二重苦乗り越えヘレン・ケラー描く
フリーライターの松兼功さん、初公演へ脚本作り


1994年12月4日発行 毎日新聞大阪本社発行朝刊社会面より転載



 脳性マヒによる言葉、手足の不自由を乗り越え、著作活動を続けているフリーライター、松兼功さん(34)=東京都練馬区=が、鼻、あご、舌を使ってワープロのキーボードをたたきながら、演劇の脚本作りに取り組んでいる。米国の社会福祉事業家、ヘレン・ケラーと、家庭教師のアニー・サリバンの触れ合いを描いた演劇「ヘレンとアニー」(仮題)。ワープロによる執筆は一時間に四百字がやっと。来秋の東京公演に向け奮闘中の松兼さんは「初の脚本。障害者の生き方をめぐり、互いに感じ合い、共に生きた二人を描き出したい」と意欲を燃やす。
 松兼さんは生まれた時の酸素欠乏で脳性まひに。小学四年生の時、初恋の先輩にラブレターと詩を贈りたいと、初めてかなタイプに向かったのがきっかけで、文章を書くようになった。
 脚本は、四百字詰め原稿用紙九十枚の予定で一月には完成予定。
 松兼さんは、これまでの二人の物語と違い弟を病気で亡くし、自分の責任を強く感じていたアニーが、ヘレンと接することで、気持ちをいやしていく経過など、これまで触れられなかった内容を中心に描きたいという。
 演じるのは「東京演劇集団 風」(高田三悟代表)。
 ヘレン・ケラーは、一九三七年をはじめ計三回、毎日新聞社などの招きで来日、日本ヘレン・ケラー財団(本部・大阪市)創設のきっかけとなった。





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