今日のごはん

2006.10.22.

 近所の親切な中華料理店が上海蟹を仕入れてくれたというので、軽鴨の君が大喜び、二人で出かけてきました。

 上海蟹は、日本の蟹よりぐっと小振りで、濃密な感じです。身は少ないけれど、香りが強くて食べ応えがあります。殻が柔らかいので非力な私でも、えいやと割って身を取り出せるのがありがたいところ。量がほどよくて、飽きないです。

 日本の蟹は握り拳を作って「蟹を食べる!」という決意とともに突撃するイメージなのですが、上海蟹はあくまで「とびきりの旬の味覚を他のものと一緒に楽しむ」というイメージかなぁ。

 ちなみに、香港の人は日本の蟹しゃぶが、どでかくて量も多くて好きだという話を聞いたことがあります。確かに、上海蟹が標準だと思っている人からすると、日本の蟹料理は常軌を逸したビックリ料理に見える、かも……。

2006.9.27.

 牛蒡という野菜は好きですが、少人数家族ではどうも余りがちです。特にわが家はセミベジタリアンのような食生活ですから、レシピもきんぴらくらいしかなく、梅煮にしても余って腐らせてしまうこともあったり。

 で、今日はパスタにしてみようと思い立ちました。牛肉と炒めてパスタに合わせるレシピはどこかで見たことがありますが、わが家は牛肉は普段使わないので、これはなし。

 にんにくと、唐辛子と、長葱あたりを合わせて胡麻油でよく炒めて、醤油で味付けして、スパゲティと合わせるっていうのはどうかな。うーん、水気が少なくて、パスタとの絡みが足りない気がするなぁ。

 じゃ、カルボナーラを見習って、溶いた生卵を器に入れておいて、茹でたてのパスタと牛蒡炒めを合わせたやつを、あつあつのうちに混ぜるというのはどうだ。ちょっとすき焼きのたれに似た感じで、悪くないかも。うんやってみよう。

 てな訳で、ささがき牛蒡を、にんにく・唐辛子・長葱で炒める。甘さがあった方がいいかな、と醤油と一緒に味醂を入れて。

 ……あれ、味醂が煮詰まって、結構とろみがついてきたなぁ。このままパスタと合わせても、何とか絡みそうな感じだ。でもすでに卵は溶いちゃってるぞ。いいやこのまま続行。えいや。まぜまぜ。

 できあがったカルボナーラ風牛蒡パスタは、悪くない感じ。パスタと卵は相性がいいんだなぁと思う。それにカルボナーラは、生クリームやチーズも入ってちょっともたれる時があるけれど、これなら生卵だけだからライト。ボリュームある割に、後味さっぱりだ。

 ただ、牛蒡が少し硬めになりがちなのが難点。梅煮したものを使うと、ほどよくくたくたになるかなぁ。残りの牛蒡は、やっぱり梅煮にしちゃおうか。

2006.8.31.

 通販で商品を買ったら、おまけで「アフリカつばき茶」なるものが1パックついてきました。

 書いてある通りに淹れて飲んでみると…………紅茶にしか思えない味。ケニア茶に近いです。

 ネットで調べてみても、「ジュアール」という植物のお茶のことを指していたり、ずばりアフリカ産カメリア・シネンシス(要するに「お茶」のことです)のことを指していたり、色々な植物をブレンドしたり、なんだかまちまちみたい。いただいたパックの表示では、正式な植物名や学名は掲載されていないので、未だ謎は解けません。

 しかし、こういうのは不便極まりないので、もうちょっと何とかならないものでしょうか。

2006.8.21.

 今日は自家製味噌の天地返し。本当はもっと早くやっておかなくてはならなかったのですが、つい先延ばしにしてしまいました。こういうものぐさな態度は、手作りにおいては常にマイナスに働きます。

 今回、少しずつの大豆を小分けに仕込んでいるので、どんな感じになっているかがわからなくて不安がいっぱいです。恐る恐る容器の蓋を開けてみると、白いカビがつき、一部白くないカビもあるようですが、拭き取ってしまえないこともないくらい。アルコールの香りもして、まあまあ悪くない感じです。前回作った時より水分が多いのが気になりますが、今のところはちゃんと「味噌予備軍」としてがんばっているみたい。ああよかった。ものぐさな造り主のところでも、偉大なる麹の精霊は努力してくれるものです。

 ……しかし、四個ある容器のうち、ひとつに大問題が。内蓋にした木の落とし蓋が、大きさが容器の内径にぴったりすぎ、しかも水分を吸って若干膨らんだらしく、外れない……。私の力では全然動きません。当然天地返しも不可能。そもそも様子を見ることすらできません。

 とりあえず、軽鴨の君が帰ってきたら、蓋を開けられるか試してもらわないと……とほほ。どうなることやら。今年の味噌は波乱含みです。

2006.7.25.

