春の東多紀縦走    

剣尾山  
雨石山(左)と595m山   
■目的地:櫃ヶ岳(582.1m)・雨石山(611m)・毘沙門山(630m) 
■地図:2.5万図 村雲               <山域:丹波・篠山市・瑞穂町>
■日にち:2000年4月9日(日)
■天気:晴れ後薄曇り 暖かい
■同行者:単独
■コースタイム:

  宮代橋 発(11:40)〜丹波町との峠(12:25)〜櫃ヶ岳(12:40-13:05)〜東の鞍部(13:15)〜
  546m山(13:45)〜瑞穂町との峠[約425m](14:00)〜595m山(14:15-14:25)〜
  雨石山(14:40-14:55)〜岩峰(15:10-15:20)〜毘沙門山(15:25)〜鉄塔乙64(15:35)〜
  鉄塔甲65(15:50)〜鉄塔乙66(16:10)〜小原との峠(16:20)〜宮代橋 着(16:45)

【東多紀アルプス】 三岳を盟主とする山並みを中央の多紀アルプスとすれば、東は櫃ヶ岳を
真ん中に据える山並みでであろう。櫃ヶ岳は登ったが、岩稜を見せる雨石山をうかがい続けて
やっとその時がきた。ちまたは桜も満開に近いが、能勢、篠山はまだこれから。おぼろの山々
が春らしさをひきたてる。
ヒメオドリコソウ  ヒメオドリコソウ
【宮代】 R173を右へ逸れて早くも田おこしが行われている宮代の里へ入る。宮代橋に停車。
あぜ道にはタンポポやヒメオドリコソウが色を添える。ドーム状の櫃ヶ岳を眺めながら地道の
林道へはいる。伸びたふきのとうやスミレも咲く。白い梅が陽を浴びて輝く。約20分で林道の
ヘアピンカーブに着く。いきなりキジが大きな羽音をたてて飛び立った。ここから沢に沿って
植林の中を登る。

【櫃ヶ岳へ】 日陰の仕事道を途中で沢を渡る。前回はこの沢をそのまま登ってしまったよう
だ。知らないときは恐いものである。下草が生えてきて植林の道も段々と怪しくなるが植林に
入って約20分で丹波町との峠。北側はさらに背の高い植林。踏み跡は今から向かう櫃ヶ岳方面
のみ明瞭。
 まわりが雑木林に変わって次第に急になっていく登り。背後にかすんだ深山が見えてきた。
すぐ側でウグイスが鳴く。風が強い。陽射しは暖かく、カサカサと乾ききった落ち葉を踏んで
高度を上げていく。少し登りがゆるくなると猪の掘り返しがおびただしい山頂にたどり着く。
深山  
深山を望む
【樹間の開き】 北と西、南東に少しずつ切り開きがあって、わずかな展望が得られる。
ラーメンの支度をしてできるまでに写真を撮る。北は西山が大きく立ちはだかっている。
南東は三国山があるはずだだが定まらず。胎金寺山や半国山の北尾根が薄く重なる。
東は今から行くであろう山並みが続くが、それぞれ独立した峰に見えていて他人事のよう。
 タテハチョウがひらひらと舞う暖かな山頂であった。

【林の稜線】 櫃ヶ岳から南西に急斜面を下りる。雑木林が素晴らしい。西に巻くところで
カシの花か萌葱色に目を惹かれる。踏み跡は右にカーブして行くが、鞍部近くは広々としてい
て迷いやすい。地図とコンパス、赤い紐を頼りに踏み跡を行く。松混じりの植林から鞍部を
二つ過ごして登る。北が眺められる岩があった。さらに行くと今度は南を見る岩。下生えが
ほとんどない落ち葉だらけの明るい雑木林。快適な稜線歩き。
 長い稜線の末に546m山に着く。枝越しに595m山が大きい。よく見ると手前に白い花、コブシ。
転げるような下りのあとはまたのんびりと下る。良い道だ。また急に下ると植林の峠。左右に
仕事道のようなものが下っている。北は瑞穂町。

