「…っあ…」


 先程までとは打って変わって、
 レグルスの唇からは絶えず甘い嬌声が漏れている

「ここがイイんだね?」

「っん…そこ、もっと舐めて…
 少しだけ噛んで――…あぁん…っ!!」

 凄い乱れようだ
 普段の彼からはとても想像出来ない


 初めて見るレグルスの艶姿に嬉しい反面、
 しかし一抹の複雑さも隠せないでいた

 …さっきまでの俺の苦労って一体…

 よっぽど下手だったんだな――…
 そう思うとレンの中に苦々しいものも生まれてくる


「…いいもん…これからちゃんと覚えるから…
 誰だって初めての時は上手く行かないものだよね」

「……あ…?」

「ううん、何でもないよ…単なる独り言だから
 さあレグルス、次は何をして欲しいのかな?」

「…ん…そろそろ欲しい…指、挿れて…」

「ふぅん…で、指は何本?
 何処に挿れて欲しいの?
 ちゃんと言わないとわかんないよ」

「…う…うぅ……」

 流石に表情を歪ませる
 肩を震わせて恥辱に耐える姿に愛しさが溢れた


「…可愛いよ、レグルス」

 口付けて慰めると濡れた声が鼓膜を振るわせた

 今思ったんだけど、レグルスの方が俺より初心者だよね?
 初めてだって言う相手に俺、結構酷い事させてるかも…

 でも、このプレイスタイルを貫かなきゃ途中で失敗するかも知れないし

 レグルスに申し訳なく思いながら、それでも容赦はしない
 ここで彼の好みをしっかりと覚えさえすれば、もう彼にこんな思いもさせなくて済むのだから




「さあ、どの指が良いかな?」

「…ぁ…中指と、薬指…
 濡らして、ここ…オレの中に…っ…」

 大胆に脚を開いて誘ってくる
 微かに開いた唇から赤い舌を出して荒々しく息を吐きながら

 その行為が意図的なのか無意識なのかはわからないけれど――…


「…何か、ぞくぞくって来るね
 そんなポーズされたら俺、狼さんになっちゃうよ」

 冗談めかして笑いかける

 でも、本気でヤバい…理性飛びそう
 今すぐにでもレグルスに覆い被さりたい衝動に駆られる

 焦っちゃいけない、焦っちゃいけない…
 何度も自己暗示をかけて何とか自分を静める


「…力、抜いててね…?」

 ローションで手を濡らすと、細心の注意を払いながらレグルスの中に指を埋めた
 最初の時と違って、大した抵抗も無く指が飲み込まれて行く

 その事に少しだけ救われたような気分になった

「…ん…指、動かして…」

 レグルスの表情を注意深く観察しながら、指で彼の体内を探って行く
 先程、怒りに任せて乱暴に掻き毟ったそこは熱を持って腫れているようにも感じる


「…痛くない?」

「少しだけ…ズキズキする…
 でも、痛ぇけど…それだけじゃねぇから…」

 やっぱり傷付けていたらしく、痛みがあるらしい
 でも、痛いだけじゃないという言葉に励まされる


「辛かったら…我慢しないでね」

 優しく撫ぜるように指を動かす
 爪を立てないように気をつけながら

「…レグルスの気持ち良い所は何処かな?」

「…あぁ……ん…も、もう少し手前の所……っ…ん…」

 言われた通りの所を指でなぞる
 やがて脈打つ一点を探り当てるとレグルスの身体がびく、と震えた


「…ここ…かな?
 確か前立腺って言うんだっけ…前にユリィが言ってたんだよ
 ここを可愛がってあげると、あのセーロスでさえ堪らずに泣き出すんだってさ」

 強靭な身体を持つ戦士のセーロスでさえ音を上げる刺激
 当然ながらレグルスがそれに耐えられる筈がない

 その事を悟ったのかレグルスの表情に恐怖の色が浮かぶ


「かっ、加減してくれんだろうな…?」

「大丈夫だよ、優しく扱ってあげるから
 じゃあ、始めるよ――…いっぱい感じてね」

「ち、ちょっと待―――…っああああ――…っ!!」

 身体を仰け反らせて、凄い悲鳴が上がる

 一瞬、隣の部屋に聞こえたのではないかと心配になったけれど、
