title スローインファストアウト

 
 
 スローインファストアウト(Slow in Fast out)、これはモータースポーツでカーブを曲がるときの基本としてよく使われる言葉なので、一度くらいは耳にしたことがあるかもしれない。モータースポーツに限らず、スローインファストアウトはドライビングの基本中の基本。エコドライブは勿論のこと、セーフティドライブにも絶対に欠かせない技術なので、教習所でも教わっているんではなかろうか。つまりそれだけ重要な技術だから、疎かにせずしっかりと心の内に留めておこう。
 
 カタカナ又はアルファベットで書かれるとどうもご大層な話に思えるが、簡単に言えば「ゆっくり入って素早く出る」ということ。単なる直訳だけれど要するにこれだけ。過剰なスピードでカーブに突っ込めば、曲がりきれずにドカンといくなんてこと、運転免許を持っている人ならば当然分かっているはず。クルマにかかる遠心力はスピードの二乗に比例して大きくなるとかいう物理学的な法則を持ち出すまでもなく、誰もが体験として無意識に感じていることだろう。
 
「手前できちんとスピードを殺しておくこと」
 
安全に曲がれる速度に落とすので、セイフティドライブなのはすぐわかるが、これがどうしてエコやスポーティに繋がってくるのだろうか。それは、どちらもクルマをスムーズに動かすことが重要だから。厳密に言えばブレーキやアクセル・ステアリング操作によるクルマの荷重移動に注意を払い、姿勢を安定させることが重要なのだろうが、正直なところ367にも詳しい理論はよく分からない。でもそれはむしろモータースポーツにおいてシビアになってくる問題だし、走り屋系の技術を教えてくれるサイトは他にいくらでもあるので、ここではスムーズさを求める程度の認識にしておく。そもそもクルマというものは難しい理論を知らなくても動かせるシロモノだし、実際に大部分の人がそう動かしているのだから、細かいことを知らずとも実践できるようなテクニックとして紹介したい。
 
 先にスポーツドライブについて考えてみる。モータースポーツはスピードを求めるものだから、当然のことながらできるだけ速いスピードを保ったままカーブ(コーナーと呼ぶ方が適切だろうか?)を抜けたい。そのため「スローイン」よりも「ファストアウト」に主眼が置かれている。素早くコーナーを走り抜けるには、できるだけ早い段階でアクセル全開の加速に移りたい。その姿勢作りのために「スローイン」が重要になってくるわけだ。具体的な目的の流れはというと…
 
コーナー出口でなるべく早くアクセルを踏みたい
なおかつコーナー中でスピードを落としたくない
しかしコーナー出口で加速できる態勢になっていないとアクセルを踏めない
スピードが出すぎているとクルマの向きを変えられないので加速できる態勢になれない
コーナー突入時に最低限スピードを殺しておかなくてはならない

 
367はモータースポーツを体験したことがないので、詳細は少し違うのかも知れないが、だいたいはあっていると思う。グリップでもドリフトでも、要するにできるだけスピードを殺さず加速態勢を作り出すのが重要なのだろう。コーナー入り口でスピードダウンしすぎると当然タイムをロスするので、いかにブレーキングを必要十分かつ必要最低限行うかがテクニックの分かれ目となるはずだ。減速状態から加速状態へのスムーズな移行ができれば、きっとタイムを縮めていけるのではなかろうか。
 
 さて今度は本題のエコドライブであるが、実はスポーツドライブとさほど違うところはない。ただ大きく異なるのは、スポーツドライブがアクセルを踏みたいが為にスローインファストアウトするのに対し、エコドライブではコーナー出口でアクセルを踏まなくて済むようにスローインファストアウトするところ。エコの基本はアクセルを踏まないこと。しかしカーブを抜けたら加速してやらないと次のクルマに迷惑だし、なかなか進んでいかない。だったらできるだけスピードを落とさずにカーブを抜け、必要となる加速量を減らそうじゃないかというわけだ。これも目的の流れを示してみると…
 
カーブを抜けてからなるべくアクセルを踏まなくて済むようにしたい
そのためカーブを抜けるまでのスピードをできれば高く保っておきたい
しかし十分に減速していないとカーブを曲がりきることができない
カーブに入るときに必要最低限かつ十分な減速をしなくてはならない

 
最終的な目的は違えども、カーブのための減速は必要最低限で済ませたいところではスポーツドライブと一致する。ただし一般道を走る限り安全運転が最優先されるので、十分な減速が絶対。こうなってくると何が最も重要かというと、やはりカーブへ突入する前の見極めだろう。前のクルマとの車間をしっかりとって、カーブの形を余裕を持って把握できていれば、十分速度を殺しながらも必要以上にスピードダウンしない走り方ができるようになってくるだろう。
 
 カーブで一つ覚えておく必要があるのは、コーナリング中はアクセルに軽く触れているくらいがよいということ。オートマチックだとギヤの選択が難しい場合もあるけれど、ブレーキを踏みながら曲がるのは好ましくない。クルマは駆動力がかかっている状態の方が安定しており、向きも変えやすい。低めのギヤで曲がった方が安定しているのも同様の理屈で、クルマ自体が動こうとする力の強い方が曲がりやすいためだ。ブレーキングしながらカーブを曲がるということは、突っ込んできた時の遠心力こそ減少させるものの、遠心力のかかる向きそのものを変えようとはしない。つまり前輪が滑ったらそのままガードレールに突っ込んでいってしまうということ。その点アクセルを踏んで駆動力をかけてやれば、タイヤの向いている方向にクルマを走らせようとしてくれるわけだ。
 
 カーブ中アクセルを踏んでいるというのはつまり、カーブへ入ってくるまでに減速を終了させておくということに他ならない。だからこそ「スローイン」なのだ。いきなり必要最低限かつ十分なスピードダウンは難しいので、始めは強めにスピードを殺すクセをつけておき、スムーズにクルマの向きを変えられるようになったら徐々に速いスピードにしていけばいい。ただし何度でも繰り返すが、少しでも危険を感じたら速度を落とすこと。エコは安全より上には来ないのだから。
 
 最後に「スローイン」のしかたについて。これはスポーツドライブとエコドライブでは全く違う。可能な限り速いスピードで走っていたいスポーツドライブでは、減速はなるべく短時間で切り上げたい。そのためブレーキングは絶対にフットブレーキだ。ポンピングブレーキを素早く行ったりABSを利かせたりして効率よい制動力を生み出し、向きを変えたら即座に加速へと移行する。エンジンブレーキなど入る余地はない。
 
 しかしエコドライブでは燃料カットされるエンジンブレーキこそ最大の武器となる。インジェクションタイプのクルマでなくても、カーブまでに踏んだアクセル量に多少の差はあるはずだから、やはりエンジンブレーキをメインに考えるべき。カーブの手前でべストの進入スピードを予測し、必要なだけアクセルから足を離して減速する。かくいう367も、早い段階でスピードが落ちてしまったり、フットブレーキのお世話になったりすることがしばしば。これができればかなりのエコドライバーと呼べるだろう。
 
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