 楽しいものを買いました。なんと「電動漢方薬煎じ器」。ああ何と奇妙奇天烈なアイテムでしょう。冗談のようですが、れっきとした売り物です。

 ここ数ヶ月、体調不良を改善すべく漢方薬局に通って漢方薬を処方してもらっているのです。煎じること自体は、ガスコンロで問題なくできるのですが、私がいない時や不調で起きられない時に軽鴨の君が簡単にできるように……という言い訳のもと、実は面白そうだったから買ってしまった訳です。

「台所に置いても違和感ないコンパクトなボディ」とかウリ文句にありましたが、これが結構巨大な代物です。何せ2リットルは水が入る(ただしふきこぼれを防ぐため、実際には1リットルまでしか水は入れられない)ガラスポットなので。うーんどこ置こう。

 ところでこれは漢方薬だけでなく、色々な薬草茶のようなものを煎じるのにも使えるそうです。という訳で、早速試してみました。第一回は、薬日本堂の漢方茶「気巡茶」。飲みやすいお茶です。爽健美茶よりもおいしいかも知れません。

 で、煎じ器をセット、スイッチをぽち。……結構な時間がかかります。お水が沸くまで、意外とかかるようです。どうも電気ポットとかの印象があって、あーっと言う間に沸いてしまうような思い込みがあったのですが、そういう訳でもないようで。まぁ今回は800mlも沸かしてるんだから、当然か。

 お、沸いてきたようです。ぽこぽこ。でも、ぶくぶく煎じるのかと思ったら、加熱はとてもマイルドのようで、あまりお湯は踊りません。なるほどー、あまり高熱で沸かしてしまうと揮発成分が逃げちゃうから、じわじわいきますよってことなんでしょう。

 5分ほど煮出したところで終了。いただいてみました。確かにアクがなくて、とても飲みやすくなっています。漢方や民間薬系の味に慣れているせいか、私はもっとパンチが効いた味が好きだなぁ。煮出し時間をもっと長くしてもよさそうです。

2006.2.14.

 今年もバレンタインデーがやってきました。

 各方面のお世話になっている男性陣には、モロゾフの生チョコレート(らでぃっしゅぼーやで購入)、フェアトレード輸入の板チョコきとう村のクラッシックショコラ等を贈りました。

 肝心の軽鴨の君には、本人のリクエストにて、スイートポテトトリュフを作ってあげることに。今回はココナツミルクを入れたバージョンと二種類作りました。勝手もわかってきて、このお菓子は作るごとに少しずつ上手になっていってます。

 ただ、ココナツミルクは缶のものを使ったので、大量に余ってしまったんですよねぇ。冷蔵庫に入れておいたら、軽鴨の君に見つかってしまい、

「ココナツミルクは傷みやすいし、開封した缶はハンダが溶けるから、これは食べちゃいけません」

と厳重注意。まるで幼稚園の先生のようだ……。でも軽鴨の君には私は、幼稚園児よりもアホな存在に見えていることでしょう。

 今後のことも考えると、ココナツミルクを大量に使うレシピを考えておいた方がよさそうです。

2006.1.21.

 ここ数日は、甘酒作りを試行錯誤しています。

 朝一番に飲むものが欲しいなぁというのがそもそもの始まりでして、具だくさんのスープとかお粥なら一番いいんでしょうが作る手間がかかりますし、お茶や生姜湯は空っぽの胃に刺激が強そうですし、ホットハニーだとちょっとエンジンをかけるには物足りない。とまぁ色々考えた末に、甘酒ならいいんじゃないかと。酒粕で作る方の甘酒ではなくて、麹とお米で作る、ノンアルコールの方の甘酒です。ブドウ糖もアミノ酸もビタミンもたっぷりですから、血糖値も上がるし栄養もとれるし流動体だから飲みやすいし。

 で、買ってきた甘酒を呑んでみたらなかなか調子がよかったので、図に乗って自家製甘酒を仕込んでみようかと思ってしまった訳です。

 でもこれが結構難しい。作り方そのものは単純なんです。やわらかく炊いたお粥を冷まして、麹と合わせて、60度を保ちつつ保温するだけ。でもちょうどいい甘さを見極めるのが、手際の悪い主婦の悲しさ、なかなか難しいのですね。プロが作った、もったりするくらいのあまーい甘酒の境地には、そう簡単には至れません。

 今日は21時間ほど保温してみたら、発酵が進みすぎて酸味が出ていました。次回は16時間くらいの発酵で様子を見てみようかなあ。それとも、もち米を使ったり麹を増やしたりするというのも手だなぁ。

 とまぁ、試行錯誤しているうちが一番楽しいんだ、と強弁しておくとしましょう。

2006.1.19.

 9日分のごはん日記が、ささいなミスで消滅しましたとほほ。落ちこんでおりますが、まぁそれどころではありません。何しろ今日は味噌の仕込みであります。

 一昨日、大豆と麹がどかんと2kgずつ届きまして、海水塩も用意。準備は万端です。麹はもちろん、塩切りしてあります。やさか共同農場の玄米麹です。熟れた、にんにくと味噌を足して二で割ったような、おいしそうな香りがします。

 以前、4-5年前に味噌を作ったことがあるのですが、その時は大きな鍋がなくて、大豆の煮上がりを揃えるのがえらい大変でした。が、大鍋は買っても他に全然使い道がないので(普段2人家族じゃあねぇ……)今回は大豆500gずつ、4セット、小分けにして少しずつ仕込むというやり方を試してみることにしました。発酵食品をはじめ、食材仕込みは、100の量でうまくいったものが10の量でうまくいくとは限らない危険性があるのですが、まぁやってみなければ始まりません。

