丹波・五条山から早春の雑木林縦走             

 
482m山の雑木林 
■目的地:五条山(568.5m)・510m山 <山域:丹波・京丹波町>
■2.5万図:菟原
■日にち:2006年3月4日(土)
■天気:晴れ
■同行者:単独
■コースタイム:
  猪鼻峠 発(11:30)〜五条山(12:30-13:05)〜Ca440mコブの雑木林(13:35-13:40)〜
  482m山の雑木林(13:55-14:20)〜510m山(14:50)〜大峰供養塔(15:20)〜加用口(15:45)〜
  府道26号線〜猪鼻峠 着(16:30)

 熊はいないかもしれないということで、再び瑞穂の山へ。
五条山は南の尾根から取り付こうかと思って水原から入る。すると林道使用許可要、水道施設進入禁止、
松茸山入山禁止と看板が多くて心やすく取り付く気になれない。断念してメジャールートの猪鼻峠からに
落ち着く。府道横の杉林に「すぎじぞう」さんが鎮座。

 府道を横断し、関電巡視道の「火の用心」指標が府道脇から南の杉林の方を指す。
北斜面に陽が射しているが、なにげか白い。近づくとオウレンの花がたくさん咲いていた。春の使いかなぁ。
踏まないようにして斜面を登ると、すぐに雑木林となり鉄塔下に着く。さらに雑木の中を登ってコブを過ごすと
西に廃棄物処理場が広がり、人間の業を思う。少し荒れた鞍部をすぎて登ると苔むした岩が現れた。
北斜面なので雪がほんのり残っている。3m程の岩肌、直登も右巻きも不可。やむなく左の谷へ少し下りて
巻くことにする。岩の上は苔の天地で踏むのがはばかられる。北に展望があり端正な三峠山や
雑木林が綺麗な568m山がよく見える。
 
苔の岩 
 やがて雪が一面を覆うようになってきた。このルートは三色のテープが付いているものの急登のためか
踏み跡は不明瞭な所がある。上りは徐々にきつくなり、低木の幹に掴まらないと登れなくなってきた。
岩に巻きついた根に苔が生え、小さなつららが着いている、絵になるなぁ。木の幹にも雪が残っている。
赤い境界見出票が朽ちた切株にのっていて、雪から顔を出す。
やっとなだらかになり、雪で覆われたピークにコンクリートの石柱がある。山頂方面にピンクのテープが
横断して張ってある。どういう意味だろう。とりあえず脇を通って進んでみる。

 南面は雪が解けて落ち葉が出る。雑木を抜けると伐採地。展望がいい。「五条山」の山名板もある。
さらに三角点まで行ってみよう。鉄塔へ向けて切り開かれ東方面がよく見えるが、鉄塔の足が遮る。
さっきの鞍部の方が落ち着くので引き返す。こちらは南西側に林があり、山並みは枝先と重なる。
右端に今から目指す510m山の電波塔が見える。そこから左へ多紀アルプスがつらつらと並ぶ。
北東は三峠山がどっしりと見え、その奥には長老ヶ岳、弥山山など北の方はまだ雪が残っている。
 
三角点からの眺め 
 景色を楽しんで腹ごしらえが終わると荷物をまとめてピンクのテープへ戻る。
目指す510m山は電波塔があり、先週行ったのでどんな所か承知。いい感じの雑木林の坂を
西へ下りていく。Ca510mコブの足下はササが出てきた。北面は植林。雪のないササの中は
嫌なので、植林の中をトラバース。次のCa475mコブはササ下生えの急登。背後に雑木の五条山。
Ca475mコブには黄色にペイントされた石柱が埋まっている。ここから南へ向く。
西側にいい雰囲気の雑木林。黄色のペイントは石柱だけでなく、幹にも着いている所があった。

 Ca440mのコブは細長くて尾根沿いに行くと縦走路を外してしまうので気をつけようと思っていた。
しかし、現地は分岐点に黄色石柱があって明瞭。少し拍子抜け。面白くないので少し尾根伝いに
南西へ行ってみる。というか、西斜面の雑木林へ惹かれるように足が向く。青空に冬枯れ。
斜面北のCa410m鞍部へ向かう。ここは少し荒れた感じがする。植林がすぐ南に迫っている。
 
