雪の林道にまみれて丹波・空山へ          

 
升谷越しに望む空山 (和知市場から)
■目的地:空山(595.0m)<山域:丹波 京都府京丹波町>
■2.5万図:胡麻
■日にち:2008年3月2日(日)
■天気:晴れのち曇り
■同行者:単独
■コースタイム:
  和知升谷小松集落 発(11:00)〜林道終点(11:15)〜328mP尾根(11:45)〜Ca430mP(12:05)〜
  507mP東肩(12:20)〜Ca505mP(12:40)〜Ca515mP(12:55)〜565mP西・林道切通しの上(13:00-13:15)〜
  雪の林道歩き〜空山(13:45)〜雪の林道歩き〜林道Y字路Ca590m(14:40-14:45)〜
  589mP東肩(15:00)〜NHK中継施設(15:50)〜升谷奥田集落(16:10)〜車道〜小松集落 着(16:50)


 コンビニで昼食を調達するつもりが、ついつい寄りそびれて和知に入る。道の駅で鯖寿司・巻き寿司と
お茶をゲット。升谷へ引き返す。小松集落から谷へ入る道は工事中。途中で通行止め。丁度、路側が
広いのでここに駐める。靴を履き替えて屈むと道端にオオイヌノフグリが青く小さな花を開いていた。
 
林道終点あたり
 破線道の林道から328mPの取り付きを窺うことにする。獣除けの柵があり、扉に鍵はないので通って
再び止め金をかける。狭い林道だが落ち葉の多い感じのいい道になる。
右には雪解け水が蕩々と流れる溝。水路の小さなトンネルが出てきた所でいい道は終わり。
谷の上下に荒れた細い道がある。尾根へ登るには丁度良さそうなので、この谷を登っていくことにする。
薄暗く湿って苔むしたせせらぎが段々小さくなっていく。
倒木も多い。植林になった。段々傾斜がきつくなり低い雑木に変わる。
 
328mP東の尾根道
 急な坂を幹につかまりながら登るとようやっと尾根に出た。ちゃんと踏み跡があります。明るい陽射し。
ここまで来たら後は楽しい尾根歩き。雪が解けてぺたんこの落ち葉に覆われています。南に507mPの影。
南東へ尾根を上がっていく。徐々に雪が増えてきてCa430mコブあたりは膝まで入ってしまう時もあった。
左に巻き道が分かれるがそのまま尾根を辿る。急斜面を登りきって地図を見たら507mPに向いてしまった
ことに気づく。さっきの巻き道が正解だった。507mPに寄ってもいいがめんどくさいので東へ尾根を下りる。
先程の巻き道が合流するあたりは傾斜が緩くなり感じのいい林である。林床は雪で覆われている。
 
507mP東の鞍部
 鞍部を登り返し北斜面の道が続く。雪が深くなって歩きにくいのでCa505mコブの尾根に上がってみる。
若干浅くなったがそれでも膝下位である。何もないコブではトイシ山の形のいい姿が枝の向こうに顔を出す。
さらに尾根を東進。南斜面寄りでは薄雪になるが、ツボ足にも飽きてきた。Ca515mPを過ぎてヒノキ植林を
抜けると急に明るくなり、565m山との鞍部には林道の高い切り通しができていて直進を阻まれる。
 
切り通しから萱山 (左奥)
 こんな所まで延びていたのかと、あっけない展開に愕然とするも開けた展望に気を持ち直す。
昼食をどこで摂ろうかと思っていたので、人工物の上ではあるが陽射しも暖かなので決める。
東から北には空山を経て萱山、向山への尾根が続き、その脇に沿う林道が白い。
いざとなれば林道を歩けばいいやと高をくくっていたその道もずっと雪が被っている。あたりまえである。
林道が植林と雑木との境界のようになっている。
景色を見ながらの鯖寿司・巻き寿司はおいしかった。特にかんぴょうは出汁が良く浸みている。
ホッとします。どこで作ったのかなと見れば、なんと長老さんの西の谷にある、西河内である。

 時間もとうに13時を廻っている。萱山の西尾根から下りて升谷を周回する計画なので時間がない。
途中でショートカットしようか。最低でも空山までは行ってみたいな、林道なら何とかなるかな。
まだそんなことを考えていた。尾根を忠実に歩きたい所だが眼前に聳える565m山に登る元気は
なくなっている。高さ10m程ありそうな土手の端を下りて和しく林道歩きとする。
 
林道
 無積雪期の感覚で歩き始めた林道が、延々と膝前後の雪である。数分でだるくなってきた。
それでも始めの頃はなかなか見たこともない風景が珍しくてカメラを向けたりする。土手から落ちてきた
雪のロール。青空の下に葉の落ちた雑木尾根が並んでいる。が、登らない。
地図を見ながらいくつも出てくるコブの中から空山のピークに当たりをつけ、林道から逸れて尾根に乗る。

 いきなり雪が深い。時には腰までのこともある。こんな深さの雪は、半月前の篠山でちょびっと経験した
ものの足取りは一段と鈍くなる。とにかく上に身体を移動するしかない。装備がなっていないなぁと思っても
遅い。ピークらしき所は北側が植林でぱっとしない。白い木柱が雪から顔を出す。雑木に空山のプレートが
掛けてある。すでに精神的に消耗していたので、三角点を掘り起こそうかという気にもならない。
東方面が少しだけ展望開け、鉄塔のある向山から鏡峠の尾根と奥の山並みが、せめてものご褒美か。
こんなきつい思いをしもなお、あぁ、あの鏡峠の尾根、行ってみたいなぁと欲が湧く。
 