 大豆は昨日、やすみやすみ計4-5時間火を通してあるので、柔らかさは完璧。すりつぶすのは、私は黒胡麻塩でも大活躍のバーミックスでやります。みんなでわいわいやるなら、そりゃ擂り鉢とかでもいいでしょうが、一人なのでなるべく疲労を抑えたいのです。バーミックスは細かい加減が出来て、結構手の延長線上で扱えると思います。管理もラクですし。

 つぶした大豆と、塩切りした麹を、飯台(7合用のを使いました)でよく混ぜ、

 塩と種味噌(最近よく食べている春駒味噌をひとつかみくらい)を

 底に敷いた琺瑯容器(野田琺瑯のラウンドストッカー18cm)にぺったぺったと入れ、

よーく空気を抜くように押しつけて、表面に塩をふったあと、無添加ラップで覆います。このラップで覆う作業が一番面倒です。布ぶたの方が楽そう。来年はさらしを買ってこようかなぁ。

 あとは落とし蓋をして、重石(今回は小石370g分)を載せて、できあがり。シール蓋と普通の蓋を閉めたあとに、ポリ袋で覆って埃よけをしておきます。

 容器の大きさは足りるかなと心配でしたが、幸い大丈夫のようです。あと3回分この作業が残っています。次の大豆はもう水に浸してあるので、次回の仕込みは土曜の21日かな?

2006.1.10.

 今日は胡麻塩を作ってみました。フライパンで軽く煎った黒ごま100gに、やはり軽く煎った塩大さじ1を合わせて、摺り合わせたもの。マクロビオティックの料理本なんかでは定番ですね。私はマクロビオティックを実践している訳ではないのですが、家では菜食が多いので、レシピをよく参考にさせてもらってます。

 本当は大きめの擂り鉢で、たんねんにたんねんにあたっていくのがいい……のですが、うちの擂り鉢は小さいし、100gの黒ごまを丁寧にあたるのは途中で疲れてくじけそうだし、だからって最初からやらないのもどうかと思い、邪道という声を背中に聞きながらもバーミックスを活用。

 今日は軽鴨の君の帰りが遅いので、夜ごはんはひとり、という訳で、ごはんではなく、きのこのペペロンチーノスパゲティにばさっとかけて食べてみました。ふむふむ、市販の胡麻塩に比べてずっと薄味でさっぱり。あくまで脇役に徹している感じで、普段の食事にはなるほどちょうどよさそうです。でも、やっぱりいかなバーミックスといえども、擂り鉢で擂ったものに比べると香りは少し落ちる気がしますね。とはいえ、日々の食事にベストを求めて眉根をしかめるのは海原雄山だけで十分なので、私はバーミックスで満足であります。

2006.1.4.

 三が日も終わりましたところで、おせちと正月のごはんを振り返って。

 お雑煮は、里芋と金時人参と寒縮ほうれん草の具で、玄米餅(角切り)を焼いて入れて、おつゆはお澄ましです。400mlのだし汁に対して、みりん大さじ半分、醤油大さじ1でちょうどいいようです。ゆずをちょっと散らして。

 おせち料理はおおむね問題なく、好評をいただきました。松風焼きは、ちょっと味が濃かったかもしれません。おせちは冷めた状態でいただくものですから、味付けはそれを考慮しないといけませんね。黒豆の甘さは、結果的にちょうどよかったです。

 あと課題は、三が日の間のおせちの保存場所。冷暗所がマンションにはないので。やむなく冷蔵庫に入れたのですが、ラップをかける必要があったりして、この辺りが次の考えどころですねぇ。

2005.12.31.

 さあいよいよ最後のおせち作り。

 お煮しめは、材料を切って煮汁を入れて火にかけるだけなので、とてもらくちんです。蒟蒻を下ゆでして手綱結びにするくらい。里芋を入れようかと思ったのですが、意外と他の野菜の量も多かったので、里芋はお雑煮にシフトしました。

 松風焼きは、マクロビ系のレシピ。25分オーブンで焼いたら、ちょっと焦げてしまいました。それと、大きな琺瑯の天板にしたら大きすぎたので、来年は小さな天板に敷いた方がよさそうです。

 あとは、飾り用に蕪と人参を型抜きで抜いて(今年はタツノオトシゴと菊と梅、それから香港でよく見る先の尖った桜みたいな花形)、お雑煮用のお野菜を下ゆでして、完成です。

 友達の年越し会に2時間ほど顔を出した時に持っていったのですが、幸い好評でした。

 明日からは、しばらく台所仕事はしないぞ、と。

2005.12.30.

 朝、起き抜けのまま、きんとん作りです。何故かというと、きんとんにする南瓜と薩摩芋の皮を豆乳ソースで和えて朝食用のサラダにしちゃおうという無駄のない(せせこましいとも言う)アイデアを思いついてしまったからです。ただ問題は、いざきんとん作りに取りかかってしまうと、手が離せないのでサラダの方に神経など向けられないという点にあります。

 蒸した野菜をつぶして、本当はちゃんと裏漉しせねばならないのでしょうけど、裏漉しをさぼったら、やっぱり細かいつぶつぶが残ってしまいました。まぁ自分で食べる分にはいいか、と見ないふり。

 そして、甘みづけに、普通の米飴ではなく、玄米米飴を使ったら、思ったより色が濃くて、金色のはずのきんとんが渋い茶色になってしまいました。アースカラーと言い張るしかなさそうです。腕が痛くなるまでちゃんと練ったので、まぁ味は悪くないと……思いたいですが。

 明日は松風焼きとお煮しめと、お雑煮の準備。あ、干し椎茸戻しておかなくちゃ。

2005.12.29.

