ササ稜線続く四国・三嶺    

西熊山から
西熊山から見る三嶺 (右奥に次郎笈)
■目的地:三嶺(1893m),西熊山(1816m) <徳島県東祖谷山村・高知県物部村>
■日にち:2003年9月30日(火)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■アクセス:自宅 発(5:00)=徳島道 美馬IC=R438=三嶺林道終点(9:20) 260km
■コースタイム:
  林道終点Ca1300m 発(9:30)〜平尾谷登山口からのルート合流(9:50)〜
  水場1分の道標Ca1700m(10:30)〜三嶺(11:00-11:15)〜大タオ(12:05)〜西熊山(12:30-12:50)〜
  三嶺(14:05-14:15)〜林道終点 着(15:05)

【四国へ】 迷った末に三嶺に決めた。思ったよりアクセスが良いのとそこそこの標高なので
紅葉も期待できるかも知れない。明石大橋を渡り淡路島を通って徳島へ。四国の山並み。
貞光に入ると「剣山」の文字がよく目につく。見ノ越を見下ろす頃は雲が広がり怪しい天気。
風も強い。平日で時間が早いためかリフトには人影なし。R439を西進して名頃の橋に三嶺の標識。
橋を渡ると未舗装の林道が続く。普通車でも何とか走れるくらいのでこぼこ。平尾谷登山口には
3台駐車。先に行けそうなので三嶺林道の終点まで向かう。ここも先客三台。青空が戻っている。
       
三嶺林道の終点付近林床はササ
【秘密の近道】 案内板の横にSAVE BEARSの札、絶滅が危惧されるが熊のいる山域である。
念のために鈴をつけよう。東屋に数本立てかけてある杖の中から一つ借用。その先に登山口の道標。
ツガの木の多い林の斜面を登っていく。ブナの木もある。ササの下生えが目立つ。茶色いヘビが一匹
逃げていった。10分程くねくね上ると平坦になる。直ぐ左に怪しい道が分かれているが、朽ち木が
遮るように置いてある。真っ直ぐ行けば尾根を巻いてしまいそうなので左に入る。踏み跡薄い。
ササが生えた所は道と分かるが、暗い林の下草の全くない所では踏み跡を認識するのを迷いそう。
北摂の藪山歩きのおかげか何となく分かる。しかし、明るいうちに戻るべきだなと思う。
登りの少ない道が尾根の南面と思しき方向に続いた後、広い1〜2m幅程の道に合流した。平尾谷登山
口からのルートと思われる。帰りのために振り返って目印を確認、ピンクの帯が一つ巻いてあった。
       
矢筈山方面山頂部が覗く
【頂へ】 ササの多い林だ。水場5分の朽ちた道標があった。熊には遇っても平日だから人には
会わないだろうと思ったら、3人パーティが下山してきた。まだ10時である。早いなぁ。
森の切れ間から剣山への稜線が見えてきた。北斜面に黄葉の木がひとつある。やがて高い木が
少なくなって、石が多くなってくると頭上に大きな岩がせり上がっている。わずかに黄葉した葉を
着けて青空を突く。実にそそられる景色である。単独のおじいさんが下りてきた。みんな早いなぁ。
足元にリンドウの花。水場1分の道標。背後に見ノ越方面の展望。稜線が伸びる。ササの斜面が
眼下に競り落ちていく。樹林帯が続いたのでこの開放感は格別である。しばらく見とれる。
       
山頂登路からヒュッテ登路から山頂
【展望】 ひと登りで池のある笹原に出る。雲上の楽園。右にヒュッテ、左に三嶺山頂。その間を
ササが覆い、紅葉しかけのコメツツジが彩りを添える。ヒュッテの中はきれいに使われていた。
池を周回して山頂へ向かう。青空の下、実に爽快。風が少し強い。山頂からは360度の展望。
西にササの稜線を従えて天狗塚が聳える。その南には頂にササの綱附森が気になる。北に矢筈山の
稜線と祖谷の谷。東は塔の丸、剣山と次郎笈、そこから延々と稜線が足元まで続く。
特に天狗塚へのササとコメツツジの稜線は強烈に惹かれる。予想より起伏あり。この雄大な景色を
眺めながらおにぎり二つで腹ごしらえ。
       
