半国山の北西・雪の沢を行く     

雪の沢  
約415mピークへ雪の沢を登る 
■目的地:半国山西の山[杉ヶ沢の北東](約665m)<山域:北摂・京都府園部町>
■2.5万図:埴生
■日にち:2001年1月21日(日)
■天気:晴れ のち曇り
■同行者:単独
■コースタイム:       アクセス;自宅 発(9:00)=R372=八田 着(10:15)
  
  八田 発[約185m](10:20)〜林道から八田川左岸の沢へ[230m](10:35-10:40)〜
  小ピーク[約415m](11:15)〜園部川支流のため池の上鞍部[約425m](11:50)〜
  雪の沢〜尾根の上[約510m](12:15)〜林の岩峰(12:20-12:25)〜約665m山(13:00)〜
  北東面伐採地の上(13:20-13:25)〜626m山(13:30)〜杉ヶ沢コースに合流〜
  448m小ピーク東面の沢(13:50-14:00)〜八田川沿いの林道出合(14:20)〜八田 着(15:05)

【雪見へ】 前日は雪だった。今月に入って週末は必ずというほど雪が降っている。
明けた今日は素晴らしい青空。ついつい半国山へと足が向く。R372は八田までくると僅かに
凍結が残っていた。交差点を左折して無垢の雪が残る路側に駐車。瑠璃渓へ上る府道を歩く。
植林の下は溶けた雪のしずくが落ちてくる。
 埴生大池の見えるところで府道から林道が分かれている。路上の雪は何の跡もついていない。
埴生大池は全部凍っていた。背景に植林や鉄塔もあるが、青空の下、キリリとした空気の風景は
惹かれるものがある。
埴生大池
凍った埴生大池
 
【取り付き】 植林になって橋の右先に仕事道のような踏み跡が先の沢に沿うように延びている。
今日は脇に入らず林道が二股になった右の道を登ろうと思っていたが、この踏み跡なら尾根の
端から取り付くことになる。踏み跡の先は藪になろうと予想できるが、気が付いたときは足を
踏み入れていた。2.5万図では、くさび型の埴生大池に流れ込む南の川(八田川)が西へ分かれて
いる辺りである。

【雪の沢】 しばらくは明瞭な踏み跡であったが倒木多く怪しくなってきた。この辺りも雪解け
しずくが多く汗も出てきたので、リュックを下ろして中のセーターを脱ぎザックカバーをつける
などの身支度を整える。このままこの雪の中で進むのか躊躇するも、先を見てみたい方が強い。
 再び歩き出すとかすかに踏み跡が分かる。紐や竹竿もある。沢の本流は右手(西側)になるが、
それでは府道と並行するので、南のほうへ避けて支流のほうを採る。微かな踏み跡もいよいよ沢と
区別がつかないようになるが、その頃は雪で覆われてきて歩きやすい。だんだん傾斜が増す。

【急斜面】 小柄な沢は雪で覆われだんだん左(南)の方へ曲がっていく。苔むした石も雪が被る。
源頭の様相になってきた。さらに急な登りが続き、雪で滑りそう。枝を掴みながらの登り。
背後には、雲の間から射す日で光る雪の雑木林や山肌が見える。左手にも北尾根がのぞく。

【小ピーク】 急斜面は低木が茂っていたが、それも緩やかになるに連れてまばらとなり、
小さなピークにたどり着く。林の中。地図を広げて現在位置を推定する。二つほど考えられるが
この先の尾根を歩けば程なく分かるであろう。
 疎林の細い尾根を伝って少し登ると紐が張ってある。紐にそって道があるのでピークの右を
巻くとT字状に道が分かれる鞍部。「筆界基準」と読める杭がある。左のピークを踏んでみるが
低い木がうるさいし、木の上に見える山並みから現在位置も知れたので鞍部に戻る。

【林の中】 しばらく紐があるものの荒れた仕事道を南へ行く。藪の中から見える青空がもった
いない。やがて緩い下りになり小広い峠のような鞍部に下り立つ。園部川支流のため池の上であ
ろう。目的の尾根とほぼ直角に山道。雪に被われている。強行に尾根に取り付いても良いが、
ここはまだ仕事道があるだろうと思い、右(西)のほうへ歩いてみる。ずっと新雪の歩きである。
雪が光る明るい林の中。
 峠道は明確だが、横に逸れて尾根に行く道がない。やがて盆地のような疎林広場状態となって
沢が流れている。その脇が何となく道らしい、ひょっとすると伏水の沢かもしれないが、
この辺で良かろうとこれを伝って尾根に向う。すぐに足元は水が見え隠れして来た、やはり沢だ。
そう思ったところで向かい側に道が沿っているのに気づく。あった、あった。
疎林広場
疎林の広場から沢へ
 
【小鳥】 その道と並行して上流に向けて歩くと、1mもない目前の枝に小鳥が留まって鳴く。
メジロかなぁ。舌きりすずめではないが、こんな雪の山の中へ何しに来たのという感じで見る。
実に愛らしい。

