…長かった…本当に長かったっ…!!

 現在、やっと一区切りのついた文章を読み返しながら感動の渦に呑まれておりまする…
 いやはや…しかし何と長い道のりだったことか…何年掛かったのじゃろうな…


 この『ティルティロ旅行記』は元々は同人誌として配布していた物でござりました
 ちなみに『EYE』も『ワイバーンを求めて』も実はこの『ティルティロ旅行記』から抜粋して手直ししたものにござります
 確か書き始めた時期が大学に入学する少し前くらい―――あぁ、もう〇〇年も前の事じゃ…!!
 当時の拙者は、もうそろそろオ・ト・ナ・な同人誌でも描いてやろうと意気込んでおりました
 そしてその練習として描いたのがこの『ティルティロ旅行記』なのでござりまする

 そう、アレなシーンやコレなシーンの練習の為の話だったのじゃよ!!
 当然ながらストーリーの大半を性的描写が占めておりました――…

 そんな『ティルティロ旅行記』を、当時の仲間は親しみを込めてこう呼んでおりました
 そう――…『ティルティロ凌辱記』と!!

 いかに壮絶な内容であったか、何となく察して下さりませ…



 で、その凌辱記を健全(?)に書き直したのが今の『ティルティロ旅行記』(略しててるてろ=jなのじゃ
 それと同時に『EYE』や『ワイバーンを求めて』も健全かつコメディに書き直されました
 …書き下ろすにあたり、ゴールドを小人にしたりレグルスをミイラ化させたりと色々遊んで設定を作りましたが、
 結局は原作の流れをメインにしたために、キャラクター自身には特に違和感無く読めたのではないかと…

 いや、根本的な設定もあまり変わっておりませぬが
 カーマインが異世界に飛ばされるのも、メルキゼが猫耳ドレス男なのも原作通りにござりまする

 まぁ、微妙な相違点なら数多くあるのじゃが…
 例えばメルキゼの髪の色は最初、青紫色じゃった(今は赤紫)
 カーマインのマントは最初、花柄じゃった(今は迷彩柄)

 まぁ、物語の進行には何の影響もございませんな

 では何が一番違うのかというと――メルキゼの性格が一番の変更点じゃな
 心の傷を抱えながらも特に捻くれず、何事も空回りしつつも一生懸命に取り組む健気な青年の彼


 しかし原作では思いっ切り捻くれておりまする!!
 中身は恨み妬みの塊で、何も知らないカーマインは格好の餌食となるのじゃよ

 本当にどうしようもない鬼畜野郎で、カーマインの目の前で人間の子供をバリバリ喰い殺したりしておりました
 カーマイン自身も餌というか奴隷扱いされておったし――…というより、違う意味で喰われておった…

 まぁ、最終的には二人の間にも信頼関係が生まれて一緒にティルティロを目指して旅立つ事になるのじゃが



 実は文章に起こす前、メルキゼは魔女という設定で進んでおりました
 けれどやっぱりボーイズラブ路線で行こうと思い、今度はバリバリの悪魔スタイルに…
 本当に彼は難産で、性格は決まっているのに外見が全く決まらないという事態になり申した

 ツノを生やしたり翼をつけたり、色々試行錯誤した結果――…相当煮詰まっていたのでしょうな…
 ええ、よりによってこの様な物凄い生物が誕生していたのでござるよ…

 あのナリでストーリーは鬼畜、コメディは片鱗すらありませんでした
 そこの御仁よ、ちょいと想像してみて下され


 この『ティルティロ旅行記』から笑いを取り去った姿を!!

