晩秋の藤切谷から雨乞岳     

 
 北尾根からの雨乞岳山頂 
■目的地:雨乞岳(1237.7m)   <山域:鈴鹿 東近江市>
■日にち:2009年11月21日(土) 
■天気:曇り
■同行者:単独
■コースタイム:
  林道岩ヶ谷線起点 発(8:30)〜桜地蔵(9:25)〜ツルベ谷出合(9:50)〜連如上人御旧跡(10:10ー10:25)〜
  シデの並木〜一反ぼうそう(11:07)〜杉峠(11:20-11:25)〜山頂(12:00-12:15)〜
  杉峠(12:50)〜沢で休憩(13:05-13:35)〜ツルベ谷出合(14:20)〜林道岩ヶ谷線起点 着(15:35)

 連休初日は天気が良くないのであきらめていたが、三重県の予報は晴れ間がある。
東海方面は夕方くらいまで天気が持ちそうだ。京都北山をあきらめていたところだったので鈴鹿に変更。
帰りの名神渋滞も翌日が雨なら遅くなってもかまわない。永いこと憧れていた雨乞岳に心躍る。

 予定通りの時間に起きて、暗い中、家を出る。池田でユニクロの行列ができていた。売り出しをやっているのだろう。
京都にさしかかるとすっかり明るくなる。草津を過ぎる頃、フロントガラスに雨粒がつき、鉛色の雲が掛かる。八日市で下りて
永源寺方面の甲津畑に向かう。狭い集落の中の道を通らせていただき、藤切谷の林道へ。行く手には紅葉した竜王山や
綿向山へ繋がる尾根がどっしり。その尾根を特徴ある鉄塔で高圧線が架かっている。

 林道起点には先客数台。パトカーも停まっている。先週、日本コバで遭難騒ぎがあったようで注意喚起中とのこと。
お巡りさんの見立てでは、私はそれなりの装備ということでOK、気をつけて行って下さいということでした。
稜線はササのトンネルでしたよとの情報も頂く。歩いていると雲動いて晴天。日が射してくる谷の道を東へもくもくと行く。
林道といっても舗装区間は数百mで砂利道になる。谷側に崩壊仕掛けのところがあり、車で通れと言われても気が引ける。
その先はさほど谷側の崩壊はないが、山側からの落石に気をつけた方が良さそうな所はいくつかあった。
 
 林道でも充分楽しめる  
 林道脇は植林のないところが多く、モミジや黄葉がきれいである。眼下の渋川もきれいな水だ。
善住坊かくれ岩とか桜地蔵など、藤切谷はかつての千種街道や鉱山で人の行き来が多かった所、旧跡も多い。
初めての単独鈴鹿ということもあり、写真ばかり撮ってなかなか前に進まない。軽トラが一台通り過ぎた。
 
 対岸の斜面に陽が射す  

 
 渋川  
 橋を渡って、植林を少し行くと避難小屋がある。屋根の部分だけの簡素なものだが、何かあったときは心強いだろう。
少し崩壊気味の谷を巻くように細い道がついている。すぐにツルベ谷出合の古屋敷跡にでる。斜面に紅葉の名残。
道は落ち葉でふかふか。再び沢沿いの道を行く。葉を落とした雑木林は、黄葉の頃また来てみたい。木橋を渡る。
 
 ツルベ谷出合の手前にて  

 
 古道を歩く  
 連如上人御旧跡辺りでは広い谷になってきた。山頂は風で寒そうなので、少し早いがここで昼食にする。
林道歩きはじめは晴れていたが、谷から見上げる空は雲ばかり。たまに斜面に日が射して葉の落ちた白い枝が浮き立つ。
大きなシデの木がある。鉱山跡と思われる土盛り、炭焼き跡。ロープで吊った木橋を渡ってしばらく登ると、
シデの並木の中を山道がくねくねと上っていく。一反ぼうそうの大木を過ぎるといよいよ周りは葉がなくなり、冬枯れの谷。
 
 シデの並木  (背後は雨乞北尾根)

