title 車線変更のコツ-走行中の視界

 
 ここからはいよいよ走行中のことを考えてみるけど、ご承知の通りその状況はスピードや道の混み具合によって様々だ。空いている道なら少々ムチャな入り方をしても急ブレーキ&舌打ち程度で済むかも知れないが、もしそれが混んでるところだったら大事故にもつながりかねない。かといってガラガラの道ならムチャしてもいいってわけじゃないし、普段から安全なレーンチェンジを心掛けてなけりゃ、どんな道でもついつい「まぁいっか割り込み」をやっちゃう。やっぱり習慣っていうか、無意識のうちに安全マージンをとった車線変更をしてなくちゃいけないんだよね。そのためにはどんなことを考え、また注意すべきかこれから考えていこう。基本的にこのページは前ページの続きで、「こんな入り方だとどーして入れてくれないのか」ってことを説明するに留めるから、実際のコツは次に先延ばしだけどね。
 
 走行中の「入れてもらいにくい」車線変更を考えるのに、ここでは多少混雑していて移るのが難しめのシチュエーションを採りあげよう。だって実際に道路を走るときには、容易に隣へ入れるときもあれば、やっかいな場合だって必然的に生じるわけでしょ。現実に自分の技術でどんなところでも走らなきゃならない以上、易しい段階からステップアップしていく暇なんてないし、ハードな状況を切り抜けられるなら空いてる道なんて余裕綽々だもんね。一般道路と高速道路じゃ話が違うけど、とりあえず高速のことは後回しにしよう。
 
 さて思い描く状況は交通量の多い二車線の道路で、制限速度50km/hのところを55〜60km/hで流れていて、クルマごとの間隔はだいたい30m程度。よくある光景でしょ?スピード違反じゃないかと言うなかれ、現実に周囲が(余裕を持ってついていける範囲内で)高めの速度で流れているのなら、それに同調するほうが絶対に安全だ。一人相撲の事故でなけりゃ、危険や事故の要因となるのはスピードよりもむしろ速度差なんだから。別に警察にケンカうってるわけでもないし、スピード違反を奨励してるはずもないけど、ここでは現実に則したコツを紹介したいからね。ドライバーというドライバーがみんな制限速度を守るようになったらもちろん書き直すけどサ。
 
 車間だって「60km/hなら60m」ってのが基本だから30mじゃ狭すぎるんだけど、そんなこと言い出したらどこも走れないってことは、実際にステアリングを握るかたならお分かりのはず。上から眺めると30mでも広々感じられるくらいで、実際にはもっと距離を詰めて走らざるをえないことも多い。出来るだけ車間を空けて同じ速度で追走しようってのは、ドライバーが持っているべき最低限の意識。でも60m空けて走っている真ん中に他のクルマが割り込んできたら、クルマの長さを考えなくても30mに縮まっちゃう。可能な限り車間をとるのは当然であると前置きだけはしておいて、ここではとにかく現実主義でいこう。
 
 少し話がそれてしまった。ここでの本題は、走っている際中にドライバーがどこに注意を払っているかってこと。自分はもちろん隣の車線へ移ろうとしてるんだから、側方確認に怠りはない(ハズ)。問題は相手がどう思ってるか、だよね。前提として頭に入れておきたいのは、自分の前に割り込んでくるクルマに対して喜ばしく思う人はいないってこと。快く前を空けるって人も多いけど、それでも決して嬉しくはないし、大概の人は「仕方ねぇなぁ」とか「入れてやるよ」と思ってる。そんな心の揺らぎを起こさせないようにするのが、スムースなレーンチェンジの秘訣だね。
 
 さていよいよミニカー遊びに移って@を見てほしい。例によってタンポポ号(黄色いクルマ)が自分で、白いフォルクスワーゲン ビートルの前に入ろうとしていると考えてね。図で見ると実感しにくいけど、60km/hで走っていることを忘れずに。
 
 この位置関係は相手のクルマよりも自分が完全に前に出ている状態で、その2で見たCよりもまだ前にいる。タンポポ号の全長がだいたい4mだから、30mの車間距離っていうとだいたいこれくらいになるんだけど、上から見るとなんだか広く見えるでしょ?スピードをある程度出して走っているんだから、最低限これくらいの余裕はほしいところだ。人によって感じ方は異なるけど、相手のフロントよりもしっかり(車体半分くらい)前に出ているこの位置関係なら、「こいつはいけそうだ」って思う人も多いと思う。
 
 実際に運転しているときには入っていこうとする車線の前のクルマ(緑色のフィアット プント)と抜かそうとするクルマ(白いビートル)の車間が詰まっていることのほうが多いだろう。しかし大部分の人は、前のクルマとの位置関係より、後ろのクルマとの関係を見ながら車線変更するはずなので、このまま話を進めるね。
 
