秋晴れに丹波・弥仙山       

於与岐から眺めた姿  
  於与岐から眺めた姿    
■目的地:弥仙山(664m) <山域:丹波・京都府綾部市・舞鶴市>
■日にち:2000年11月04日(土)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  自宅 発(8:30)=舞鶴道=西舞鶴IC=府道74号=水分(みくまり)神社口 着(10:30)

  水分神社口 発(10:40)〜於成神社(11:20)〜弥仙山 山頂(12:05-12:50)〜
                   於成神社(13:15)〜水分神社口 着(13:40)

【秋晴れ】 紅葉が期待できる山が増えてきた。しかし晴れて山に行ける日は少ない。
どの山にするか迷ってしまう。播州・段ヶ峰辺り、但馬・東床尾山、芦生などなど。
 弥仙山は舞鶴道で綾部を過ぎると目に留まる秀麗な鋭鋒である。いつかは行きたいと
思っていたがなかなか果たせなかった。今は紅葉には少し早かろうが、日本海が見えそ
うな山として意外と近い。本当はあと一座といきたい所だが、中途半端な時間で断念。
登山口の道標  
登山口の道標 
【裏から】 この山は本来なら、南西麓の於与岐(およぎ)から前方に山容を眺めつつ
近寄っていくのが正当なアクセスであると思う。今回は時間にかまけて裏口から入ること
となり、その姿は舞鶴道の綾部JCT辺りから眺めた。それでもさすがに胸躍る。
 要所で地元の方に道を請い、お陰ですんなりと水分神社の前にある登山口に着いた。
広い駐車スペースには10台はいけそう。今朝は2台。轟々と沢の水音が響き渡る。
登山道の概要がイラストでかかれた看板を見て砂利道を20mほど行くと神社がある。
ここが水分神社。石段の前に自転車が停めてあった。朝陽が色づきかけたモミジを
浮き上がらせている。道の頭上には大きな木。はらりはらりと黄色い葉が落ちてくる。
於成神社石段手前の道標  
於成神社石段手前の道標 
【湿った道】 石の鳥居が現れ砂利道を右へ分かれて沢を渡った杉林の方へ道標が示す。
湿った道が上っている。ずっと濡れた地道。植林の中で薄暗い。子供の頃歩いた道を
思い出す。砂利道の終点は堰堤になっていて、そこからの道と合流する。杉は府有林。
一本調子の登りもあるが、湿った道は変わらない。
 ヘビが出てきたら嫌だなとオズオズと歩を進めていたらとうとう出た。土色のナガムシが
ゆっくりと道脇の叢に移るのを棒で促す。書によるとこの山はツチノコの謂れもあったとか。
 と、前から年配男性2人、革靴。この人たちが歩いてきたのならと少し気を取り直して
行くとご夫婦とそのお母さんの3人連れ。この人たちも山頂に行ってきたのだろうか。
 すぐに苔むした石段。途中に水飲み場もある。滑らないよう気をつけて上り詰めると
赤い鳥居。於成神社。大きなイチョウが伸びるが葉は青い。さらに下草で隠れかけた
湿った道を行くとまた石段があって大きな岩に木が纏わり雑木が茂る。見上げると薄く
紅黄葉に成りかけた枝が広がって空を覆う。
周回コース分岐手前の道  
山頂直下・周回コース分岐手前の道 
【尾根】 杉の間を直登気味に行けば明るい尾根筋が見えてきた。ここは沢音も遠のき
下界の音も届かず、まさに静寂。しばらくするとキツツキの勤勉な音がソフトに響く。
尾根筋は599.4m山からの踏み跡が合流している。今までの植林から一転して雑木が広がる。
なかなか良い感じ。右手の山頂に向う。落ち葉が敷き詰まった上り。木陰の中。日差しが
木の葉を透かして落ちてくる。ぽつんと紅葉もある。
 山頂を北から巻く道はなんとも言えず素晴らしい。前方に明るく紅葉している木があった。
そこは周回コースへの分岐で道標が立つ。周回コースのほうは少し藪っぽく見えた。
さらに右へ曲がって巻き道から神社の裏に出た。木立に囲まれ期待した展望は乏しい。
枝の間から舞鶴湾が見えた。
大江山連峰を望む  
山頂から大江山連峰を望む 
【山の話】 なぜか童謡が流れてくる。神社の前にご年配一人。挨拶して少し前の切れ間から
展望を確認。大江山方面と思われる山並みが霞む。ガイド書によっては素晴らしい展望と
あったので期待していたのだが残念である。
 ご年配は現役の山ヤで、この夏も奥穂高へ行ってこられたそうな。この辺りの山も
足慣らしでほとんど歩いているという。この弥仙山は学生の頃、競争して登ったとのこと。
「今日は穏やかな良い天気やね。今までここは何十回と登ったが、その中でも特に穏やか。
独立峰やから風の強い日が多いんやけど。」 今年は11/23に行われる綾部市の登山大会。
氏も参加されるそうだ。「若い時は木に登って眺めたもんやで。ほら、あれが丹後半島。」
舞鶴湾を望む  
山頂から舞鶴湾を望む (判り難いが中央奥に丹後半島)
【タネ明かし】 ここは大本教の本山なので、今日も信者の方が参られていた。途中で
すれ違った人たちがそうらしい。「行場の滝や大きな岩はおこもりが行われる所やで。
今日は沢の水量が多い。昨日の朝まで雨が降っとった、その前の一日二日は酷い雨やった。
 ワシは自転車で来たんや、下の神社に置いてあったやろぉ。」
 話を聞くほどに、登り道で出会った事柄が次々と解き明かされていく。

【単独行】 「単独行は気ぃつけんといかんよ。
若い時に北アルプスで足を挫き、誰も居らんで這うようにして下りてきたこともある。
 この山は熊が居るんでこうやってカセットテープを鳴らしながら歩いとる。
改心の道とある周回コースはうっそうとした道でね、熊も出るかも知れん。
ワシは一人でよぉ歩かんわぁ。」
 そこまで言われて怖気づいた私は、とうとう来た道を引き返すことにした。(^^;
しかし、良い話をたくさん聞くことができて、これはこれで良い山となった。

【山容】 早めに下りたので「あやべ温泉」へ向う。水分神社口から於与岐を
南へ走るとバックミラーに鋭鋒が映る。その度に車を停めては写真を撮る。
青空に映えるかっこいい山だ。

【温泉】 府道1号線を小浜へ向うと右手の山並みは黄葉が盛りに近い。
この尾根の向こうにある長老ヶ岳も良かったろうなと欲が出る。
 温泉までは意外と時間がかかった。しかし駐車場は満車のため、のんびりお湯にでもという
気は失せてしまい引き返すことにした。なんとも気勢の揚がらないことよ。

【山々】 舞鶴道を南下すると粟鹿山や五台山、妙高山、向山、三尾山、三岳、白髪岳、
虚空蔵山。三田で下りると千丈寺山に有馬富士、羽束山。千刈水源池も色づき始めている秋の日。


  弥仙山について 
 
  山のリストへ  / ホームページへもどる
2000.11.5. BY M.KANE