 それならそれで仕方が無い、とレンは開き直ることにした




「…あぁ…あ――っ…!!
 だ、駄目…っああぁん!!」

「何が駄目なのさ?
 こんなに感じちゃって…素質あるんじゃない?」

 普通、初めてでこんなに感じないよね
 でも演技してる――…っていうようにも見えないし

 やっぱり天性のものなのかな…それも何だか微妙だけど


「っ…き、気が狂いそうっ…!!
 助けっ…嫌ぁ…ぁ…あぁ―――っ!!」

「助けて欲しい?
 もっと狂わせて、の間違いじゃないの?」

 レグルスの弱い所
 指の腹を押し付けて強く擦ると面白いくらいに反応が返ってくる

 柔らかくなってきたし、そろそろ大丈夫かな…?
 指を三本に増やしてレグルスの身体深くに埋めてみる


「…思ったよりキツいね
 俺の指…凄く締め付けられてるよ」

「あぁ―――…!!
 あっ…あぁ、だ、駄目…あっ…!!」

 レグルスの腕が伸びてくる

 身体を押し退けられるのかと思ったら、
 レグルスはコアラのように抱き付いて来た

 密着し合う熱い身体
 本能的なものなのか、ぐいぐいと腰を擦り付けて来る

 口では駄目だって言っておきながら、身体は誘ってるみたいだ



「…こっちも触って欲しいの?
 こんなに硬くして――…まさか、俺に挿れたいなんて言わないよね?」

「っ…れ、レンが…レンのが欲しい…っ…
 お、オレばっかり感じてんの…嫌だっ…!!」

 いや、俺は俺なりに楽しんでるんだけどね…
 でも正直言って余裕無くなりつつあるかも

 こんな刺激的なものばかり見せられて、平然としてられる方がおかしいよ


 でも―――…ねぇ…?



「ちょっと無理あるね…指三本でギリギリだもん
 今日するのは止めておいた方が良いんじゃない?
 いくらローションに麻酔効果があるって言っても、怪我したらやっぱり痛いよ」

「…えっ…?
 で、でも…オレ、最後までやりてぇよ…
 痛ぇ思いするよりも、ここで中断された方が辛ぇし…」

「うーん…まぁ、俺だって今更止めるのは辛いしね
 じゃあ、レグルスが我慢できる所までしようか?」

 俺が途中で止めれたら、の話なんだけど…


「…ん…レン、来て…」

 本当に大丈夫かな…
 やっぱり、ちょっと不安

 レグルスの事も心配だけど、俺がちゃんと出来るかどうかも心配なんだよね…


「緊張して上手く動けなかったりして」

「…だったら、オレが上になろうか…?
 その方が自分のペースで動けるし
 レンも疲れなくて良いんじゃねぇ?」

「えっ……?
 ち、ち、ちょっと待って!?
 それって要するに、騎乗――…」

「おう、重力で挿れ易いし…
 痛ぇと思ったらすぐに抜けるしよ
 昨日の自主トレでもこうやって挿れたんだ
 これって結構、初心者向けなんじゃねぇ?」

「……そ、そう…?
 まぁ、レグルスがそう言うんならいいんだけど…」


 レグルスって実は凄く積極的…?
 それとも今日のプレイスタイルに乗ってくれてるだけ?

 どちらにしろ、驚かされてばっかりだよ…
 悪い気はしない…っていうより、嬉しい気持ちの方が大きいんだけどさ



「…重くねぇ?」

「大丈夫…だけど…」

 さっきまでとは形勢逆転
 ベッドに横になった俺の上にレグルスが跨ってる

 あのレグルスがこんな事を――…って思うと何だか目眩がしてくる


「…い、挿れるぞ…?」

「無理しないでね」

「大丈夫だっての…さっき、薬も飲んだしよ
 あれって普通の栄養剤とか媚薬の類じゃねぇよな?
 だんだん意識が朦朧としてきたしよ…睡眠薬とか入ってんの?」

「うん、ちょっとだけね
 あとは興奮剤とか、気持ちよくなれる薬も入ってるよ」

「ふぅん…やっぱりそっか
 昨日自分の指とか挿れた時は特に気持ち良くとかなかったんだけどよ
 レンにされてるときは意識が飛ぶんじゃねぇかってくらい、よかったから…」