 
 杉峠から国見岳と御在所岳(右奥) 
 避難小屋を過ぎ崩壊しかけの斜面をトラバースすると、草の葉が目立ってきた。杉峠が近い。大きな枝を曲げた杉が直立。
峠で東の三重側の景色を眺めていると、北の方から単独兄さんが下りてきた。イブネの方が笹がないので歩きやすかろうと
向かったが、風が強くて峠の頭で引き返したそうだ。寒いので谷を戻るという。山の厳しさが見え隠れする。
 
 雨乞北尾根からイブネを望む(右) 
 雨乞も稜線に出ると寒そうだが、行けるところまで行ってみよう。メッシュのキャップを毛糸の帽子に替え、上着と手袋をつける。
急な斜面をつづらに登り北尾根の肩につく。道は尾根の東面側なので、西の谷から吹き上げる風の影になっている。
高度が上がり、景色が広がってきた。東雨乞岳の冬枯れや笹の斜面。今までの谷歩きとは違う開放的な眺めだ。
 しかし、谷からガスが湧いてきて稜線はガスに覆われようとしている。レスキューポイントの札が、200mごとに木に結んである
ようだ。肩の手前が4/4だったので、山頂まで800mほどだ。ガスに包まれたら戻るしかない。それまで進んでみようと思う。
 
 東雨乞(左)への尾根にガスが舞う
 ガスは西の谷から上がってくるが、稜線を覆い尽くすことなく消えていく。それより、笹の背が高くなってトンネルの中を
歩くような状態。これはこれで、自分がどこに向かっているのか判らなくなりそうだ。忘れていた藪こぎを思い出す歩きも
つかの間、あっけなく三角点の前に飛び出した。行く手は大きな谷となり、とんがった山容の鎌ヶ岳が頂を雲に隠している。
清水頭の方は手前の笹が高いのでわかりにくい。東雨乞へ続くたおやかな笹の稜線。写真で見たとおりのあごがれの景色。
しかし、ついさっき笹のトンネルを抜けてきたし、同じめに遭うかもとガスもあるしで、行ってみようという気にはならない。
 
 山頂からの東雨乞

 
 山頂から鎌ヶ岳
 当初計画は清水頭の尾根を周回だったが、この天気ではガスに巻かれる可能性が高いのでパス。
谷の方で昼食をとられていたグループの写真をとってあげて、来た道を戻る。
笹のトンネルを抜けての北尾根の眺めはすばらしい。なかなか去りがたい。遠く西の下界は雲が途切れて日が射している。
だのに、鈴鹿の山域にだけ雲が懸かっているようだ。
 
 雨乞北尾根から藤切谷
 急坂の斜面を気をつけながら杉峠へ下りる。
なかなかいい谷なので、このまま去るのが惜しい。紅葉に導かれて沢の間近で休憩。コーヒーを煎れる。お湯を沸かすが
ストーブの火力が弱くてなかなか沸かない。ちょうど一年前にも北山で同じ目に遭っている。火力の強いものにしないと冬場は
待っている間に体が冷えてしまうなぁ。待ちきれず中途半端にぬるいコーヒーをすする。
一服しながら谷の景色を堪能したことにして、雲行き怪しい谷を下りていく。
 
 シデの並木
 連如上人御旧跡近くでパラパラと雨が降ってきた。避難小屋でリュックをおろしカッパを着、ザックカバーをかけた。
雨具をつけると少々濡れても大丈夫と思うので、慌てず歩くことができる。晩秋の谷を満喫しながら行く。
見上げる尾根はガスに包まれつつあり、周回コースをあきらめて正解だったかと思う。歩くにつれて黄葉が戻ってきた。
 
 林道からの渋川
 林道では自転車で通り過ぎる人もいる。いろんなスタイルでみんな楽しんでいるようだ。
林道起点に着くと泊まりと思われる大きなリュックを担いだパーティが歩きだしていた。避難小屋泊かな。
 甲津畑を抜けて振り返ると黄葉の谷がわずかに西陽を受けている。名残惜しいが再会を期して帰路につく。
名神はやはり渋滞していて、一時間ほど余計に掛かった。家に着いたのは19時半頃。
 
 甲津畑と藤切谷


  雨乞岳について   

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2009.12.13. BY M.KANE