初版 Mar.25,2009
2A3プッシュプル・モノラルアンプの続編
30年ほど前に作って寝かせていた2A3プッシュプル・モノラルアンプに改良を重ねて最終的に7Wの差動プッシュプルとした記録の続編です。2A3のアンプをオールST管による807差動プッシュプル・10Wモノラルアンプに改造しました。 またまた改造してしまった
先に紹介した第4版の2A3差動プッシュプル・7Wモノラルアンプで終わりにしようと思っていましたが、中国製NOSの6N7-GTを入手して初段の6SL7と交換したところ、入力レンジが広くなりNFBの安定性が増して良い感じの音となりました。 使用球について
初段の6A6は6N7Gと同じ球で、6SL7と同じくらいのプレートサイズながらB級プッシュプルでは出力が10Wも出るそうです。ベースは大きな方の7ピンUTでバルブは5V4などと同じ大きさです。ドライバの76はuが13.8で6SN7の半分に類似する汎用三極管として有名な球です。終段の807は6L6をトッププレートに変更してスクリーングリッドを丈夫にし電極にシールドを加えたUYベースの送信管で団塊の世代のアマチュア無線家にとって思い出の多い球だと思います。 アンプの概要
2A3差動アンプの改造にあたり、出力段を三極管、または、5極管やビーム管の三極管結合が主流の差動プッシュプルを5極管かビーム管の差動プッシュプルで試して見たかったことと、ST管の出力管ならラヂヲ少年の時世話になったUY-807を是非使ってみたいとの思いで2A3をお休みさせて807のビーム管仕様としました。これと組み合わせている出力トランスは元々807用だったので外観もぴったりとマッチしました。 回路構成
一般的に差動アンプの終段を5極管やビーム管仕様とするとスクリーン電流の影響で差動条件が崩れるので宜しくないと言われていますが、本アンプではそれがどのようなことになるのか確かめたいと思い標準的な自己バイアスA級プッシュプル回路と同じ構成でカソードの定電流源を共有する差動方式としました。その他の部分については2A3アンプに準じます。6A6の部分は6DJ8に準じます。以上から回路設計に関する細かなことは省略します。回路図は右の画像をクリックすると拡大表示されます。 音について
入出力の関係は300mV RMS入力の時に出力は8オーム負荷に10W RMSとなるようにNFBをかけています。私はあまり気にしないダンピングファクターは4程度だと思われます。残留ノイズは0.8mV近辺で周波数特性は20Hzから24KHz、矩形波応答と三角波応答も悪くは無いようです。音質はスクリーン電流で差動条件が崩れる云々と言われますが私にはこれを聞き分ける能力は備わっていないようで、ビーム管のAB1プッシュプル構成よりソースを選ばず聞き易いと感じました。何しろオールST管で差動アンプ、しかも、ラヂヲ少年お気に入りのUY-807が音を出していることで自己満足しております。 |
![]() 807差動プッシュプルアンプ![]() アンプ使用球![]() 807差動プッシュプルアンプの回路図![]() 差動プッシュプルアンプの夜景 |