 黒豆は、二回ほど火を入れては保温、を繰り返して、柔らかさとしてはちょうどいい感じになりました。甘さは少し足りない感じかな。明日の朝、もう一度味を見て、最終的に味を決めます。

 で、今日はおなます。お煮しめもあるので、あまり具はたくさん入れず、シンプルなもの……ということで、大根1/3本くらい、人参は金時人参が手に入ったのでこれを使うことにしました。赤い色が鮮やかに出ます。よく売っている人参はオレンジ色がかった明るい赤ですが、金時人参は少し沈んだ、深紅色です。よくある人参のなますの色も綺麗だけど、金時人参はいかにも和という感じで、気が引き締まるような。

 筒切りにしてから千切りにして、まずは塩もみ。5時間くらい放っておいて、水が出たところでよく絞ります。よく絞ると、えぐみがとれる……そうですが、ま、えぐみも味のうち、あんまり気にしません。

 甘酢は、米酢100ccと、塩小さじ1、今年はライチの蜂蜜を大さじ1入れました。少し温めて溶かしてから、野菜と混ぜます。

 と、ふと朝軽鴨の君と交わした会話がよみがえりました。

「そういや、なますに干し柿とか入れるよね」

 甘みで柿を入れるサラダや和え物は確かにあります。そして軽鴨の君は、柿が大好物。では試してみましょうか。

 で、とりあえずなますの半量に、柿1/2個の千切りを混ぜてみることに。残りの半量には、食べる直前に柚子を和えるつもりです。さてどんな味になるのやら。結果がわかるまで、3日かかるというのも、面白いような不便なような。

2005.12.28.

 昨日買えなかった材料をあれこれ揃えに、ちょっと遠出。……だったのですが、ついつい文房具など見てしまったために、食料品店を見る前にすっかり消耗してしまいました。悪い癖です。

 まだ買っていなかったのは、お煮しめ用の絹さやと、きんとん用の栗(もしくは百合根)と、松風焼きに入れるパン粉。ところが、何故か絹さやが見つかりません。自然食品店だけで探してるせいなんでしょうけど。急遽予定を変更、普通のさやいんげんにしました。

 きんとんに入れる栗の甘露煮は、幸い無添加のものを発見。素朴な瓶にシロップと一緒に詰められた姿は、料理欲をそそる眺めです。この甘露煮が結構な重さでしたが、何とか袋の底が抜けることもなく、自宅へ担いで帰ることができました。

 今日のToDoは、黒豆。何回か火を入れつつ、保温鍋で長い時間をかけて煮含めていきます。まず今夜一度沸騰させて、一晩置いて、明日明後日とまた煮返すのです。毎年分量は試行錯誤ですが、今年はとりあえず、

黒豆300g 水4カップ 甜菜糖大さじ3(40gくらい) 玄米飴大さじ1 醤油大さじ3

というレシピです。

 明日はなますを作ります。

2005.12.27.

 おせち料理の準備開始です。とりあえず、今日は材料を揃えるためにお買い物。

 私はあまり凝ったことはしない人で、しかも自宅では肉や魚を調理することが滅多にないので、おせちもちょっとヘンになります。

 とりあえず、今年のメニューは

・黒豆 毎年作る。醤油と蜂蜜(もしくはメープルシロップか米飴か甜菜糖)で味付け。

・お煮しめ ごくスタンダードに、蓮根・牛蒡・人参・里芋・蒟蒻・椎茸あたりで。彩りも兼ねて大好きな絹さやを散らす予定。

・なます 大根たくさんと、少し人参を入れて。今年は蜂蜜で甘酢を作ってみようと思う。

・きんとん 今回一番手間かかりそうな料理。南瓜と薩摩芋で餡を作り、みりんと少しの醤油で練りあげる。具は、栗の甘露煮が入手できたらそれで、駄目なら百合根、それもなければ剥き甘栗にしようかと。

・松風焼き グルテンバーガー・きな粉・白みそなどで作る、一番肉っぽい料理。オーブンで焼くだけなので、結構手間いらず。

にするつもりです。

 これとは別に、大好きな幡ヶ谷の中華料理屋さんから豪華おせちを取り寄せる予定。さて明日から、どたばたと年末モードに、さてなるのでしょうか。

2005.12.1.

 豆乳が余っていたので、スギナの粉末とフェンネルを入れたマドレーヌを作りました。例によって、バターも砂糖も卵も使わないレシピなので、もちもちっとした、ちょっとくせになる独特の食感です。

 薄緑色のふわりとした焼き菓子は、少し草の香りがして、洗練されていない風味があります。食べる人を選びそうなお菓子です。これをおいしく食べられる人を探して、私はかつて色々な人に恋をしたのではなかろうかと思います。軽鴨の君の食後の感想はいかがでしょうか。乞うご期待。

2005.11.30.

