地球晴れの尾根歩き・檜尾岳          

小檜  
山頂直下からの檜尾根 
■目的地:中央アルプス・檜尾岳(2727.7m)
■天気:晴れ後曇り (暑くもなく寒くもなく)
■同行者:俊一(12才)
■アクセス:
  7月14日 自宅 発(20:45)=(名神・中央 道)=駒ヶ根IC(0:30)=菅の台(0:40) 310km
  7月15日 菅の台(7:15)=バス=しらび平(7:50-8:50)=ロープウェイ=千畳敷(9:00)

■概略コース:千畳敷〜濁沢大峰〜檜尾岳〜檜尾根〜檜尾橋      
■コースタイム:
  千畳敷 発(9:10)〜極楽平(9:45-10:00)〜島田娘〜最低鞍部(11:10)〜
  濁沢大峰(11:25)〜昼食(11:50-12:35)〜最低鞍部(13:05)〜檜尾岳(13:40-13:50)〜
  檜尾避難小屋(14:00)〜檜尾根〜赤沢の頭(15:25)〜檜尾橋 着(16:30)

【前日談】 俊一が今度の日曜はどこへ行くのと聞く。白山の余韻にどっぷり浸って
いたので忘れていた。幾つか用意してある計画の中から、去年に続いて中央アルプスへ。
今回はロープウェイで登ってお手軽に。シャワーを浴び夕飯を食べて出発。
 駒ヶ根ICを下りると菅の台は一本道だが、勝手判らず駒ヶ根橋まで来てしまう。
引き返して駐車場に入る。夏休み前だから少ないのかなと思っていたが、やっぱり変。
天の川もきれいに見える星空の下、偵察散歩に出るとどうもホテルの駐車場のようだ。
再度エンジンをかけてバスセンター横の駐車場へ。夜目にて半分ほどの入り。
池山  
駐車場から池山方面
【早朝】 時間に関係なく登山者の車が入ってくるようだがいつの間にか寝てしまい、
明るくなると目が覚めた。4時半、快晴。俊一はまだ寝ている。始発バスはまだなので
そのまま寝かせて支度をする。5時になるとバス停に並ぶ人が数人出てきた。
6時前に俊一を起こしてゆっくりと支度。が、どうも俊一の体調が良くないようだ。
しばらく車の中で休憩。6:30 バスの列に並ぶ。既に50mは越えている。約30分待ち。
バスは観光案内を交えて高度を上げ残雪を抱いた山が見えてくる。しらび平に着くと
今度はロープウェイの整理券を求める列に並ぶ。100m程の列だが8時頃に整理券の
配布が始まり列は直ぐに解消。日影を見つけて腰を下ろし時間潰しに持ってきた読み
かけの本で気を紛らわせる。
富士山  
南アルプスと富士山
【箱】 待合所の庇の外は抜けた青空と神々しい岩稜が誘う。
1時間ほど待ってぎゅうぎゅう詰めの箱で高度を上げる。谷がどんどん下に下りていき、
雲海の向こうに南アルプスの青い影が並ぶ。富士山の頂も顔を出している。
伊那前岳の山腹もいい感じ。
八丁坂  
千畳敷
【平】 千畳敷に着いてまた南アルプスを眺める。売店を出ると宇宙のような青い空に
宝剣岳。こちらの景色も開いた口を閉じるのを忘れるように見入ってしまう。
いつもは嫌がる写真を俊一の方から撮って欲しいと言うほどだ。登山届を提出すると、
「うーん、日帰りですかぁ、バスの最終はしらび平発17時なのでぎりぎりですねぇ。
何かアクシデントがあったらどうしようもないですよ。」と注意された。素直に受ける。
極楽平への道を登る。ゆっくりと。中国や米国の人も目に付く。日本にはこんなに
素晴らしい山があるんだよと自慢したい気分で歩く。既に白くなった月が青に映えます。
上になると花が増えてきた。雪解け水もちろちろと音を立てる。俊一、先に登っていく。
三ノ沢岳  
極楽平からの三ノ沢岳
【青】 10時に尾根にのる。極楽平、まさにその通り。宝剣岳から三ノ沢岳に広がる
ハイマツと砂地の広い源頭。雲海の中から御嶽山が少しだけ見え隠れ。
ウスユキソウやハハコヨモギなどの高山植物が咲く。白山と違って赤い花が少ないが、
これが花崗岩の砂地と合わさって独特の雰囲気。今から歩く尾根は既に雲が湧いて
所々しか見えない。南アルプスも雲海に見え隠れ。西に三ノ沢岳が大きい。
この景色の中で俊一は決定的に回復してしまった。「この青はなんだぁぁ!!」と
叫びたくなるくらい青い空。真っ青の純度が違う。
島田娘  
島田娘を振り返る
【花】 島田娘でしばし休憩。眺めに酔いしれる。花に見とれる。この時間ロスは予定外
だった。このままずっとここにいたい気持ちに駆られる。歩いては止まり宇宙への窓か
というほどの青空を眺め、岩峰を見、花の高さで写真を撮り、天国の歩き。日射しは
あるも時折通る風が涼しいくらいで快適。いいねぇいいねぇと二人で感嘆しながら歩く。
俊一と高い山に行くときは雲が出たり雨に遭ったりだったが、今日は最高である。連れ
てきて良かった。
濁沢大峰  
濁沢大峰へ下る
【塊】 島田娘のピークを過ぎるとかなり高度を下げる。縦走の人とすれ違う。
これを登るのは大変だろうと同情。三ノ沢岳がずっと横から来い来いと言っている様子。
あのカールの窪みといい引きつけられるなぁ。行く手には雲湧き消えていく中に目指す
檜尾岳が顔を出す。イワキキョウにシナノキンバイ。

