天近し加賀白山・大汝峰     

大汝峰から翠ヶ池と御前峰 大汝

■目的地:白山・大汝峰(2684m)
■天気:晴れ後曇り (暑くもなく寒くもなく)
■同行者:単独
■アクセス:
  7月7日 自宅 発(17:20)=(名神・北陸 道)=福井北IC(21:00)=市ノ瀬(22:20) 300km
  7月8日 市ノ瀬(4:35)=別当出合 駐車場(4:50) (マイカー規制は7/19から)

■概略コース:砂防新道〜エコーライン〜室堂〜御前峰〜大汝峰〜室堂〜砂防新道
■コースタイム:
  別当出合 発(5:00)〜中飯場(5:45-5:55)〜別当出合3km・室堂3km地点(6:45)〜
  甚之助避難小屋(7:00-7:10)〜南竜分岐(7:25-7:30)〜エコーライン途中10分休憩〜
  室堂(8:50-9:00)〜御前峰(9:35-10:35)〜大汝峰(11:20-11:40)〜七倉分岐(11:55)〜
  中宮分岐(12:20)〜室堂(12:45-12:50)〜黒ボコ岩(13:05-13:10)〜南竜分岐(13:35)〜
  別当出合3km・室堂3km地点(13:55)〜別当出合 着(14:45)

【発起】 天気予報は梅雨前線が日本海の高気圧に押し下げられて北の方がいい天気。
今年はまだ雪があるかなとインターネットで調べるが白山の山行報告が見あたらない。
そんな中、白山自然保護センターの情報はとても心強い。しかしこれとて一週間前の情報なので
念のためビジターセンターに電話(07619-8-2504)で聞いてみる。ほとんど山道は出ているという。
去年に2週間早いが今年は雪に悩まされることはなさそうだ。よーし、行くぞぉぉ。(^^)

【登山口】 南条SAで給油。高速を下りてもほぼ道は覚えていた。市ノ瀬駐車場は5台。
まだ早いのかみんな別当出合へ行ったのか寂しいくらいに少ない。トイレを済ますと直ぐに寝る。
時々別当出合へ走る車のライトが光る。轟々と川の音が響くのみ。未明に寒くて寝袋をもう一つ
被る。
 3度目に目を覚ましたときは明るくなっていた。4:30。トイレを済ませて別当出合へ向かう。
この道を自分で走るのは初めてだ。きれいに草が刈られている。駐車場の手前で10台程路側に
駐車。あらら、ちょっと遅かったかなと側路を下れば第1Pは満車、その下の第2Pは30台位で
まだ半分以上空いている。

【取っ掛かり】 サンドイッチなどをほおばりながら身支度をする。駐車場から別当出合のビジ
ターセンターへは約10分。白板の情報よりHPの方が詳しかった。入山ノートに記帳。
 不動滝から落ちてくる水音が辺りを埋める。谷にはまだ朝日が射していない。
いつもの吊り橋を渡って砂防新道へはいる。山道になると道脇の草の葉が大きくせり出し、
朝露が冷たい。時間は十分あるので、ゆっくりゆっくり歩く。木陰にあじさい。白いシモツケ
ソウが咲いている。ブナの幹も健在。中飯場に着く前に首筋や額に汗が出てきた。
別山  
別山が現れる
【中盤】 中飯場は5人ほどが休憩中。一息ついて出る。登山道が整備されている。ササユリが
一輪。展望のない登りが続くが、マイペース。ウグイスの声がそこここに木霊。道標も新しく
なっているが一番のハイライトは、以前の室堂までの中間点3km点が2.7km点になっていたこと。
この先で遭ったアカヤシオの紅一点が目をひく。左手に観光新道の尾根が見えてきた。馬のたて
がみ辺りに薄く日が射してきて点のような残雪が光る。別山も負けじと朝日を浴びて雲ひとつな
い空にすらりと浮かぶ。石畳の緩い階段道。どこかの低山にある階段道とは趣が異なり歩いて
負担が少ない。山道にも日が射してきて、コイワカガミやツマトリソウ、コゼンタチバナなどが
光る。
ツマトリソウ  
ツマトリソウ
【ひと息】 甚之助ヒュッテで休憩。最盛期ほどではないが、既にベンチは満員に近い。
ここまで来るとだいぶ気は楽になる。日影にサンカヨウ咲く平坦道から登りがきつくなるが
同時に景色が開けてくるので苦にならない。南竜方面も見えてきた。秋の紅葉とは違う落ち着い
た緑。雪は去年ほどではない。南竜分岐で別山をはじめとするいつもの眺めを楽しむ。

