黄葉前のブナに浸る 越前・荒島岳    


ブナの尾根をいく
■目的地:荒島岳(1523.5m) <山域:福井県大野市・和泉村>
■日にち:2005年10月09日(日)
■天気:曇り時々晴れ
■同行者:単独
■アクセス:自宅 発(5:10)=北陸道 福井北IC(7:30)=R158=勝原スキー場 着(8:45)
■コースタイム:
  勝原登山口 発[約300m](9:00)〜リフト最上部(9:40)〜シャクナゲ平(10:50-11:00)〜
  山頂(11:45-12:05)〜シャクナゲ平(12:55)〜リフト最上部(14:00)〜登山口 着(14:25)

 今週は北の方で晴れ間が出そう。白山か荒島岳か迷ったが初めて登る荒島岳へ。
大野に入ると雲が低い所で流れている。山は雲の中。平地は晴れ間あり。好転を信じる。
スキー場駐車場は既に50台程。さすがに百名山、人気の山だ。第二駐車場に駐める。
 身支度して広いゲレンデをえいえいと登っていく。ぽつんぽつんと先行者が小さく見える。
その奥の山には灰色の雲がかかっているが昼には晴れるだろう。

ゲレンデを登る (山頂へ4.7km)
 コンクリート道がとぎれて道は右に上る。草の中、小石の転がる道が続く。汗が出てきた。
Tシャツ一枚になる。リフト最上部に近くなるとススキが並んで秋らしい。
リフトの向かいにステンレス柱の登山口道標があった。

ゲレンデ途中から北東 (野伏ヶ岳は左の雲の中)
 粘土の道。昨日の雨と人の多さでぐちゃぐちゃ。しばらくするとブナが出てきて歩きやすく
なる。トトロのブナもある。一目でわかる異形ぶり。太い木も多いが樹冠の下に広い空間が
あって、ブナに包まれているという雰囲気、森林浴というよりもブナ浴だわ。足下は木の根が
張りだして滑りやすくつまずきやすい。上の方ばかり見とれてしまう。
右手は小荒島への尾根に続く森。右手は朝日が時折差し込む。いよいよ晴れてきたかなと
山頂の展望に期待がふくらむ。


ブナの道
 50m毎に誰かが居そうな感じで、気楽な反面、静けさをゆっくり味わうという感じではない。
シャクナゲ平の手前で木の階段が続く。この辺りの標高では大きなブナが少なくなった。
シャクナゲ平は休憩の人が多い。20名近くいるのでは。標高1204m。ナナカマドの実が赤い。
この先があるので、おにぎりとジュースを補給する。一息ついて歩き出す。

シャクナゲ平下りから山頂方面
 下りになって前方のブナ林の向こうに大きな山影。扇ノ山の大ズッコを思い出す。
下り途中に佐開への分岐がある。鞍部はヌタ場の様な感じ。また登り返す。振り返ると
シャクナゲ平の林がガスに見え隠れする。しばらくするとモチが倉の難所。階段状の岩が
掘れた道に続く。段差が大きい。ロープもあるが使わずとも何とか登れる。やがて樹木が
なくなりササだけになると山頂も間近を感じる。平坦道になるがその先にまだ山がある。
ガスで見え隠れ。頭上のナナカマドが時折のぞく秋の空に綺麗だ。でも山頂の後は真っ白。
時折見える鱗雲。この時もまだ山頂に着いたらぽっかりとした青空になると期待していた。

中荒島から山頂方面
 東尾根がガスの中から現れる。上の方は少し紅葉している。陽射しが少ない。
ガスが流れるたびに陽射しが交互に射していく。あの尾根の先には三ノ峰が見えるはずだが
白い幕の中。ササの中を急登する。道脇で鈍くゴソゴソと音がした。アオダイショウのような
へびさんがゆっくりとササの奥に入っていった。三ノ峰でも同じものを見たなぁ。(^^;
再び平坦になりもう一度登る。どうせ山頂はもっと先なんだろうとあきらめ気分で登ったら
人の声がガスの中から流れてあっけなく山頂着。

一等三角点
 ぽっかりとした晴天の下に、山頂はあるはずだった。見事なガスの中で拍子抜け。
無線施設などが撤去されたとかでほどよい広さ。20名ほどが思い思いに昼食や山名板での
記念撮影。東尾根の頭が微かに顔を出している程度で回りは真っ白。こんなはずじゃない。
白山の展望を楽しみにはるばる早朝から出てきたのに残念。放心状態で岩に腰掛け
シャツとセーターを着込んでおにぎりを食べる。再び立っては周囲を何度も見回すが
展望が開ける予兆はない。
 風が吹いて冷えるので下山することにした。下りながら振り返ってみるも相変わらず
ガスの晴れる気配はなし。モチが倉ではデジカメを袋にしまい、両手フリーで慎重に下りる。
滑ることもなくシャクナゲ平に到着。相変わらず多い人。あとは下りなのでお茶を一口飲んで
先に下る。

モチが倉のブナ
 

いいわぁ (シャクナゲ平の下にて)
 せっかく来たのでブナの森にゆっくりと浸っていこう。立ち止まっては写真を撮る。
途中で腰を下ろし残ったおにぎりを頬張る。たまに人が通るので静けさは続かない。
見知らぬ山への単独には丁度良いにぎわい。いいわぁ、いいわぁと一人堪能しながら
上りと同じくらいの時間をかけて下る。木の合間から下界が見える所がある。
トトロの木を過ぎるとブナも少なくなってきたのでスピードを上げて下りよう。

ススキ (後は小荒島の稜線)
 リフト最上部に出ると日が射してススキの穂が光っていた。
経ヶ岳のなだらかな山裾が見えるが山頂はやはり雲の中。良い眺めだ。野伏ヶ岳も雲の中。
今日はどこへ登っても仕方なかったかなとなぐさめる。

麓から眺める
 勝山温泉へ向かう途中でそばの白い花を前に山容の写真を撮った。鉛色の越前富士。
小荒島まではポッコリと頭を出しているが、その奥の本峰は重たそうな雲を被っている。
帰宅して気が付いたのだが、小荒島へピストンすればいくらか展望があったかもしれない。
あとの祭りである。
 途中の信号待ちで黒い犬の散歩かと思いよく見たら、白い月輪のある小熊だった。
さすがは越前、山懐に近い土地柄よと感心した。でも大きくなったらどうなるんだろうと
他人事ながら疑問に思う。
 定番の勝山温泉はいつもながら心地よく、予定より早く帰路に就くことが出来ました。

      荒島岳について   

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2005.10.10. BY M.KANE