【尾根へ】 さらに道なりに行くと左手に目的の尾根に向う道が分かれている。が、入口は紐で
仕切られ「入るな」の意思表示。それではと、もうしばらくまっすぐ道なりに行く。沢にえぐられ
たような起伏があるところで、前の方を見ると倒木。そのまま進むよりも近いかなと左に曲がる
沢に沿って登っていく。するとさっきの紐で仕切られた道に合流した。道なりに登って行くと
左の植林に入る分かれ道があった。ここでは分かれ道のほうに入らず、明るい雑木林の中を、
あるかないか分からなくなってきた踏み跡を拾いながら登っていく。
 12:15 尾根の上に出た。林の中に微かな踏み跡あり。ずっとまっさらの雪が覆っている。

【大岩】 正午を過ぎたので近くの山から知人の電波が出ているかもしれない。トランシーバの
電源を入れスキャンしてみるが聞き取れない。まだ早いかな。林の中は無理か。
この尾根にのればその背をたどるだけで自然に山頂へいける。今日のハイライトはここまで...
 しばらく新雪の道を登っていくと、右前方に雑木林の中から天を突くような大岩が現れた。
林の中にこんな岩があるとは。もちろん私は初めて会うが、山仕事の人は昔から知っての岩なの
だろう。そんなことを思いながら、腹が減ったのでカロリーメイトのプロックを補給する小休止。
空は曇ってきた。道は尾根の北寄りにはっきりついている。

【深山を望む】 5分ほど登るとまた、卵のような岩が出た。横が7、8m程。横に見て進むと
次第に低木が煩くなり踏み跡が薄くなる。雪で覆われた斜面はどこからでも上って行けそう。
緩やかな登り。やがて左側(東)斜面がヒノキ植林になる。時折日が差す西側は雑木林なので
まだ救い。ピークを巻くようにしていくと右手に林越しの天狗山や深山が見える。深山は雪だ。
この天気ではとても近寄りがたく感じてしまう。それでこそ深山である。
約665m山
約665m山のピーク
 
【山頂】 やがて右手に雑木の谷の様になった所を尾根上で巻いていくと、ピークを感じる。
何もない。ひとかかえほどの岩が二つ。ここが目指した約665m山かと多少予想はしていたものの
少し拍子抜け。このピークの先にもごろごろと岩が幾つか雪を被っている。相変わらず左側は
植林。右、雑木。

【北尾根】 昼食するような雰囲気ではないので先へ行く。水槽施設のようなものが出てきた。
この先では右手に別荘地が見える。あれっ?地図を出して見てみると、なるほどそうなんだぁ。
山頂近くまで別荘地のような道が延びている。依然と左手(北東面)は植林が続くが、斜面の下の
方が伐採されている所に来た。ここからは去年の今ごろ歩いた北尾根が見える。懐かしい眺めな
のでもう少し伐採地のほうへ下りてみる。昼もだいぶ過ぎて腹減ったので再びカロリーメイトで
補給の小休止。写真を撮っていたら気がついた。去年発見した掘り出し物の展望地、北尾根の
約655m山に鉄塔が建っているではないか。愕然として(実は時間も遅くなっていたので)この先
予定していた北尾根経由をあきらめ、杉ヶ沢コースの途中から八田川沿いの林道へ下りることに
決めた。(この後、四月七日に登るとこれは勘違いで、鉄塔は約655m山東面に以前からあったもの。)
約655m山の鉄塔
伐採地から見た北尾根の約655m山鉄塔
 
【杉ヶ沢コース】 獣の足跡はよくお目にかかるが人の足跡は本日ひとつもない。積雪5cm程の
尾根。アップダウンを2、3回の後、やっとこさ杉ヶ沢コースに合流した。ここも新雪のまま。
しかし、すぐにうっそうとした植林の中。雪でいくらか明るいのが救い。次かな次かなと去年
辿り着いた八田川からの山道合流点を探す。思ったより深い20cm程の雪に足をとられながら下る。

【バイク跡】 「半国山」の道標が現れた。その下には無残なバイクのタイヤ跡。
尾根を歩いているときにどこからかエンジンの音がするなと思っていたが、こんな所まで
来ていたとは。それでも今日はじめて人の仕業に触れて安堵感もあったのは否めない。
降りる予定の山道を茶色にかき回して林の中へ吸い込まれている。

【下りにも沢】 茶色の線がついた雪の道を下る。去年見つけたテーブル岩にも久しぶりに
会った。バイク跡にうんざりしていたから、左手の沢にそれる。さすがにここには何の跡もない。
上りに伝った沢と同じ様な風景がもどった。ゼリーでカロリー補給。とうとうラーメンを食べる
ような落ち着く場所にありつけなかった。それでも、雪の谷は静かでいい。
トランシーバーを聞いてみるが谷間なのでもとよりコールは聞こえない。スイッチを切ると
さらに静寂が引き立つ。
八田川
林道合流地点から八田川上流を見る
 
【沢音】 しばらく沢を下るが岩が大きくなって歩き難くなったので、再びバイク跡のついた
道に戻る。去年登りに使った道。植林から雑木林になりまた植林。その間、昼下がりで気温も
緩み、再び雪の解けた滴で上着が濡れてきた。大きな沢(八田川本流)を渡って林道に出る。
ずっとバイク跡は続く。
 また晴れてきた。雪解け水で大きな音を響かせる八田川に沿いながら、意外とこの林道、
長いなと思いつつ歩く。上流から流れ込む水に押されて氷の溶けかけた埴生大池。その脇で
登ってきた尾根を振り返り愛車の待つ南八田へ向う。瑠璃渓への府道はまだシャーベットの雪が
残っていた。

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2001.2.12. BY M.KANE