わがままトーク「恋愛・結婚考」
「エトス」1988年6月号(太平洋教育文化交流協会関西本部発行)より転載



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 四月に朝日系の「ニュースステーション」が、米国での高校生の妊娠や、それに対する 学校側の姿勢について取り上げていたのを、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。あの 放送は、ごく一部でしかないにせよ、現在の米国社会の紹介をするには、適当なものだっ たと思う。
 実際、私が通った高校(ハイスクール)でも、妊婦の同級生はいたし、そうでなくても 高卒とほぼ同時か一年と少しで結婚した人も少なくない。例えば、この七月、卒業五周年 記念に初めて開かれる同窓会(リユニオン)の幹事四人中三人が既婚者である。また、九 月上旬にも、五年間文通してきた親友が結婚する。二三歳で「嫁入り」というのは、米国 ではむしろ遅いくらいだ。
 もちろん、国情の違いがあるとはいえ、若年者の結婚については、いずれの国にも賛否 両論があるようだ。友人の中には、「精神的事情と経済的事情が許すのであれば、早く結 婚した方がいい」と言う者もいる。しかし、実はこれら二つの事情が許さないから、人は 迷うのだろう。仮に、式に高いカネをかけようが、それからの二人の生活がハチャメチャ ならば、そんな出費は、失敗に備えるための言い訳にすぎないだろう。また、いくら愛情 が深くても、無一文では生きていけない。
 思うに、米国の離婚率が高いのは、必要以上の早婚にも原因があるのではなかろうか。 フラーという人は、「結婚前には両目を大きく開けて見よ。結婚後は片目を閉じよ」と言 ったという。だが、「恋は全身の目であるが、何も見えない」(中国のことわざ)ものだ し、「結婚の魅力の一つは、絶対にお互いの生活にごまかしの生活をつくること」(ワイ ルド)ものだから、難しいのだろう。やはり、「晩婚」であっても、じっくりと考えた末 に結論を出した我が親友パティの方が、きっと幸せになると思っている。
 さて、米国の同級生が次々と伴侶を見つけていく中で、帰国留学生としてどう思うか。 カンケイナイネ、で済ますことが出来るなら楽だろうにねぇ。まあ、正直いって、「精神 的」にも「経済的」にも条件を満たしていないじゃないか。
 参考までに、今月でまだ二二歳八ヵ月。やっぱり、遠い将来の話だね。 山口 一朗


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