【青空】 南竜道も巻き道が整備されている。花はまだ少ない。エコーラインの分岐まで来ると
山荘が見える。涼しい空気の中、逆光に光るササで覆われた賑やかさが際だつ。テント場は遠目
で5張り。油阪の頭には残雪が長く尾を引いている。去年は7月後半でも雪に覆われていたが、
今年はすっかり解けている。ここからの登りは急登なのであわてずゆっくり登る。満開ではない
が常連の花たちが疲れた膝を癒してくれるようだ。特に青空に伸びるハクサンコザクラのかわい
らしいピンクはホッとする。岩の間にはタカネスミレ。ナナカマドの白い花も出てきた。
ハクサンコザクラ  
ハクサンコザクラ ( けっして造花ではありません。^^; )
【大景観】 やがて道は緩やかになって登ってきた方に別山、行く手には御前峰が弥陀ヶ原の
上に載っかるように見えてくる。その手前にはトンビ岩コースの尾根がどーんという感じで
谷を作り雪解けの滝音が聞こえてくる。道の先に白く敷かれている雪田。昨年初めて見たときも
この雄大さに感激したが、今年も違った色彩でここに身を置くことができる幸せ。いいなぁ。
登りできつかったことも全て忘れてしまう。しばし腰を下ろして眺めに浸る。見る間に別山には
雲が湧いてきた。
御前峰  
エコーラインから御前峰
【高原】 20m程の幅で雪の上を2回ほど渡る。HPによると6月に滑落事故があったそうだが
少なくなった雪の量ではその危険も感じられない。確かに雪が積もって道を逸れたら谷底に
滑り落ちそうなところはある。
弥陀ヶ原に入ってくると雪が解けた後にツガザクラなどの花が咲き始めている。木道が庭園の
中を伸びて天国の歩き。青空の御前峰が室堂に隠れていく。今までここはガスの時ばかりだった
のでとても清々しく、木道に響く足音も心地よい。
弥陀ヶ原  
弥陀ヶ原から御前峰
【室堂】 黒ボコ岩からのコースと合流し、雪渓脇を登っていく。ここも全て道が出ている。
日影にはキヌガサソウが群生。工事のエンジン音が室堂の存在を示し、やがて人混みが現れる。
白山神社の赤い屋根が青い空と対照的で良く写真で見た景色がそのままここにある。
今はこれが現実の世界なのだが、エコーラインを歩いた辺りから現実はどこかに
置き忘れてきたように気分は宙を彷徨うモードにある。

【峰へ】 神社の前で一息いれる。小屋では丁度宿泊者の毛布を屋根に干す作業が始まっていた。
リュックを置いて登る人も多いが、昼食を山頂付近で摂りたいので
そのまま重い背中を感じつつ最後の登についた。やっぱり足は重い。格段にペースが落ちる。
足を止めようかと思いながらも、次々と登ってくる人がいるので遅いながらも足を交互に
動かしてみる。これを続けるとだんだんと岩峰が近づいてくるのである。
ハイマツの影には地味で可憐なクロユリが恥ずかしげに下を向いて咲き乱れている。
青石を過ぎ、高天原あたりに来るとハイマツも少なくなった。いつの間にか雲が湧いてきたが
走って登る力もなくただ足を交互に動かす。
室堂平を見下ろす  
室堂平を見下ろす
【空中】 白山奥宮に無事登ってこられた事を感謝して三角点へ向かう。さすがに賑やかである。
荒々しい剣ヶ峰を見ながら昼食をと思ったが、落ち着かない。岩の間にイワウメ。
溶岩の中を歩いて岩に登り静かな雰囲気の中でお湯を沸かす。無線を聞くがコンテスト
ばかりのようなので敬遠。雲は流れて一瞬、大汝峰が全容を現した。大休止で疲れも引いてきた
し、あそこまで行ってみたなった。帰りが少し遅くなりそうだ。その前にあの登りを歩けるだろ
うか。眺めと地図とを確認して標高差はそれほどでもなさそうだが、前半の勾配が気になる。
 
