エコドライブ

本気!?エコドライブ! 実際に活用できなきゃ意味がない!


他人の数字を信じ込むな


エコドライブに興味を持つと、他人の燃費が兎角気になりだす。燃費比較サイトなんてのもあって、自分と他の人でどれくらい燃費が違うのか、もしくは同じなのか、つい確かめてみたくなる。
 
だが、同じ車種なら似たような燃費で走れるなんて、単なるファンタジー。ザッと眺めてだいたいの傾向を掴むくらいのことで、他人のスゴイ数字に驚き打ちひしがれる必要は全くない。
エコドライブが単なる自己満足に陥ってはいけないから、自分の立ち位置を知っておくのは大切だ。他人と比べるのはその一環。しかしそれにはそれなりのステージが要る。エコランコンテストなどの同一条件下でなきゃあまり意味がない。どこの誰がいつどうやって計測したんだか分からない数字を頭から信じ込まなくていい。
 
燃費の数字というものは、ドライバーの努力でどうにかなる部分とならない部分が混ざって表れる。にも関わらず、不可抗力の燃費変動要因は個人差が激しくデカイ。不可抗力といっても工夫の余地はあるが、初期条件が人それぞれ激しく違う。どんな条件で走ったかつぶさに記す、言ってみれば燃費のことをよく分かった人の記録であれば、変動要因を加味して参考にすることができるが、大概はトリップ計の距離表示と燃費記録程度。これじゃぁ、データとしての信頼性がない。もちろん、同じ人の燃費をずっと追えば分かることは多いが、ひとつの数字をポンと出されただけでは、その記録が出た要因がどこにあるのか掴めないのだ。
 
ドライバーが手も足も出ない要因として分かり易いのは、一回の走行距離だろう。走り始めの暖機運転の影響。どんな車でも一日の始めにエンジンかけたときは燃費が悪く、走るにつれて回復していく。暖機の最中が短時間でもとんでもなく非効率なのはよく知られた事実だ。
 
私が日頃通勤に使っているのはハイブリッド車のトヨタ アクアだが、たとえフル充電であったとしても、始動してすぐの走り始めには暖機運転を行なう。エンジン等メカニズムが暖まっていない限り必ずだ。最初にEV走行するかエンジン走行するかは関係ない。
この暖機運転で使用するガソリン量は、気温が30℃前後の夏でも33cc程度。これだけ消費してからEVモードに入る。気温が同じであれば、どのアクアでも同じくらい暖機運転で消費するだろう。寒い冬にはもっと多くなるが、ここでは単に計算するだけなので、暖機にとって条件の甘い33ccという数字を用いることにする。
 
さて、ここにAB二人のアクア乗りがいるとする。Aは一回の走行距離(たとえば通勤で走る距離)が10qとする。Bは一回で50q。ごく普通の条件ということは納得いただけるだろう。
 
両者とも1000km走った時点で給油し、燃費を比べる。
暖機運転の回数は、Aが1000/10=100回。Bは1000/50=20回。
すると暖機で使ったガソリンはAが33×100=3300cc。Bは33×20=660cc。
暖機は停止状態でエンジンが切れるまで行なうとし、暖気以外での走行燃費はどちらも仮に25km/Lとする。と、どちらも1000km走るのに40Lつまり40000cc使うから、暖機も含めて使ったガソリン量はAが3300+40000=43300cc(43.30L)。Bは40660cc(40.66L)となる。(実際にはタンクにこんなに入らないけれど・・・計算上のことと思ってください)
どちらも1000km走っているので、Aの燃費は1000/43.3(L)=23.09km/L。Bは1000/40.66=24.59km/L。
 
ご覧の通り、一回の走行距離が短いだけで、燃費表示は1.5km/Lも違う。走行時の燃費はどちらも25km/Lにも関わらず、だ。もちろんこの暖機運転でも発電するのでこれとは少し数字が変わるが、効率悪い状態であることに変わりはなく、燃費に与える影響は大きい。普通のエンジン車なら単に垂れ流しである。なお、分かり易いように1000km走行時で比べているが、一回ごとの燃費で比べても結果は同じ。
ちなみに走行時の燃費がよくなるとこの差は開き(30km/LだとAは27.3km/LでBは29.42km/L。差は2.12km/Lとなる)、燃費が悪いと差も縮まる(15km/LではAが14.29km/LのBが14.85km/L。差は0.56km/Lしかない)。
 
結局こんなものである。家から会社の距離が短いだけで、燃費はこんなにも悪くなる。エコドライブの走行スキルは同じうえ、通勤1回で実際に使うガソリンの絶対量は遥かに少ないにも関わらずだ。会社からの距離を揃えるのはムリな話だから、引っ越しでもしない限りこの差には手も足も出ない。
 
その上もちろん不可抗力の燃費変動要因は暖機運転だけじゃない。信号や渋滞でどれくらい止まってゼロ発進をどれだけ強いられるか。高低差はどうか。走る条件で燃費の数字が大きく変動するのはハイブリッドも普通のエンジン車も同じ。もちろん工夫の余地はあるものの、個人個人の事情で異なる走行条件、こいつが与える燃費記録への影響は、漠然と捉えられているより実はずっと大きいのだ。
 
結局、比べて意味があるのは、同じ道を似た条件で毎日走る人、つまり大概は自分自身の燃費のみ。自分として最良の走りを目指せばよいのであって、最終的にライバルは昨日の自分。
他人の記録はあくまでも参考程度。とは言え、数字の比較はエコドライブの大切なモチベーション。目標にするのはOKだし、他人の走行に学ぶことは多い。ただ、初手から条件が異なるのだから、(他人ができるなら自分もできるはず・・・)とか、逆に(自分の方がよいから今の走りでいいや・・・)などと安易に思い込まず、無理や慢心をせぬことだ。