[だれかの隣で]ボランティア体験記
派遣社員・荒川淳子さん


1997年8月16日発行 毎日新聞大阪本社夕刊 ボランティア面「希望夕刊VV」より転載



◆大阪市東淀川区在住1968年生まれ
 2008年の夏の五輪とパラリンピックの国内候補地が大阪市に決まりましたが、来年3月、長野で行われるアジア初の冬のパラリンピック(障害者五輪)を応援したくて、インターネットのホームページ「なんとなく、ぱらりんぴっく(略称『なんぱら』)」(http://www.osaka.xaxon-net.or.jp/~arajun/index/)を作りました。
 障害者福祉には関心がありましたが、日本の一般的な「ボランティア」という考え方になじめず、ずっと避けてきました。“奉仕”と思われるのも納得できませんでした。しかも、札幌出身ですが、ウインタースポーツは全くだめです。
 昨年、職場で偶然、1976年(トロント)と80年(アイレスベリー)のパラリンピックの陸上スラローム競技で金メダルを取った倉田雅美さんに出会い、「パラリンピックをもっと知りたい」と思いました。ところが、長野大会開催まで1年ほどなのに、情報はあまりに少なく、行動を始めました。パラリンピックはスポーツ担当の文部省ではなく福祉担当の厚生省の管轄だと聞き、とりあえず厚生省のホームページ経由で質問の電子メールを送りました。
 翌日には長野パラリンピック準備室から、「何が必要か」と返事があり、間もなくすごい量の資料が郵送されました。これを機会に、苦手な電話や手紙などを積極的に活用しました。  この2月、大阪であったアイススレッジホッケー日英戦を観戦しました。スピードと迫力、選手の格好良さに驚きました。ひいきの選手も出来ました。試合後、倉田さんと一緒にベンチに行き、松井順一主将から選手の写真や名簿をもらいました。以後、他の競技も見ずにはいられず、プレ大会観戦のため、3月には2回、長野に行きました。自分の知らない世界を知ることも、スポーツを見ることも好きです。だから、パラリンピックを見たいし、大勢の人に見てほしい。
 大好きな人を手助けをするのは奉仕でしょうか? 好きなスポーツを観戦するのは? そんなことを「奉仕」と呼ぶ社会と心の方にこそ、大きなバリアがあるのではないでしょうか。助けを借りずに生きられる人はいません。障害者を「助けを必要とする社会の弱者」と一方的に決めつけるのは、健常者の思い上がりだと思います。
 長野パラリンピックは私たちにとって絶好の「成長の場」となるはずです。それに、世界のトップアスリートが日本に集うのに、もったいないじゃありませんか。ぜひ3月に長野で会いましょう。





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