急登後の大汝峰 (右のピーク)
【天へ】 つづら折れからお池の中へ入っていく。ハクサンイチゲやツガザクラなどのお花畑が
砂礫の中に広がる。残雪が緑の縁をつけて池に入り込んでいる。翠ヶ池の縁を経て中宮分岐。
ここから岩のごろごろした斜面を登る。道がないようである。やがて緩やかな尾根を越すと広々
とした山頂に着く。ガスが少しかかる。石垣に囲まれた小さな祠に参って感謝。脇のイワツメ
クサの株は見事。砂地の上で昼寝ひとり。地獄谷を見下ろす石に腰掛けてお茶を飲む。ガスが
晴れると荒々しい谷に雪渓。翠ヶ池は天からこぼす水をたたえているようだ。静かで広々として
いる。まさに天に一番近い雰囲気。来て良かった。御前峰もいいが、この静かなピークはそれに
勝る。
七倉方面  
大汝峰下りから七倉方面を見る
【ハイマツ帯】 昼寝もしたいのはやまやまだが下りないといけない。北へはのっぺりとして
いているものの尾根が二つに分かれているのでその間を下りていくようになる。色とりどりの
高山植物が咲き乱れた先はハイマツが迫っている。前方は七倉山へ続くはずだがガスでピークは
判らずハイマツの濃い緑の尾根が見えるのみ。巻き道の分岐に着いたがこの辺りも花が咲き乱れ
ている。踏み跡は細くて足の踏み場がないほどの花。さすがにここへ来る人は室堂の数ほどでは
ない。花に見とれて帰るのを忘れてしまいそう。ぐっと堪えて巻き道を室堂へ向けて歩き出すと
ひたすらハイマツの中。あまりの変化のなさ。時折、イワヒバリ?が飛び立つ。
お花畑  
お花畑 (七倉分岐付近にて)
【帰路序盤】 お池めぐりコースと合流する中宮分岐に近づくと青年が一人歩いてきた。
向こうもこんな所で人に遇うのは驚いたようだが大汝峰から回ってきたというと納得した様子。
釈迦岳へ下るようだ。ここから見上げる御前峰は鋭い岩峰群でガス晴れる。今、山頂の人は
幸運な展望を手に入れているのかもしれない。室堂近道コースを行く。途中雪田を横断。少し
登って室堂を俯瞰しながら近づく。室堂で水を補給してから黒ボコ岩へ。朝は眠っていたような
クロユリがおもむろに咲いている。途中の弥陀ヶ原は往きと打って変わってガスが立ちこめ展望
なし。黒ボコ岩でエネルギー補給の小休止。

【帰路大詰め】 この下の十二曲がりは先月末まで落石のおそれがあったようだが、先週から
好転した模様である。それにしても今日一番の危険地帯。崩れの進行を目の当たりにしながら
南竜へ。ミヤマダイモンジソウなどのかわいらしい花もあるが、山頂周辺のお花畑で感覚が麻痺
しているようだ。南竜分岐までこんなにあったかなというほど単調な歩きの末到着。別山は見え
ない。水を飲んで一息に下りる。この下りはなぜか足になじみやすくほいほいと足が動く。
ちょっとペースが速すぎるかなと感じながらも足のおもむくままに下りていく。ガスがでている
ので展望もない。あっという間に中飯場。小休止して暑くなった空気の中で吊り橋を渡り、別当
出合に着く。一息つく。
森  
 (中飯場の下にて)
【帰路のしめ】 駐車場は既に下山して空いた所もパラパラあるが満車状態。シャツを着替えて
温泉へ。「天望の湯」¥650。2階の展望湯は男湯女湯日替わり、今日は男湯だがあいにく
ガスで山頂は見えない。16:20に白峰を辞し自宅着21時すぎ。

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2001.7.16. BY M.KANE