わがままトーク「ダンスパーティー考」
「エトス」1988年4月号(太平洋教育文化交流協会関西本部発行)より転載
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ダンスといえば、小学生のときからなじみのあるフォークダンスとか、おじさま・おば
さま(?)に人気のある社交ダンス、それに心ない者には、その伝統の重みを分かっても
らえないことの多い民族舞踊など、さまざまなものを思い浮かべる。
ディスコで踊るのも、もちろんダンスなのであるが、どうも、あまり好きになれない。
心の中には、高い金をわざわざ払ってまでは行きたくない、という気持ちがある。また、
雰囲気になじめない、という思いも、やはりある。
高校時代に米国留学した者で、ダンスパーティーに出席したことがない、という人がい
たら、そいつはヘンはヤツだと思う。大きなものだけでも、一〇月のホームカミング、二
月のスイートハート・スワール、四月のプロムがある。この他にも、フットボールやバス
ケットの試合のあとには、必ずといっていいほど小さなダンスパーティーがある。だから
帰国留学生ならディスコが好きそうなものなのに、集まって踊りに繰り出したとか、ディ
スコ常連というピース同窓生の話なんて、いままで聞いたことがない。
私はこの短文の中で、「日本のディスコは云々」などと言うつもりは毛頭ない。そんな
こを言えるほど、日本のディスコ業界のことは知らないし、アメリカのダンスパーティー
の方が本場の味がしていいなんて、つゆも思わない。繰り返し言うが、私はあのテのもの
は苦手なのである。
ただ、ここでは日米間に決定的な違いがある。日本のディスコは単に踊ることを主目的
としているのに対して、われわれが経験したプロムなど三つの大ダンスパーティーは、正
装して、エスコートすべき相手(パートナー)が必ずいた、ということである。あらかじ
め相手を決めておいて、車での送迎があって、紳士または淑女を演じるのである。そうす
ると、どういうわけか、おのずとレディーファーストは守られる。
では、日本でプロムなんかがあったらどうするのかって尋ねられたら……。そんなこと
は決まっている。私は男だ。もちろん、私の方から会場に入っていく。
山口 一朗
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