薄いササの山径へ入って直ぐに共同アンテナがあり、この下にチゴユリの群生。径は
だんだんときつい登りになり、また緩む。若葉が径を塞ぎかけている素朴な地道。
平坦になって白い石英のような岩が出てきた先が、のっぺりした雑木林の中の三叉路
分岐。堂徳山であろう。石のみちしるべや道標がある。右へ向かう。

【快適尾根径】 松葉の落ちた細い径が続く。雑木林の若葉がそよぐ緩い下り。
直径2m程の岩が出てくる。少し登って振り返ると若葉の向こうに山がのぞくが、名は
知らず。再び少し下りた鞍部にササユリの葉を見つける。ここからすぐ先が山頂。

【行場】 大きな木に囲まれていて、木が風で摺れて鳴く。進行方向(南東)が明るい
ので行ってみたが、林の急斜面となってそれほど展望はない。今年初めての蛇に会う。
20cm程の若葉マークだが、とうとうこの季節になったかと嘆息。
 山頂に戻り、北東側の急斜面を下る。上の方からは岩があるなぁ程度にしか見えな
かったが、下りて見上げると押し潰されんばかりの迫力の岩。直径5m程の玉のように
なっており、その袂に「守護荒熊大明神」が祀ってある。尾根径との雰囲気の差が
大きくて衝撃的だった。外からは何の変哲もない里山に、よく見つけたものだなぁ。
 さらに下りていくと祠や岩窟が二つずつあり、荘厳な奥深さが漂う。
鳥居をくぐる。どうも私は裏口からが多いなと思いつつ、きれいな参道を下りる。
守護荒熊大明神
【参道】 途中には伐採して見晴らしが良いところがある。牛松山が見える。
 石灯籠の形をした行者燈が立っている。高さ3mばかりで灯りを入れる様にくり貫か
れてはいない。「文化十二・・・」と刻まれていた。北側の湿っぽい道が続く。
 ハイキングコース道標のある林道終点に出ると、細かい砂利にスギナが一面に伸び
ていて、忘れ去られた様子である。古い道が突き抜けて真っ直ぐ下りているようだが、
少しでも明るい林道を選ぶ。やがて大きなタンクが並ぶ水道施設に飛び出た。ここは
最近出来たばかりのようだ。皮肉にもここから牛松山、愛宕山、地蔵山、三郎ヶ岳の
眺めがいい。

【行者橋】 予定では、2.5万図にある山腹のため池を縫う破線道で神前へ戻るつもり
だったが、目の前は車が飛び交う京都縦貫道である。仕方がないのでこの手前で左折
して側路を行く。鶏舎の横を通り北ノ庄の田園地を抜けて光福寺。さらに城山330mを
向いて歩けば府道の手前に、偶然、「行者橋」と刻まれた橋に出合った。
 2.5万図160m地にあるバス停「とこなげ口」から南西の道に入って神前に至った。
このハイキングコースは最近の利用は少ない様子ですが、その分静かで良い雰囲気が
残っています。見所もあり、コース以外のバリェーションも楽しめそうな山でした。



  行者山について   

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1999.5.12. BY M.KANE