 いや、薬の効果だけじゃなくってだね…?
 俺のテクニックも視野に入れて欲しいんだけど…

 …まぁ…確かにテクニックは無かったけどさ…

 って言うか、今現在の俺はどういった行動するべきなんだろう?
 ただ横になってるだけじゃ格好がつかないよね…




「…レグルスの、可愛がってあげよっか」

 彼の下半身真に手を伸ばすと、柔らかく握り込む
 自分以外の相手のものを触るのなんて初めてだ

 でも、どこが感じるかはわかってるから扱いやすいかも


「もっと気持ち良くしてあげるよ」

「…っん…オレも…レンに感じて欲しい…
 な、なぁ…レンの…挿れてもいいか…?」

「本当に…頼むから、無理しないでね…?」

 レグルスがゆっくり腰を落としてくる

 白くて細い身体
 しっとりと濡れた温もりに包まれた

 そして一瞬遅れて訪れる、想像を超えた圧迫感


「…レグルス――…っう…!!」

 凄くキツい…痛いくらい
 締め付けられてるのに柔らかくて不思議な感じ

 意思に反して身体が跳ね上がる
 まだ全部は入ってないけど――…我慢できなさそう

 堪らず突き上げると悲鳴が降って来た


「ばっ…馬鹿っ…!!
 う、動くなぁ――…っ!!」

 涙混じりの抗議
 見上げると、震えながら歯を食い縛るレグルスと目が合った

「…レグルス…痛い…の?」

「…痛ぇ…痛ぇよ…っ…!!
 でっ、でも…すぐ慣れっから…っ!!」

 絶え絶えな息遣い
 ボロボロと零れる大粒の涙
 こんな状態で『すぐ慣れる』って言われても…はいそうですか、なんて言えない


「レグルス、無理しなくて良いから」

「だっ…大丈夫っ…て言ってんだろ…っ!!」

「でも――…」

 凄く痛そう
 こんなに泣いてるし

 明らかに無理してるのが見え見え


「…っく…ま、待ってろ…っ…
 も、もうすぐ全部…入る…から…!!」

「無理にしたら、レグルス怪我しちゃうよ」

 って言うか、既に怪我してなかったっけ?
 今日の傷じゃなくて…昨夜の自主トレだか何かで付けたみたいな奴

 指挿れても傷口は開かなかったから特に気にしてなかったけど、
 これだけ無理してたら、せっかく治りかけてた傷も悪化するんじゃ…?


「お願いだから無理は止めてよ
 レグルスが痛いと俺も辛いんだから」

「だ…大丈夫だって…もう少し…んっ…ぅ…
 …ぐ…ぁ……っく……ほ、ほら…全部…入った……」

 ぎしっ、とベッドが一際大きな音を立てる
 ベッドだけでなく、レグルスの身体も軋んでいるだろう

 顔を顰めながら痛みを堪える姿
 とてもじゃないが見ていられない

 しかし下手に動いても痛みを増幅させるだけだ
 少し考えた後、レンは再びレグルスの下腹部に手を伸ばした

「――…く…っ!!」

 突然の刺激にレグルスの身体が跳ね上がる
 その衝撃で痛みを感じたのか微かな呻き声が漏れた




「…ごめん、大丈夫?」

「んっ…平気…気にすんな…」

「じゃあ、もっと触っていい?」

 レグルスが頷くのを確認してから手を伸ばす
 少しでも痛みが散らせると良いんだけど

 快感の方に意識を集中させる事で、少しは楽になったらしい
 苦痛に歪んでいた表情が次第に艶を帯び始める


「レグルスの印象が今晩だけで随分変わったよ
 禁欲的なイメージを抱いてたんだけど…実はお色気系だった?」

「…っ…知るかよ…っ!!」

「ふぅん…自覚無いんだ?
 脱ぐと性格変わっちゃうタイプみたいだよ?
 それとも…むしろ、こっちが本性だったりして」


 レグルスはエルフの混血だから魔族というより妖精族に近いらしい
 妖精族の中には魅了の術をかけて惑わしてくる者がいるって言うけど…

 …俺、もしかしてレグルスの術中に陥ったかな――…
 だって生まれて初めてだよ、こんなに余裕無くすのって

 何か理由がある筈だ…って思いたくなるよ


「少しでも気を緩めたら恥かいちゃいそう…」

「……あ……?」

「レグルスが締め付けてくるから…さ
 気を抜いたら、すぐにイっちゃいそうだよ」

「…オレ、まだ動いてねぇけど…?」

「わからないかな?
 中でヒクヒク動いてて…気持ち良いんだけど」

 俺がこんなに切羽詰ってるのに、
 レグルスの方はだんだん余裕を取り戻してきてて…ちょっと悔しい



「…んっ…オレ、そろそろ動けそう…」

 え?