空山 山頂
 時間はないので、展望の写真を撮ったらすぐに北へ下りる。こちらの斜面がまた雪深い。植林の中で
日当たり少ないためか胸に迫る勢い。雪の中に足を取られて倒れそうになってもふんわりと受け止めて
くれる。横から見れば、もがいているの図だろうなぁ。下りなのに足を交わすのがしんどい。歩き始めて
2時間少し。こんなに疲れるのは経験ない。おまけに雪が靴や膝で解けてきてきた。いかんなぁ。
冷やしたらいかん。こんな雪の深さとは予想すらせず、無頓着すぎたなと反省しても遅い。
 
不伐の森
 斜面の下は小さな広場があって、「不伐の森」看板がある。丹波町設置。
この鞍部へは尾根の南面からの細い林道も合流している。付近が植林されたのは私が生まれた頃で
100年契約で育成するようだ。植林前はもっと山深かい尾根だったことだろう。

 そんな感慨にふけるヒマはない。
やっとの事で障害物競走の網の中から出るように林道へ下り立つ。その林道は腰まではないものの
相変わらず膝下までの雪。地図には升谷から登ってくる破線道があり、その後の工事で林道になっている
ようだ。この林道をそのまま下りればショートカットできそう。しかし、林に消えた先がどうなのか
判らないのが不安。
 このまま尾根沿いの林道を歩いて北の589mPの西尾根を下りた方が道が明瞭かもしれない。
以前歩いた林道もあるし。この期に及んでもまだこの雪の林道を頼りにしてしまう見切りの悪さ。
 
空山を振り返る
 見切り悪く林道を少しずつ辿っていく。段々と足取りが重たくなり、雪を踏み抜くと脱力感が激しい。
1時間ほどかけてやっとY字路に着く。空は綺麗な青空に筋雲なのだが、それどころではない。
足がつりそうになってきたのである。こんな所で歩けなくなっては無責任すぎるコトになるなぁ。
脚力を温存しながら、歩いてはひと休みの連続であった。空は静かで青い。
 
林道はさらに続く (中央左がY字路)
 林道も緩い上りになってY字路が近い。日が良く当たるこの辺りでも膝下半分までの雪。
来た道を振り返る。この先もまだ未踏のルートが控えている。Y字路から林道で下りようかとも思うが、
今までの林道歩きがさすがに堪えたので、それよりかは短い距離の尾根ルートになびいてしまった。
 
萱山 (Y字路西から)
 林道までの緩い登りでさえきつかったから、589mPへのわずかな登りも堪える。さらに林の中は雪が深い。
589mP北面を巻きながら上る踏み跡があるのでゆっくりと登っていく。小広い尾根の上に乗ると
雪で覆われて踏み跡が判りにくい。木々の開け具合などから南西の尾根と西の谷へルートがあるようだが、
もっと北寄りの尾根から北西尾根に乗るのが予定のコース。ルートが確実な北西尾根にしよう。
体力温存のため589mのピークを踏むことなど考えられず、そのまま広い西斜面をトラバースする。
 
589mのピーク西斜面
 時間があればいい感じの林を満喫するのだが、既に15時を廻っているので迫る日没が気になってくる。
再び深さの増してきた雪の中をかき分けて北進。それでもいい感じの林なので足を止めて写真を撮って
しまう。陽が射して明るい林なのだ。早く下りないといけないという焦りとまあ落ち着いての葛藤中。

 雪の中でのたうち回りながら、やっと北西尾根に出る。少し雪の量が減ったので楽になった。
あとは尾根を下るばかりなので、気持ちにもゆとりができる。気が付けば靴下は水を十二分に含んで
グジュグジュと音を立ていた。足先の寒さはないが靴を脱いで絞る。そんな余裕も出てきたのである。
倒木も散見される長い尾根を下りていき段々と西に向く。Ca440mコブで気をつけて北寄りに採り、
413.4m三角点のあるNHK中継施設が林の中から姿を現してきた。予定通りなのでさらにホッとする。
 
NHK中継施設
 この先も意外と長い下りだったが、植林帯に入る頃には沢音が響いてくる。里も近い。
雪はすっかりなくなった。何と歩きやすいことか。舗装林道に出て升谷の奥田集落をのんびりと歩く。
里にも春の花が咲き始めている。
 
上升谷橋から といし山
上升谷橋を渡ると由良川の流れの上に北は和知富士、南はといし山の秀麗な姿が浮かぶ。
いい眺めである。農道からは歩いた尾根が懐かしく見られます。あの林道に苦しめられたなと。
R27号に出て駐車地に戻った。なんとか日没前に下りることができたのです。着いてみれば
安堵で心地よい余韻が残ります。
出発時間と装備はきっちりとしないと、せっかくの青空も楽しめないという至極当然なお話でした。

 空山について 
 
 山のリストへ  / ホームページへもどる
2008.5.11. BY M.KANE