【広々とした林】 この峠からの登り返しはきつい。今日はここを登りに来たようなものであ
る。常緑樹が混じるので景色は良く見えない。ただただ幹に掴まりながら高度をかせぐ。
それらしい踏み跡に沿ってテープが貼ってあるので間違うことはない。
 やっと登り着いたかと思うと北側に鬱蒼とした植林。幻滅。しかし、歩を進めるとのびのびした
大地に葉を落とし尽くしたコナラが広がる。595m山、小振りでも山上の楽園とはこれも言うものぞ。
遠望はないが開放感に浸れる空間である。通り過ぎるだけでは惜しくなり、腰を下ろして水を飲む。
あぁ、のどか。...のどかと言っても北側は相変わらずの植林である。
雨石山山頂  
雨石山山頂
【二つの雨石山】 素晴らしい林を後にしてだらりだらりと下ると今までとは違う道の顔。
ササが広がっています。明るいところはササの下生え、植林に入ると日陰のせいかササもなし。
やっぱり自然に近い道が良いかとササに入ったり。そんな行ったり来たりをしながらのらり
くらりと登るとピークに着いた。「雨石山」の山名板が一つ。ササのない南側斜面に595m山の
名残のような落ち葉原があった。展望はないが南に明るく、鳥のさえずりも聞こえてまたのどか。
 相変わらず北側植林の下りを登り返して行くと、岩がゴロゴロしてきた。馬酔木が咲く。
さらに行くと岩稜。何と変化に富んだ山道よ。遮るもののない岩峰では、ここにもいくつかの
「雨石山」山名板があった。頂上としてはこちらが展望に優れてそれらしいが、先の地味な
ピークも味のある所で捨てがたい。
東の山並み  
岩稜から東の山並み (中央奥が櫃ヶ岳)
 展望は春かすみで山並みおぼろ。東の間近には今まで上り下りしたピークが並ぶ。
西には八ヶ尾山が八の字に大きく影を広げている。その北にこの山の特徴のひとつ、肩をいか
らせた鉄塔もみえ鹿倉山が薄い影。
八ヶ尾山 鹿倉山  
西に八ヶ尾山、その北に鹿倉山の影
【岩稜】 ヒカゲツツジの多い尾根となる。もう少しすればレモン色に輝くことだろう。
何度か岩をよじ登りながら進む。北がすっぱり切れ落ちた岩もあった。そんなこんなで最後の
ピーク、毘沙門山。西に岩が突き出る。ここからツツジの中を下る。岩影にコブシの蕾が膨ら
んでいた。振り返ると薄暗い雲が忍び寄る。岩峰に松は墨絵の世界から抜け出た様だ。

【巡視道】 尾根上の鉄塔乙64に着く。ここから北と南に巡視道がついている。北の道も興味
深いが、当然南へ下りる。すぐに分岐、西へNo.64東へNo.65。東へ採り長くダラダラと下りた
後、二度登り返して毘沙門山からの南尾根に沿う。約445mコブで右へ折れ甲65鉄塔に出る。
下りてきた尾根を仰ぐ。ここから「小倉へ」のマジック書きに従って東折し、紐の貼ってある
留山に入る。よく手入れのしてある雑木林の道。続いて枝越しに山並みが顔を出す見晴らしの
尾根を歩く。急坂を下りて尾根を外さないように地図を見ながら南下。植林の小さな鞍部を
登り返すと小倉と小原を結ぶ峠に着く。古い短かな切り通しから植林を抜けると小倉に出る。

【春の里】 スミレや梅など花が咲く里から毘沙門山や雨石山が顔を出す。のどかな農道を
歩いて宮代へ。畦のつくしが雨石山と競うように伸びる。宮代では田に引く水が轟々と
流れ出て、水豊かな国を感じる。
   畦のつくし  畦のつくし

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2000.4.14. BY M.KANE