投稿のページ

HOME

  猪名川町周辺の山ハードハイキング
  特選ショートコース その1

鳥飼山・広照寺山 縦走 

  妻恋地蔵さんからご提供いただきました。 ありがとうございました。
  妻恋地蔵さんのE-mailアドレスは hirotani52@nifty.ne.jpです。  (2002.5.4.掲載)

 昨年の三月に猪名川町境尾根を歩いたとき、鳥飼山あたりから見た寺山の秀麗な姿に心惹かれました。十二月に、低山同好の九名の方々と高畑山・広照寺山縦走を計画しました。ところが、すでに猟期に入っていたので、登り口の香合新田のIさんという親切な方のご忠告があり、縦走は断念して殿垣内に回って寺山・広照寺山に登りました。たいへん和やかで楽しい山歩きでしたが、なにか歩き足りない感じを皆さんは持たれたことと思います。
 猟期が終わり、北摂丹波の藪山党にもやっと今年の春がやってきました。予想以上にすばらしい雑木林の山々を楽しむことができ、郷土の山を愛する方とも知り合えて、思い出に残る一日となりました。
 
山 域 北摂山地
  
山行日 2002(平成14)年2月23日[土]
 
同行者 妻、迷犬ハナ
 
天 候 曇り
 
時 間
 
波豆川公民館10:30・・・・11:05松尾谷奥池・・・・11:45鳥飼山11:55・・・・12:10香合道の峠・・・・12:30高畑山(昼食)13:05・・・・13:50約四五〇m山・・・・14:20寺山14:40・・・・・15:30殿様墓15:55・・・・16:05波豆川公民館
 
 
◎鳥飼山へ
 
 波豆川(はずかわ)公民館に車を置く。「波豆川公民館前」のバス停があり、JR三田(さんだ)駅から波豆川行きの神姫(しんき)バスが日に八、九本通っている。
 殿垣内(とのがいち)最奥の家へ上がる道の入口で、Hさんという方と知り合い、いろいろ山のお話をうかがう。Hさんは、最近仲間の人たちと山歩きに「ハマ」っておられるそうだ。私は昨年末、九人の方々と一緒に、ここから寺山(てらやま)・広照寺山(こうしょうじやま)の鞍部へ登ったが、そのとき最奥のお宅の庭先を通らせていただくのに許しを乞うた方が、Hさんの御父上だったとのこと。また、『神戸近郊の山やま』という本の著者は、ここで広照寺山の山名を知られたのではないだろうか。私の知る限りでは、登山・ハイキング資料で最初に「広照寺山」の名を記したのは、昭和六十年発行の『神戸近郊の山やま』で、その後のすべての資料はこれに倣っているようだ。
 大舟寺(たいしゅうじ)の前から北へ延びる車道を歩く。東谷池から林道となった。雑木林は美しいものの、林道に粗大ゴミがたくさん捨てられている。この谷は「松尾谷」というが、現在は通称「東谷」と呼ばれているとHさんに教わった。廃林道の先に奥池がある。その西側の細い山道を進むと、大磯から香合新田(こうばこしんでん)に通う、通称香合道(こうばこみち)に出た。香合新田側に少し歩いて、小さな土橋を渡ったところから北へ分かれる山道に入る。この奥に、古い石組みの跡が幾つか見られる。Hさんのお話では、これは昔の大舟寺跡で、最初大船山(おおふなざん)にあった真言密教の大舟寺が黄檗宗となって現在地に下りる前に、いったんここに移ったのだそうだ。
 奥の方に、幹に赤ペンキを塗った木が見られる。藪混じりの尾根ながら、それを追ってどんどん北へ登って行ける。昨年三月の縦走のとき、鳥飼山(とりがいやま)の頂上から赤ペンキを塗った木が南へ下っているのを見たが、ここへ下りて来るのだろう。歩くのに不自由しない程度に伐られた尾根を、赤ペンキに導かれてどんどん登っていく。雑木の枝先にはもう新芽が膨らんでいる。馬酔木が一本、早くも花を咲かせていた。眺めのよい小さな岩の上で休憩する。最後に散岩を登って鳥飼山に着く。この山を波豆川側では「烏帽子(えぼし)」と呼んでいるとHさんに聞いた。大磯の集落から仰ぐと、烏帽子のように見えるのだそうだ。
 昨年、頂上にあった少しばかりのゴミはすべて拾っておいたが、一年もしない間にまたゴミが落ちている。二人して拾う気にもなれない数だった。また、昼ヶ岳方面への下り口に、小さな赤テープが無数に付けられてあった。たいへん見苦しい。人気のある有名な山では、昔に比べて登山者のマナーもかなり良くなったように思うが、このような辺鄙な藪の低山には、まだまだ「汚す」、「壊す」ことに無頓着な人も少なからず登って来るようだ。せっかくの渋い雑木林の山が、ゴミとテープだらけになって台無しにならないよう、皆で守っていきたいものだ。
 鳥飼山からよく伐られた道を東へ下っていく。猪名川サーキットから爆音が聞こえてくる。木の幹に塗られた赤ペンキといい、この爆音といい、静かな雑木林を歩く興趣が半減する。石谷山へ続く大尾根から外れて、赤ペンキの道は三田・宝塚市境尾根を南へ下っている。少し枝が出ているが、歩くには十分の道だ。
 香合道の峠に下り立った。自然石のような小さな地蔵様が祀られている。霊験あらたかということで、大磯からお参りする人が今でも多いそうだ。この峠は、最近の『北摂の山々』に「高畑峠」と書かれているが、私はまだその地名を確認できないでいる。
 