Ca440mのコブから西 
 再び登りとなる。Ca430mにも黄色石柱、「二 七 一」と記されている。小さな赤い実が寄り添っていた。
足下は雪が残り落ち葉と併せて心地よい感触だ。482m山へは植林の中の登りとなる。
薄暗いピークにも黄色石柱。しかし、その先が明るい。何と大きな谷が広がっていて、今までにない
大きな雑木林が落ち込んでいるではないか。ここまで来て良かったなと思う。西の斜面を下りて
その雰囲気に浸る。あぁ、幸せ。日影に少し雪が残っているが、春の日差しにほとんどがとけている。
谷の底までゆらりゆらりと下りていく。この雰囲気がたまらない。谷から振り返ると青空がまた良し。

 遅い出発はこんな時に薄情です。先程のピークに戻り、ここからは北に向かいます。北方向には
右に鉄塔を従えた五条山が黒い枝越しに見えます。北側の稜線も踏み跡ははっきり。下りは急。
相変わらず黄色石柱が出てくる。雑木林の中の道、小さなコブを過ぎていき、430m山の尾根に
外れないように気をつけるが、山道は510m山方面が明瞭のようで特筆するほどの記憶は
残っていない。
 
Ca480mコブへの上り 
 510m山はその東手前にCa480mのコブを擁しています。再び植林の登りになり、ひとかかえの
大岩が点在している。先週使った管理道が近いかなと南へ行ってみるがちょっと外したようだ。
また稜線へ戻り素直に登ります。少し平坦になり510m山が近いことが判る。植林の中から
電波施設が見えたが、外に出ず西へ向かう。明るい雑木林の登りはすぐに平坦になって、何も目印の
ない510m山「おかやま」です。先週確認した小さな岩がありました。
 
510m山にて 
 さて、計画の第一案はここから五条山へ引き返し猪鼻峠へ下りるつもりだったが、時間も遅いし
意外とアップダウンが堪えたのでそのまま西へ下りようと思います。しかし、ここから西は今までのように
歩きやすい道とは違い低木のヤブなのは先週掴んでいます。でも、下りるしかありません。今日は良く
地形図を見るが、もう一度眺める。西に向かうと、途中から北に向く支尾根に入り込んでしまうだろうなぁ、
それはそれで猪鼻峠に近い所だからいいだろう。
 
下山途中からの510m山 
 熊は出ないと聞いていたがヤブの中は心地よいものではない。幸い下りなのでリュックに着けた鈴は
ここぞとばかりに鳴り響いてくれます。時間が遅くなった焦りもあって下りる速さは想像以上。
忠実に尾根を辿っていきます。案の定、北に向いてきました。比較的いい感じの雑木林もあるのですが、
それを楽しむ余裕もありません。何度か低木ヤブから植林の谷へ下りようかと思ったが、我慢。
やがて沢音が大きくなってきた。植林下の奥に小さな祠が見えたので、ここなら里から道がついている
だろうと下りていく。

 立派な石碑もありました。
「大先立 西山丞之助 大峰登山三十三度供養塔 安政四年四月二十日生 七十三歳」
の碑の台石には「脇」に4名、「世話方」に6名の名前が彫ってあります。
奈良の大峰で亡くなった人だろうかと勝手に想像したりする。
 石碑の前を雪解け水が勢いよく流れている。谷を出ようと歩き始めた時、道の上に白い物体。
猪鼻峠の登り口で見たオウレンがここでも咲き広がっている。なんという偶然だろう。
里はよく手入れがされていて畑の周りは大きな草が生えていない。土手にもオウレンが咲いていた。
踏まないように下りていき、川を渡って府道に出る。
 
静かな里 
 御旅橋で振り返って510m山の写真を撮ったら、工事をしているおじさんから「どこから来た」と問われる。
山を指さすとあそこの道は向こう側だろうという。「五条山から来ました。」というと少し驚かれた風だった。
舗装道歩きは面白くないが、山を歩き通した余韻に浸りながら、陽が西に傾く時間をのんびりと行けば、
忘れていた充足感に浸ることができる。途中で山を見上げては良い雑木林やなと次の山を探る。桃太郎の
おばあさんはこんな川だったのかなと思いながら、小さな流れでスパッツを洗い、ぶらりと峠に戻った。

  五条山について   

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2006.3.12. BY M.KANE