山頂から綱附森山頂から天狗塚
【稜線】 高知県側の八丁ヒュッテの分岐へ下りていく。ササの山並みが形を変えて移ろうのが
実にいい感じ。くるぶしほどの低いササが一面。ヤマラッキョウの紫とリンドウの青、コメツツジの
茶。台地を風が吹く。天狗塚手前の西熊山へ行くつもりだが、景色に見とれてなかなか進まない。
鞍部を二つほど通らないと行けない。足が保つかも心配。12時の時点で引き返すことにしようか。
振り返りながらササの台地を下りる。登り返しは体力の落ちた足に堪えるが、景色が誘う。
爽快爽快。西側から見る三嶺がまたなかなか凛々しい。
   
山頂西の台地Ca1850mから天狗塚方面
【ササヤブ】 広々としたササの稜線を下る。二つ目の丘は遠目には少し立ち木があるかと見えたが、
いざ来てみると以外にササが深い。腰に近いところもある。西熊山へは大タオと呼ばれる鞍部を
上り返えさないといけない。すでに12時。さてどうしよう。帰りが遅くなると樹林帯が暗くなる。
足も少し疲れている。当初計画は13:30で西熊山。誘惑に負けてしまった。もったいないほど下る。
大タオに着くとササの曲線がいい。
       
Ca1750mの丘北面大タオから三嶺
【出会い】 上り返して振り返るとまた景色が広がってくる。とその時、黒い紐ががさがさと動く。
何とこんな所にへびさんが。しばらく唖然としてしまう。まったく予期していなかった。熊より
ショックが大きいと言えば大げさだが、脳天気な歩きが一転、足元を気にしながらの歩きになる。
気を取り直して高度を稼ぐ。ショックで気合が入ったか、ずんずん登っていく。
やがて北面を巻く様になるがこの辺りもササが深かった。今日のルートで一番深い。といっても
胸辺りまで。時折ルートを迷いそうになる。藪を抜けるとのっぺりした山頂部。意外と早く着いた。
       
大タオを振り返る西熊山山頂から天狗塚
【光】 東の三嶺への稜線が素晴らしい。この景色を見るだけでも来た価値があった。ちょうど日は
西に傾きつつある順光。背後の次郎笈も晴れている。誰も居ない、風もない。西に天狗塚への稜線が
続く。そこは今まで以上にササが深そうな感じ。ササの葉一枚一枚が光って見える。天狗塚の右奥にも
山が見えるが石鎚山までは見えていないだろう。それにしてもいい眺めである。紅葉になれば
さらに素晴らしい色彩となるのだろう。今日は、これはこれでササの色が残って良い。
汗のついたウインドブレーカーを山名板にかけて干す。ジュースとおにぎりひとつ。
   
三嶺西の台地Ca1850mから剣山への稜線 (右:白髪山 中奥:中東山)
【戻り】 残念だがあまりゆっくりもして居れない。景色を見納めてきた道を戻る。ササの小道の
先に三嶺が高くそびえて見える。眺めはいいが、登りは大変そう。あせらずササの景色を楽しみながら
戻っていく。思ったよりも楽に山頂に着いた。カメラを据えたおじさんが休憩中。やっぱり
ここからの眺めはいいわぁ。南西をよく見れば太平洋が光って見えた。
 さらに名残惜しいが、この眺めを後にする。樹林帯に入って今から登る単独2人とすれ違う。
登山口に着くと3人パーティが帰り支度中。杖を東屋へ戻す。明るいうちに戻れて良かった。
       
三嶺山頂から太平洋山頂付近からヒュッテ
【里の湯】 菅生まで下って「いやしの温泉郷」でくつろいだ。露天風呂からは三嶺への斜面が
眺められる。人も少ないのでゆったりと入れた。天井の高い食堂であめごそばを食べる。
館外に出ると静かな里。喧騒のない世界。わらぶき屋根も残っている。
山も温泉も病みつきになりそう。


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2003.10.04. BY M.KANE