◎高畑山
 
 峠から南の尾根筋は、山の雰囲気が一変する。ゴミやテープの類は全く見られない。たいへん美しい雑木林の中に、細い踏跡が続いている。アップダウンは激しいが、尾根が顕著なので、読図はそれほど難しくない。
 北側から眺める寺山(てらやま)の逆光の姿は、まことに険しくてカッコいい。東面や西面の整った姿も美しいが、北面が最も良いように思う。
 高畑山(たかはたやま)の先の約四五〇m山もいい山だ。頂上の少し手前に小さなザレがあり、北〜南西の展望が得られた。大船山が波豆川をはさんで正面に聳えている。
 
◎寺山・広照寺山
 
 寺山の頂上は、昨年の十二月に南側から登って来た所。小さな城跡の雰囲気だ。樹間に目を凝らすと、三蔵山(みくらやま)のすぐ左に、わが町日生(にっせい)ニュータウンらしき住宅地が見える。
 南の鞍部に下りる。あるホームページに、この鞍部に目印のテープがあったと記されていたが、テープもゴミも全く見られない。どなたか心ある方が取ってくださったのだろうか。
 少し登って広照寺山へ。南西に長い平らな頂上だ。昨年末、このちょうど中ほどの僅かに開けた藪の中で、美味しいキムチ鍋の忘年会を楽しんだ。
 頂上の南西端から南尾根を下りることにする。ここで大失敗。南南東の尾根なのに、「南南西、南南西」と念じながら下りだして、ひどい藪の急斜面に入り込んでしまった。踏跡とハンターの目印が全くなくなったので、すぐに気づいて正しい尾根に帰ったが、二ヶ月前に歩いた安心感も手伝って、初歩的な読図ミスを犯してしまった。尾根を南へ下るとき、地図が上下逆転するせいもあって、東と西を取り違えることが過去にも何度かあった。南尾根の踏跡にたどり着くと、ハナ姫が「なに遊んでるん?」と冷めた目つきで寝そべっている。地図も磁石も持たない犬の方が賢い。
 南尾根をどんどん下り、三田市史の地図にある山道に出る。この廃道を南西にたどって新しい伐採地を西へ横断し、小さな鞍部を越えて池に下りた。小さな祠がある。すぐ下の獣よけの柵を出、再び北側の柵を開けて、殿様墓(とのさまばか)と呼ばれる墓地に行ってみた。中世のものといわれるみごとな五輪塔があった。
 今日は、山中誰にも会わない静かな冬枯れの雑木林を、心ゆくまで楽しむことができた。

(この文は、ニフティの登山会議室への報告に、少し手を加えたものです)

 

 妻恋地蔵さんの「深山をゆく」  

 山のリストへ  / ホームページにもどる        
 
 

2002.5.4. edited in HTML by M.KANE