 さて次は自分の注意が向いている範囲を示してみたけど、隣の車線へ移ろうとしているんだから側方確認に余念がないのは当然だね。この図では白いビートルがあまり確認できない位置(窓からの視界からは消え、サイドミラーに映りこむか微妙なところ)にいるけど、ホントのクルマならサイドミラーでフロントを確認できることと思う。もしかしたら、もっとサイドミラーに注意を向けているかもしれないね。
 
 車線変更時に最も注目するのは当然のことながら側方、中でもこれまた当然ながら抜かすクルマ。あとは前のクルマに追突しちゃいかんので前方確認してるはずだけど、横に注意が割かれているだけにどうしたって範囲は狭くなりがち
 
 前方不注意の状況はドライバーをとても不安にさせるから、さっさとレーンチェンジしたくなるのが人情だね。要するに、今ここで画像を見てるだけなら「これじゃまだ危ない」って思っていても、いざってときには「まぁいいだろう」ってなっちゃうものなのだ。
 
 自分は確実に前に出ているんだし、相手も必ず自分の存在に気づいてくれているはず…。と、とっさに感じてしまうのが人情。まぁ誰だってそうだよね。

 さぁいよいよ相手ドライバーからの視界。果たして自分はどんな風に認識されているのか…
 
 運転しているときどこに一番注意を払っているかって聞かれたら、誰だって前のクルマって答えると思う。もしくは走っていく先の道路状況ってことになるかもしれない。追突事故ってのは、なんらかの理由で前車と自車の速度差が生じ、それを車間でカバーできない状況。ブレーキランプが点いているのに気付かないで、そのままのスピードで突っ込むってのが一番多いかな?だから誰だって前のクルマを注視するし、あわせて遠い先の信号や対向車の状態をなるたけ確かめておきたいもんだから、どうしたってドライバーの注意は前方に偏ってしまう。っていうか、時おりバックミラーで後ろを見る以外にはほとんど前だけでしょ?
 
 普通に走っていても、なんとか停まりきれるくらい(ここでは60mだから、緑やシルバーのクルマよりずっと先になる)先がどうなっているか、視界に入る範囲で無意識のうちに確認してるもの。逆にいえば、そのために焦点をずっと前のほうに置いているから、意識の幅はどうしても狭くなる。前に入ってこようとしているクルマがいかに自分より先を走っていたとしても、それはあくまでも一次元での話。空飛ぶわけじゃないから三次元まで考えなくてもいいけど、二次元的に左右の位置関係までは考慮にいれなくちゃならない。走行中のドライバーの意識は、前方正面を中心にして周囲に広がっているんだから、横前方まで注意が行き届かないことがかなり多いんだ。
 
 車間が狭いときならば必然的に前のクルマが大きく見えるんだから、注意を払う範囲が横に広がるだろうって思う人も中にはいるかもしれない。でも結論から言えば、正しいようで正しくもない。スピードが低ければ確かにその通りかもしれないが、60km/hくらいで走っているときに車間が縮まったらどうします?誰だって追突しないように前のクルマのお尻を普段以上に注視するでしょ?ドライバーはそんなに横方向に意識を向けてるものじゃないんだ。基本的に他のドライバーの注意力に期待することはよしたほうがいい。
 
 一番勘違いしちゃいけないのは、視界に入っているのと意識しているのとでは、天と地ほども差があるってこと。図でも分かるように、フロントガラスには自分のクルマ(黄色)が映りこんでいるから、確かに視界には入っている。でもね、見えてても気にしないような存在でしかないんだ。要するに気付いてもらえなくちゃどうにもならないってこと。
 
 あまり自分の意識していないところから前に入って来られると、誰だって割り込みだと感じるに決まっている。後ろから迫ってきてウィンカーも出さずに幅寄せされたら、「このやろう」と前を詰めたくなるのもよく分かる、っていうか当然だ。これはホントに誰だって一緒で、勿論367だって腹が立つ。なかなか道を譲ってもらえない場合には、まず第一に入り方がムチャなことが多いんだから、「前を譲れ!」などと憤るのはまことにもってお門違い(であることがほとんど)なのだ。
 
 どーして入れてくれないのか、だいたいお分かり頂けただろうか?自分の意志をうまく伝えられてない、もしくは反感を買う意志表示をしているからだと理解できても、どうやったらいいのか分からない人は多いだろうね。入り方がまずくてレーンチェンジさせてくれないってことは、うまい入り方をすればそう難しいものでもないってことでもある。じゃぁ簡単にレーンチェンジのタイミングを図る方法はあるのだろうか…ってこれがある。何を一番やりたいのか、それを考えれば当たり前のことではあるんだけどね。人によってはサギだぁ〜って怒りそうなことだけど、うまくやるにはちょこちょこっと細かいコツもあるから最後までどうかおつきあい下さいね。
 
 いよいよ本題、基本にして最大のコツに続く
 
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