 …いや、ちょっと待ってよ
 今動かれたら本気でヤバいんだけど…っ


「レグルス、待っ―――…んう…っ!!」

 息が詰まる
 爪先から脳天まで甘い刺激が駆け抜けた

 もう、イきそう…

 でも早い男だと思われたら嫌だ
 出来れば同時にイきたいと思うのが心理

 だったらレグルスも追い上げてやれば良い
 彼のいい所はもう覚えたし――…そこを責めてあげよう


「…レグルス、俺も動くね」

 痩せ我慢で微笑む
 そしてレグルスの腰を両手で掴むと強く突き上げた

「んぁ…ああぁ―――…っ…!!」

 彼は堪えきれないとばかりに身体を折り曲げると荒い息を吐きながら全身を痙攣させる
 噴き出す汗がぽたぽたとレンの身体を濡らした


「あぁ…っん…レン…」

「気持ち良さそうだね
 もっと突いても大丈夫かな」

「ああ…っ…
 ん…レン…もっと――…」

「もっと欲しいんだ?
 じゃあ、激しくしても良いよね」

 逃げられないように、しっかりと身体を押さえつける
 レグルスの身体を揺すりながら、激しく何度も突き上げた


「あぁ―――…っ!!
 いっ…嫌…もう駄目…っ…!!」

 レグルスの表情が目に見えて変化する
 切れ長の瞳が潤んで涙が零れていた

「あぁ…ん…レン、もう…っ…」

「うん、いいよレグルス
 俺も限界だから…一緒に、イこう?」

 軋むベッドの音と二人の荒い息遣いが激しさを物語る
 目に見えるもの、聞こえてくるもの全てが快感を増幅させた

 成す術も無く追い上げられて行く


「くぅ…んっ…んぅ…あ…!!
 あぁん…あっ…あ―――…っ!!」

 悲鳴のような嬌声
 全身を痙攣させながらレグルスは堪えていたものを解き放つ

 レンの身体をレグルスの白いものが濡らした


 …あー…初夜から身体にかけられたよ…
 まぁ、顔面じゃなかっただけマシだけど――…いちいちハードだなぁ…

 ふつふつと笑えてくる
 何だか、物凄く濃い一時だった




「…はぁっ…はぁ…ぁ…」

「…レグルス…」

 ぐったりとベッドに横たわる彼は、未だに呼吸を荒げている
 全身から流れ落ちる汗をシーツで拭ってやりながらレンは彼の頬に口付けた

「…凄くよかったよ、レグルス
 でも無理させちゃったね…大丈夫?」

「ん…頭ん中、グラグラする…」

 眩暈がするらしい

 先程飲ませた薬の後遺症か
 それとも激しい行為のせいで貧血を起こしたのか――…

「…は…った…」

「えっ?
 ど、どうしたの?」


「…腹減った…」

「………………。」


 空腹のせいだった


「そう言えば…レグルス、朝から何も食べてなかったよね…」

「昼まで寝てたからな…
 実は、さっきからずっと腹鳴ってた
 テーブルから良い匂いがずっとしてるしよ」

 それを証明するかのように、腹の虫が盛大な音を立てた


「…じゃあ、食べようか…」

「おう」

 言うなりテーブルに駆け寄って行くレグルス
 それを見守るレンの背後に切なく哀愁が漂う

 …レグルス…俺たちさ、今、初めての夜を過ごしたんだよ…?

 それなのに終わった途端に『腹減った』の一言でベッドから出ちゃうの?
 もっと余韻に浸ったり、耳元で愛を囁き合ったりとか――…色々あるでしょ?

 というより今、目の前でハムスターみたいに頬を膨らませてるあんたは誰?
 さっきまで俺の上で色っぽく乱れていたレグルスと、本当に同一人物なの?