 大根おろしをたくさん入れて、鮭の切り身と絹ごし豆腐と、白菜となめこを入れて、くつくつと煮立てて、お醤油や柚子胡椒で食べるお鍋を作りました。

 家族二人なので、鍋をしても材料が余ってしまいそうであまり作ってなかったのですが、最近友達が遊びに来るたびに鍋をしていたせいで、だいぶ量の見当がつくようになってきました。という訳で、近頃は二人だけのごはんも鍋にすることがあります。

 本当は、七輪か火鉢をテーブルに埋め込んで、本当の炭火を囲みつつ、ほくほくと鍋をつつきたいのですが……ちょっとこれは敷居が高そうです。

 大根おろしは火を通すと辛みが甘みに変わって、鮭の塩気と豆腐の淡い口溶けに絡まって、穏やかな気持ちにさせてくれる味になります。最後は雑穀入りのお餅を焼いて、残りのおつゆにあえて、ごちそうさまでした。

2005.11.17.

 最近はもっぱら、バターや卵や牛乳や砂糖を使わないお菓子ばかり作ってます。健康志向というよりも、作るのが楽というのが本当の理由。バターを室温に戻して砂糖をすり混ぜたり、メレンゲを泡立てるためにハンドミキサーを構えたり、そういう作業にうんざりしているようです。

 今回はにんじんのパウンドケーキのレシピを、エンゼルケーキ型で焼いたのですが、ちょっと生地の量が少なかったのと、にんじんを生で入れたので水分量が増えたのとで、出来としては今一歩。でも自分で食べるものだから、深くは気にしません。日常をほっこりと温めてくれるおいしさがあれば、それでいいのです。

 それにしても、どこかで見つけたお菓子のレシピにある生地の量を、自分の手持ちの型に合うように計算し直す時は、算数の比率計算を学んでおいてよかったと思います。どうして算数の文章題は、このように本当に使われる場面を採用せずに、あのキレテツなシチュエーションを作り出すのでしょう。底に穴の空いてるプールに二つの蛇口から水を注いでみたり、二十本の植木を五列五本に並べようと苦悩してみたり、A地点からB地点まで途中まで歩いて途中から走って挙げ句は車に乗ってみたり。算数ができてもアホになるのではないかと、子供がうんざりするのも無理はない話です。

2005.11.16.

 最近は野草のお茶を飲んでみています。もともとは手作り化粧水のエキスを作るために、蓬や杉菜、どくだみなどの乾燥葉を買ってきていたのですが(それくらい自分で摘めよ、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、いかに東京としては自然が豊富な某所に住んでいても、犬のフンもなくて除草剤が撒かれてる心配もなくて誰でも立ち入って雑草を摘んでもよい場所というのはそうそう見つからないものなのです。庭でもあれば話は変わってくるかも知れませんけど)化粧水だけに使うのももったいないので、番茶や蕎麦茶とブレンドして、お水代わりに飲んでいるのです。

 精油成分が多い蓬は別格ですが、その他の野草というのは、ハーブよりも香りは慎ましやかで、華やかさはありません。けれど、焙じたどくだみは、キャラメルを思わせる甘い香ばしさがありますし、杉菜は乾いた軽い草の香りを帯びています。そしてブレンドした野草茶は、ハーブティーよりも比較的飲みやすくて、曖昧な微笑みを浮かべて通り過ぎる人のような穏やかさがあります。

 なるほど日本という風土はこういうものなのかと、早合点な風土論を一席ぶちたくなるような、味わいです。

2005.11.8.

 今日の宅配で食用菊が届きました。

 花びらを摘んで、お酢を入れた熱湯でゆがいて、今日は塩もみした大根とめかぶと生姜醤油あえ。明日はちらし寿司風にでもしましょうか。

 食用菊は、観賞用やお茶用の菊ほどはさすがに香りませんが、摘んでいるとふわりと苦みを帯びた青い香りがただよってきます。

 花を食べるというのを一種の健康法にしている人もいるそうですが、実際の栄養がどうこうというよりも、この贅沢感、凝縮された自然の芸術を自分の中に取り込む感覚が、エネルギーにつながるのでしょう。

 花だけ食べて生きる人のはなしを、いつか書きたいと思います。

2005.6.26.

 杏仁豆腐を作ろうと思ったのですよ。

 お店に寒天を買いに行ったら、世間では寒天ダイエットとやらが大流行で、目の前でたくさんの人がぞくぞく粉寒天を買っていき、危うく売り切れそうになりました。なくなる前に、何とか1パック購入。
 素直に牛乳の杏仁霜で作ればいいものを、何を考えたのか、豆乳とココナッツミルクと甘酒と杏仁霜で作る、という冒険をいたしまして。
 作ってすぐに食べればいいものを、 何故か丸一日置いてしまい、しかるのちに試食。
 寒天の量が足りなかったのか、ババロワかブラマンジェのような、ふるっとした柔らかい出来。シロップに溶けてしまうほどです。味は…………豆乳ブラマンジェと思えばおいしい。でも杏仁豆腐ではない、断じて。というお菓子になってました。

 杏仁霜を増やすか、豆乳と甘酒もしくは豆乳のみで作るか、素直に牛乳で作るか。うーん。深みにはまる今日この頃。

2004.7.22.

