(1)基本はやっぱりプルークボーゲン
最初に覚えた「八の字」姿勢は今も万全ですか? 「イエス」と答えた人は、きっとウ
ソつきです。私は今もマスター出来たとは思っていません。プルークの姿勢がうまく出来
ていたら、ちょっと体重をかけるだけで自然にターンできます。大切なのは、両足と左右
のスキーがそれぞれ、きれいな二等辺三角形になっていることです。うまくターンできな
い人は三角の形がいびつになっていませんか。
(2)両腕は“曙のまわし”を抱えるつもりで
基本姿勢としてイメージしてほしいのは、やじろべえ。バランスよく、手を大きく広げ
ています。初級者はひじを曲げたり、肩がガチガチになりがちです。大きなおなかの関取
と四つに組むように、ゆったりと構えると、上体が安定します。さらに両方のストックの
先がいつも雪面に触れていれば言うことはありません。
(3)下半身はひざよりも足首を曲げよう
(4)スキーを閉じられないなら閉じなくてもいい
スクールの講習生から一番多く質問されたのは「パラレルターンを覚えたいんですが、
どうしたら足をくっつけて滑ることができますか」ということでした。「くっつけないの
が一番いい」というと、みんなポカンとした様子でしたが、ものは考えようです。どんな
状況でも上手なプルークボーゲンで滑れるようになることが先決です。
プルークにしたスキーの幅を、最初は広くても段々と狭くしていけばいいのです。「パ
ラレル」とは「平行」という意味で、無理をして「くっつける」ことではありません。乱
暴な言い方ですが、限りなくパラレルターンに近いプルークボーゲンをすれば、百メート
ル下にいる人にはだれもプルークとは気づかないはずです。やがては本物のパラレルター
ンにも近づくでしょう。
足を広げ、ゆったりとしたスタンスで滑る「ブライト」(英語ではブロード)は現在の
日本のスキー界でも主流です。「足を開く方が安定する」というのが私の実感でもありま
す。
(5)易しいことから始めよう
緩い斜面から急斜面▽短い距離から長い距離▽粉雪からザラメやアイスバーン▽整地斜
面からコブ斜面や新雪・深雪――という具合にステップを踏み、無理せずやってみてくだ
さい。一方、斜面などの条件をいろいろと変え、できる範囲で幅広い技能の練習をするこ
とも効果的で、反復練習だけよりも早く上達します。
× × ×
このほか、長距離ドライブなどで疲れているのに滑ったり、準備体操もせずにゲレンデ
に出たり、酒に酔っての滑走は問題外です。岩岳スキー場では、東京から徹夜でドライブ
して到着後、すぐにリフトで山の一番上まで登って滑走し、三十秒後に転倒して大けがを
したという初心者のスキー客もいました。最低限の心得を甘くみると、ひどい目に遭いま
す。