「…レグルス…俺、人の奥深さについて学ばせて貰ったよ…」

「――…んあ?」

「ううん、何でもない
 さてと…俺も食べようかな…」

 メインディッシュのレグルスを真っ先に食べちゃったから、
 正直言って後のご馳走はオマケみたいなものなんだけど

 まぁ、レグルスの身体を眺めながら一杯、ってのも良いかもね…



「――…何だよ、人の裸ジロジロ見やがって…」

「いや、綺麗で可愛いな〜って思ってさ」

「…はぁ?
 オレの何処が可愛いってんだ?」

 俺から見れば、全部可愛いんだけどね…
 何て言えばレグルスにも通じるかな


 護ってあげたいって言うか――…

 白くて、華奢で、放っておけない感じなんだよね
 うーん…細くて、ちっちゃくて、俺が傍にいなきゃ折れちゃいそうで

 例えるなら、そう―――…


「…小枝、って感じ…?」

「………こっ…こえ…だ……小枝……」

「うん?」

「お、お前なぁ…せめて『枝』だけにしておこうぜ?
 なにも『小』を付けることねぇだろ、『小』はよ…」

 レグルスの視線が真っ直ぐ一点に集中している
 視線の先には、しゅんと項垂れたレグルス自身が―――…


「…あっ……☆
 い、いや、ちょっと待って、誤解
 それだけに限ったサイズじゃなくって、もっと全体的に…!!」

 それはそれで失礼
 というより致命的失言

「…無理してフォローしなくていいぜ
 どうせ、オレは小枝サイズだしよ…」

「そっ、そんな事無いって
 小枝って言ってもピンからキリまであるし!!」

「……もう、いいって……ふん」

 ご機嫌斜め
 拗ねられてしまった


「れ、レグルス…悪かったって
 俺はただ、愛情表現として――…」

「…わかったって
 いいから食おうぜ」

「う、うん」

 …はぁ…失敗したなぁ…
 もっと、甘い言葉をかけてあげたかったのに

 どっかでフォローしなきゃマズいな…


「…はぁ…」

「もう良いってば
 ほら、どんどん食え
 食い終わったら風呂入ろうぜ」

「…うん、そうだね」

「そ、それでよぉ…?」

「うん?」


 さっきまでの元気の良さは何処へやら

 急に言い淀む
 レグルスは一呼吸置いて、表情を伺いながらレンの耳元で囁いた



「…その…風呂から出た後で、もっかい…やらねぇ?」

「………本気で言ってる?」

「お、おう…
 嫌なら別にいいけどよ…」

「嫌じゃないよ、むしろ喜んで――…
 じゃあ、さっきのお詫びも込めて頑張っちゃおうかな」

「い、いや、そんなに意気込まれても困るっ!!
 さっきので充分激しかったし、オレの体力が――…」

「じゃ、さっさと食べちゃおうか
 はいケーキ切るよ、お皿取って」

 無視
 しかも犯る気満々



「今夜は寝かさないよ
 夕方まで寝てたんだから大丈夫だよね」

「……………。」

「まだ十代だもん、体力有り余ってるでしょ?
 一回だなんて言わず、何回でも出来るよね?」

「……いや、あの……」

 レグルスの額から冷や汗が流れる
 笑顔が引きつっていた

 ついでに空笑いが漏れる


「はは…あ、あはは…」

「あはは〜…というわけで、はい、ケーキ
 これ食べ終わったらお風呂に入ろうね」

 にっこり

 少女のような笑顔を向けられてレグルスは言葉を詰まらせる
 可愛いのに――…有無を言わせぬ迫力とプレッシャーを感じるのは何故だろう


 …というか、いつの間に形勢逆転?

 明日目覚めたら夕方どころか、夜だったりして
 それよりも、明日無事に起き上がれるかどうかの方が深刻な問題――…



「…ねえ、レグルス」

「ん…?」

「―――…愛してるよ」


 ちゅ

 甘酸っぱいケーキ味のキス

 既に腰が砕けそうになる
 身体の中で新たな熱が生まれた


「…ったく…しゃーねーな…
 まぁ、お前の誕生日だし――…サービスしてやっか」

 照れ隠しに、わざとぶっきら棒に答える
 レグルスは赤くなった顔を誤魔化す為にグラスの中を一気に煽った


 誕生日のパーティーは夜明けまで続きそうだ


 ― END ―



 レン×レグルスにござります
 …このカップリングには賛否両論だったのじゃが――…

 迷った挙句、原作同様にweb版でもこのカップリングで行く事に致しました
 こういう愛想の良い元気ちゃんを見ると、無性に攻めにしたくなりまする…ふふふ

 レグルスも『脱ぐと豹変』、『夜は別人』と言わしめた原作通りの受け子ちゃん路線で行きまするよ
 ちなみにレンに『小枝』と言われてしまう所も原作を忠実に再現しておりまする


 普段はレンに頭が上がらない…というか翻弄されまくっておるレグルスじゃが、
 ベッドの中でだけ、ある意味レンより優位になるのじゃよ、『もっと、もっとv』って(笑)

 しかし…本当に積極的じゃな、レグルスは
 ジュンも少しは見習えと言ってやりたくなりまする(笑)

 まぁ、たまには積極的な受けも良いじゃろうて…