真夏の勇姿・甲斐駒ヶ岳     


六方石からの甲斐駒
■目的地:甲斐駒ヶ岳(2967m)
■日にち:2007年8月13日(月)
■天気:晴れ後曇り
■同行者:裕太
■アクセス:
  自宅 発(8/12 19:30)=(名神・中央 道)=伊那IC=(0:50)仙流荘 P (8/13 5:45)=北沢峠(6:30)
■コースタイム:
  北沢峠2030m 発(6:30)〜北沢長衛小屋(6:50)〜仙水小屋(7:25)〜仙水峠(8:00)〜
  駒津峰(9:35-10:05)〜六方石(10:20-10:25)〜甲斐駒ヶ岳山頂(11:35-12:30)〜
  六方石(13:15-13:20)〜駒津峰(13:45-13:50)〜双児山(14:30)〜北沢峠 着(15:30)

 体力が落ちた自覚があるので、この夏は乗鞍でお手軽高山にしようかと思っていた。
いろいろと計画を考えていると、蓼科から燕や立山などに目移りしたあげく南アルプスへと辿り着く。
体力のことなど忘れてしまっている。遠くに感じる南アルプス。しかし、くまさんから以前頂いたメールでは
思ったよりも近いとのこと。北沢峠からの最終バスが16時なので日帰りは時間に追われる感じ。大丈夫かな。
やはりテントでゆっくり来るべきところです。

 自宅を出て約350km、高速代は7200円程。伊那から高遠へ行く途中で道を間違え引き返す。コンビニに立ち寄り
翌日の朝と昼食を調達。高遠から仙流荘へ向かうR152でイタチのようなものが横切った。山深きに入る。
バスを待つ車の駐車場は仙流荘の少し先にあり、上は満車、下の臨時へ置く。満天の星。
       
駐車場から東を見る北沢峠東の分岐
 寒い朝。まだ谷には陽が射していない。ゆるりと支度を始める。バス待ちの列。かかしに見送られてバスは行く。
紫の花咲く川原。険しく大きな山が迫って来る。仙丈ヶ岳、鋸岳、駒ヶ岳と顔を出して来た。すごい迫力。
林道脇の林床もきれいだ。ひっそりとした峠に着いた。ここがかの北沢峠かぁ。とうとう来てしまった。
       
仙水小屋手前の道仙水峠から仙丈ヶ岳
 峠を東へ下りていく。こけむした森の中。テント場。ヤナギランと仙丈ヶ岳。森の中の沢音を聞きながらゆっくり登る。
天然水の沢でひと休み。沢の水は氷のように冷たい。少し登ると小屋。いくつかのテン場を抜けて良い雰囲気の
平坦な森。その先は眩い陽の差すガレに出る。岩の上をかなり歩く。岩に囲まれて仙水峠に着く。
 澄みきった青空。樹林の上につんと摩利支天がそびえたっている。駒はそのさらに上だ。駒津峰さえも手の
届かぬほどの高み。見下ろす谷は雲海でふさがっている。
       
仙水峠から駒ヶ岳と摩利支天(右)駒津峰登路から中央アルプス
 さて登るか。地図を見て覚悟はしていたもののやはりきつい。森の中の日陰が救いである。
やがて背後に栗沢の頭。裕太の後をあえぎつつ登る。だんだんと広がっていく景色に期待は膨らむ。

駒津峰登路から南アルプス 左からアサヨ峰・北岳・間ノ岳・荒川岳・雲の仙丈ヶ岳
 低木帯に出ると南アルプスが欲しいまま。見晴らし三昧。日差しは容赦ない。やっと着いた駒津峰。すごい展望だ。
南アは言うまでもなく、中央アルプス、御岳。険しい鋸岳の横に槍穂高。しばらく酔いしれて見る。静か。

駒津峰から見る鋸岳と駒ヶ岳
 そして、ここから見る駒ヶ岳が大きい。本当に大きく見えるのだ。この大きさにどうやって取り付くのだろう。
ルートが見えない。歩く人が見えないのである。白い岩で覆われた斜面は人を寄せ付けようとしない。(少なくとも私は) 
最低鞍部の六万石に着いた。ここまでだいぶ高度を下げてしまっている。大きな岩だ。そして大きな山はいちだんと
覆い被さるように立つ。
       
駒ヶ岳登路から六万石と駒津峰駒ヶ岳登路から山頂を仰ぐ
 直登ルートもあるが岩が覆い被さる急登なので巻き道へ。ダケカンバの林をアップダウンして、ざらめの砂と石の
道に出る。見上げると岩が落ちて来るような恐怖感。砂の斜面は踏み外すとどこまででも落ちて行きそうだ。
足が震えるのは体力の消耗によるだけではない。
 裕太がルートを外した。無事に合流したが、振り返ってそのルートを見るととても安全とは言えない。過信禁物。
更に砂の斜面は続くが、私は頻繁に休みを入れないと進めない。かたや、裕太は余裕である。足を滑らすと大変の
斜面を小学生の子供も下りて来る。「後10分、もう少しですよ!」と励まされてしまった。よほどバテ顔だったのだろう。
青空の下に祠が見える。
       
ザレた登り山頂から八ヶ岳
 やっと着いた。北に八ヶ岳が雲間に聳えている。まもなくすると八ヶ岳劇場は雲のカーテンに隠れた。
八ヶ岳の方の雲海を眺めつつおにぎりを頬張る。エゾゼミが飛んできた。雲が湧いているが紫外線はきつい。暑い。
景色のほとんどが雲に隠れたので早めに下りることとする。
 さて、怖がっていたザレの斜面、踏みしめて下りていくと案外グリップが効いて心配ない。摩利支天へのルートは
険しい斜面が隔てているのでパス。気をつけながら林の中へ入った。往きでは気づかなかったが、岩の隙間にかわいい
花がぽつりぽつりと咲いている。ごめんね疲れと怖くてそれどころじゃなかったんだ。(^^;;
       
山頂にいたセミタカネツメクサ
 六方石で小休止。ここから駒津峰への登りはきつい。もう登れない〜。
ユキノシタが険しい崖に咲く。ハクサンシャクナゲの花も残っている。ガスが湧く。先に登って待つ裕太にやっと追い
ついた。駒津峰は往きの時とは様変わり、湧き出す雲に囲まれてまっ白。ひと休みすると双児山を目指す。
       
駒津峰手前から駒ヶ岳駒津峰から双児山へ
 思ったより急な下り。ハイマツの園。ホシガラスが間近に飛ぶ。西の谷から上ってきた雲が尾根の反対から吹く風に
飛ばされている。林の中に入り、結構歩いて双児山に着いた。ここからの下りも長い。コマドリの声がなぐさみ。
       
双児山の森長衛荘
 バスの音が聞こえるようになると北沢峠に着く。長衛荘の湧き水で顔を洗うとスッキリ心地良い。
本場の南アルプス天然水を記念に詰めて、バス停に並ぶ。16時よりも15分前に臨時便が出る。それもあるかなと
半分期待していたのです。バスの中から、雄大な山の斜面を見送りつつ、脇の林に鹿や猿を見つけて仙流荘に着く。
 車を回して温泉に入る。 これもまた良し。人心地着いて伊那へ。天竜川沿いを北上する頃に夕日が沈む。
東を見ればポンと駒ヶ岳はじめ南アルプスの北部峰々が照らされていた。西は中央アルプスと贅沢な土地柄である。
森と展望と高みを満喫し、すっかり満足して帰路についた。24:00自宅着。

  甲斐駒ヶ岳について   

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2007.8.21. BY M.KANE