 らでぃっしゅぼーやで、「ルバーブ」という野菜が届きました。話には聞いたことがありましたが、現物を見たのは初めてです。ルバーブとは、見た目は蕗に似た、でもセロリのようにさくさく固い野菜です。イギリスあたりではポピュラーな野菜のようですね。よくアガサ・クリスティーの小説なんかで「ダイオウのパイを食べた」なんてのが出てきますが、このダイオウは、本当はルバーブのことみたいです。ダイオウ自体は、漢方薬の材料らしいですが。

 写真でよく見るルバーブは、ハイビスカスティーのように紫がかった赤い色の茎ですが、うちに来たのは全部緑色。ほそーいアロエといった風情です。添付のレシピにのっとり、さっそくジャム作り。レシピには砂糖と書いてありましたが、うちは砂糖を使わないので、はちみつで作ります。

 皮ごと切って煮ると溶けてくる、と書いてあるのですが、煮始めた当初は、セロリをごろごろ煮てるようにしか見えません。溶けるとは到底信じられない……のですが、不思議なことに、火が通ってくると徐々に形がくずれて、ほどけて、本当に溶けるようにぐずぐずになるのです。

 煮ている間の色と質感は、少しだけ緑色がかった玉ねぎスープのよう。しょっぱそうな色合いです。冷めると緑色が戻ってきます。さてはて、このジャムは毎朝パンをお召し上がりになる軽鴨の君のお気に召すでしょうか。乞うご期待。

2004.7.21.

 フレーバーティーはほとんど飲みません。かのアールグレイでさえ。たいていのフレーバーティーは、おいしいのは淹れた瞬間と最初の一口だけで、あとは香水を飲んでいるようになって、辟易してしまいます。唯一の例外はジャスミンティーですが、これも自然の花と緑茶を重ねて香りを移したもの以外(要するに着香料で香り付けしたもの)は飲めません。

 ところが、我慢して待ってみるものですね、ようやく私の好みのフレーバーティーに出会いました。といっても、紅茶ではなく何と緑茶、それも煎茶です。皆様ご存じ緑碧茶園の、「巨峰」。その名の通り、煎茶に巨峰の香りをつけたもの。茶葉の中に鮮やかな青紫の花弁が混じっています。巨峰の花でしょうか。

 蓋を開けても香りがただよってくるのですが、淹れてみると香りはかなり控えめです。でも、カップ一杯飲むと、そのささやかな巨峰の香りが少しずつ体の中で積み重なっていくのがわかります。水出しにすると、香りはさらにひきたって、甘くない巨峰ジュースを飲んでいるようです。ワインをあまり嗜まない私にとっては、ちょっとした特別な飲み物といった趣です。

 フレーバーティーは、一瞬「香りが弱いかな?」と思うくらいのものがちょうどいい。香水の法則、そして美人の法則に、ちょっと似てますね。

2004.5.18.

 ぬか床を作り始めました。家庭用精米器で胚芽米を作っていた時に出る米ぬかを貯めて、昆布と唐辛子を少し入れて、塩水でよく練って、最後に捨て漬けとしてキャベツの外葉と小松菜の芯を入れます。小さな円筒形の陶器のポットに詰めて、乳酸菌様が増えてくれるようお祈り。さてうまくゆくでしょうか。

 昔持っていたぬか床は、買ったものでしたが、量が多くて漬け物が食べきれなくて、結局捨ててしまいました。思い出すと今でもしょんぼりします。今度は全部自家製(容器は買ったものですけどね)。量も少なめです。今度こそ、仲良くなれますように。

2004.3.31.

 先日創作料理のお店でコースをいただき、最後の締めに「酸辣湯(と思ったんだけど、漢字違ったかなぁ)うどん」が出ました。中華料理の、酸味と辛みを効かせたスープのアレンジですね。それにお味噌を入れたつゆで、うどんをいただくものです。

 とってもおいしかったので、その自宅版を作ってみました。にんにくとしょうがをみじん切りにして、あと長葱の小口切りをたくさん、胡麻油で炒めて、豆板醤を少し入れて、水を足して火を通した後、お味噌を溶かし入れます。ゆでたうどんと合わせたら、梅酢を垂らしてできあがり。
 お外でいただくような高級感の代わりに、ほっとするような感じに仕上がりました。辛いのが嫌いでなければとってもおいしいです。今度はすりごまをどっさり入れようかななどと、色々考えております。

2004.3.22.