 それだけで相当暗い話になるのでござります
 マイナス思考の男二人が、ずっとネチネチ落ち込んでいるのじゃから
 しかもそのうちの一方は毒を受けたり、発作で血反吐を吐いて死に掛けたりもするのじゃよ

 更に原作ではメルキゼが意地悪な性格じゃからカーマインはどんどん追い詰められて行きまする
 当然ながら、二人の間に淡い恋色の空気が漂う事もございませんでした
 そして悲惨な最期を迎えるのでござりまするよ…どこまでも救われませぬ…



 いやはや、しかしこんな鬼畜なエロ話も一人の性格を変えるだけでこんなに明るくなるとは…
 メルキゼが馬鹿みたいに御人好しで笑える奴になったのは、原作の反動が来ておるのじゃよ
 拙者の目には彼がカーマインに罪滅ぼしをしているようにしか見えませんでしたが…

 あ、カーマインといえば彼の名前じゃが―――本気で最後の最後まで出てきませんでしたな!!
 原作ではメルキゼが彼に奴隷としての名を与えたのじゃよ…だから文中で二つの名が出てきておりました

 しかしそれがまた面倒臭くて…というわけで今回はカーマインで統一という事にしたのじゃ
 最後にちょろっと本名が出てきたのは…まぁ、ついでのオマケというやつじゃな

 メルキゼの本名は――物語が更に進めば明らかになるじゃろう(笑)
 原作の方を読んだ事のある御仁には正体バレバレじゃろうが…黙っておいて下され…



 そういえばこの書き直した『ティルティロ旅行記』なのじゃが、実は某歌をモデルにしておりまする
 知っておられるじゃろうか…高橋 直純なる声優の方が出しておられるIndicateというCDなのじゃが…
 その中の9番目の曲――それをコンセプトにしておりまする…拙者の中の、てるてろテーマ曲じゃ…

 歌詞の中のフレーズに

泣いていいよ 思い切り 動き出せるまで
 そのままでいい 傷付いた君が 癒えるまで
 光差す方へ 顔上げて 歩き出す 二人で


 …というのがあるのじゃが、そのものズバリで書いておりまする
 優しいメロディが綺麗で初めて聞いた時、じーんとしたものじゃ…拙者のお勧めにござりまする

 もし余裕がござれば、この曲を聞きながら『ティルティロ旅行記』を読んでみて下され
 歌詞の中に、小説中に出てきたシチュエーションが数点ございます故―…
 あ、流石にイソギンチャク手渡したり鼻血噴出すような場面はござりませんが!!(当たり前)

 まぁ、拙者はこの曲を聞きながらこの話を書いておりましたぞ、という事で…



 ちなみに『ティルティロ』とか『メルキゼデク』というのは聖書の語句から引用しておりまする
 文中ではアホの塊のような彼じゃが、聖書の中では『メルキゼデク王』…そう、王様なのじゃよ!!
 さらに『永遠の司祭』という評価も受けておられる、とても偉い御仁なのじゃが――…あぁぁ…すまぬ…

 あ、カーマインという名前は当時使っていた色彩学の教科書から拝借致しました
 鮮やかな紅い色で綺麗だったのじゃよ…本人は青系にござりまするが

 リャンとシェルは原作にも登場しておりました…ちょい役じゃが
 ちなみに存在がちらりとしか出てこなかった吸血鬼も本当は…まぁ、彼はその内登場させませう
 レンとゴールド、レグルスは原作では脇役的存在で影が薄かったのじゃが…
 しかし彼らは安定した笑いを取るので今後もちょくちょく登場する事じゃろう…


 カーマインとメルキゼの旅もまだまだ続いておりまする
 今回は二人の出会い編から馴れ初め、そしてメルキゼの成長がテーマだったのじゃ
 メルキゼの性格や中身が少しずつ変化して行ったのが伝わったじゃろうか…?
 最終的にはかなりタフで前向きな性格に育ってくれたと思うのじゃが…如何なものじゃろう?

 次回はカーマインの成長と、世界の崩壊をテーマにして行くつもりじゃ
 今回も色々と開き直ってくれたみたいじゃが、まだ足りませぬ
 滅び行く世界を前に悠然と立ち向かう強さと勇気を身につけてもらわねば…



 それではここまでお付き合い下さり、心よりお礼申し上げまする
 これからも彼らの成長と、この世界の行く末を見守っていて下さりませ―――…




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