title 車線変更のコツ-追い越すときには

 
 これまで隣車線のクルマとの位置関係をいろいろ考えてきて、とにかく相手の後ろを狙っていけば間違いないという結論に達した。しかしどう考えてもこれだけじゃ片手落ち。なぜなら、後ろに入るべき前のクルマが存在しない場合のことを考えていないから。とにかく相手の前に出たい時というのが必ずあるものだけれど、入っていくタイミングが分からなくて苦労している人も多いはず。まさか前のクルマが見えてくるまで追い越し車線を走り続けるような人はいないと思うけれど、単純に追い越していくときの距離の掴み方を考えることにしよう。
 
 こんなのは面倒くさく場合分けするとワケ分からなくなっちゃうから、まとめて考えることにしよう。なぜなら運転中は前方に多くの注意を払うべきだから、後ろにいるクルマとの位置関係にあまり気をとられるのはよろしくないから。単純に心構えを作っておいて、車線減少などイレギュラーな場合に別の対処をするくらいのほうが気楽でいい。
 
 追い越した相手の位置を確認するのは、目視・サイドミラー・ルームミラーの3種類があるけれど、前に入ろうとしているこの場合には、ルームミラーに相手の姿が写ったときと決めておこう。目視はガバッと後ろを振り返ることになって、ついつい焦ってしまうので論外。助手席の人が「オーライ」なんて言ってくれるのもありがたいものではあるが、クルマの運転はドライバーの全責任で行うもの。助手席の人の判断基準をそのまま信頼してしまうのも問題だから、自分で確認することが必要。サイドミラーは思いのほか距離感が掴みにくいので、結局はルームミラーを用いるのが一番確実・簡単だ。
 
 ルームミラーで確認することのどこがいいかというと、実際にどれだけの距離空いているのか、あまり考えなくてもいいところ。わかりにくい書き方になってしまったが、サイドミラーでは「これくらいの大きさに見えたらこれくらい離れている」というような判断が必要となるが、ルームミラーに相手のフロントが写ってさえいれば、前に入るのにだいたい十分なスペースはとれていると見なしてもいい。なぜならば、ルームミラーの映像というのは、当然ながらリヤウィンドゥを通して見た後ろの様子だから、見える範囲の幅がそんなに広くない。つまり真後ろ中心に見えるルームミラーの中に、隣車線を走るクルマが見えたならば、かなりの距離が開いているということなのだ。それは要するに、後ろのクルマの立場にたってみて、自分のクルマが「前にいる」ことが認識でき、しかもウィンカーを出したなら、「自分の前に入ろうとしているな」と分かることも意味する。レーンチェンジの基本は自分の存在をいかにアピールするかだから、二重の理由でとても大切なコツということになる。
 
 具体的な方法としては、目標となるクルマを右から追い越し、完全に抜いてからウィンカーを点滅させる。車線の中央寄りを走り、ルームミラーに相手のフロント部分が写っているのを確かめ、サイドミラー・目視で入るべき場所に他の障害物がないかどうか確認し、流れるようにレーンチェンジする。このとき、相手の横腹を確認しただけで大丈夫と考えるのは早計で、トラックなどの長いクルマの場合には、完全に距離がとれるまで時間がかかることも考えなくてはいけない。必ずフロント部で確認するクセをつけておこう。この方法はスピードの速い高速道路でも有効だから、どんな場所でも応用できる。
 
 逆に一般道では、そんなにスペースを空けられないと考える人もいることだろう。確かに自分のすぐ後ろのクルマが煽ってきたりすると、一刻も早く隣へ移ってしまいたい。場合によっては、自分のいる車線がすぐ先でなくなってしまうような場合もあるし、ルームミラーによる確認を待てないこともある。そんなときにはウィンカーを出しながら中央へ寄っていき、サイドミラーで相手のスピードを覗おう。加速してくるようならば、自分が二進も三進も行かなくなる前に、後ろへと方針変更したほうがいい。相手のスピードが変わらない、もしくは遅くなっている(あくまでも自分との相対的な距離感で)場合には、加速気味でレーンチェンジするといい。とにかく慎重に確認し、無理だと思ったら素直に身を引く心構えでいよう。
 
 では物理的にルームミラーで後方確認できないときにはどうするか。トラックでは後ろの荷物でルームミラーが役に立たないので、サイドミラーだけで距離感を掴む必要性がある。そのため免許更新の際に遠近感のテストがあるのだろう。普通のクルマでも荷物をたくさん積み込んだり、後部座席に背の高い人を乗せてしまったりするとルームミラーが役立たずになる。そんなときにはどうしてもサイドミラーのみを信じて運転しなくちゃならないが、とりあえずムリはよそう。ムチャして追い越そうとしなくてもいいじゃないか、この気持ちが大切。どうしてもという場合には、上に書いたのと同じように相手のスピードを覗うのがいい。荷物が多かったりすると加速が思いのほか鈍かったりするので、アクセルは強めに踏みつけた方がいいかもしれない。とにかく安全を最優先させよう。
 
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