 大根は蕪の七倍の作付け面積を誇り、多くの人に愛されている野菜です。私も好きです。大根おろし、おみそ汁、ふろふき大根、お漬け物(特にたくあんとべったら漬け)。ところが、自宅で使う段になると、実はあまりがちな野菜のひとつです。蕪の方があっという間になくなります。何故かと考えてみると、煮込むのに時間がかかるとか、大きいから食べきれないとか、日持ちすると思ってつい後回しとか、そういう理由。で、冷蔵庫に溜まっていく訳です。
 軽鴨の君は、古い野菜を食べるのはキライな人ですから(まぁ好きって人は存在しないでしょうが)古くなってしまった野菜をいただくのは私の役目です。今日はスが入ってしまった大根さんをごっそりとおろして、うどんでいただきました。大根おろしと、みりんと醤油とかつおぶしの粉だけで作った熱々のおつゆを、ゆでたてうどんにかけて、七味唐辛子でいただく、私が勝手に「煮おろしうどん」と呼んでいるごはんです。火を通した大根おろしは、辛さがなくて、柔らかい味がして、体があったまります。寒い日にはうれしいレシピ。はやくあったかくならないかなぁ。

2004.3.9.

 しばらく、砂糖を使った甘いものを食べる機会を減らそうかと思いました。で、今日はその一環として、おやつにスイートポテトトリュフを作ってみました。「スウィートハート」という、砂糖を使わないお菓子の本に載っていたレシピです。さつまいものマッシュに、メープルシロップと練りごまとココアパウダーを混ぜて作ります。
 自分で食べるお菓子に関しては、一切外見にこだわらないので、まるで掘り出したばかりの里芋のような、武骨でころんとしたトリュフができあがりました。食べてみると、ココアと練りごまの風味がふうわりと体を包みこみます。さつまいもがメインなので、小さくてもボリュームがあり、少しの量で意外なほどの満腹感です。
 ちょっとで満腹感が得られるお菓子というのは、ダイエットには最適だし、割と簡単に作れるのに、「ダイエットダイエット」と騒ぐ人があまり手を出さないような気がします。たぶんそれは、「少しで満腹感を得る」ということが、本当はあまり求められていないからなのでしょう。ダイエットに大騒ぎするような、甘い物好きな時は、砂糖の快楽を永遠に追い求めています。欲しいのは「永遠に食べ続けることができるほど軽くて、なおかつ甘くて、絶対に太らないお菓子」という物理法則に反したもので、「少しで満腹感と満足感を得られるお菓子」ではないのです。
 でもそれは、ヘンな例えですが、刺激を求めて愛も恋もないセックスを強迫的に繰り返すようなものなのかも。本当の快がないから終わりもなく、出口のない繰り返しにはまりこんでしまうのでしょう。ほっこりとしたさつまいものおいしさで、充分幸せになれるようになれば、出口はもうすぐそこに見えてくるように思います。

2004.3.8.

 ヤーコンという名の、ちょっと変わった野菜と出会いました。らでぃっしゅぼーやの新顔くんです。
 見た目はどう見てもさつまいも。でも皮をむいてみると、中は亜麻色のしゃきっとした質感で、芋のイメージとは全然異なります。むしろ、クワイとか、甘みのすごく薄い梨に似たもの。そのまま食べると、さくっしゃきっという歯触り、うっすらとした甘さが広がります。
 今日はとりあえず、細切りにして酢水につけてから、シンプルなきんぴらにしてみました。さくさくしていて、七味唐辛子のアクセントが効いた、さわやかな食べ物。春にふさわしい野菜という気がしました。原産地はアンデスだそうですが、やはり彼の地でも、そういうやわらかな日の光がイメージされる食べ物なのでしょうか。

2003.12.9.

 今日はちょっとがんばって常備菜作り。といってもにんじんとごぼうで作る、ごく普通のきんぴらです。あとはみそだれや柚子醤油を作り置きしたり、白醤油でお漬け物を作ったり、そんな時間を過ごしました。台所仕事はしみじみとした楽しさがあって、大好きです。それで調子に乗って作りまくって、後で途方に暮れたりすることもある訳ですが。

 煮物やジャムをことこと煮込んだり、日持ちのきくおかずを作り置いたりといった、ものすごく平凡でありきたりで所帯じみた作業に、どうして私はこれほど心惹かれるのか。その理由は未だにわかりません。ささやかな達成感や自己満足なのかも知れませんし、心の中にある「綺麗な暮らし」への憧れゆえかも知れません。理由が何であれ、台所仕事に霊性を見出すことができるというのは、幸せなことです。今まで、人間の歴史の大部分において、女性は好むと好まざるとに関わらず大量かつ厳しい家事労働を強いられてきました。そこにスピリチュアルな喜びが入りこむ余地など、たぶんほとんどなかったことでしょう。そういう意味でも、私はとても恵まれた台所を持っているのだと言えそうです。

2002.2.18.

 近所の創作和食料理店、「たちばな」でごはん。「しらえび」というもののお造りをいただきました。普通はかき揚げなんかにするそうです。甘エビを桜エビサイズに小さくして、透き通るうすーい桜色にしたようなエビ。生のまま、生姜醤油でいただきます。
 とろんとした舌触りと、甘さが絶品でした。日本酒の好きな人は、これで何杯も重ねてしまうんだろうなあと感慨しきり。「たちばな」に行くと、普段接触できないような食材に出会えるのが面白いです。関西の料理には全く無知な自分を反省する反面、知っていたら驚くこともできない訳だから、やっぱり無知でよかったなんて思ったりもして。

2002.2.14.