【岩】 濁沢大峰の手前までさらに高度を下げた。振り返ると島田娘が大きく立ちはだ
かって見える。お花畑からハイマツの多い尾根になる。岩峰がいくつも突き出て今までと
雰囲気が一変。伊奈川のカール状の谷が大きく広がる。岩に描かれた赤ペンキを頼りに
登っていく。15分ほどで濁沢大峰の山名板のあるピークに着く。一息ついていたら、
昨日池山尾根を登ってきたというツワモノに遭った。
濁沢大峰  
濁沢大峰から檜尾岳方面
【飯】 山名ピークの先(南)にも岩峰がいくつも現れ、大峰の所以を感じる。檜尾岳で
昼食のつもりだったが、花と眺めに時間をとられて中途半端になる。この大峰岩峰群の
南端部で昼食。一瞬ガスが湧いて真っ白の世界。伊那谷側はダケカンバなどの木々が
映えるが西はハイマツ。イワヒバリが岩の先に留まる。ガスが晴れると相変わらず
三ノ沢岳が大きい。

【雲】 短い鎖場を下りると残雪の脇を過ぎツマトリソウが咲く。ほどなく檜尾岳との
最低鞍部。ここからは長い登り。西面を登るが急斜面なのに危ない感じのしない
尾根である。本音を言えばここの尾根を青空の下で歩きたかった。小屋泊まりで来る
しかない。ガスが出て先が見えないので黒部五郎のように偽ピークに何度かだまされ
ながら今度こそと山頂着。砂地の小広い山頂に三角点がある。ガスが晴れると南に
大きく空木岳が幾筋もの残雪を従えて聳えている。東はなだらかな小檜に蒲鉾形の
避難小屋。時々伊那谷の市街地が見える。ガイドブックの写真のとおりだ。やっと
来たなぁと感慨にふけって周りを何度も見渡す。俊一は双眼鏡で空木岳に掛かる滝を
見つけては興奮する。
空木  
檜尾岳から空木岳 (木曾殿越から湧いた雲に隠れる)
【扉】 水分補給してのんびりしたいのだが、一息ついたら長い下りを急がねばバスに
間に合わない。エアリアのコースタイムは4時間半なので半分近い速さで下らないと
いけない。焦らず怪我しないよう注意して行く。小檜の手前にはハクサンイチゲの
お花畑が密やかに広がっていた。壊れかけた石室の横を過ぎハイマツの中を通って
避難小屋。振り向くと檜尾岳がたおやかに鎮座。東を向く小屋の入り口は窓がとれ
てしまっているが、内の扉はしっかりしている。中は誰もいない。以外ときれい。

【尾根】 イワツメクサが群生している中を通り過ぎて、ハイマツの根が出て歩き
にくいが見晴らしの良い尾根を下りていく。水場の道標もあるが寄らずに下る。
振り返るとガスが晴れて歩いてきた尾根から空木岳まできれいに姿を現した。
空木岳から東に延々と伸びる池山尾根が屏風。
森  
森の中の道
【森】 シラビソなどの灌木の中に入り長い森の中を下る。ゴゼンタチバナや
マイヅルソウが見送る。頼りは時折出てくる道標に記されている赤沢の頭までの
距離。メモしながらピッチを確認。今のところ楽勝で下りれそうだが、気を抜か
ずに行こう。予定以上のピッチで下りているものの長い。飽きるほど長い。
ギンリョウソウの群生がすごい。南東が崩落した所もあった。やっとの事で着い
た赤沢の頭は道標がなければそれと判らない。

【笹】 そこからの下りはピッチが上がるもののササが出てくる。時折道を覆い
尽くすように茂る。薄暗い森もある。つづら折れも飽きるほど続く。バス道が
遙か下に見えてくる。下りて下りて小さな沢を数回渡り返すとやっとバス通り。
バス停までのたりと歩いていたら後ろからバスが来た。檜尾橋に走る。
到着  
バス停まで長かった
【湯】 こまくさの湯の温泉に入る。外の湯船からは宝剣岳が見えるではないか。
あぁぁぁ、しあわせ。駒ヶ根ファームでお土産を買う。蕎麦を食べて帰路に就く。
高速から越百山を見上げる。恵那山トンネルを抜けると夕日がきれい。
関ヶ原辺りで雷雨。心配した渋滞も京都を通る頃はほぼ解消していた。

  檜尾岳について   

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2001.7.22. BY M.KANE