 町田の君は、節目節目のお祝い事には結構うるさく、誕生日の食事がつまらなかったりすると不機嫌になります。という訳で、バレンタインデーには手作りケーキを焼かなくてはならないのです。
 私が作るケーキは、バターケーキがメインです。型がそれしかないから、ということもあるけれど、あまり生クリームの多いケーキに興味がないからなのでしょう。あと、フレッシュフルーツを多用するタルトのようなものにも、意外と興味がありません。デコレーション技術がないと綺麗に見えないので家で作る気がしないからなのですが、それだけでなく、果物は果物のまま食べてしまうことが多くて、ケーキにまで手が回らないからかも。苺なんて、貴重な有機栽培物が手に入った時は、あっという間にひとパック食べてしまい、ケーキに使うなんていう贅沢にはとても至りません。
 それはさておき、そんな訳で今年もくるみ入りのブラウニーケーキを焼きまして、夕飯の後にご賞味いただきました。オーガニックカカオを使ったチョコレートに、国産有機栽培小麦粉、砂糖は沖縄のキビ砂糖等々、オーガニックづくしの食材選びがよかったのか、チョコレートをけちらなかったのが功を奏したのか、町田の君は大層ご機嫌でした。ありがたいことです。

2002.2.13.

 14日は何だか色々と用事が入って、事務所に行けそうにないので、今日のうちに事務所のみんなにチョコレートを配って参りました。毎年ゴディバをあげることが多かったのですが、どうも今年の商品はぴんとくる物がなく、つまらなかったので、今年はテオブロマのトリュフチョコ。私が今まで食べた市販のトリュフの中では、かなり高得点です。何でも「スーパーパティシエ」の土屋さんという人が手がけているらしいのですが、「スーパーパティシエ」って何なんでしょうね。ただのパティシエもしくは菓子職人と比べて、何か違いがあるのでしょうか? お菓子だけでなく料理もするとか? それじゃただのシェフだ……。
 毎年、局長である近藤さんには別口でひとつあげているのですが、神戸のお菓子屋さんの「釜出しチョコレートケーキ」なるものにいたしました。レシピと型までついているという豪華版です。食事を忘れる事の多い近藤さんには、少しでも「食べ甲斐」のあるものがいいかと思ったのですが……忙しくて、今頃ベッドの下辺りで埃をかぶっていたりして(笑)。

2002.1.31.

 わが家のヒヨドリ様の蛋白質補充のため、久しぶりに豚肉を買いました。朝にゆでて刻んだお肉を差し上げ、人間どもはその「おあまり」を夕飯にいただきます。
 私は普段野菜料理ばかり作っているので、たまに肉を目の前にすると、何を作っていいかわからなくなります。牛肉の場合は肉じゃがかすき焼きかカレー、豚肉は生姜焼きしか思い浮かびません。
 ということで、今日の夕飯は豚肉の生姜焼き。何とも乏しいレパートリーですが、自宅では滅多に肉を料理しないので、別に誰も飽きるということもなく、平和に夕食は終わったのでした。めでたしめでたし。

2002.1.22.

 夕飯は一汁三菜を心がけていたのですが、そうするとおなかがいっぱいになりすぎて夜眠るのが辛くなる、ということに気がつきました。最近は一汁二菜、あればそこにお漬け物などをプラスすることにしております。
 今日の夕飯は鰯の梅煮とれんこんのきんぴら。お味噌汁はキャベツ。お漬け物は金時人参を味噌漬けにしているのですが、ちょっと間に合わなかったので、次のごはんの楽しみにとっておくことにします。

2002.1.21.

 昔は紅茶に凝っていました。私くらいの年齢の女性の多くが、一度ははまったものではないでしょうか。英国風の正統派の淹れ方にこだわった、もちろんレモンではなくミルクティー。紅茶専門店を探して街を歩き、マリアージュ・フレールでいつかはこの四百種を制覇するのだと胸を熱くしたものであります。
 今は、あまりこだわりません。自宅で紅茶を飲む回数そのものも減ったので、牛乳の消費量もかなり少なくなったはず。淹れる時はおいしいセオリーをきちんと守っているけれど、お茶の銘柄にもメーカーにも凝らなくなりました。
 かつて、あれほど英国紅茶に入れあげたのは何故なのか。

 私は味と香りに乗せられた、情報と夢を愉しんでいたのでしょう。ダージリンはマスカットの香り、アッサムはこっくりとコクがあり、セイロンには繊細な風味がある、という知識。午後三時にはゆったりと、イギリス人のようにミルクティーを飲みながら過ごす、という優雅さ。様々な紅茶の味と香りには、そういう文化が含まれていたのです。世界の中でまだ何者でもなかった、ちっぽけな私は、そういう生活様式に憧れていて、その様式を守ることで優雅な時間を作り出そうと必死だった、のです。
 昔憧れていた生活を、やろうと思えばやれる身分になって気づいたのは、あの時欲しがっていた優雅な時間は、紅茶に付属していたのではなく、自分の心の中にあったのだという、当たり前の真実でした。今の私にとって、紅茶は触媒に過ぎない。お茶は、私に「こだわり」をもたらすものでも、「優雅な時間」を作り出すものでもなく、生活に区切りをつけるスケジュール管理の道具なのでしょう。
 それでも、やっぱりお茶はおいしい方がうれしい。だから自宅でお茶を愉しむ時間は、今でもちょっと特別な時間になっています。